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NEWSCONの気になるNEWS(2024年6月第4週)

国際戦略問題研究所が中国EV関連の補助金調査を行い、結果を発表しました。中国ではEVメーカー、インフラ企業、EV購入者等が得た政府援助や補助金は2009年から昨年末までに少なくとも2,310億ドル(約35兆7000億円)に達する事が明らかになっています。2009年~2017年は約67億4,000万ドル、2018年~2020年にはその約3倍になり、2021年以降は更に急増しています。調査を行った中国専門アナリストのスコット・ケネディ氏は支援総額の半分強は売上税免除で、残りは国が認めた購入者への補助、充電ステーション等のインフラへの政府資金、EVの政府調達、研究開発支援プログラム等で構成されると述べています。しかし、これらの額の推定には原材料の採掘業者や加工業者、化学製品メーカー、電池メーカー等、サプライチェーンの他の部分への補助金は殆ど含まれていません。含まれた場合、更に増える可能性があります。現在は車両1台当りの見た目上の支援額は減少していますが、全体としては巨額な資金を投入して市場を形成した事が明らかになっています。中国では政府主導によるEV産業育成が加熱し過ぎており、2023年には電池のカソードとアノードの活物質の製造能力は既に2023年の世界EVセル需要のほぼ4倍と9倍になっています。こうした過剰生産能力は世界市場を歪める原因となっています。その為、中国政府の工業情報化部は19日にリチウムイオン電池産業に関するガイダンスを発行しました。過剰生産能力による急速な拡大と材料価格急落に対処する為の動きとなっています。
https://www.csis.org/blogs/trustee-china-hand/chinese-ev-dilemma-subsidized-yet-striking

Amazonは北米での配送梱包材のプラスチック製エアーパックを紙製に変更しており、年末迄には全面変更する予定です。既に95%は変更済みです。昨年10月にAmazonは紙製の梱包材への移行も含め、プラスチック製の配送用梱包材を大幅に削減するプロジェクトをスタートしています。同時に米国初となる自動化フルフィルメントセンターをオハイオ州に開設すると発表しました。サンフランシスコに拠点を置く人工知能(AI)とロボット工学の会社であるGlacierと共同で、AI搭載ロボットを使用してリサイクル可能な物の仕分けを自動化し、企業向けにリサイクルに関するリアルタイムデータを収集する新しいテクノロジーの試験運用も行っています。これにより埋め立て廃棄物の削減と梱包材でのリサイクル素材の使用増加を目指しています。
https://www.aboutamazon.com/news/sustainability/amazon-replaces-plastic-air-pillows-in-packaging-north-america-us

EU議会選挙で最大勢力を維持した欧州人民党(EPP)は、7月2日から5日までポルトガルのカスカイスで「勉強会」を開き、公約の一つである、2035年以降の内燃機関車をどのように扱うかを検討する予定です。今後EUが2035年に内燃機関車を事実上禁止する措置を撤回する政治的圧力が高まる可能性は高いと見られています。この勉強会では自動車の排出ガス基準の見直し方法等を含む議題も検討される見込みで、結果は次期欧州委員会に要求される予定です。既に欧州委員会は合成の気候中立燃料(e燃料)で走行する内燃機関自動車をゼロエミッション車の新しい法的カテゴリーに追加する事は約束しています。
https://euractiv.com/section/road-transport/news/eu-centre-right-decides-future-of-combustion-engines-in-early-july/

インドの議会選挙と欧州議会選挙が終了し、英国の議会選挙が急遽7月4日に決まりましたが、残された最大の選挙は11月の米国大統領選挙です。6月27日にはアトランタでCNNが主催する第一回目の民主・共和党の大統領候補による討論会が行われます。通常は9月から10月にかけて3回の討論会が予定されますが、今回は6月にスタートします。インドの選挙では現職モディ―氏の政党が過半数を割り、欧州議会選挙では右派が躍進、逆に英国では労働党が過半数に達する見込みで、一連の選挙で現政権に逆風が吹いている事が明らかになっています。最近の複数の世論調査ではトランプ前大統領が有罪判決を受けて以降、バイデン大統領が数ポイントリードする結果となっています。しかしスイングステート(選挙結果を左右する7州:アリゾナ、ミシガン、ウィスコンシン、ネバダ、ジョージア、ノースカロライナ、ペンシルベニア)では、トランプ前大統領が若干リードしています。多くのメディアは27日の討論会が今後の選挙戦を左右する重要なターニングポイントとなると指摘していると共に、気候変動政策の将来の動きにも変化をもたらすと伝えています。
https://www.forbes.com/sites/saradorn/2024/06/20/biden-vs-trump-2024-election-polls-trumps-post-conviction-losing-streak-continues/

中国人民元の下落が続いています。人民元は7ヵ月振りの安値に落ち込みました。株式からの資金流出も続いており、外国人投資家は今月45億ドルを引き揚げ、中国国内の投資家はその4倍近くの金額を香港に移しました。中国本土から流出した資金の急増は、国内投資家が自国市場の急速な回復への期待を捨て、より近くて利回りの高い資産へと資金を移していることを示しています。投資家は将来に対する現在価値を買う為、中国経済の先行きに引き続き懸念している実態が伺えます。
https://www.reuters.com/markets/currencies/cash-is-leaving-china-again-pressuring-yuan-2024-06-21/

中国国家発展改革委員会(NDRC)は各省に対して、今年の鉄鋼生産削減目標を提出するよう指示しました。詳細な実施計画は7月中旬までに発表される予定です。中国当局はエネルギー消費と炭素排出量を削減する為に国内の鉄鋼生産に対して、より厳しい目標を検討しています。市場関係者の推定では、国内の生産削減規模は2,000万トン程度になる模様です。アナリスとは削減量が4000万トンに倍増した場合、中国市場で圧延製品が不足する可能性があり、鉄鋼と原材料の両方の価格が上昇すると分析しています。削減量によっては鉄鋼製品のダンピング輸出にも一定の改善が見られる可能性があります。
https://www.bigmint.co/insights/detail/developments-in-china-s-steel-supply-side-reform-and-production-reduction-554554

欧州理事会はロシアに対する第14次制裁措置を採択しました。今回の制裁パッケージでは金属に関する大きなものは無く、「LNGの第三国地域での積み替えの禁止」、「LNGプロジェクトへの投資の禁止」、「金融メッセージ転送システム(SPFS)の禁止」が主なものとなります。これにより、ロシア産のLNGの第三国経由での輸出制限を行い、ロシアの連邦中央銀行と他銀行を繋ぐ情報通信システムSPFSへのEUのアクセスを阻止する事になります。SPSFはロシア版のSWIFTで、現在約500から550の組織が利用、内約150の組織はロシア以外の16ヵ国にあります。EUによるSPFSの禁止措置により、第三国を経由したEUとの貿易取引の決済にも影響が出る部分があり、一定の効果がありそうです。
https://www.consilium.europa.eu/en/policies/eu-response-ukraine-invasion/

欧州政府の環境実務のトップが「グリーンディールはもはや環境問題ではなく経済問題だ」と発言し、報道されています。「我々は地球の為にこれを行っているのではないことを本当に明確にすべきだ。地球は温暖化しようがしまいがどうでもいいのだ」「本当に重要なのは、地球を人間が住みやすい場所にし、文明と経済水準を維持することだ。だから私たちは地球のためではなく、人々の為にこれを行っている」と欧州委員会の気候部門(DG CLIMA)の事務局長カート・ヴァンデンベルゲ氏が述べています。環境保護と経済発展の議論は、過去1年でEUの環境目標と産業化計画の発展の中で度々議論されてきました。グリーンディールは、環境を守る為に開発すべき「競争力のある革新技術」にその重要性が移っています。EUはそうした革新技術によって「経済発展」を優先するという流れに傾きつつあります。27日、28日に行われるEU首脳会議では、欧州委員会に対してEUの長期目標達成に必要な改革について、2025年半ばまでに詳細なレビューを求める予定です。18日に作られた草案では、防衛とEUの競争力を最優先事項としています。
https://www.euractiv.com/section/energy-environment/news/green-deal-is-no-longer-an-ecological-but-an-economic-agenda-says-senior-eu-climate-official/

銅より遅れて下落したアルミ価格は、投資ファンドによる買いポジションからの引き上げが大きく影響しているようです。彼らのポジションは大きく、価格の方向性に大きな影響力を持ちます。6月初頭にファンドが市場から撤退し始め、現在の買いポジションは低レベルで1ヵ月前程の価格上昇力が有りません。また中国での生産増も価格の下げ圧力に繋がっています。中国では水力発電の稼働増加でアルミの製錬所が再稼働、生産量が上昇しています。5月の生産量は2年振りの高水準に達し、前年比で7.2%増でした。ブルームバーグ・インテリジェンスによると、こうした増産は今後も続くとみられ、6月には生産量が更に33万トン増加すると予想されています。生産過剰への懸念が出始めており、価格の下げ圧力は依然残る展開のようです。
https://agmetalminer.com/2024/06/24/aluminum-mmi-aluminum-prices-drop/

大手化学会社のダウは、機械的なリサイクルを行うフィルムのリサイクル企業(サーキュラス:Circulus)を買収しました。大手の化学企業でケミカルリサイクルに進出している所の多くは、機械的なプラスチック・リサイクル業者との協業や買収により、「良い廃棄物」を集める動きを加速しています。ダウはこの買収でリサイクル業界への参入を拡大します。特にシュリンク包装、ストレッチフィルム、ライナー、食品包装などの廃プラのリサイクルには、収集から選別までの工程で既存のプラスチック・リサイクル業者のノウハウやシステムが不可欠です。ダウは今後リサイクルプラスチックの提供品目を産業分野、消費者製品、輸送市場向けまで拡大する計画です。
https://corporate.dow.com/en-us/news/press-releases/dow-advances-its-mechanical-recycling-offering-by-agreeing-to-ac.html

英国では今年販売する自動車の22%をゼロエミッション車にしなければなりません。メーカーは達成出来ない場合には多額の罰金を支払います。しかし一般人向けにはEVの助成金は終了し、現在の需要は、メーカーの販売義務の約半分にまで落ちています。メーカーは罰金を支払うか値引き販売で台数を伸ばすかの選択に迫られます。その為、世界4位の自動車メーカーのステランティスは自動車生産工場を英国から撤退するかどうか1年以内に決断すると発表しています。殆どのメーカーは政府の課した義務への達成が難しく、政府への批判は同社だけではありません。今後、雇用維持の為に、現在のゼロエミッション車の販売義務の割合は緩和される可能性があります。EUも2年後以降にはEV義務化の見直しを行う予定で、場合によってはEVへの流れが変わる可能性があります。
https://uk.finance.yahoo.com/news/vauxhall-owner-says-car-plants-094742829.html

英国でスマート充電を利用したEV充電の最適化試験が行われます。EV所有者に対して、風力発電のピーク、地域の送電網が混雑する時間帯を知らせ、グリーンエネルギーが余っている時間帯に充電するよう促すものです。実験を行うエネルギー小売企業3社は前日にEV所有者に対し価格シグナルを送信します。電気料金とネットワーク容量を計算し、最適なEV充電スケジュールを案内する事で効率と低価格なサービスを提供します。この試験は9月まで行われ、評価を行う予定です。この動きはエネルギーの需給を管理する個人向けのスマート・システムとなり、今後、このようなシステムへの移行が行われる事になります。しかし、こうした施策が直接EV販売の伸びに表れてくるかは、まだ分かりません。
https://www.energylivenews.com/2024/06/25/uks-first-ev-trial-shifts-charging-to-manage-energy-demand/

米国による中国製品への関税を回避する為、中国企業はマレーシアを選び始めています。原材料ではインドネシアへの投資が加速してきましたが、製品の生産拠点として新たにマレーシアに工場を設立することを検討しています。中国の企業幹部は生産移転についてクアラルンプールの政府当局者らと会談している事が明らかになっています。移転する産業は電池、医療機器、コンピューターチップの製造に関わるものです。中国企業はマレーシアの大臣や政府高官に対し、中国企業がマレーシアで製造・組み立てた製品に米国政府が関税を課すことが無いよう、米国政府に対しロビー活動をするよう要請したと伝わっています。米国政権はEVバッテリー、コンピューターチップ、医療製品などの中国製輸入品に対する大幅な関税引き上げを発表済みで8月1日から発効します。
https://www.businesstimes.com.sg/international/asean/china-companies-seek-assurances-malaysia-avoiding-us-tariffs-ft

中国の恒大集団に次ぐオフショア債券発行会社の大手不動産ディベロッパーKaisa(カイサ)は、清算申立を受け、裁判所は7週後の8月12日に審理を行います。これが最後のチャンスと見られています。来月末の7月29日にはカントリー・ガーデン・ホールディングの清算申し立ての法廷審問があります。カイサは2015年に中国の不動産開発会社としては初となるドル建て債権のデフォルトを起こしています。来月末から8月に掛けて立て続けに大手不動産ディベロッパー2社の清算申請の審理が行われる事で事態は少し動きそうです。この件でカイサの会長は中央政府を訪問しています。清算によるデフォルトがオフショアにのみ影響するのか、地方政府への波及がどの程度になるか分かりません。しかし人民元と資金流出への影響は避けられそうにない状況のようです。不動産不振から鉄鋼生産削減が計画される中で、尚、高炉の稼働率や生産が微増している現状もあり、ダンピングへの影響は予想よりも長くなる可能性があります。
https://www.scmp.com/business/china-business/article/3267753/hong-kong-court-pushes-kaisas-liquidation-case-august-12-giving-developer-breather

ニッケル大国になったばかりのインドネシアは銅関連製品の生産でも来年世界4位になる予定です。インドネシアのエネルギー鉱物資源省は来年、同国が世界第4位の銅カソード生産国になると発表しました。インドネシアは国策としてEV資源大国になる事を目指しています。資源だけでなく、2025年迄に40万台のEV生産を目標としており、数年後には更に台数を伸ばす予定です。EVを自国の資源を活用する事で高い競争力を持つ産業へと育成する計画です。中国と組んだこれらの政策がどのようになるかが注目され始めています。
https://indonesiabusinesspost.com/risks-opportunities/indonesia-to-become-worlds-fourth-largest-copper-cathode-producer-by-2025/

LME登録倉庫の銅在庫が今年1月以来ほぼ最高の161,925トンに達しています。また、中国の銅スクラップ輸入の増加、チリの銅鉱山企業の加工費の引き下げの噂、中国国内の金利の推移などの影響で、銅はテクニカル的には更に下げ圧力がかかっています。
https://in.investing.com/news/commodities-news/copper-prices-dropped-as-lme-inventories-rise-around-50-since-the-midmay-low-4268887

韓国第2位のコングロマリットSKグループは、メモリーチップのSKハイニックスの巨額損失や、バッテリーのSKオンの継続的な苦境など厳しい財務状況の為、事業の大幅な見直しを計画しています。傘下に219社の企業を抱える同グループは、昨年から大規模な改革を検討してきました。バッテリー部門のSKオンは2021年後半にSKイノベーションから分離されて以来、一度も利益を上げていないと報じられています。累積営業損失は約2兆3000億ウォン(17億ドル)となり、負債比率は3月末時点で188%となっています。しかしSKグループはバッテリーを長期的な成長分野と見ており、SKオンをガス関連会社の傘下SK E&Sとの合併を検討中と韓国メディアは報じています。それぞれの状況は全く異なりますが、NorthvoltやSKオンの巨額投資と損失の継続はこの分野の今の状況を示していると言えます。
https://finimize.com/content/sk-group-plots-major-overhaul-amid-business-challenges

中国のコバルト市場の弱さは今後も続くと予想されています。中国のコバルト価格は、在庫増が継続し業界全体で需要が低いことから、損益分岐点近くまで下落し続けると予想されています。1月から5月までのコバルト中間材の累計輸入量は267,242トンで、前年比で78.87%増加しています。またコバルト採掘では大手鉱山会社がd出荷を維持しており、スポット価格が長期契約の価格に近い値段まで落ちています。コバルト製品の供給量が減らない中で需要が減少し、販売量が減少しています。また在庫増により幾つかの企業が低価格での販売を実施しており、価格は下落しています。この傾向は暫く続くものと見られています。
https://www.mysteel.net/market-insights/5056898-chinas-cobalt-market-weakness-expected-to-persist

EU政府は正式に鉄鋼製品の輸入に対するセーフガード措置を2年間延長する決定をしました。世界的に鉄鋼生産能力が過剰であり、中国から第三国、特にアジアへの輸出の急増により、それらのアジア諸国がドミノ倒しでEUへの輸出を増加させた事が原因と理由を述べています。2024年7月1日に発効し、2026年6月30日までセーフガードを運用する事ができます。欧州鉄鋼協会(EUROFER)はEU政府の決定を歓迎しています。しかし世界的な過剰生産能力の問題には長期的な解決策が必要との見解を合わせて発表しています。
https://www.eurofer.eu/press-releases/eu-safeguard-renewal-crucial-for-steel-market-stability-but-long-term-solution-needed-to-tackle-global-excess-capacity-urges-eurofer

日本のニュースです。既報かも知れませんが、日本政府は大量のプラスチックを使用する製造業に対して、再生材の使用量の目標設定や使用実績の報告を義務化する方針を固めたという事です。この内容は欧州の規制(個別法のELV規則案や包装及び包装廃棄物規則案)に極めて似た施策になっており、今後、他に欧州で先行している規制を日本も模倣する可能性があります。特に欧州の重要原材料法に続き、米国でも年内に重要鉱物戦略が出る予定で、日本にも影響が出ると思われます。欧米で先行する規制はG7の1ヵ国である日本にも少なからず影響を与える事が示された形となりました。
https://www.yomiuri.co.jp/economy/20240625-OYT1T50216/

世界経済フォーラム(WEF)は鉄鋼の脱炭素化を目指す世界5社のプロジェクトを紹介しています。スウェーデンのH2グリーンスチールは水素ベースの製造工程を開発しています。UAEのエミレーツ・スチール・アルカン、アルレヤダ、ADNOCの3社共同プロジェクトではDRI工程からCO2を回収します。スペインのHydnum Steelは再生可能エネルギー、グリーン水素、鉄スクラップ、H2ベースのDRIを組み合わせて利用します。オーストラリアのグリーン スチール・オブ・ウエスタン・オーストラリア(GSWA)は電炉と水素ベースのDRIを利用します。ブラジルの長鋼生産会社Aço Verde do Brasilとブラジル最大の鉄鋼メーカー「ゲルダウ」は100%バイオカーボン(炭)を石炭代替材として使用します。WEFが鉄鋼業を取り上げるのは希で、鉄鋼の脱炭素は次の投資先と見られています。
https://www.weforum.org/agenda/2024/06/5-steel-producers-have-overcome-challenges-to-decarbonize-steel-production/

欧州における風力と太陽光発電の本当の問題がやっと明るみに出ました。欧州最大の風力・太陽光発電建設会社「スタットクラフト」は、風力・太陽光発電設備の建設数を減少させると発表しています。過去1年、欧州では電力の卸売市場でマイナス価格が頻発しています。この問題は頻繁に起こっていますが、何故かメディアは殆ど取り上げません。風力や太陽光は発電量が需要に関係無く発生する為、過剰な余剰分はマイナスで取引され、不足時には実は化石燃料(石炭)の発電所が調整してカバーしています。風力や太陽光発電を需要に合わせて制御する為には膨大な量の蓄電装置と新たな送電網が必要ですが、莫大な費用が掛かる為、投資が進んでいません。政府は再生可能エネルギーの「容量」だけを目標達成にする為に、いびつな投資と無秩序な設置が行われてきました。その結果、大手メーカーが計画変更を行う所まで来ています。
https://www.renews.biz/94114/statkraft-trims-green-targets-in-sharpened-strategy/

欧州のEV関連業者団体であるエレクトロモビリティ・プラットフォームは6月27日、28日のEU首脳会議を前に声明を発表し、EUが2035年にガソリン車とディーゼル車の新車販売を事実上禁止する措置を撤回しないよう警告しています。欧州議会選挙で勝利した中道右派の欧州人民党(EPP)議員は、禁止措置を撤回すると言及してきました。BMWのCEOは今年初めのインタビューで禁止措置を「ナイーブ(未熟)」と呼び、将来の「調整は避けられない」と意見を述べており、既存の自動車メーカーの多くはEV義務化政策の撤回を暗に賛成しています。
https://www.platformelectromobility.eu/

米国の新興EVメーカーのリビアンは経営の危機に瀕していました。しかしドイツのVWが最大で50億ドル出資する事で救われました。VWはEV化に舵をきりましたが「フルスタック」というEVの心臓(脳)であるソフトウェア、中央制御コンピューター、そしてそれらを繋ぐ配線等の開発で大きく遅れを取っています。2022年9月には、開発の遅れから幹部が退任するに至り、現在まで状況は好転していません。VWは中国のXpeng社にもソフト開発を求めてきました。リビアンは第一四半期の財務報告で車両1台当り3万9000ドルの損失を出す巨額赤字の会社です。株価は今年49%も下落しています。この物語には別の話があり、リビアン株は史上最高に近い133百万株(流通量の16.4%)がショートされていましたが、VW出資のニュースと共に値上がりしたころから「ショートスクイーズ」が起こり、急騰しました。
https://www.reuters.com/business/autos-transportation/cloaked-audis-covert-ceo-meeting-how-vws-5-bln-rivian-bet-transpired-2024-06-27/



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