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NEWSCONの気になるNEWS(2024年6月第1週)

EU政府による中国製EVへの暫定税率の発表は、早ければ6月5日、遅くとも6月10日の週に行われると見られています。元々は6月5日に発表予定でしたが、欧州議会選挙が6月6日から9日まで行われる為、その後に延期する事が濃厚となっています。現在は10%の関税です。今後、関税が10%増す毎に中国のEV輸出業者は約10億ドルの損失となります。しかしBYD等の中国大手EVメーカーは欧州で販売するEVが中国国内価格の約2倍となる為、十分に利益を確保し、追加関税を吸収する余地があると考えられています。また欧州メーカーが構築出来ていないEVサプライチェーンを持つ中国EVメーカーは着々と欧州市場に進出すると見られています。ドイツの自動車メーカーは過去20年間、中国での収益を伸ばす事で事業が成長してきた為、中国EVへのあからさまな反対は自分の首を絞める事になりかねず対応に苦慮しています。フランスも同様に高級ブランドやワイン等の最大の輸出国である中国を刺激しないように勤めています。関税アップがどの程度になるのか?世界の自動車業界が注目しています。
https://www.politico.eu/article/eu-executive-may-announce-chinese-ev-duty-only-after-election/

鉄鋼業と並び炭素排出源の産業としてグリーン化が急務となっている分野にセメント/コンクリート産業があります。ケンブリッジ大学は排出量が非常に少ないコンクリートを大量に生産する方法を開発したと発表し、革新技術として報道されています。この技術を利用し、2050年迄に年間10億トンの「電気セメント」を生産できる規模にまで拡大可能と述べています。新技術では古いコンクリートを鉄鋼用の処理炉(電炉)を使用して「再活性化セメント」を生成します。再生可能エネルギー源を利用すれば、完全なカーボンニュートラルなセメントを生産できる可能性があります。生成する石灰フラックスをリサイクルセメントペーストに置き換える事で従来の方法で製造されたコンクリートに匹敵する品質のモノを製造可能です。現在、この技術は特許申請中で今後商業化に向けて開発が進められる事になります。
https://www.cam.ac.uk/stories/cement-recycling

ドイツ政府は水素と炭素回収・貯留(CCS)を国内のエネルギー・産業システムに統合する為の2つの法案を承認しました。新法案によれば石炭火力発電所を除き、電化できない炭素集約型産業はCCUを利用します。ドイツ政府は北海には15億~83億トンの二酸化炭素貯蔵能力があり、年間最大2,000万トンを貯蔵できる、と推定しています。2045年迄に年間3,400万~7,300万トンの回収が必要と考えられています。水素に関しては、水素インフラを「最優先の公共の利益」に格上げし、当局による水素プロジェクトの承認プロセスを優先します。鉄鋼業や化学産業は水素の利用を拡大したいと考えています。課題はコストと民間投資です。民間資金が集まらない為、今年4月にドイツ政権は水素ネットワーク構築の資金調達メカニズムに合意し、目標量の建設期間を2037年まで延長しました。更にプロジェクトが破産した場合、投資家を保護する事にも合意しています。水素とCCUは科学的根拠とコスト試算の無い、政治家が好む悪しき先例として技術革新までじっくり様子を見た方が良さそうです。
https://gmk.center/en/news/germany-approves-plans-to-accelerate-hydrogen-technology-and-carbon-capture/

カナダの大手LIBリサイクル企業Li-Cycleはダイムラー・トラック・ノース・アメリカ(DTNA)とLIBの循環性に関する協力を行うと発表しています。DTNAはバッテリーの再利用については既に加州のNuvation Energyと提携しています。DTNAは2039年迄に欧州、米国、日本のサプライヤーからの全ての新製品とサービスでカーボンニュートラルを達成することを目指しています。更に2025年迄にトラックの製造工場でカーボンニュートラルな生産を行う計画です。今回の協力もその一環と見られています。トラックメーカーとしては非常に野心的な目標となっています。Li-Cycleの事業は問題が解決しておらず、株の格付は「中立」で現在も株価は1ドルを割っています。6月4日には1対8の株式分割を行う事を発表しており、先週から内部の株式保有者が売却を進めた実態が明らかになっていました。現在、幾つかのヘッジファンドが同社株の買い増しをしており、同社の株式の54.12%は機関投資家とヘッジファンドが保有しています。何故DTNAがLi-Cycleと協力するのかは、謎です・・・。EV市場の鈍化から米国のLIBリサイクラーはOEMとの提携を急いでいます。
https://li-cycle.com/press-releases/li-cycle-partners-with-daimler-truck-north-america-on-recycling-lithium-ion-batteries/

5月に急騰、6月1日の運賃改定で紅海危機以上に上がった海上貨物コンテナのスポット価格ですが、海上・航空貨物運賃ベンチマークおよび市場分析プラットフォームであるXenetaがその理由を分析しています。Xenetaの分析では紅海での紛争の継続、主要ハブ港湾で深刻な混雑、Q3前の輸入の前倒しが複合的に重なったもの、としています。輸入業者はパンデミックの経験から、サプライチェーンを守る為に「商品の前倒し出荷」を急いでいます。一部の企業は既にクリスマスシーズンの貨物を出荷し、長期契約で低料金の荷送人の貨物が港に置き去りにされるリスクが生じています。基本的にはパンデミック中に起こったことの再来で、解消までに少し時間が掛かる可能性が指摘されています。
https://www.freightnews.co.za/article/spot-rates-soar-red-sea-crisis-continues

最近の調査では電炉の市場規模は2034年迄に24億5,000万ドルにまで拡大し、2024年から2034年の間に年率9.2%の伸びを見せると考えられています。近い将来、世界の鉄鋼生産能力の4分の3はアジア、内55%が中国とインドに集中します。高炉・転炉の新規開発の99%はアジアにあり、中国とインドだけで79%を占めます。中国は電炉の鉄鋼生産シェアを2025年までに15%、2030年までに20%にする予定です。インドは2030年までに電炉/誘導炉の鉄鋼生産能力を35~40%にする計画を実行中です。インドはグリーン化に向けてこれらの生産能力の内、ガス/グリーン水素ベースのDRIと鉄スクラップをどれだけ活用できるかが課題となっています。
https://www.downtoearth.org.in/blog/energy/electric-arc-furnace-based-steel-production-is-witnessing-a-global-rise-96421

EVスタートアップ企業でピーク時にはNY市場で株価時価総額が約80億ドル(1兆2000億円)もあったフィスカーですが、なぜ巨額な負債を抱え、倒産の危機に瀕しているのか、内部関係者がその状況を説明しています。創業者でCEOのヘンリック・フィスカーと妻で共同創業者兼COO/CFOのギータ・グプタ・フィスカーによる傲慢な経営、権力闘争、自動車メーカーの基礎となる基本的プロセスの不足、度重なる失敗の隠匿、等々です。フィスカー氏が設立した前の会社であるフィスカー・オートモーティブは、ベンチャーキャピタル会社クライナー・パーキンスやレオナルド・デカプリオを含む民間投資家から10億ドル以上、連邦政府からの5億2900万ドルなどの巨額な資金を調達しました。しかし2013年末には自己倒産しています。その後に設立されたEVスタートアップのフィスカーは、アポロ・グローバル・マネジメントが支援する「特別買収会社(SPAC)」スパルタン・エナジー・アクイジション・コーポレーションとの合併を通じて、NY証券取引所に新規株式公開し巨額な資金を調達しています。フィスカー氏は元々デザイナーで、自動車メーカーの経営者としての力量は無いはずです。何故か米政権が変わりEV路線に政策に舵を切った僅か数ヵ月で上場、多額の資金を集め株価を押し上げました。過去2度の状況を見ると、そもそもモノ作りの自動車メーカーとして成長するのではなく、EVという時流を利用した上場による「売り逃げ?」だったのかも知れません。EV時代を誇張していた世界のメディアと自動車評論家は今、手のひらを反しています。
https://techcrunch.com/2024/05/31/fisker-collapse-investigation-ev-ocean-suv-henrik-geeta/

5年に1度の欧州議会選挙の最新の世論調査が掲載されています。5年前には「グリーンウェーブ」が起こった欧米議会選挙は僅か5年で様変わりしました。東欧では安全保障が最も重要な議題であり、西欧でも右派が多数派を占めると見られています。ユーロニュースによる世論調査では欧州人民党は多数、超保守派が議席を伸ばし、社会党は微増、選挙後は与党連合の編成に問題を抱える可能性が指摘されています。既に規定路線となっているものでも、選挙後の立法過程では様々な変化が起こる可能性があります。過去5年間、脱炭素、グリーン移行、循環経済等で世界に先んじて野心的な枠組みを作ってきた欧州に変化が訪れそうです。
https://www.euronews.com/2024/06/01/super-poll-qa-is-the-eu-conservative-coalition-loosing-momentum

欧州委員会は「水素市場発展の為のパイロットメカニズム」の立ち上げを発表しました。このパイロットメカニズムは2022年に立ち上げられた欧州水素銀行の下で5年間運用される予定です。目的はEUの水素需給に関するデータを収集し精度を高める事です。特に再生可能/低炭素水素の需要と供給に関するデータを分析し、欧州のバイヤーと欧州/海外のサプライヤーを結び付け、市場の拡大を目論んでいます。欧州委員会によれば現在EUには254の再生可能水素プロジェクトがあり、その内170が稼働中で84が建設中です。総容量は約3GWです。今後8GWの稼働を予定しています。EUの再生可能水素施設の稼働率は低く、それらの問題の洗い出しと対策にようやく乗り出すようです。再生可能/低炭素水素を鉄鋼業等に利用する場合、価格は1Kg当り2ユーロ程度に抑える必要がありますが、現在の販売価格は8-9ユーロの為、需要に見合う価格を提供できなく、市場が形成されていません。価格を1/4に落とす事は現状ではほぼ不可能と考える人も多くなってきました。
https://energy.ec.europa.eu/topics/energy-systems-integration/hydrogen/european-hydrogen-bank/pilot-mechanism-support-market-development-hydrogen_en

スウェーデンの繊維リサイクル企業Renewcell(元の筆頭株主はH&M)ですが、新たに投資会社が買収しました。Renewcellはこの買収で名称をCirculoseに変更しています。買収したのはスウェーデンの投資会社Altorです。Altorは北欧を中心とするプライベートエクイティとベンチャーキャピタルという背景を持つESG投資会社です。欧州では改正廃棄物枠組み指令に繊維廃棄物の拡大生産者責任が追加される等、繊維の循環経済への規制が急速に強化されています。しかし欧州でも繊維二次原料の市場が発展しておらずRenewcellは倒産しました。繊維リサイクル産業は規制の強化に伴い投資会社が動いてくる業種になりそうです。
https://www.renewcell.com/en/altor-acquires-remaining-assets-of-renewcell-ushering-in-a-new-era-as-circulose/

Aurubisはサンプラーに無人のロボット検査システムを導入した事を発表しました。完全自動化&デジタルシステムで開発期間は3年、システムの価格は約400-600万ドルで、処理能力はサンプルで年間最大10,000 個。Aurubisは毎年約110万トンのリサイクル材料を処理しており、リサイクル材料の入庫検査はサプライヤーとの信頼関係構築に最も重要です。その為、人の感覚によるものから脱却し、省力化を図るプロジェックトで完成されたのが、ロボットによる同システムとなります。このシステムは今後同社の米国工場でも採用を予定しています。
https://www.aurubis.com/en/media/press-releases/press-releases-2024/aurubis-invests-in-innovative-system-at-the-luenen-site-for-fully-automated-sample-preparation

BHPのアングロ・アメリカン買収撤退が世界の銅市場を揺るがしています。現在、銅鉱山会社が銅で収益を伸ばす唯一の方法は買収しかないことが示されています。その買収が失敗し、市場は先行きを注視しています。現在、新規の大規模銅鉱山開発は世界的にも殆ど無く、今後直ぐに投資したとしても許可と建設に最大20年が必要です。過去10年間、世界は銅への投資収益率が低かった為、投資家や鉱山会社は新規開発に消極的でした。しかし過去2年でAIへの膨大な投資が始まり、データセンターの計画が増える中、手頃な価格の再生可能エネルギー需要の高まりもあり、銅需要が減る気配がありません。引続き鉱山問題は要注目情報となります(投機マネーがそこを見ているので)。
https://oilprice.com/Metals/Commodities/BHP-Anglo-Debacle-Shines-Spotlight-on-Copper-Scarcity.html

EUは中国製EVへの追加関税の発表を6月10日に延期しました。EUが追加関税を発動した場合、中国は報復措置を取ると警告しています。中国政府は緊張の高まりを避ける為に停戦を求めていますが、一方でEUの航空と農業部門を報復の標的にする可能性を示唆しています。先月、中国政府は大型エンジンを搭載した輸入車に最大25%の関税を課す可能性があると発表し、ドイツを動揺させました。既に中国政府はEUからの豚肉輸入に対する反ダンピング調査を検討しています。中国のEV産業は過剰生産能力に悩まされており、EUからの締め出しは大きな打撃になると見られています。2010年代にロシアと中国との貿易と投資で潤ったドイツは世界で一番その被害を受ける立場となってしまいました。
https://asiatimes.com/2024/06/china-to-retaliate-if-europe-raises-ev-tariffs/

鉄材料の調査分析企業BigMint(旧称 SteelMint)によれば、2024年Q1の世界の鉄スクラップ貿易は前年同期比で5%減少し、1,430万トンでした。輸入国の60%以上(22カ国中14カ国)で輸入量が低下しました。トルコはトップで530万トン(前年同期比+8%)でした。これはトルコ国内での鉄鋼生産量が前年同期比で+28%となった事に連動しています。輸入国第2位はインドですが、前年同期比では29%以上減少し230万トンとなりました。輸入国では第3位、輸出国としては第1位の米国も、輸入量は前年同期比で9%減少し110万トンでした。主要輸入国では韓国(-52%)、台湾(-2%)、タイ(-20%)、インドネシア(-7%)となっています。中国から溢れ出る鉄鋼製品の影響を受けてアジアで減っています。それ以外では、紅海危機で市場の供給能力が一時的に低下し、運賃が急騰した事も減少の要因です。ボストンコンサルティングは、世界のスクラップ貿易が2030年迄に1億1,000万トンから9,300 万トンへと約 15%減少すると予測しています。現在、世界の貿易は世界の年間スクラップ集荷量の約17%を占めています。今後、特に輸出量が減ると見られているのは、米国とEU市場です。これは規制による制限措置が実施される事が主要因です。
https://www.bigmint.co/insights/detail/global-ferrous-scrap-seaborne-trade-edges-down-5-in-q1-cy-24-know-why–549424

中国国内での銅スクラップ供給が増えた為、粗銅の供給が大幅に増加、銅精鉱に比べ入手性が良いことから、銅精鉱のスポット取引はやや下げる可能性が浮上しています。既に銅精鉱の取引交渉はQ3以降の売買に入っており、中国の動きが市場に影響を与えそうです。FastMarketは中国の内部関係者の話として粗銅の供給増加により輸入粗銅の需要が減少、提示価格は上昇したものの、購入意欲は非常に低いという情報を伝えています。チリの銅鉱山会社アントファガスタは先週、中国の銅製錬会社と銅精鉱供給に関する第1回目の協議を行いましたが、数字が公表されない状況です。銅精鉱の供給不足は現在市場のコンセンサスですが、世界最大の銅生産国である中国の舵取りが変わった事で価格にも影響が出そうです。現在は投機マネーによる上昇が続いていますが、中国のこの動きによっては投棄マネーが一時的に引き上げるタイミングがあるかも知れません。
https://www.fastmarkets.com/insights/spot-copper-concentrates-trading-limited-as-market-focus-shifts-to-mid-year-supply-talks/

ECBは6日に政策金利を4%から3.75%に引き下げる意向を強く表明しました。この利下げでFRB(5.5%)が利下げを開始するまでの間、金利差が広がる事になります。5月のユーロ圏のインフレ率は総合インフレ率2.6%、コアインフレ率2.9%でした。賃金上昇率はQ1に4.7%となり、利下げ観測が一気に増しました。欧州では景気が低迷する中、利下げ期待は高まっています。しかし専門家は5月のデータの多くは一時的な影響によるもので、ユーロドルの為替レートの影響(利下げによるユーロ安)を懸念し始めています。今後、半年から1年間の間にFRBとECBの政策金利差が広がった状態が続けばユーロの通貨安は再びインフレを引き起こす可能性があります。市場は利下げ観測を既に織り込んでおり、発表後には逆に動く可能性があります。
https://www.nytimes.com/2024/06/05/business/european-central-bank-interest-rates.html

廃棄物のグレー輸出に関する調査とEUの新規制について、ユーロニュースが特別寄稿を挙げています。欧州から途上国に輸出される廃棄物は毎年数百万トンにのぼり、途上国の環境汚染を引き起こす要因となっています。処理料金やエネルギー/人件費コストが高い欧州からの廃棄物輸出は欧州では非常に「儲かる」ビジネスです。しかしその1/3は違法で犯罪組織が年間数十億ドルを稼いでいると推定されています。これらは「活気ある有害な市場」と見做されて、長年当局にも事実上黙認され、犯罪組織の資金源となってきました。つい最近、欧州詐欺対策局(OLAF)は本格的に動き出しました。違法な廃棄物輸送はグレーゾーンの物品輸出申告により、アフリカやアジアへのルートが確立しています。欧州内にもそのネットワークが存在します。欧州では最近、重要原材料法、廃棄物輸送規則が相次いで実施され、これらの撲滅に本格的に動き出しました。更に改正エコデザイン規則、使用済み自動車規則案、包装廃棄物規則等、野心的なリサイクル目標だけでなく、生産者がリサイクル材料を利用する為の規則が相次いで導入されるようになっています。こうした包括的でリンクした法制度が無い場合、犯罪組織による違法廃棄物輸出の撲滅は難しいと考えられています。
https://www.euronews.com/green/2024/06/04/war-on-waste-how-the-eu-is-tackling-illegal-shipments-to-developing-countries

2027年2月からEUでは、EVのバッテリーに関して「バッテリーパスポート」を義務つけています。パスポートには主要材料の原産地、二酸化炭素排出量、リサイクル材料の含有量等、バッテリーの構成要素を格納し、開示する必要があります。スウェーデンのボルボは生産を開始する主力SUV「EX90」で世界初となるバッテリーパスポートを採用すると伝えています。パスポートはボルボが開発し、親会社の中国吉利汽車がシステムを所有します。開発はブロックチェーン技術を使って企業のサプライチェーンをマッピングする英国の新興企業Circulorと提携し、5年以上を費やしてきました。欧州のEVについては、ステランティスとメルセデス・ベンツの2社がバッテリー工場の操業を一時停止し、安価なバッテリーへのシフトを検討するなど全体的な動きが鈍化する中、中国企業であるボルボは前向きな動きを継続しています。
https://www.media.volvocars.com/global/enhanced

トルコのEximbank(輸出入銀行)は欧州で開始された国境炭素税(EU国境炭素調整メカニズム:CBAM)に対して、トルコの輸出企業を支援する為、11億㌦の資金を調達しました。グリーン輸出プロジェクトへの融資は今後10年間に渡り行わる予定です。EUの最大の貿易相手国の一つであるトルコはCBAMへの対応が急務となっています。この融資はCBAMによるトルコ経済への打撃を緩和する政策の1つとなりました。国際排出量取引協会(IETA)の調査によれば、CBAMは他国に炭素市場や炭素税の導入を促す作用がありますが(欧州はそれを望む)、相手国は保護貿易的な措置である事から報復措置を検討していると分析しています。炭素による保護貿易は、今後世界の物品の流れと投資方法を変える可能性があります。
https://www.gtreview.com/news/europe/turk-eximbank-gets-e1bn-loan-to-help-exporters-adjust-to-cbam/

世界で最も厳しいEV義務化の規制を課している英国では5月にEV販売が前年同月比で6.2%増加しました。これは税優遇措置のあるレンタカー会社やリース会社等(フリート業者)の購入が10.7%増した事によるものでした。5月の個人によるEV購入は2%減少しました。5月の自動車の総販売量は前年同期比1.6%増加していますが、これも主にフリートによる大量購入が牽引したものでした。今年、英国では自動車メーカーは販売する車輛の22%をゼロエミッション車としなければ罰金が課されます。最終的には罰金を支払うか、その分値引きをしてEV販売量を増やすかの選択になります。いずれの場合もメーカーは「持続不可能」と反発しています。
https://www.smmt.co.uk/2024/06/new-car-market-holds-steady-as-fleets-drive-growth/

中国不動産危機は長期化し、日本の失われた20年を踏襲する可能性が高いと内部者は見ているようです。内部関係者は「中国政府には不動産市場を支える(再び発展させる)意図はない」「政府は不動産市場を安定させるか、少なくとも下落を遅らせることを目指している」と話しています。不良資産は開発業者から地方自治体に移り、減損処理が遅れ、地方自治体は最終的に資本増強を余儀なくされた日本の銀行と同様の運命をたどる可能性があり「より長期にわたる調整」が必要と指摘されています。北京、上海、深セン、広州等の人口密集商業都市を除き、中国の住宅価格が平均的にこれ以上高くなることは無い、とアナリストは分析しています。不動産セクターはGDP(国内総生産)の3割、投資の4割、国民の資産運用の6割を占めると言われており、長期化すれば過剰生産能力による国際貿易に少なからず影響が出そうです。
https://www.asiafinancial.com/chinas-property-debts-expected-to-weigh-on-economy-for-years

ベトナムの石炭需要と温室効果ガス排出量は、過去最高を記録しました。ベトナムは東南アジアで最大級の太陽光発電と風力発電能力を持ちます。しかし今年に入り、石炭使用量と石炭火力発電所の排出量が過去最高を記録しています。ベトナム当局はチャイナプラスワンの時流の中、海外企業誘致の為、「大規模な停電が起きない」というキャンペーンを行う必要があり、このような結果となっています。ベトナムの発電量に占める石炭火力発電のシェアは今年4月に過去最高の64.6%に達しました。昨年は46%(年平均)でした。過去10年間でベトナムでの電力需要は2倍以上に増加し、石炭火力発電容量も2倍に増加しました。それによりGHG排出量は3倍となりました。最新の計画では2030年迄に化石燃料の発電能力を更に2倍以上に伸ばす予定です。将来、様々な規制に「スコープ3」が採用された場合、こちらも国際貿易に多少影響が出る可能性があります。
https://www.reuters.com/markets/asia/vietnams-coal-use-emissions-set-new-records-2024-06-05/



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