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NEWSCONの気になるNEWS(2025年1月第1週)
フィンランドのステンレスメーカーOutokumpu(オウトクンプ)は、ドイツでバイオカーボン工場に投資する事を発表しています。投資額は約4,000万ユーロで、廃木材を年間1万5,000トンのバイオカーボンに変えます。稼働は2026年第1四半期を予定しています。廃木材は熱分解によってバイオカーボンに変換され、その後、第 2 段階でバイオコークスにペレット化されます。バイオカーボンはステンレス鋼製造の様々な段階で石炭またはエネルギー源の代替として使用します。同社は鋼をステンレスにする為に必要な合金であるフェロクロムの製造で、バイオコークスを還元剤として使用することを計画しています。これはCO2排出を削減する技術として、欧州で注目されています。
▶ https://www.outokumpu.com/en/news/2024/outokumpu-invests-in-a-biocarbon-plant-in-germany-to-further-reduce-its-direct-emissions-3524652
米国では世論形成の1つである左派メディアを代表するCNNが視聴率の低迷とリストラへで苦しんでいます。広告主が最も重要視する25~54歳の視聴者層で、年末平均視聴者数がフォックスニュースとMSNBCに次いで2位となり、1日平均視聴者数は9万2000人でした。これはCNNの過去最低視聴者数であり、低迷した昨年の最低視聴者数9万4000人からも減少しました。トランプ大統領の選挙勝利後、ケーブルニュース視聴者のうちCNNのゴールデンタイム番組を視聴したのは僅か11%で左派のライバルであるMSNBCの16%に及びませんでした。欧州は殆どが左派系メディアで寡占している中、米国は左右ではっきり分かれており、過去1年は左派系メディアのレーティングが下がり続けてきました。政策展開への一つの表れとなっています。
▶ https://www.thedailybeast.com/cnn-sees-one-of-its-lowest-ratings-ever-as-massive-layoffs-loom/
Recycling TodayがEUの電子廃棄物の輸出入に関する最新の情報を載せています。EUではバーゼル条約に沿う為、電子スクラップの輸送手順に変更を導入しました。非有害電子スクラップは OECD 諸国への輸送に厳格な規制を導入し、非 OECD 諸国への輸送は特定の条件を満たす場合を除き2027年5月より完全に停止されます。条件を満たす為には先ず来年春には欧州政府に対し申請をする手続きを開始する必要があります。電子スクラップは世界的に需要が高く、欧州のリサイクル業者はEU内外で電子スクラップをめぐり競争しています。新規に導入される電子スクラップの輸送プロセスは複雑で、輸送元、輸送先、有害物質か非有害物質かの分類等によって手続きが異なります。許可の予測がつかないこと、更に当局への通知対象物質の場合、リサイクルチェーンが混乱する可能性があります。EUのリサイクラーはリサイクル施設へ電子スクラップを安定して供給する事が今後は一層重要な課題となります。
▶ https://www.recyclingtoday.com/article/european-union-waste-shipment-rules-out-of-touch-with-reality/
12月28日に中国政府は2025年から一部のリサイクル銅・アルミニウム原材料の輸入関税を引き下げると発表しました。財務省は最恵国待遇税率を下回る暫定輸入関税が935品目に適用されると発表し、エタンや一部のリサイクル銅・アルミニウム原材料の輸入関税が引き下げられる事になりました。逆に糖蜜や砂糖を含む混合粉末などの商品に対する関税は上がる予定です。ジルコニウム環状ケイ酸ナトリウム、CAR-T腫瘍治療用のウイルスベクター、外科用インプラント用のニッケルチタン合金ワイヤーなどの品目の輸入関税も引き下げられます。
▶ https://www.mining.com/web/china-to-cut-import-tariffs-on-some-recycled-copper-and-aluminum-raw-materials/
欧州では既に珍しい事ではありませんが、スペインの鉄鋼会社シデノール・グループは、バルセロナの金属スクラップ会社Eplusの買収を発表しました。EUではCBAMだけで無く、鉄鋼も含まれるエコデザイン規制の発効、更にEU企業サステナビリティ報告指令(CSRD)の開始により、鉄鋼メーカーの脱炭素義務は待った無しの状況となっています。Eplusは総合リサイクル会社で、鉄鋼・非鉄金属、紙、段ボール、プラスチック等の選別加工を行っています。シデノールは今年初頭にマドリードのスクラップ会社ミゲル・マルティンの買収をしたばかりです。2022年には金属のリサイクル会社アギラール・メタル・リサイクリングを買収しました。
▶ https://www.sidenor.com/en/?_gl=1*g8vou3*_up*MQ..*_ga*MTM4OTQzMTI1NC4xNzM1NTY2NzA2*_ga_SR0SYDCL2C*MTczNTU2NjcwNS4xLjAuMTczNTU2NjcwNS4wLjAuMA..
インドの鉄鋼省は「グリーンスチールの分類法(Taxonomy for Green Steel in Indi)」を導入しました。この分類法の導入は鉄鋼業界の炭素排出量削減を目指し、持続可能な産業慣行を推進する為のものです。鉄鋼1トン当り2.2トン未満のCO2排出強度で生産された鋼を定義とし、細かな評価システムを確立しています。また排出量の測定、報告、認証はNISST(国立二次鉄鋼技術研究所)が管理し、基準は3年毎に見直される予定です。
▶ https://www.legalitysimplified.com/ministry-of-steel-announces-new-taxonomy-for-green-steel-in-india/
2014年は欧州の主要企業がクリーンエネルギーへの投資を減速させ、投資家は石油・ガス業界への投資をより一層増やす年になりました。この傾向は2025年も継続する見込みです。石油メジャーによるクリーンエネルギーへの投資の縮小は2022年のウクライナへ戦争を受けてエネルギーコストが高騰した事がキッカケとなりました。一方でOPECと石油の主要同盟国は米国を筆頭とする他国が石油生産を増やす中、供給削減の解除計画を繰り返し延期してきました。その結果、来年は石油会社がより厳しい財政に直面すると予想しています。LSEGの推計によると、欧米の石油大手上位5社の純負債は2022年の920億ドルから2024年には1,480億ドルに増加すると予想されています。トランプ氏は就任初日に大統領制で化石燃料への規制を緩和する見込みです。2025年は欧州以外でのエネルギー価格はやや安定する可能性が指摘されています。
▶ https://www.reuters.com/business/energy/big-oil-backtracks-renewables-push-climate-agenda-falters-2024-12-27/
中国政府はリチウム技術、EVバッテリー製造に関する技術の輸出制限を検討しています。中国商務省当局はEVバッテリー用のリチウム加工技術の輸出禁止を提案しました。また、電池の正極材の製造技術を輸出規制対象リストに加えたい考えで、ガリウム加工に関わる技術の規制も検討していることが明らかになりました。これはバッテリーにおける中国の優位性を大幅に強化し、特に中国中心のEVバッテリーのサプライチェーンを強化・維持することが目的です。今後、リチウムの生産に中国の技術を利用したい西側のリチウム生産者にとっては問題になる可能性が指摘されています。
▶ https://batteriesnews.com/china-ponders-export-curbs-on-lithium-tech-ev-batteries/
鉄鋼価格は2025年に更に4%下落する可能性があります。欧州では需要減少により、昨年は鋼板価格が前年比で11%下落し、多くの生産者が支払能力の限界に追い込まれました。2025年には状況が更に悪化する可能性があります。中国の鉄鋼消費量は1.5%減少すると予想されていますが、輸出量は1億トン前後で高止まりします。これにより価格への圧力が高まります。アナリストはEUの鋼板製品の平均価格が更に4%下落し、世界の鉄鋼消費量は全体で0.7%減少すると予測しています。鉄鉱石価格の下落も状況を複雑にしています。2024年には中国の鉄鉱石の平均価格は10%下落し、1トン当り110ドル(Fe62%)となる見込みです。2025年は更に13~14%下落し、1トン当り95ドルになると予想されています。
▶ https://gmk.center/en/news/steel-prices-may-fall-by-another-4-in-2025/
インド鉄鋼省は国産か輸入品かを問わず、インドで使用される全ての鋼鉄グレードに厳格な品質管理基準を施行する計画を発表しました。この動きは実際には安価な輸入品を抑制することを目的としています。現在1,376の鋼鉄品目が品質管理命令(QCO)の対象となっていますが、新しい計画では更に1,000グレードが追加されます。インド規格協会(BIS)が基準を設定し、これらの仕様を満たす鋼鉄のみが市場に流通することが許可されます。BIS基準にまだ含まれていない鋼鉄グレードを輸入するには、同省からの異議なし証明書(NOC)が必要となり、事実上の非関税障壁を作る計画です。
▶ https://www.constructionworld.in/steel-news/government-expands-quality-control-norms-for-steel/66994
モルガン・スタンレーは気候変動連合から離脱します。同行は国連が支援するネットゼロバンキング同盟から脱退します。こうした米系の多国籍銀行の脱退は、気候変動対策の将来と世界の炭素削減目標への影響について懸念を引き起こしています。モルガン・スタンレーは同盟から脱退しますが、炭素排出目標を達成するというコミットメントは維持すると表明しています。アナリストは金融機関が持続可能性の資格を持つ人材を雇用する際の規制上の負担が増すにつれ、こうした同盟に所属する必要性が薄れてきたと分析しています。
▶ https://www.esgtoday.com/morgan-stanley-joins-peers-in-leaving-climate-group-maintains-commitment-to-net-zero/
新年早々に国際政治では大きな動きが出ています。カナダのトルドー首相は近日中に辞意を表明する見込みです。WEFのヤンググローバルリーダーの出身でリベラルの象徴としてスタートした政権は結局ボロボロになって終わりそうです。オーストリアでは昨年9月の選挙後の連立政権交渉が決裂し、大統領は自由党(FPO)の党首に連立政権の結成を命じました。自由党(FPO)は昨年の選挙で第一党となりましたが、元々は1950年代にナチスの退役軍人のグループによって設立された党の為「極右」とレッテルを貼られ、同党を避けた連立を模索してきました。2月23日にはドイツでの総選挙が予定されており、こちらも現政権党や緑の党は議席を大幅に落とす可能性が高いことが週末の世論調査で明らかになっています。今年はルーマニアの大統領選挙、ポーランドのトゥスク政権に対する国民投票、チェコ、ノルウェーの選挙があり、右派系の台頭はもはや当たり前のことになりつつあります。特に秋のチェコの総選挙は、EUの行く末を決定づける一つの試金石になりそうです。その為、これらの選挙はEUの将来を塗り替える可能性があると認識され始めています。
▶ https://www.euronews.com/my-europe/2025/01/06/german-election-2025-whos-ahead-in-the-polls
MetaはFacebookとInstagramを含むプラットフォーム全体で「表現の自由を回復する」為にファクトチェックプログラムを終了し、言論規制を緩和すると発表しました。第三者によるファクトチェックプログラムを廃止し、Xに似た「Community Notes」モデルに置き換えます。また、コンテンツモデレーションルールを変更し、移民問題やトランスジェンダー問題などのセンシティブな話題に関する議論をより自由に行えるようにします。更に自動化システムによるコンテンツ削除を見直し、誤って削除される投稿を減らします。テロリズム、違法薬物、児童の性的搾取に関する投稿は引き続き規制します。Metaはこれらの変更がプラットフォームの中立性を高め、ユーザーの表現の自由を促進すると主張しています。また同社はトランプ新政権との協力を通じて、アメリカのビジネスと技術的優位性を推進する機会も見込んでいます。この方針転換は、現米政権下での検閲圧力への反省と、新政権の自由表現支持の姿勢を反映しているとされています。
▶ https://www.foxnews.com/politics/meta-ends-fact-checking-program-zuckerberg-vows-restore-free-expression-facebook-instagram
昨年、中国のEVバッテリーメーカーのCATLは世界のEV市場で圧倒的な影響力を持つようになりました。韓国の上位3社のバッテリーメーカーの優位性は2024年に後退し、世界のEV市場における3社の合計シェアは2024年に20%を下回り、4年振りの低水準となりました。CATLは米国防総省によってブラックリストに掲載された中国企業の中でも最大規模の企業の1つとなっています。CATLの市場支配力の高さは世界のEV産業が同社に大きく依存していることを表しています。これはグローバルなEVサプライチェーンにおける潜在的なリスクや課題を浮き彫りにしています。特に技術依存のリスクや供給の集中によるリスクが懸念されます。1社への過度の依存は供給の安定性や価格競争力に影響を与える可能性があります。また、CATLの影響力の拡大はEV産業の急速な成長と技術革新を反映していますが、同時に市場の健全な競争環境の維持という課題も提起しています。
▶ https://www.bloomberg.com/news/articles/2025-01-07/catl-s-outsized-share-of-world-s-ev-cell-market-highlights-risks
IEAが昨年の石炭需要見込みを発表しました。世界の石炭需要は昨年、過去最高の87億7000万トンに達する見込みです。しかし成長率は前年比1%まで減速すると予想されています。2023年は2.4%の増加でした。石炭需要増加の主な要因はエネルギー部門で石炭火力発電量は過去最高の10,700 TWhに達する見込みです。地域別に見ると、中国の石炭需要は2024年に前年比1%増の49億トンと再び過去最高を記録すると予想されています。インドでは前年比5%以上増の13億トンに達すると見込まれています。一方、EUと米国では石炭需要の減少が続いていますが、その減少率は鈍化しています。年末迄にEUでは12%、米国では5%の減少が見込まれています。IEAは今後3年間で世界の石炭需要は安定し、2027年迄に88億7000万トンに達すると予測しています。
▶ https://www.iea.org/reports/coal-2024
AI時代の超高速データ通信技術がにわかに注目され始めています。銅線やプラガブル光学の限界を克服することを目指し、従来の電気I/Oに代わる光学I/Oを開発するスタートアップ企業がNVIDIA、AMD、Intel、TSMC等の大手企業から1億5500万ドルの資金提供を受けました。資金提供を受けたカリフォルニア州のAyar Labsは、光学インターコネクト技術を開発するスタートアップです。この技術は大規模なAIのワークロードに必要なデータ移動速度を実現し、レイテンシー、電力消費、運用コストを削減します。その為「銅の時代は終わった」という記事の見出し構成になっています。同社は2028年までに年間1億台以上のTeraPHY光学トランスポートとSuperNovaレーザー源の出荷を目指しています。出資した大手企業がすぐに同社の技術を使うことはないようですが、10年後には通信の世界での銅のエクスポージャーは大きく変化する可能性があります。
▶ https://www.techradar.com/pro/coppers-time-has-run-out-nvidia-amd-and-tsmc-have-invested-millions-in-a-startup-that-may-hold-the-key-to-faster-chip-connectivity-to-quench-ais-thirst-for-bytes
欧州のプラスチック産業が岐路に立たされています。18の業界関係者が、欧州プラスチック産業の強化と持続可能なバリューチェーンの促進を求める声明を発表しました。主な問題点として、非EU製リサイクルプラスチックの輸入増加、国内原料生産とリサイクルへの投資減少、EU製バージン及びリサイクルプラスチックの需要不足が挙げられています。欧州の世界プラスチック生産シェアは2002年の28%から2022年には14%に低下し、リサイクル能力の成長も鈍化しています。業界団体は、EU環境・健康・安全規制の厳格な適用、加盟国全体での生産からリサイクルまでのベストプラクティス実施、投資促進の為のEUレベルのインセンティブ制度の確立を求めています。迅速な対応がなければ、欧州は革新的なプラスチック生産とリサイクルにおけるリーダーシップを失うと警告しています。
▶ https://recyclinginternational.com/business/business-news/eu-plastics-sector-at-crossroads/59429/
鉄鋼大手アルセロールミッタル(ArcelorMittal)は、南アフリカの長鋼製造工場を閉鎖します。これにより約1,400人が職を失うことになります。電力不足や高コストが経営を圧迫していると説明し、政府が産業支援に十分な検討を行わなかったと批判しています。特に深刻なエネルギー危機が生産性を低下させ、競争力を損なったことが閉鎖の主因となっています。同社は政府に対して、輸入鋼材への規制やエネルギー供給の改善を求めていましたが、十分な対応が得られなかったと主張しています。この閉鎖は南アフリカの製造業にとって大きな打撃であり、経済全体も悪い見通しにつながる可能性があります。
▶ https://www.news24.com/fin24/companies/arcelormittal-crashes-as-it-shutters-its-sa-long-steel-mills-says-govt-should-have-done-more-20250107
中国政府がアンチモンの輸出を禁止したことで、アンチモンの価格が急上昇しています。価格は1トン当り14,000ドルを超え、過去最高水準に達しました。アンチモンは主に火災防止剤などに使用される重要な金属で世界の供給量の約70%を中国が占めています。輸出禁止措置は、国内需要の確保と戦略的資源保護を目的としており、特に欧米諸国にとって供給リスクが警戒されてきました。西側諸国のメーカーは代替供給先を探しています。しかし、短期的には供給不足が続きます。地政学リスクやサプライチェーンの脆弱性への懸念が非常に高まっています。
▶ https://www.reuters.com/markets/commodities/chinas-export-ban-push-antimony-prices-new-highs-2025-01-06/
欧州のガス備蓄量が7年間で最速のペースで減少しており、ドイツ経済が「深刻な危機」のリスクにさらされています。寒波の影響で欧州全体の貯蔵率は約70%まで低下し、適正値の86%を大きく下回っています。ドイツは欧州諸国の中で最大の備蓄減少となっています。フランスの備蓄は57%、イギリスは55%と、平年を下回る水準です。この為、ガス価格は過去1年で最高水準に迫っています。この状況は今年の夏の価格上昇にも繋がる可能性があります。製造業には大きな痛手となりそうです。
▶ https://www.telegraph.co.uk/business/2025/01/06/german-economy-acutely-at-risk-after-europe-burns-gas/
中国政府は超長期金利を活用した2つの新しい刺激策を発表しました。1つ目は耐久消費財の補助金プログラムで、古い車や家電を下取りに出し、新品を割引価格で購入できるものです。又、デジタル製品購入にも補助金が適用されます。2つ目は企業向けの大規模な設備更新への補助金です。又、2025年に1,000億元規模のプロジェクトを事前承認しており、安全保障基盤の強化なども含まれています。コモディティは、こうした発表毎に僅かですが反応しています。
▶ https://www.reuters.com/markets/asia/chinas-economic-stimulus-measures-since-september-2025-01-08/
USAレアアース社はオクラホマ州に建設中の新工場で焼結永久希土類磁石の第一バッチの生産に成功したと発表しました。同社は「西半球で唯一の拡張可能な焼結ネオジム磁石製造システム」と宣伝しています。現在、世界の希土類の生産量の約60〜70%、加工・精製の90%近くを独占する中国依存への対応として注目されています。同社はジスプロシウム、テルビウム、ガリウム、ベリリウム等の重希土類元素が豊富に含まれる西テキサスのラウンドトップ鉱床の採掘権も管理しています。この鉱山は現在、エンジニアリング段階にあり、2025年、又は2026年に最初の生産を予定しています。希土類については、価格競争力では中国に対抗できない状況ですが、サプライチェーンの多様化へ欧米が動いています。
▶ https://www.mining.com/usa-rare-earth-produces-first-batch-of-magnets-at-oklahoma-plant/
中国人民銀行は12月に金の購入を増加させました。同行の金保有量は前月の7296万オンスから7329万オンスに増加しました。この購入は金価格が記録的な水準に近づいているにも関わらず行われている為、注目されています。ゴールドマン・サックス・グループは今週初めにFRBによる2025年の利下げは減少するとの見通しを理由に、金が1オンスあたり3000ドルに達する時期の予想を延期しています。中国の金購入は地政学もあり、ウォッチする必要がありそうです。
▶ https://www.fxstreet.com/amp/news/gold-chinas-central-bank-buys-more-gold-ing-202501080910
欧州のエネルギー価格の上昇はインフレを予想以上に押し上げ始めています。12月のユーロ圏のインフレ率は前年同月比2.4%増で、11月の2.2%から上昇しました。3ヵ月連続の上昇です。12月のエネルギーと食品のコストを除いたコアインフレ率は2.7%で、11月の水準を維持しました。エネルギー価格は0.1%上昇しました。この価格上昇は地政学的不安定性と気象条件により世界市場で石油とガスの価格が上昇したことが要因です。専門家はエネルギーコストの上昇を消費財の需要の変動(下落)が相殺し、2025年上半期にはユーロ圏のインフレ率は安定するか、僅かに上昇する可能性があると予測しています。
▶ https://ec.europa.eu/eurostat/statistics-explained/index.php?title=Inflation_in_the_euro_area
▶ https://www.outokumpu.com/en/news/2024/outokumpu-invests-in-a-biocarbon-plant-in-germany-to-further-reduce-its-direct-emissions-3524652
米国では世論形成の1つである左派メディアを代表するCNNが視聴率の低迷とリストラへで苦しんでいます。広告主が最も重要視する25~54歳の視聴者層で、年末平均視聴者数がフォックスニュースとMSNBCに次いで2位となり、1日平均視聴者数は9万2000人でした。これはCNNの過去最低視聴者数であり、低迷した昨年の最低視聴者数9万4000人からも減少しました。トランプ大統領の選挙勝利後、ケーブルニュース視聴者のうちCNNのゴールデンタイム番組を視聴したのは僅か11%で左派のライバルであるMSNBCの16%に及びませんでした。欧州は殆どが左派系メディアで寡占している中、米国は左右ではっきり分かれており、過去1年は左派系メディアのレーティングが下がり続けてきました。政策展開への一つの表れとなっています。
▶ https://www.thedailybeast.com/cnn-sees-one-of-its-lowest-ratings-ever-as-massive-layoffs-loom/
Recycling TodayがEUの電子廃棄物の輸出入に関する最新の情報を載せています。EUではバーゼル条約に沿う為、電子スクラップの輸送手順に変更を導入しました。非有害電子スクラップは OECD 諸国への輸送に厳格な規制を導入し、非 OECD 諸国への輸送は特定の条件を満たす場合を除き2027年5月より完全に停止されます。条件を満たす為には先ず来年春には欧州政府に対し申請をする手続きを開始する必要があります。電子スクラップは世界的に需要が高く、欧州のリサイクル業者はEU内外で電子スクラップをめぐり競争しています。新規に導入される電子スクラップの輸送プロセスは複雑で、輸送元、輸送先、有害物質か非有害物質かの分類等によって手続きが異なります。許可の予測がつかないこと、更に当局への通知対象物質の場合、リサイクルチェーンが混乱する可能性があります。EUのリサイクラーはリサイクル施設へ電子スクラップを安定して供給する事が今後は一層重要な課題となります。
▶ https://www.recyclingtoday.com/article/european-union-waste-shipment-rules-out-of-touch-with-reality/
12月28日に中国政府は2025年から一部のリサイクル銅・アルミニウム原材料の輸入関税を引き下げると発表しました。財務省は最恵国待遇税率を下回る暫定輸入関税が935品目に適用されると発表し、エタンや一部のリサイクル銅・アルミニウム原材料の輸入関税が引き下げられる事になりました。逆に糖蜜や砂糖を含む混合粉末などの商品に対する関税は上がる予定です。ジルコニウム環状ケイ酸ナトリウム、CAR-T腫瘍治療用のウイルスベクター、外科用インプラント用のニッケルチタン合金ワイヤーなどの品目の輸入関税も引き下げられます。
▶ https://www.mining.com/web/china-to-cut-import-tariffs-on-some-recycled-copper-and-aluminum-raw-materials/
欧州では既に珍しい事ではありませんが、スペインの鉄鋼会社シデノール・グループは、バルセロナの金属スクラップ会社Eplusの買収を発表しました。EUではCBAMだけで無く、鉄鋼も含まれるエコデザイン規制の発効、更にEU企業サステナビリティ報告指令(CSRD)の開始により、鉄鋼メーカーの脱炭素義務は待った無しの状況となっています。Eplusは総合リサイクル会社で、鉄鋼・非鉄金属、紙、段ボール、プラスチック等の選別加工を行っています。シデノールは今年初頭にマドリードのスクラップ会社ミゲル・マルティンの買収をしたばかりです。2022年には金属のリサイクル会社アギラール・メタル・リサイクリングを買収しました。
▶ https://www.sidenor.com/en/?_gl=1*g8vou3*_up*MQ..*_ga*MTM4OTQzMTI1NC4xNzM1NTY2NzA2*_ga_SR0SYDCL2C*MTczNTU2NjcwNS4xLjAuMTczNTU2NjcwNS4wLjAuMA..
インドの鉄鋼省は「グリーンスチールの分類法(Taxonomy for Green Steel in Indi)」を導入しました。この分類法の導入は鉄鋼業界の炭素排出量削減を目指し、持続可能な産業慣行を推進する為のものです。鉄鋼1トン当り2.2トン未満のCO2排出強度で生産された鋼を定義とし、細かな評価システムを確立しています。また排出量の測定、報告、認証はNISST(国立二次鉄鋼技術研究所)が管理し、基準は3年毎に見直される予定です。
▶ https://www.legalitysimplified.com/ministry-of-steel-announces-new-taxonomy-for-green-steel-in-india/
2014年は欧州の主要企業がクリーンエネルギーへの投資を減速させ、投資家は石油・ガス業界への投資をより一層増やす年になりました。この傾向は2025年も継続する見込みです。石油メジャーによるクリーンエネルギーへの投資の縮小は2022年のウクライナへ戦争を受けてエネルギーコストが高騰した事がキッカケとなりました。一方でOPECと石油の主要同盟国は米国を筆頭とする他国が石油生産を増やす中、供給削減の解除計画を繰り返し延期してきました。その結果、来年は石油会社がより厳しい財政に直面すると予想しています。LSEGの推計によると、欧米の石油大手上位5社の純負債は2022年の920億ドルから2024年には1,480億ドルに増加すると予想されています。トランプ氏は就任初日に大統領制で化石燃料への規制を緩和する見込みです。2025年は欧州以外でのエネルギー価格はやや安定する可能性が指摘されています。
▶ https://www.reuters.com/business/energy/big-oil-backtracks-renewables-push-climate-agenda-falters-2024-12-27/
中国政府はリチウム技術、EVバッテリー製造に関する技術の輸出制限を検討しています。中国商務省当局はEVバッテリー用のリチウム加工技術の輸出禁止を提案しました。また、電池の正極材の製造技術を輸出規制対象リストに加えたい考えで、ガリウム加工に関わる技術の規制も検討していることが明らかになりました。これはバッテリーにおける中国の優位性を大幅に強化し、特に中国中心のEVバッテリーのサプライチェーンを強化・維持することが目的です。今後、リチウムの生産に中国の技術を利用したい西側のリチウム生産者にとっては問題になる可能性が指摘されています。
▶ https://batteriesnews.com/china-ponders-export-curbs-on-lithium-tech-ev-batteries/
鉄鋼価格は2025年に更に4%下落する可能性があります。欧州では需要減少により、昨年は鋼板価格が前年比で11%下落し、多くの生産者が支払能力の限界に追い込まれました。2025年には状況が更に悪化する可能性があります。中国の鉄鋼消費量は1.5%減少すると予想されていますが、輸出量は1億トン前後で高止まりします。これにより価格への圧力が高まります。アナリストはEUの鋼板製品の平均価格が更に4%下落し、世界の鉄鋼消費量は全体で0.7%減少すると予測しています。鉄鉱石価格の下落も状況を複雑にしています。2024年には中国の鉄鉱石の平均価格は10%下落し、1トン当り110ドル(Fe62%)となる見込みです。2025年は更に13~14%下落し、1トン当り95ドルになると予想されています。
▶ https://gmk.center/en/news/steel-prices-may-fall-by-another-4-in-2025/
インド鉄鋼省は国産か輸入品かを問わず、インドで使用される全ての鋼鉄グレードに厳格な品質管理基準を施行する計画を発表しました。この動きは実際には安価な輸入品を抑制することを目的としています。現在1,376の鋼鉄品目が品質管理命令(QCO)の対象となっていますが、新しい計画では更に1,000グレードが追加されます。インド規格協会(BIS)が基準を設定し、これらの仕様を満たす鋼鉄のみが市場に流通することが許可されます。BIS基準にまだ含まれていない鋼鉄グレードを輸入するには、同省からの異議なし証明書(NOC)が必要となり、事実上の非関税障壁を作る計画です。
▶ https://www.constructionworld.in/steel-news/government-expands-quality-control-norms-for-steel/66994
モルガン・スタンレーは気候変動連合から離脱します。同行は国連が支援するネットゼロバンキング同盟から脱退します。こうした米系の多国籍銀行の脱退は、気候変動対策の将来と世界の炭素削減目標への影響について懸念を引き起こしています。モルガン・スタンレーは同盟から脱退しますが、炭素排出目標を達成するというコミットメントは維持すると表明しています。アナリストは金融機関が持続可能性の資格を持つ人材を雇用する際の規制上の負担が増すにつれ、こうした同盟に所属する必要性が薄れてきたと分析しています。
▶ https://www.esgtoday.com/morgan-stanley-joins-peers-in-leaving-climate-group-maintains-commitment-to-net-zero/
新年早々に国際政治では大きな動きが出ています。カナダのトルドー首相は近日中に辞意を表明する見込みです。WEFのヤンググローバルリーダーの出身でリベラルの象徴としてスタートした政権は結局ボロボロになって終わりそうです。オーストリアでは昨年9月の選挙後の連立政権交渉が決裂し、大統領は自由党(FPO)の党首に連立政権の結成を命じました。自由党(FPO)は昨年の選挙で第一党となりましたが、元々は1950年代にナチスの退役軍人のグループによって設立された党の為「極右」とレッテルを貼られ、同党を避けた連立を模索してきました。2月23日にはドイツでの総選挙が予定されており、こちらも現政権党や緑の党は議席を大幅に落とす可能性が高いことが週末の世論調査で明らかになっています。今年はルーマニアの大統領選挙、ポーランドのトゥスク政権に対する国民投票、チェコ、ノルウェーの選挙があり、右派系の台頭はもはや当たり前のことになりつつあります。特に秋のチェコの総選挙は、EUの行く末を決定づける一つの試金石になりそうです。その為、これらの選挙はEUの将来を塗り替える可能性があると認識され始めています。
▶ https://www.euronews.com/my-europe/2025/01/06/german-election-2025-whos-ahead-in-the-polls
MetaはFacebookとInstagramを含むプラットフォーム全体で「表現の自由を回復する」為にファクトチェックプログラムを終了し、言論規制を緩和すると発表しました。第三者によるファクトチェックプログラムを廃止し、Xに似た「Community Notes」モデルに置き換えます。また、コンテンツモデレーションルールを変更し、移民問題やトランスジェンダー問題などのセンシティブな話題に関する議論をより自由に行えるようにします。更に自動化システムによるコンテンツ削除を見直し、誤って削除される投稿を減らします。テロリズム、違法薬物、児童の性的搾取に関する投稿は引き続き規制します。Metaはこれらの変更がプラットフォームの中立性を高め、ユーザーの表現の自由を促進すると主張しています。また同社はトランプ新政権との協力を通じて、アメリカのビジネスと技術的優位性を推進する機会も見込んでいます。この方針転換は、現米政権下での検閲圧力への反省と、新政権の自由表現支持の姿勢を反映しているとされています。
▶ https://www.foxnews.com/politics/meta-ends-fact-checking-program-zuckerberg-vows-restore-free-expression-facebook-instagram
昨年、中国のEVバッテリーメーカーのCATLは世界のEV市場で圧倒的な影響力を持つようになりました。韓国の上位3社のバッテリーメーカーの優位性は2024年に後退し、世界のEV市場における3社の合計シェアは2024年に20%を下回り、4年振りの低水準となりました。CATLは米国防総省によってブラックリストに掲載された中国企業の中でも最大規模の企業の1つとなっています。CATLの市場支配力の高さは世界のEV産業が同社に大きく依存していることを表しています。これはグローバルなEVサプライチェーンにおける潜在的なリスクや課題を浮き彫りにしています。特に技術依存のリスクや供給の集中によるリスクが懸念されます。1社への過度の依存は供給の安定性や価格競争力に影響を与える可能性があります。また、CATLの影響力の拡大はEV産業の急速な成長と技術革新を反映していますが、同時に市場の健全な競争環境の維持という課題も提起しています。
▶ https://www.bloomberg.com/news/articles/2025-01-07/catl-s-outsized-share-of-world-s-ev-cell-market-highlights-risks
IEAが昨年の石炭需要見込みを発表しました。世界の石炭需要は昨年、過去最高の87億7000万トンに達する見込みです。しかし成長率は前年比1%まで減速すると予想されています。2023年は2.4%の増加でした。石炭需要増加の主な要因はエネルギー部門で石炭火力発電量は過去最高の10,700 TWhに達する見込みです。地域別に見ると、中国の石炭需要は2024年に前年比1%増の49億トンと再び過去最高を記録すると予想されています。インドでは前年比5%以上増の13億トンに達すると見込まれています。一方、EUと米国では石炭需要の減少が続いていますが、その減少率は鈍化しています。年末迄にEUでは12%、米国では5%の減少が見込まれています。IEAは今後3年間で世界の石炭需要は安定し、2027年迄に88億7000万トンに達すると予測しています。
▶ https://www.iea.org/reports/coal-2024
AI時代の超高速データ通信技術がにわかに注目され始めています。銅線やプラガブル光学の限界を克服することを目指し、従来の電気I/Oに代わる光学I/Oを開発するスタートアップ企業がNVIDIA、AMD、Intel、TSMC等の大手企業から1億5500万ドルの資金提供を受けました。資金提供を受けたカリフォルニア州のAyar Labsは、光学インターコネクト技術を開発するスタートアップです。この技術は大規模なAIのワークロードに必要なデータ移動速度を実現し、レイテンシー、電力消費、運用コストを削減します。その為「銅の時代は終わった」という記事の見出し構成になっています。同社は2028年までに年間1億台以上のTeraPHY光学トランスポートとSuperNovaレーザー源の出荷を目指しています。出資した大手企業がすぐに同社の技術を使うことはないようですが、10年後には通信の世界での銅のエクスポージャーは大きく変化する可能性があります。
▶ https://www.techradar.com/pro/coppers-time-has-run-out-nvidia-amd-and-tsmc-have-invested-millions-in-a-startup-that-may-hold-the-key-to-faster-chip-connectivity-to-quench-ais-thirst-for-bytes
欧州のプラスチック産業が岐路に立たされています。18の業界関係者が、欧州プラスチック産業の強化と持続可能なバリューチェーンの促進を求める声明を発表しました。主な問題点として、非EU製リサイクルプラスチックの輸入増加、国内原料生産とリサイクルへの投資減少、EU製バージン及びリサイクルプラスチックの需要不足が挙げられています。欧州の世界プラスチック生産シェアは2002年の28%から2022年には14%に低下し、リサイクル能力の成長も鈍化しています。業界団体は、EU環境・健康・安全規制の厳格な適用、加盟国全体での生産からリサイクルまでのベストプラクティス実施、投資促進の為のEUレベルのインセンティブ制度の確立を求めています。迅速な対応がなければ、欧州は革新的なプラスチック生産とリサイクルにおけるリーダーシップを失うと警告しています。
▶ https://recyclinginternational.com/business/business-news/eu-plastics-sector-at-crossroads/59429/
鉄鋼大手アルセロールミッタル(ArcelorMittal)は、南アフリカの長鋼製造工場を閉鎖します。これにより約1,400人が職を失うことになります。電力不足や高コストが経営を圧迫していると説明し、政府が産業支援に十分な検討を行わなかったと批判しています。特に深刻なエネルギー危機が生産性を低下させ、競争力を損なったことが閉鎖の主因となっています。同社は政府に対して、輸入鋼材への規制やエネルギー供給の改善を求めていましたが、十分な対応が得られなかったと主張しています。この閉鎖は南アフリカの製造業にとって大きな打撃であり、経済全体も悪い見通しにつながる可能性があります。
▶ https://www.news24.com/fin24/companies/arcelormittal-crashes-as-it-shutters-its-sa-long-steel-mills-says-govt-should-have-done-more-20250107
中国政府がアンチモンの輸出を禁止したことで、アンチモンの価格が急上昇しています。価格は1トン当り14,000ドルを超え、過去最高水準に達しました。アンチモンは主に火災防止剤などに使用される重要な金属で世界の供給量の約70%を中国が占めています。輸出禁止措置は、国内需要の確保と戦略的資源保護を目的としており、特に欧米諸国にとって供給リスクが警戒されてきました。西側諸国のメーカーは代替供給先を探しています。しかし、短期的には供給不足が続きます。地政学リスクやサプライチェーンの脆弱性への懸念が非常に高まっています。
▶ https://www.reuters.com/markets/commodities/chinas-export-ban-push-antimony-prices-new-highs-2025-01-06/
欧州のガス備蓄量が7年間で最速のペースで減少しており、ドイツ経済が「深刻な危機」のリスクにさらされています。寒波の影響で欧州全体の貯蔵率は約70%まで低下し、適正値の86%を大きく下回っています。ドイツは欧州諸国の中で最大の備蓄減少となっています。フランスの備蓄は57%、イギリスは55%と、平年を下回る水準です。この為、ガス価格は過去1年で最高水準に迫っています。この状況は今年の夏の価格上昇にも繋がる可能性があります。製造業には大きな痛手となりそうです。
▶ https://www.telegraph.co.uk/business/2025/01/06/german-economy-acutely-at-risk-after-europe-burns-gas/
中国政府は超長期金利を活用した2つの新しい刺激策を発表しました。1つ目は耐久消費財の補助金プログラムで、古い車や家電を下取りに出し、新品を割引価格で購入できるものです。又、デジタル製品購入にも補助金が適用されます。2つ目は企業向けの大規模な設備更新への補助金です。又、2025年に1,000億元規模のプロジェクトを事前承認しており、安全保障基盤の強化なども含まれています。コモディティは、こうした発表毎に僅かですが反応しています。
▶ https://www.reuters.com/markets/asia/chinas-economic-stimulus-measures-since-september-2025-01-08/
USAレアアース社はオクラホマ州に建設中の新工場で焼結永久希土類磁石の第一バッチの生産に成功したと発表しました。同社は「西半球で唯一の拡張可能な焼結ネオジム磁石製造システム」と宣伝しています。現在、世界の希土類の生産量の約60〜70%、加工・精製の90%近くを独占する中国依存への対応として注目されています。同社はジスプロシウム、テルビウム、ガリウム、ベリリウム等の重希土類元素が豊富に含まれる西テキサスのラウンドトップ鉱床の採掘権も管理しています。この鉱山は現在、エンジニアリング段階にあり、2025年、又は2026年に最初の生産を予定しています。希土類については、価格競争力では中国に対抗できない状況ですが、サプライチェーンの多様化へ欧米が動いています。
▶ https://www.mining.com/usa-rare-earth-produces-first-batch-of-magnets-at-oklahoma-plant/
中国人民銀行は12月に金の購入を増加させました。同行の金保有量は前月の7296万オンスから7329万オンスに増加しました。この購入は金価格が記録的な水準に近づいているにも関わらず行われている為、注目されています。ゴールドマン・サックス・グループは今週初めにFRBによる2025年の利下げは減少するとの見通しを理由に、金が1オンスあたり3000ドルに達する時期の予想を延期しています。中国の金購入は地政学もあり、ウォッチする必要がありそうです。
▶ https://www.fxstreet.com/amp/news/gold-chinas-central-bank-buys-more-gold-ing-202501080910
欧州のエネルギー価格の上昇はインフレを予想以上に押し上げ始めています。12月のユーロ圏のインフレ率は前年同月比2.4%増で、11月の2.2%から上昇しました。3ヵ月連続の上昇です。12月のエネルギーと食品のコストを除いたコアインフレ率は2.7%で、11月の水準を維持しました。エネルギー価格は0.1%上昇しました。この価格上昇は地政学的不安定性と気象条件により世界市場で石油とガスの価格が上昇したことが要因です。専門家はエネルギーコストの上昇を消費財の需要の変動(下落)が相殺し、2025年上半期にはユーロ圏のインフレ率は安定するか、僅かに上昇する可能性があると予測しています。
▶ https://ec.europa.eu/eurostat/statistics-explained/index.php?title=Inflation_in_the_euro_area