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NEWSCONの気になるNEWS(2025年3月第1週)

ユーロ圏のインフレ率は1月に2.5%に上昇し、昨年7月以来の水準となりました。これは欧州中央銀行の中期目標2%を3ヵ月連続で上回り、12月の2.4%から上昇しています。主な要因はサービス部門の上昇です。それ以外には食品・アルコール・たばこ、エネルギーが次いて上昇しています。EU加盟国間ではインフレ傾向に差があり、ハンガリーが最高の5.7%、デンマークが最低の1.4%を記録しました。コアインフレ率は5カ月連続で2.7%と横ばいでした。ECBはインフレが2025年に目標の2%に戻るとの見通しの下、1月に金利を2.75%に引き下げ、利下げの可能性を示唆しました。しかしこのインフレの数字から、今後も利下げがあるかは不透明になっています。
https://ec.europa.eu/eurostat/web/products-euro-indicators/w/2-24022025-ap

欧州リサイクル産業連盟(EuRIC)は、EU委員会のエネルギー転換と産業促進の取り組みを歓迎しつつも、クリーン産業協定(CID)で定められた措置が不十分だと指摘しています。EuRICによれば、EUの取組は脱炭素化と循環性を効果的に結びつけておらず、リサイクル業者の重要な役割を認識していないということです。CIDは2030年迄に循環型材料使用率を現在の11.8%から24%に引き上げる目標を設定していますが、EuRICはこの目標達成の為の具体的なメカニズムが欠けていると批判しています。特にプラスチック、繊維、タイヤなど苦戦しているリサイクル部門への支援がなければ、目標達成は困難との意見を表明しています。
https://euric.org/resource-hub/press-releases-statements/clean-industrial-deal-big-decarbonisation-promises-little-support-for-circularity

世界的なニッケル過剰の影響で、鉱業大手のアングロ・アメリカンが、ニッケル事業をMMGリソーシズに最大5億ドルで売却しました。現在、ニッケル市場はインドネシアの生産量増加により供給過剰状態にあり、価格は2023年2月から40%以上も下落している状況です。この状況は古参のニッケル生産者に競争上の課題を突き付けています。一方で買収側のMMGは、ステンレス鋼とEVからの需要増加により、2030年以降、ニッケルは市場で供給不足が生じると予測し、長期的な見通しに楽観的な姿勢を示しています。アングロは昨年、製鉄用石炭事業を売却したばかりで、それに続く資産の再編となりました。
https://agmetalminer.com/2025/02/27/nickel-prices-anglo-american/

ノースボルトは、実は中国製の正極材を輸入していたことがスクープされ問題となっています。同社は「欧州初の国産ギガファクトリー」と宣伝してきました。この輸入の事実はスウェーデン国営放送SVTが放映するドキュメンタリー番組で明らかになりました。ノースボルトはシェレフテオ工場での独自の正極活物質生産に失敗した為、輸入に依存しました。この情報は隠されていましたが、従業員2人が事実であると証言しました。同社は「世界で最も環境に優しいバッテリー」開発を目標に欧州の期待を集めてきましたが、技術的な未熟さから経営に失敗し、チャプター11に陥りました。米国のFEOC(懸念国)規制などがあり、中国産の材料や部品を利用したEV(電池)は、今後米国への輸出に制限がかかります。同社は「オールスウェーデン製を約束したことはない」と開き直っていますが、欧州企業のグリーンスScamを地で行く結果となりました。
https://batteriesnews.com/homegrown-swedish-battery-startup-admits-importing-vital-components-the-guardian/

鉄鋼不況に苦しむ中、英国の貿易救済機関(TRA)は発展途上国からの鉄鋼輸入に対する関税割当免除の見直しを開始しました。調査対象期間は2024年1月から12月で、WTO基準で英国総輸入量の3%未満を占める国は保護措置の対象外ですが、ベトナムやエジプト等、一部の国が新たに影響を受ける可能性があります。英国鉄鋼業界はEUや米国の保護措置強化に伴う貿易の変化を懸念し、輸入制限強化を政府に提案しています。選択肢として、加工用熱延コイルを除く一般関税導入が検討されています。英国は米国の関税回避を目指している中、政府は自国製品の重要性を主張しています。
https://gmk.center/en/news/uk-tra-to-review-steel-import-exemptions-for-developing-countries/

JPモルガンは2026年の精銅の世界的な供給不足が16万トンに拡大すると予測し、2024年の銅価格を平均1トン当り約11,000ドルと予測しました。また、米国では第3四半期後半までに銅輸入関税に、少なくとも10%が導入される可能性が高く、最大25%への引き上げリスクも指摘されています。中国の需要成長率は今年2.5%と鈍化し、銅市場への下振れリスクとなり、更に2025年には世界需要成長率が2.9%に減速すると予測しています。国際銅研究グループによれば、2023年12月の世界の精銅市場は22,000トンの供給不足でした。シティも2025年第4四半期までに25%の関税実施を予想している状況です。
https://finance.yahoo.com/news/jp-morgan-sees-copper-prices-124713112.html?guce_referrer=aHR0cHM6Ly93d3cuZ29vZ2xlLmNvbS8&guce_referrer_sig=AQAAAKYKTMNMxktTXV7BkY2-xoDU93vsxodsR2ubfl0tbWIwb_geSQs0fSCNJrrFkWTP0dMs9Bme_xMuDhrXp3xbwZOfgEDLvOtboxRxPrr9hjRYUZgisGfqgwwJg1_GzVjiNkdBUm-ke1xHQDXJTkxIxMMHEkBaURaicCOhcG6Lu-Cr&guccounter=2

米国が中国製品に20%の輸入関税を課すと警告したことを受け、中国政府は米国農産物への関税や非関税措置を含む報復策を検討しています。米中間の貿易戦争は再燃のリスクが高まり、特に米国の農業部門が影響を受ける可能性が指摘されています。中国は依然として貿易戦争の休戦を望む一方で、北京政府内では経済への影響を防ぐ対策が議論されています。両国間の報復関税は市場の混乱や経済成長の鈍化を招く恐れがありますが、今のところ、交渉再開の兆しは見られない状況です。これは海上輸送やコンテナ輸送費にも影響が出る為、要注視です。
https://www.business-standard.com/world-news/china-us-donald-trump-tariffs-trade-war-agri-food-products-fentanyl-border-125030300265_1.html

中国最大のEVメーカーBYDは、研究開発や海外展開を支援する為、香港で最大407億香港ドルを調達する株式発行を計画しています。発行価格は5.1~8.4%の割引となる模様です。同社は2024年に前年比41.3%増の427万台を生産し、中国本土最大の自動車メーカーに成長しました。激化する価格競争の中、財務体質強化と事業拡大を目的に資金調達を進める一方、多額の負債が指摘されています。2025年初頭には販売台数が前年比92.5%増加し、純利益も前年同期比18.1%増の252億元を記録しています。更に自動運転システムをほぼ全車両に標準搭載する計画も発表したばかりです。
https://www.scmp.com/business/banking-finance/article/3300869/byd-launches-share-sale-raise-us5-billion-its-biggest-post-ipo-fundraising

米国が中国、カナダ、メキシコに対して新たな関税を課したことを受けて、これらの国々が報復措置を発表し、大規模な貿易戦争が勃発しています。中国は米国からの農産物や食品に10~15%の追加関税を課し、25社の米国企業に輸出・投資制限を設けると発表しました。カナダは1070億ドル相当の米国製品に対する関税を段階的に導入する計画を明らかにしています。これらの動きを受けて、米国やアジアの株式市場は下落しました。アナリストは中国の比較的穏やかな対応は貿易協定の可能性を残す為だと指摘しています。この貿易戦争は年間約2.2兆ドルの二国間貿易に影響を与える事が避けられません。
https://www.bbc.com/news/articles/c89ye749nxvo

米国のLIB生産計画に早くも影響が出ています。アセンド・エレメンツ社は、EVバッテリー材料生産計画を縮小することを発表しました。米国エネルギー省との合意のあった、1億6,400万ドルの連邦政府補助金が取り消されたことが原因です。正極活物質(CAM)の生産を中止しますが、前駆正極活物質(pCAM)と炭酸リチウムの生産は予定通り生産を行う見込みです。pCAMインフラに対する3億1,600万ドルの助成金は有効であり、既に2億500万ドルを受け取っている為です。当初250人の雇用を予定していましたが、CAMライン廃止による影響により未知数です。同社は、2026年第3四半期の施設稼働を目指しています。
https://kentuckylantern.com/briefs/plans-scaled-back-for-producing-ev-battery-materials-in-hopkinsville-as-feds-cancel-grant/

欧州委員会は、今後15年間でエネルギー料金を2.5兆ユーロ削減する計画を発表しました。この計画は4,700万人に影響を与えるエネルギー貧困に対処する為です。再生可能エネルギーの拡大とEU電力システムの統合を通じて、エネルギー輸入依存度を下げることを目的としています。ロシアのウクライナ侵攻後、EUは域内エネルギー調達を拡大し、更に太陽光と風力発電に注力しています。しかし、送電網の不安定性や規制の遅れ等、再生可能エネルギーの急速な成長には課題も残されており、思うように進んでいません。EUは、これらの課題に対処しつつ、エネルギー価格の低下と競争力の向上を目指すとしています。
https://oilprice.com/Energy/Energy-General/EU-Unveils-Ambitious-Plan-to-Slash-Energy-Bills-by-25-Trillion.html

英国で約190億円規模の廃タイヤ燃料工場が着工しました。英国北東部のサンダーランド港に新設されるWastefrontのリサイクル工場は、持続可能な航空燃料(SAF)生産を推進し、100人以上の新規雇用を創出します。同工場は年間約5500万本の廃タイヤを処理し、タイヤ由来の油をSAFに精製します。自己持続可能なシステムを採用し、プロセスで発生するガスを再利用して操業します。IAGはこのプロジェクトに投資しており、2030年迄にSAF使用率10%を目指しています。
https://www.tyrepress.com/2025/03/wastefront-breaks-ground-on-uks-first-tyre-to-fuel-facility/

中国指導部は過去30年で最大規模となる財政赤字を伴う景気刺激策を発表しました。主な施策として、超長期特別国債発行額を1兆3000億元(前年比30%増)に拡大、地方政府向け特別債枠を4兆4000億元(同13%増)に引き上げる方針を示しています。背景には米中貿易戦争の激化や不動産市場の低迷、家計需要の減退といった構造的課題があります。政府は従来の輸出依存型モデルからの転換を図り、国内消費主導の成長戦略を強化します。輸出企業は米国依存脱却のため新興市場開拓を加速していますが、価格競争激化で利益圧迫リスクが懸念され、尚山資本グループは「貿易黒字拡大戦略の限界」を指摘しています。政府は財政改革で需給ギャップ解消を掲げますが、家計支出がGDP比40%未満(世界平均より20%低い)という構造的課題が持続的な成長実現の障壁となっています。これ程の景気刺激策を出すという事は、相当実態は傷んでいると考えられています。
https://fortune.com/asia/2025/03/05/china-economic-plan-two-sessions-gdp-target/

欧州政府は、3月19日に鉄鋼行動計画を発表する予定です。この計画は2026年6月に終わる既存の貿易救済措置に代わる長期的な対策を含むものです。欧州鉄鋼協会(EUROFER)は本計画を歓迎し、CEOは「EUが業界の課題を深刻に受け止め、協働解決を図る姿勢を評価する」と表明しました。同時に半製品・製品品へのセーフガード措置拡充や域内製造支援の必要性を強調、更に中国製製品の流入抑制と持続可能な産業基盤構築の両立を求めています。EUでは一層の産業保護策が進んでいます。この動きは、一層の中国材のダンピングを呼び起こす可能性が指摘されています。
https://gmk.center/en/news/eu-to-publish-action-plan-on-steel-sector-in-two-weeks/

米国が農産物輸入関税を大幅に引き上げたことを受け、中国は米国産農産物に対し鶏肉製品15%、豚肉・牛肉10%の報復関税を発動(対象額210億ドル)しました。これにより世界最大の農産物輸入国である中国は輸入先の多様化を加速し、ブラジル産大豆、EU諸国産豚肉、オーストラリア産小麦・大麦への依存度を高める見通しです。畜産物ではEU(スペイン・オランダ)やブラジルからの豚肉輸入拡大が予測される一方、米国産鶏足(中国向け輸出の主力)については代替調達が困難な為、関税負担を伴いながらも輸入継続が避けられない状況です。中国は2024年に米国から162億6000万ドル分の肉類を輸入しています。貿易再編の過程で米国農家が新市場開拓に苦戦する一方、南米・欧州・太平洋地域の生産者が新たな供給網の受益者となる構図が浮上しています。この動きは米中貿易戦争が単なる二国間問題を超え、全球的な農産物流通構造の再編を引き起こす可能性を示唆しています。
https://www.reuters.com/world/china/china-boost-food-imports-latin-america-europe-us-trade-war-escalates-2025-03-05/

世界の鉄鋼保護貿易措置が原料にも影響しています。韓国が日本と中国からの鉄鋼輸入に関する調査を開始したニュースは少し驚きですが、鉄鉱石価格も最近2週間で変動を見せており、その要因は中国製鉄鋼製品への関税措置と主要生産国の需要変化と見られています。ベトナムは3月7日から中国産熱延鋼板に19.38~27.83%の暫定反ダンピング関税を120日間適用し、韓国も中国製厚鋼板に27.91~38.02%の関税を課しました。これに米国の鉄鋼輸入品一律25%関税が加わり、中国鉄鋼業界は三重の打撃に直面しています。2025年の鉄鉱石市場は、中国経済の弱体化や新規鉱山開発による供給増加で厳しい見通しとなっています。
https://oilprice.com/Metals/Commodities/Iron-Ore-Market-Volatility-Sparks-Global-Concern.html

欧州の鉄スクラップ貿易制限について水面下で攻防が過熱し始めています。2月27日にパリで行われた鉄鋼産業に関わる閣僚サミットでは「鉄スクラップを産業の脱炭素化、戦略的自立、エネルギー安全保障の為に欧州内に保持する」という結果が公式にあげられました。これに対してEuricは猛反対する声明を出しています。パリでのサミットでは、ベルギー、イタリア、フランス、ルクセンブルク、ルーマニア、スロバキア、スペインの代表が「鉄スクラップをEU域内に留めつつ原材料へのアクセスを確保する」という意向を表明し、更に「欧州と同様の環境・生産法を採用していない第三国への輸出を制限または禁止する」という提案をしました。ネットで年間1400万トンの輸出余力のある欧州のこの動きは、鉄スクラップの国際貿易に大きな影響を与える可能性があります。
https://euric.org/resource-hub/press-releases-statements/european-and-global-recycling-industries-strongly-oppose-call-for-trade-restrictions-by-the-summit-on-the-future-of-the-european-steel-industry

トランプ政権は米国の造船業再生と中国の海運支配抑制を目的に18項目の包括的計画を推進中です。 主要施策として、中国製船舶への課税、造船業向け税額控除・助成金の導入、1500億ドル規模の「海上安全保障信託基金」創設が含まれます。 国家安全保障会議内に新部署を設置し政府横断的な取組を主導すると共に北極圏戦略策定や原子力造船所労働者の賃上げも計画されています。 この政策は超党派の支持を得ており、バイデン政権の元国家安全保障担当補佐官ジェイク・サリバン氏からも「中国の不公正貿易慣行に対抗する時機適切な措置」と評価されています。 同時に米通商代表部は中国製船舶に最大150万ドルの罰金を検討し、パナマ運河の戦略的港湾管理権獲得に向けた動きも進められています。 これらの施策は労働組合の長年の要望に応えると共に、米国の海洋安全保障と経済競争力強化を狙った包括的な産業振興策として位置付けられています。課税が実施されれば、運賃への影響がかなり出そうです。アジア向けはコンテナの余剰から下がる可能性があります。
https://www.msn.com/en-us/news/politics/trump-wants-the-us-to-start-cranking-out-ships-it-wont-be-easy/ar-AA1AksAW?ocid=BingNewsSerp

米系銀行を中心に、ネットゼロから距離を置く流れが継続しています。米金融大手ウェルズ・ファーゴは2025年3月、融資ポートフォリオ全体の2050年ネットゼロ目標と2030年セクター別排出削減目標を撤回しました。 石油・ガス・電力・航空など炭素集約型産業への融資排出量管理を放棄する一方、自社業務における70%のCO2削減(2019年比)や再生可能エネルギー100%導入などの目標は維持します。 同行は「顧客の脱炭素移行に必要な技術・政策条件が整わない」と説明しています。 これに先立ち、2024年末には国連主導の「ネットゼロ銀行同盟」から脱退しており、ゴールドマン・サックス・シティグループなど米銀5行が続いて離脱する動きが加速しました。 ただし、同行は5000億ドルの持続可能金融推進目標を堅持し、再生エネルギー分野へ160億ドル、クリーン輸送へ150億ドル以上を投資する方針です。 この方針転換は、政治情勢と経済合理性のバランスを模索する金融業界の戦略再調整を象徴する事例となっています。
https://www.esgdive.com/news/wells-fargo-scraps-net-zero-target-as-banks-rethink-sustainability/741402/

インドネシア政府は不可抗力事態の発生を条件に未加工鉱石の輸出を認める新規則を制定しました。 これは銅等の鉱石輸出への緩和措置となります。2023年に施行された原料鉱物輸出禁止政策の例外措置として、製錬施設の火災事故など予期せぬ事情が発生した企業に限り、輸出を許可するものです。 特に米国Freeport社の現地法人PT Freeport Indonesiaが対象となり、同社の東ジャワ州グレシック製錬所(総工費37億ドル)は2023年10月の火災事故で生産停止に追い込まれ、年産90万トン規模の銅カソード設備が60%の稼働に留まっている状況です。 新規則では輸出許可の有効期間を6カ月と定め、企業には国内原料供給の確保と精錬施設改善計画の提出を義務付けます。 今回の措置は製錬所建設遅延に悩む鉱業企業の経営圧迫を緩和する一方、国内加工産業育成という政策目標とのバランスを模索する政府の戦略的対応と位置付けられています。
https://www.mining.com/web/indonesia-issues-new-rule-allowing-mineral-exports-in-force-majeure-cases/



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