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NEWSCONの気になるNEWS(2024年9月第4週)

インドのステンレス鋼開発協会(ISSDA)は、中国材への対応の為、政府に保護措置を要請しました。既に鉄鋼メーカーによる要請は何度か行われてきました。この措置は政府によるセーフガードとなります。インドの鉄鋼価格は過去3年半で急落、冷間圧延鋼板の価格は2021年12月の71,000ルピーから2024年8月には57,400ルピーに下落しています。この下落の要因は、原材料費の低下だけでなく、輸入品の輸入増加と価格破壊によるものと協会は考えています。
https://www.newindianexpress.com/business/2024/Sep/18/in-talks-with-finance-ministry-to-address-rising-steel-imports-from-china-hd-kumaraswamy

マイクロソフトとブラックロックはAI分野の需要増に対応する為に、データセンターとエネルギープロジェクトに向けた300億ドル(4兆3500億円)の基金を設立します。両社によると、この提携により負債による資金調達を含めると最大1000億ドル(14兆5000億円)の投資余地が生まれる予定です。基金はグローバルAIインフラストラクチャ投資パートナーシップと名付けられ、資金の運用はAIサプライチェーンとエネルギー調達の強化に使われます。AIの普及は膨大なエネルギーを消費します。特にディープラーニングや大規模データ処理に使用されるモデルには、かなりの計算能力が必要であり、エネルギー消費量が増大します。投資は主に米国で行われ、残りはパートナー諸国で行われる予定です。
https://carboncredits.com/microsoft-blackrock-global-infrastructure-partners-and-mgx-form-100b-ai-infrastructure-partnership/

国際金融研究所(IIF)が世界経済見通しを発表しました。地政学的緊張が世界的な不確実性をもたらしており、世界経済の成長率は2023年の3.1%から2024年と2025年はともに2.9%に低下すると予測しました。更に中東紛争と米中間の緊張の高まりが世界的不安定を悪化させていると指摘しています。IIFは「政治的出来事」が世界経済のパフォーマンスに重大な影響を及ぼしていると繰り返し述べています。鉄スクラップ最大の輸入国であるトルコの経済は2024年は2.7%成長に留まると予測しています、中国は4.7%、EUは0.5%と予測しています。FRBの金融政策については100bp(1.0%)の利下げの可能性を予測しています。IIFは「米国の利下げは世界の金融市場に大きな影響を与える可能性がある」と警告しています。更に米国の金利低下はトルコの様な新興市場に恩恵をもたらすと予想しています。11月の米国大統領選挙は今年最大の重要な政治イベントになるだろうと強調しています。
https://www.iif.com/Research

中国政府は数年振りの大胆な景気刺激策を発表しました。人民銀行は借入コストを下げ、金融システムに流動性を注入し、家計の住宅ローン返済負担軽減を図る、一連のパッケージを発表しました。また、資本市場の安定化を目指す構造的な金融政策手段も初めて導入しました。住宅に関しては金利を0.5%下げ、銀行の準備金の水準を引き下げることで新規融資を支援します。しかしアナリストは、企業や消費者からの信用需要が極めて弱い為、人民銀行の流動性供給がどれほど効果的か疑問視しています。特に実体経済を支援する「政策」が存在しないことを指摘しています。その為「期待外れ」こという評価も少なくありません。この措置により一時的に株やコモディティーは反応しています。
https://www.theguardian.com/world/2024/sep/24/china-economy-stimulus-package-measures-yuan-pbc

欧州最大の銅製錬メーカーAurubis (オルビス)は2024年度の利益が減少するとの見通しを発表しました。米国リッチモンドの新リサイクル工場などの戦略的プロジェクトの立ち上げ費用の高騰と金属価格の下落が相まって利益を押し下げる結果となりました。オルビスは2024~2025年の税引前利益が3億~4億ユーロになると予想しており、前回予想の3億8,000万~4億8,000万ユーロから下方修正しました。この傾向はオルビスのみならず、金属価格の高騰を受けて新規戦略投資を行った金属製錬業者全般の傾向となっています。
https://www.reuters.com/markets/commodities/aurubis-cuts-annual-outlook-after-q4-earnings-fall-2024-09-23/

価格が安定していたドイツの鉄スクラップも需要減で9月は低迷しました。ドイツの鉄鋼メーカーは暫く前から受注の低迷が続き、スクラップの調達には消極的でした、しかしスクラップの発生量自体が非常に少なかった為、価格は需給バランスが取れ安定していました。それが9月に入りメーカーの減産がより深刻化し、スクラップ需要が更に減る事で価格が下落しました。
https://www.euwid-recycling.com/news/markets/german-ferrous-scrap-market-prices-tumble-in-september-240924/

米国政府は、中国製のソフトウェアとハードウェア技術を搭載した車両を禁止する計画です。米国の商務省は安全保障上の懸念から、中国製のコネクティッドカーの輸入禁止を提案する予定です。バイデン政権は中国企業による米国の運転手やインフラに関するデータの収集やインターネットやナビゲーションシステムに接続された車両に対する外国による潜在的な操作について深刻な懸念を表明しています。ソフトウェアの禁止は2027年モデルから施行し、ハードウェアの禁止は2029年1月または2030年モデルから施行することを提案する予定です。禁止対象には特定のブルートゥース、衛星、ワイヤレス機能を備えた車両や、運転者が運転しなくても走行できる高度自動運転車両が含まれます。
https://www.bbc.com/news/articles/cwyegl8q80do

EUが様変わりし始めています。フランスの内務大臣は「EUの移民協定に関する交渉を再開し、シェンゲン協定の運用を見直し出来るか検討する用意がある」と発表しました。同氏は「EUの法律は目的に適っておらず、フランスとEUが経験している「移民の混乱」にはもはや適していない」と語りました。オランダの新政権は近代政治史上最も厳しい難民制度改革を発表しています。ドイツは6ヵ月間にわたり全ての陸上国境での検問を再開しました。ハンガリーやスウェーデンもEU法に違反してまでも、抑圧的な移民政策を推進しています。ドイツやフランスは景気が良い時期は移民を推進していましたが、景気低迷が長引き、犯罪が顕著化する中で、移民反対だけではなくシェンゲン協定までもがターゲットになり始めています。
https://www.euractiv.com/section/migration/news/paris-hints-at-migration-pact-review-and-schengen-overhaul/

インドネシア政府は環太平洋貿易協定(CPTPP)への加盟を正式に要請しました。経済担当調整相は協定の寄託国であるニュージーランドに対し、協定への加盟を要請する書簡を送ったと認めました。ジャカルタ政府は輸出市場へのアクセスを拡大することで投資を誘致したいと期待しており、既に12ヵ国が参加しているCPTTPに加盟する意向は示していました。現在のCPTPP加盟国はオーストラリア、ブルネイ、カナダ、チリ、日本、マレーシア、メキシコ、ニュージーランド、ペルー、シンガポール、英国、ベトナムです。インドネシアは資源大国の為、かなりのインパクトがありそうで、日本からの投資も増える可能性があります。
https://www.reuters.com/world/asia-pacific/indonesia-formally-requests-join-trans-pacific-trade-pact-2024-09-25/

中国国家発展改革委員会は華南、上海、天津を含む全国の主要な鉄鋼卸売市場に関する最新の調査結果を発表しました。調査結果によると、中国の鉄鋼価格は9月に上昇傾向を示し、月内は継続される可能性があります。今回の価格の上昇は鉄鋼メーカーの利益を押し上げると予想され、多くの鉄鋼メーカーが生産を増やす可能性があると警告しています。生産増は需要が低い中で価格の押し下げ圧力になる事から長続きするか疑問視されています。今年見てきた、同じパターンが繰り返される結果となりそうです。
https://www.mysteel.net/news/5063064-ndrc-chinas-steel-prices-continue-to-rally-in-september

欧州のEVの焦点はEUによる中国製EVに対する関税措置です。現在は暫定税率が適用されていますが、これが恒久化するのか、税率を変更するのかで、意見がEU内でも2つに割れています。中国との貿易が多いドイツは関税に反対、スペインも反対に傾く中、フランス、イタリア、ポーランド、オランダは欧州委員会が出した暫定税率を支持しています。決定は「特定多数決」で決められ、投票で勝つ為にはEU人口の65%を占める15ヵ国の賛成が必要です。専門家は、現在の状況はドイツのような政治大国にとっても難しいものになると見ています。EUが暫定税率を維持した場合、中国による報復措置で最も影響を受けるのはドイツになる可能性が高いからです。
https://www.dw.com/en/eu-divided-over-higher-tariffs-for-chinese-ev-imports/a-70250391

米国の利下げは銅市場に良い結果となっています。利下げによる資金調達コストの下落や景気刺激もあり、楽観見通しが急に出始めています。季節要因もあり中国の銅消費は、通常、9月下旬から12月にかけて増加します。現在、SHFEの在庫は大幅に減少しています。第4四半期には銅の需要 と価格が改善すると予想され始めました。

https://auto.economictimes.indiatimes.com/news/auto-components/copper-hits-more-than-2-month-high-on-us-rate-cut-momentum-improving-china-demand/113653372

国連が支援する、運用資産総額が9兆5000億ドル(!)の機関投資家グループ「ネットゼロ資産保有者同盟」は、同組織がパリ協定の1.5℃の目標に沿った融資を行い、温室効果ガスの絶対排出量を平均して年間6%以上削減したと発表しました。同時に各国政府に対し「体系的な気候リスクに緊急に対応する」よう行動を呼び掛けています。同連合の現在の会員は88社で、投資ポートフォリオはGHGをネットゼロに移行することを約束する事業に向けられています。一時期は米国の大手金融機関が参画する等、非常にブームとなっていました。現在、グリーン投資の熱がやや冷める中での発表となっています。
https://www.unepfi.org/net-zero-alliance/


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