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NEWSCONの気になるNEWS(2025年2月第2週)
欧州委員会はEU国境炭調整メカニズム(CBAM)の対象企業の80%を国境炭素税から免除する可能性を検討しています。欧州委員会は、この提案が行政作業の負担軽減に繋がるもので、気候目標の重要性を損なうものではないと強調しています。ただし実態は、EU企業の競争力に影響する為と見られています。この変更により、CBAMの要件対象となる20万社の内、最大18万社が免除される可能性があります。EUは2026年から鉄鋼、アルミニウム、セメント等の製品輸入に対してCBAMに基づく炭素国境税を課す予定です。欧州人民党(EPP)は気候政策が欧州経済の競争力を阻害しないよう、CBAMの改訂を提案しています。
▶ https://www.reuters.com/sustainability/eu-considers-exempting-most-companies-carbon-border-levy-2025-02-06/
オランダ、日本、韓国などの同盟国が半導体関連の対中輸出規制を強化し、多くの企業が中国から東南アジアに拠点を移し始めています。米国、EU、カナダが中国製品に高関税を課す中、トランプ大統領の再就任により同盟国との関係が揺らいだ事が原因です。逆にカナダは対米依存度低減を望み、原油輸出の中国シフトが強まる可能性があります。現在、トランス・マウンテン・パイプラインを通じた中国への原油輸出が増加しています。EUは米国との貿易戦争を懸念し、中国との「相互利益」を模索している状況です。EUの対中輸入は年間5050億ドルに達し、両国の貿易・投資関係拡大の可能性が示唆されています。1年後にどうなるか、また新しい秩序が生れそうです。
▶ https://www.asiafinancial.com/enemy-to-frenemy-west-revisits-china-ties-on-trump-uncertainty
欧州の大手廃棄物管理会社が台湾でプラスチックリサイクルを拡大します。Remondisグループは、台湾西岸の房源に新しいプラスチックリサイクル施設を建設し、約5000万ユーロを投資しました。この施設は年間約4万5000トンのプラスチック廃棄物を処理でき、以前の施設の能力を大幅に上回る見込みです。最新の近赤外線選別技術を採用し、PET、PE、PPペレットを生産可能で、品質向上と手作業削減を実現する計画です。自動リアルタイム監視システムを導入し、近隣のPETメーカーと提携して効率と持続可能性を高めます。押出技術により、リサイクルペレットの自社生産が可能となり、台湾の繊維産業向けに需要が高い製品を出荷できます。更に有機廃棄物処理施設や廃棄物固形燃料発電所の建設も進めており、将来的に二酸化炭素を排出しないリサイクルプラスチック生産を目指しています。
▶ https://www.remondis-taiwan.com.tw/en/plastic-recycling/
最近AT&T はカリフォルニア州を除く全ての州で 2029 年迄に銅線サービスを終了する意向を発表しました。コストが移行の主な要因です。銅線ネットワークを維持するには、多額の投資が必要ですが、光ファイバーはメンテナンス要件が少なく容量が大きいので長期的なコスト削減が可能です。更に光ファイバーと 5G の台頭により、銅線の終焉が加速しています。固定場所で使用される光ファイバーは次世代サービスに最適な大幅に高い帯域幅と遅延の無い通信を提供します。5G によりワイヤレス技術の急速な拡大に対応する為に最新の光ファイバーベースのインフラストラクチャーの必要性が更に高まり、銅線の廃止が戦略的に必須となっています。光ファイバーと 5G の相乗効果は重要です。その為、銅の需要がこの分野で将来減ると見られています。
▶ https://www.thefastmode.com/expert-opinion/39450-the-looming-copper-sunset-globally-navigating-the-telecom-industrys-great-transition
米国は既存の関税に加えて、米国への全ての鉄鋼及びアルミニウムの輸入に新たに25%の関税を課すと発表しました。新たな関税は米国時間の2月10日に発表される見込みです。政府とアメリカ鉄鋼協会(AISI)によれば、米国への鉄鋼輸入の最大の供給国はカナダ、ブラジル、メキシコで、次いで韓国とベトナムとなっています。カナダは米国への一次アルミニウムの最大の供給国であり、2024年の最初の11ヵ月間の総輸入量の79%を占めています。米国はまた、米国からの輸入品に課税する国に対する報復関税を発表する予定で、この関税はほぼ即時発効する見込みです。世界貿易機関によれば、米国の加重平均関税率は約2.2%であるのに対し、インドは12%、ブラジルは6.7%、ベトナムは5.1%、EUは2.7%となっています。
▶ https://uk.finance.yahoo.com/news/uk-must-wait-see-trump-075806616.html
米国の関税でスクラップ業界に最も影響が出そうなのが、米国のプラスチックスクラップ業界です。2024年にはカナダとメキシコが合わせて、米国のプラスチックスクラップ輸出全体の約56%の受け入れ先となっています。米国のPETスクラップ輸出の約60%はメキシコに、PEスクラップ輸出の26%はカナダに送られました。米国のPEスクラップを多く受け取っている唯一の国はインドでした。PETとPEスクラップは、年間を通じて米国のプラスチックスクラップ輸出全体の半分強を占めました。米国国際貿易委員会のデータによると、メキシコとカナダは、米国に輸入されるボトル用及びフィルム用PET樹脂の約30%を供給しています。米国にはRPETに対する関税コードがない為、輸入量は全てバージンPETの合計に含まれます。中国製PETに対する既存の関税により、中国が米国に輸入する量は僅かであり、2023年には約2,500トン、2024年には約100トンとなる見込みです。近年、米国と中国で大規模な新しいPE工場が稼働を開始した為、世界的に供給過剰となり、バージンHDPEが安価になり、RHDPEの需要が抑制されています。
▶ https://resource-recycling.com/plastics/2025/02/05/plastics-recycling-industry-speaks-out-on-tariffs/
インドの鉄鋼業界での投資が止まりません。JSWグループはマハラシュトラ州ガドチロリ地区に2500万トンの製鉄工場を建設する為に今後7~8年で10億ルピーを投資すると発表しました。世界的な鉄鋼の供給過剰が続く中、この投資は更に供給をダブつかせる見込みがあります。同社の会長はJSWが今後7~8年で鉄鋼工場に総額1兆ルピーを投資し、その第1フェーズが4年以内に完了する予定だと述べています。5年後にはインド以外の新興国、途上国での鉄鋼メーカーは非常に苦しい環境に置かれる事になりそうです。
▶ https://economictimes.indiatimes.com/industry/indl-goods/svs/steel/sajjan-jindal-announces-rs-1-lakh-crore-investment-for-mega-steel-plant-in-gadchiroli/articleshow/118007628.cms?from=mdr#google_vignette
EUの鉄鋼業界は、世界市場での地位低下に直面し苦しんでいます。2024年に若干の回復が見られたものの、主要生産国の生産能力は十分に活用されていません。2018年から2024年にかけて大きな変化を遂げ、2024年の生産量は1億2,950万トンと前年比2.5%増加しましたが、過去の水準を下回っています。主な課題には炭素国境調整メカニズム(CBAM)の導入、厳しい温室効果ガス排出規制、輸入鋼材による市場飽和、鉄スクラップの大量輸出等があります。業界の回復には構造改革と新たな市場条件への適応が必要とされています。
▶ https://gmk.center/en/infographic/the-eu-steel-industry-is-losing-ground-in-the-global-market/
世界的なマンガン不足が予想より早く訪れる可能性があります。高品位鉱石の減少や主要鉱山の操業寿命の終盤に加えて、2024年にはサイクロン被害でオーストラリアのグルートアイランド鉱山が一時停止し、供給が15%減少しました。この影響で価格が上昇し、供給の脆弱性が露呈しました。マンガンは鉄鋼業界で需要の90%以上を占める他、電池材料としても重要性が増しています。特に中国の鉄鋼需要の低迷や供給過剰が短期的な課題ですが、政府のインフラ投資や都市化推進が将来的な需要を支えると見込まれています。また、電池用マンガンの需要拡大により、コスト効率と性能向上を背景に市場規模が成長すると予測されています。
▶ https://mining.com.au/global-manganese-shortage-may-be-closer-than-expected/
輸出業者は米国の鉄鋼関税引き上げがダンピングを促進することを懸念し始めています。米国の関税措置によりインドの鉄鋼輸出が85%減少し、国内で鉄鋼余剰が発生するリスクが高まっています。この余剰は市場の歪みや価格暴落を引き起こす可能性があり、中国の鉄鋼輸出との競争激化もインドの生産者に打撃を与えています。また、輸入増加が価格と収益に悪影響を及ぼしています。世界第2位の鉄鋼生産国であるインドは国内需要の減少と輸出市場での競争に直面しており、特に米国の25%関税提案が状況を悪化させる要因となっています。
▶ https://economictimes.indiatimes.com/industry/indl-goods/svs/steel/exporters-fear-us-tariff-hike-on-steel-will-spur-dumping/articleshow/118126348.cms?from=mdr
中国のEV大手BYDは、2025年のEU排出規制に対応し罰金を回避する為に欧州自動車メーカーとカーボンクレジット供給に関する交渉を進めています。同社は余剰クレジットを販売し、他のメーカーと排出量をプールする計画です。EUでは厳しい排出規制が導入され、多くの自動車メーカーが電動化目標を達成できずに罰金のリスクに直面しています。その為、テスラやポールスター等のEV専業メーカーからクレジットを購入する動きが活発化しています。EVで活性化するはずだった欧州の自動車メーカーは、結果的に中国企業を利し、自らの首を絞める結果となっています。
▶ https://www.asiafinancial.com/byd-in-talks-to-supply-carbon-credits-to-european-carmakers
日本にも大きな影響を与えると見られている欧州の使用済み自動車リサイクル規則に関して、欧州議会の環境委員会と域内市場委員会の報告者が共同報告書草案を提出しました。この草案には当初の立法案に対する修正案が含まれており、2月下旬に委員会で議論される予定です。主な変更点として車両へのリサイクル材料使用目標の引き下げが提案されています。また、プラスチック製自動車部品のリサイクル含有量に関する規定の変更や、電気自動車モーターの金属部品のリサイクル含有量要件について、生産スクラップやバイオベースの一次ポリマー、その他の使用済み製品のスクラップの使用を認める提案が含まれています。
▶ https://www.europarl.europa.eu/doceo/document/CJ45-OJ-2025-02-17-1_EN.html
FTが世界の廃棄物輸出と途上国のリサイクルに関する「廃棄物戦争: 世界の『リサイクル』経済の暗黒面」という特別記事を載せています。有料版なので全文を読むことはできませんが、下記の論調となっています。
「(リサイクルは)発展途上国にいくらかのお金をもたらすかもしれないが、それは蔓延する汚職とグロテスクな環境悪化の代償を払うだけだ。これは欧米の自己中心的な浄化の暗部だ。更にに悪いことに、富裕国は自分達が排出しているゴミの流れを食い止めることができないようだ」
FTでこのような記事が出ることは、業界とスクラップ輸出にあまり良い影響を与えない可能性があります。というのは、こういった記事が出る前後には必ず何等かの規制の話があって、それをスムーズに進める為に、こうした情報を当局がリークして記事になる事が多い為です。
▶ https://www.ft.com/content/6545b937-3600-4674-a7e3-6bc60aff2c4d
2025年はリチウム価格の回復が期待されています。中国のEV補助金増額により電気自動車の販売が大幅に増加し、リチウム需要を牽引しています。同時に鉱山の閉鎖により世界的な供給過剰が緩和される見込みです。しかし、米国の政策変更がリチウム市場に不確実性をもたらす可能性があります。EV税額控除の削減や中国との貿易摩擦は、需要に悪影響を及ぼす可能性があります。専門家は、2025年をリチウムにとって良い年と予想していますが、新規プロジェクトの稼働や貿易摩擦の不確実性等、市場を左右する要因も存在します。不確実性があり予断を許さない状況ですが、リチウム価格の回復が期待されています。
▶ https://oilprice.com/Metals/Commodities/Chinas-EV-Subsidies-Set-to-Fuel-Lithium-Price-Recovery-in-2025.html
米国上院共和党議員は、電気自動車(EV)に関する2本の法案を提出しました。1つ目は、新車EVへの7,500ドルの税額控除や中古車EVへの4,000ドル控除などを廃止するもの。2つ目は、EVに1,000ドルの新税を課し、道路補修費に充てるというものです。提案者はEVがガソリン車の3倍の重さで道路損傷が大きいこと、ガソリン税を払わないこと等を理由に挙げています。一方で自動車メーカーは多額の投資後であることから、控除の維持または段階的廃止を求めています。この動きはEVの普及促進と道路インフラ維持のバランスを取る難しさを示しています。EVの高価格等、消費者の障壁も依然として存在する中、今後の議論が注目されます。
▶ https://www.reuters.com/business/autos-transportation/republican-senators-call-1000-tax-new-ev-sales-pay-road-repairs-2025-02-12/
ミュンヘンで労働組合の集会に車が突っ込み、少なくとも28人が負傷する事件が発生しました。ドイツ当局はこれを「攻撃」とみなしています。24歳のアフガニスタン人亡命希望者が逮捕され、オラフ・ショルツ首相は「国外退去」を求めました。首相は犯罪者に対する厳しい処罰と、必要に応じて国外退去を強調しました。この事件はミュンヘン安全保障会議の直前に起きましたが、現時点で関連は不明です。また、ドイツでは最近、車両やナイフを使用した攻撃が相次いでおり、10日後に迫った選挙にも大きな影響を与えています。事件の背景や動機の解明、そして移民政策と安全保障のバランスについて、今後の議論が予想されています。
▶ https://www.euractiv.com/section/politics/news/german-authorities-investigating-attack-as-car-speeds-into-rally-in-munich/
世界はグリーン水素の夢から覚めています。鉄鋼を始め、長年にわたり脱炭素化戦略の重要な部分としてグリーン水素が期待されてきましたが、現在その実現には多くの課題が残されています。計画されているグリーン水素プロジェクトの内、予定通りに実施されているのは僅か10%未満です。特に輸送分野ではEVが水素燃料電池車よりも効率的でコスト効果が高いことが証明されており、販売数も大幅に上回っています。水素技術の主な課題には高コスト、貯蔵の困難さ、技術的な問題が挙げられます。専門家は水素技術の実現可能性に疑問を呈しており、持続可能な航空燃料などの代替技術がより実用的だと指摘しています。一方で公共交通機関での水素バスの導入等、小規模なプロジェクトは進行していますが、全体的な進展は期待されたほど速くありません。グリーン水素技術の未来は依然として不確実であり、他の持続可能な技術との競争が続いています。
▶ https://oilprice.com/Alternative-Energy/Hydroelectric/What-Happened-to-the-Green-Hydrogen-Boom.html
▶ https://www.reuters.com/sustainability/eu-considers-exempting-most-companies-carbon-border-levy-2025-02-06/
オランダ、日本、韓国などの同盟国が半導体関連の対中輸出規制を強化し、多くの企業が中国から東南アジアに拠点を移し始めています。米国、EU、カナダが中国製品に高関税を課す中、トランプ大統領の再就任により同盟国との関係が揺らいだ事が原因です。逆にカナダは対米依存度低減を望み、原油輸出の中国シフトが強まる可能性があります。現在、トランス・マウンテン・パイプラインを通じた中国への原油輸出が増加しています。EUは米国との貿易戦争を懸念し、中国との「相互利益」を模索している状況です。EUの対中輸入は年間5050億ドルに達し、両国の貿易・投資関係拡大の可能性が示唆されています。1年後にどうなるか、また新しい秩序が生れそうです。
▶ https://www.asiafinancial.com/enemy-to-frenemy-west-revisits-china-ties-on-trump-uncertainty
欧州の大手廃棄物管理会社が台湾でプラスチックリサイクルを拡大します。Remondisグループは、台湾西岸の房源に新しいプラスチックリサイクル施設を建設し、約5000万ユーロを投資しました。この施設は年間約4万5000トンのプラスチック廃棄物を処理でき、以前の施設の能力を大幅に上回る見込みです。最新の近赤外線選別技術を採用し、PET、PE、PPペレットを生産可能で、品質向上と手作業削減を実現する計画です。自動リアルタイム監視システムを導入し、近隣のPETメーカーと提携して効率と持続可能性を高めます。押出技術により、リサイクルペレットの自社生産が可能となり、台湾の繊維産業向けに需要が高い製品を出荷できます。更に有機廃棄物処理施設や廃棄物固形燃料発電所の建設も進めており、将来的に二酸化炭素を排出しないリサイクルプラスチック生産を目指しています。
▶ https://www.remondis-taiwan.com.tw/en/plastic-recycling/
最近AT&T はカリフォルニア州を除く全ての州で 2029 年迄に銅線サービスを終了する意向を発表しました。コストが移行の主な要因です。銅線ネットワークを維持するには、多額の投資が必要ですが、光ファイバーはメンテナンス要件が少なく容量が大きいので長期的なコスト削減が可能です。更に光ファイバーと 5G の台頭により、銅線の終焉が加速しています。固定場所で使用される光ファイバーは次世代サービスに最適な大幅に高い帯域幅と遅延の無い通信を提供します。5G によりワイヤレス技術の急速な拡大に対応する為に最新の光ファイバーベースのインフラストラクチャーの必要性が更に高まり、銅線の廃止が戦略的に必須となっています。光ファイバーと 5G の相乗効果は重要です。その為、銅の需要がこの分野で将来減ると見られています。
▶ https://www.thefastmode.com/expert-opinion/39450-the-looming-copper-sunset-globally-navigating-the-telecom-industrys-great-transition
米国は既存の関税に加えて、米国への全ての鉄鋼及びアルミニウムの輸入に新たに25%の関税を課すと発表しました。新たな関税は米国時間の2月10日に発表される見込みです。政府とアメリカ鉄鋼協会(AISI)によれば、米国への鉄鋼輸入の最大の供給国はカナダ、ブラジル、メキシコで、次いで韓国とベトナムとなっています。カナダは米国への一次アルミニウムの最大の供給国であり、2024年の最初の11ヵ月間の総輸入量の79%を占めています。米国はまた、米国からの輸入品に課税する国に対する報復関税を発表する予定で、この関税はほぼ即時発効する見込みです。世界貿易機関によれば、米国の加重平均関税率は約2.2%であるのに対し、インドは12%、ブラジルは6.7%、ベトナムは5.1%、EUは2.7%となっています。
▶ https://uk.finance.yahoo.com/news/uk-must-wait-see-trump-075806616.html
米国の関税でスクラップ業界に最も影響が出そうなのが、米国のプラスチックスクラップ業界です。2024年にはカナダとメキシコが合わせて、米国のプラスチックスクラップ輸出全体の約56%の受け入れ先となっています。米国のPETスクラップ輸出の約60%はメキシコに、PEスクラップ輸出の26%はカナダに送られました。米国のPEスクラップを多く受け取っている唯一の国はインドでした。PETとPEスクラップは、年間を通じて米国のプラスチックスクラップ輸出全体の半分強を占めました。米国国際貿易委員会のデータによると、メキシコとカナダは、米国に輸入されるボトル用及びフィルム用PET樹脂の約30%を供給しています。米国にはRPETに対する関税コードがない為、輸入量は全てバージンPETの合計に含まれます。中国製PETに対する既存の関税により、中国が米国に輸入する量は僅かであり、2023年には約2,500トン、2024年には約100トンとなる見込みです。近年、米国と中国で大規模な新しいPE工場が稼働を開始した為、世界的に供給過剰となり、バージンHDPEが安価になり、RHDPEの需要が抑制されています。
▶ https://resource-recycling.com/plastics/2025/02/05/plastics-recycling-industry-speaks-out-on-tariffs/
インドの鉄鋼業界での投資が止まりません。JSWグループはマハラシュトラ州ガドチロリ地区に2500万トンの製鉄工場を建設する為に今後7~8年で10億ルピーを投資すると発表しました。世界的な鉄鋼の供給過剰が続く中、この投資は更に供給をダブつかせる見込みがあります。同社の会長はJSWが今後7~8年で鉄鋼工場に総額1兆ルピーを投資し、その第1フェーズが4年以内に完了する予定だと述べています。5年後にはインド以外の新興国、途上国での鉄鋼メーカーは非常に苦しい環境に置かれる事になりそうです。
▶ https://economictimes.indiatimes.com/industry/indl-goods/svs/steel/sajjan-jindal-announces-rs-1-lakh-crore-investment-for-mega-steel-plant-in-gadchiroli/articleshow/118007628.cms?from=mdr#google_vignette
EUの鉄鋼業界は、世界市場での地位低下に直面し苦しんでいます。2024年に若干の回復が見られたものの、主要生産国の生産能力は十分に活用されていません。2018年から2024年にかけて大きな変化を遂げ、2024年の生産量は1億2,950万トンと前年比2.5%増加しましたが、過去の水準を下回っています。主な課題には炭素国境調整メカニズム(CBAM)の導入、厳しい温室効果ガス排出規制、輸入鋼材による市場飽和、鉄スクラップの大量輸出等があります。業界の回復には構造改革と新たな市場条件への適応が必要とされています。
▶ https://gmk.center/en/infographic/the-eu-steel-industry-is-losing-ground-in-the-global-market/
世界的なマンガン不足が予想より早く訪れる可能性があります。高品位鉱石の減少や主要鉱山の操業寿命の終盤に加えて、2024年にはサイクロン被害でオーストラリアのグルートアイランド鉱山が一時停止し、供給が15%減少しました。この影響で価格が上昇し、供給の脆弱性が露呈しました。マンガンは鉄鋼業界で需要の90%以上を占める他、電池材料としても重要性が増しています。特に中国の鉄鋼需要の低迷や供給過剰が短期的な課題ですが、政府のインフラ投資や都市化推進が将来的な需要を支えると見込まれています。また、電池用マンガンの需要拡大により、コスト効率と性能向上を背景に市場規模が成長すると予測されています。
▶ https://mining.com.au/global-manganese-shortage-may-be-closer-than-expected/
輸出業者は米国の鉄鋼関税引き上げがダンピングを促進することを懸念し始めています。米国の関税措置によりインドの鉄鋼輸出が85%減少し、国内で鉄鋼余剰が発生するリスクが高まっています。この余剰は市場の歪みや価格暴落を引き起こす可能性があり、中国の鉄鋼輸出との競争激化もインドの生産者に打撃を与えています。また、輸入増加が価格と収益に悪影響を及ぼしています。世界第2位の鉄鋼生産国であるインドは国内需要の減少と輸出市場での競争に直面しており、特に米国の25%関税提案が状況を悪化させる要因となっています。
▶ https://economictimes.indiatimes.com/industry/indl-goods/svs/steel/exporters-fear-us-tariff-hike-on-steel-will-spur-dumping/articleshow/118126348.cms?from=mdr
中国のEV大手BYDは、2025年のEU排出規制に対応し罰金を回避する為に欧州自動車メーカーとカーボンクレジット供給に関する交渉を進めています。同社は余剰クレジットを販売し、他のメーカーと排出量をプールする計画です。EUでは厳しい排出規制が導入され、多くの自動車メーカーが電動化目標を達成できずに罰金のリスクに直面しています。その為、テスラやポールスター等のEV専業メーカーからクレジットを購入する動きが活発化しています。EVで活性化するはずだった欧州の自動車メーカーは、結果的に中国企業を利し、自らの首を絞める結果となっています。
▶ https://www.asiafinancial.com/byd-in-talks-to-supply-carbon-credits-to-european-carmakers
日本にも大きな影響を与えると見られている欧州の使用済み自動車リサイクル規則に関して、欧州議会の環境委員会と域内市場委員会の報告者が共同報告書草案を提出しました。この草案には当初の立法案に対する修正案が含まれており、2月下旬に委員会で議論される予定です。主な変更点として車両へのリサイクル材料使用目標の引き下げが提案されています。また、プラスチック製自動車部品のリサイクル含有量に関する規定の変更や、電気自動車モーターの金属部品のリサイクル含有量要件について、生産スクラップやバイオベースの一次ポリマー、その他の使用済み製品のスクラップの使用を認める提案が含まれています。
▶ https://www.europarl.europa.eu/doceo/document/CJ45-OJ-2025-02-17-1_EN.html
FTが世界の廃棄物輸出と途上国のリサイクルに関する「廃棄物戦争: 世界の『リサイクル』経済の暗黒面」という特別記事を載せています。有料版なので全文を読むことはできませんが、下記の論調となっています。
「(リサイクルは)発展途上国にいくらかのお金をもたらすかもしれないが、それは蔓延する汚職とグロテスクな環境悪化の代償を払うだけだ。これは欧米の自己中心的な浄化の暗部だ。更にに悪いことに、富裕国は自分達が排出しているゴミの流れを食い止めることができないようだ」
FTでこのような記事が出ることは、業界とスクラップ輸出にあまり良い影響を与えない可能性があります。というのは、こういった記事が出る前後には必ず何等かの規制の話があって、それをスムーズに進める為に、こうした情報を当局がリークして記事になる事が多い為です。
▶ https://www.ft.com/content/6545b937-3600-4674-a7e3-6bc60aff2c4d
2025年はリチウム価格の回復が期待されています。中国のEV補助金増額により電気自動車の販売が大幅に増加し、リチウム需要を牽引しています。同時に鉱山の閉鎖により世界的な供給過剰が緩和される見込みです。しかし、米国の政策変更がリチウム市場に不確実性をもたらす可能性があります。EV税額控除の削減や中国との貿易摩擦は、需要に悪影響を及ぼす可能性があります。専門家は、2025年をリチウムにとって良い年と予想していますが、新規プロジェクトの稼働や貿易摩擦の不確実性等、市場を左右する要因も存在します。不確実性があり予断を許さない状況ですが、リチウム価格の回復が期待されています。
▶ https://oilprice.com/Metals/Commodities/Chinas-EV-Subsidies-Set-to-Fuel-Lithium-Price-Recovery-in-2025.html
米国上院共和党議員は、電気自動車(EV)に関する2本の法案を提出しました。1つ目は、新車EVへの7,500ドルの税額控除や中古車EVへの4,000ドル控除などを廃止するもの。2つ目は、EVに1,000ドルの新税を課し、道路補修費に充てるというものです。提案者はEVがガソリン車の3倍の重さで道路損傷が大きいこと、ガソリン税を払わないこと等を理由に挙げています。一方で自動車メーカーは多額の投資後であることから、控除の維持または段階的廃止を求めています。この動きはEVの普及促進と道路インフラ維持のバランスを取る難しさを示しています。EVの高価格等、消費者の障壁も依然として存在する中、今後の議論が注目されます。
▶ https://www.reuters.com/business/autos-transportation/republican-senators-call-1000-tax-new-ev-sales-pay-road-repairs-2025-02-12/
ミュンヘンで労働組合の集会に車が突っ込み、少なくとも28人が負傷する事件が発生しました。ドイツ当局はこれを「攻撃」とみなしています。24歳のアフガニスタン人亡命希望者が逮捕され、オラフ・ショルツ首相は「国外退去」を求めました。首相は犯罪者に対する厳しい処罰と、必要に応じて国外退去を強調しました。この事件はミュンヘン安全保障会議の直前に起きましたが、現時点で関連は不明です。また、ドイツでは最近、車両やナイフを使用した攻撃が相次いでおり、10日後に迫った選挙にも大きな影響を与えています。事件の背景や動機の解明、そして移民政策と安全保障のバランスについて、今後の議論が予想されています。
▶ https://www.euractiv.com/section/politics/news/german-authorities-investigating-attack-as-car-speeds-into-rally-in-munich/
世界はグリーン水素の夢から覚めています。鉄鋼を始め、長年にわたり脱炭素化戦略の重要な部分としてグリーン水素が期待されてきましたが、現在その実現には多くの課題が残されています。計画されているグリーン水素プロジェクトの内、予定通りに実施されているのは僅か10%未満です。特に輸送分野ではEVが水素燃料電池車よりも効率的でコスト効果が高いことが証明されており、販売数も大幅に上回っています。水素技術の主な課題には高コスト、貯蔵の困難さ、技術的な問題が挙げられます。専門家は水素技術の実現可能性に疑問を呈しており、持続可能な航空燃料などの代替技術がより実用的だと指摘しています。一方で公共交通機関での水素バスの導入等、小規模なプロジェクトは進行していますが、全体的な進展は期待されたほど速くありません。グリーン水素技術の未来は依然として不確実であり、他の持続可能な技術との競争が続いています。
▶ https://oilprice.com/Alternative-Energy/Hydroelectric/What-Happened-to-the-Green-Hydrogen-Boom.html