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NEWSCONの気になるNEWS(2024年11月第4週)

モディ首相の盟友でインドの億万長者ゴータム・アダニが今週米国で贈収賄と詐欺の罪で起訴されました。既に2度目ですが、インド国内では逮捕されないと見られています。しかし影響は拡大しています。米検察当局はアダニ氏と甥のサガール氏を含む共謀者達が、インド最大の太陽光発電プロジェクトを開発する為に、インド政府関係者に数百万ドル相当の賄賂を支払い、不正行為の捜査を受けていることも隠蔽しながら、米国を含む投資家から資金を調達し続けました。一部の国際銀行や債券市場の投資家は、アダニの企業をグループとして見ており、グループとしてエクスポージャーに制限を設ける可能性があると考えています。アナリストは、アダニの有罪判決の影響はアダニグループ企業に限定されず、インドの再生可能エネルギー産業全体への影響が出ると見ています。アダニグループは、傘下にエネルギーや銅など素材産業も有する為、この分野でのインドの影響が多少なりともある可能性が指摘され始めています。
https://www.business-standard.com/industry/banking/adani-us-indictment-banks-risk-management-units-begin-stock-taking-124112201116_1.html

持続可能性要件が多数盛り込まれたEUエコデザイン規則(ESPR)が今年5月に発効しました。ESPRを基に持続可能な製品の標準を作る専門家グループがEU政府の支援で設立されました。エコデザインフォーラムと名付けられたこの組織は、製品に対する「性能」と「持続可能性要件」を設定する為の組織です。エコデザイン規則では、製品の耐久性やリサイクル性、リサイクル材料の含有量等の要件と、それらを開示する情報要件の2つが盛り込まれています。リサイクラーにとっては、プラスでもありマイナスでもある、非常に野心的な法律です。
https://environment.ec.europa.eu/news/ecodesign-forum-launches-help-sustainable-products-progress-2024-11-07_en

COP26は結局対立を残したまま週末を迎えました。発展途上国は気候危機への取り組みを支援する為に先進国から年間2500億ドルの資金提供の申し出があったことに対して、求めていた1兆ドルを大きく下回った事で怒りの反応を示しました。妥協案として2035年までに最大で1兆3000億ドルまで資金を拡大できる、としています。しかし、この額にコミットはありません。途上国は温暖化対策として少なくとも年間5兆ドルが必要で、彼らが求めているのは1.3兆ドルの為、それが履行できない事に大きな不満を述べています。
https://news.sky.com/story/climate-fund-proposal-to-dismay-developing-nations-as-cop29-presidency-branded-one-of-the-worst-13258260

スウェーデンのノースボルト(Northvolt)が米国の連邦破産法11条に申請した事で、民事再生の道を歩む事になりました。ヨーロッパの「グリーンドリーム」と言われたノースボルトの破産の例は、「グリーンエネルギーのスーパースター」と呼ばれた、同じくチャプター11を申請し上場廃止となった世界最大の発電用木質ペレット生産業者エンビバ(Enviva)と共通するものがあります。両社とも「グリーン」「投資家と巨額な資金」「長期的な契約」「補助金」「生産の混乱」「資金不足」という類似する道を歩み、結果も同じで米国でのチャプター11となりました。ノースボルトの失敗の大きな特徴の1つは、今後世界で経験する事に繋がるものがあります。昨年の世界のバッテリー需要は950GWh(ギガワット時)でした。それに対し、既に中国の生産能力は2,600GWhもあります。中国の現在の計画では2025年末には生産能力が6,000GWh近くになる見込みです。この莫大な生産過剰は世界中の電池市場を大きく歪め始めているだけでなく、今後は鉄鋼、アルミ、銅、太陽光パネル等と同じく、国際市場をさらに歪める可能性を秘めています。
https://www.euronews.com/business/2024/11/22/northvolt-files-for-bankruptcy-in-major-blow-to-european-ev-sector

世界第2位の鉄鋼メーカーであるアルセロール・ミタルは、EUにおけるグリーン投資計画を延期すると発表しました。理由はEUの規制に関する「不確実性」を挙げています。同社も他の鉄鋼業者と同様にEU政府による「鉄鋼行動計画」を待つ状況です。同社は声明で「当社は厳しい市場で事業を展開しており、業界に影響を与える政治的な不確実性が数多くある」と述べています。フランスの産業大臣は、欧州の鉄鋼業界は現在危機に陥っており、需要と鉄鋼価格は史上最低水準に達している、と警告を発していました。
https://www.belganewsagency.eu/arcelormittal-postpones-green-steel-project-in-dunkirk-ghent-investment-also-in-doubt

ドイツのBDIビジネス協会は今年、ドイツの産業生産が3%減少する見込みと予測しました。詳細はBDIの報告書に記載されています。ドイツの産業生産の減少は3年連続となる見込みです。BDIによれば「来年も回復は見込まれていない」という事です。現在、ドイツ産業の主要部門が深刻な衰退に苦しんでおり、9月には自動車部門の生産が前年比6.9%減、機械と電気はそれぞれ前年比8.5%と10.7%減少しました。IMFは10月の報告書で2025年のドイツのGDP成長率予測を0.8%(従来1.3%)に下方修正し、ドイツの経済研究部門は、それより悪い0.5%(従来0.8%)に引き下げたばかりでした。この不況は政策的な失敗による回復力の弱い構造的なものなので、早々に解決は望めないと見られています。
https://gmk.center/en/news/german-industrialists-expect-production-to-fall-by-3-in-2024/

米国政権はウイグル族の強制労働で製品の輸入を禁止している企業リストに、更に30社の中国企業を追加しました。追加された企業の内、約23社は農業分野、その他の企業は銅、リチウム、ベリリウム、ニッケル、マンガン、金等の金属材料の採掘、製錬、加工を行う企業です。この措置で電池を含む鉱物資源の確保に影響が出る可能性があります。国土安全保障省が25日に通知し、これらの企業からの食品、金属、その他の輸入品が米国で禁止されたことを確認しています。 ウイグル人強制労働防止法が2021年12月に成立して以来、このリストに掲載された企業の総数は今回の追加により100社を超えることになります。更にチベットの子供達の強制同化に関与した中国当局者へのビザ発給禁止措置も発表しています。
https://www.usnews.com/news/top-news/articles/2024-11-22/us-bars-more-imports-over-chinas-alleged-forced-labor

トランプ大統領は、カナダとメキシコからの製品に25%の関税を課す大統領令を就任初日に署名すると警告しました。また中国政府が(メキシコ経由で)米国へのフェンタニルの密輸に対処するまで、中国に10%の追加関税を課すと自身のSNSであるTruth Socialに投稿しました。これら3ヵ国はアメリカの最大の貿易相手国です。特にメキシコからの輸出の83%以上が米国向けであり、NAFTAを利用してアジアの自動車、電子機器メーカーがメキシコに生産拠点の多くを構えています。その為、この関税はメキシコを利用している多くの海外企業にとっても問題となる可能性が浮上しています。トランプ大統領は、関税を上げ、その分法人税を下げる事で米国での雇用を増やし、政府のスリム化とグリーン補助金をカットする事で支出の大幅削減を図ると公約しています。この政策が上手くいくかは未知数で経済学者の多くは懸念しています。
https://news.sky.com/story/donald-trump-threatens-sweeping-new-tariffs-on-mexico-canada-and-china-on-first-day-in-office-13260800

短期的な銅市場のテクニカル分析では、レンジ内での動きとなる見込みです。売り手は下降トレンドライン付近で動き、買い手はトレンドラインの抵抗線で動く流れでバランスしています。銅市場のセンチメントは、中国当局による更なる刺激策を待つ状況で、レンジ内では若干弱含んで動いています。
https://www.forexlive.com/technical-analysis/copper-technical-analysis-the-sentiment-remains-mixed-20241125/

一次金属生産量で世界第2位のアルミニウム会社のユナイテッド・カンパニー・ルサールは、世界的なアルミナ価格の高騰により、生産量を6%削減すると発表しました。ギニア発のこの問題は、海外のアルミ業界で問題が次第に大きくなっており、二次合金市場にも影響がでる可能性が高くなっています。
https://www.alcircle.com/news/rusal-to-cut-6-annual-aluminium-production-on-alumina-price-surge-and-decreased-domestic-demand-112650

英国政府はゼロエミッション車の義務化を変更するかどうかの協議を開始すると発表しました。現在の規則では今年、英国の全てのメーカーが販売する新車の少なくとも22%がゼロエミッション車(ZEV)でなければなりません。自動車メーカーは、制限を超えて販売された車1台につき15,000ポンドの罰金が科せられることになっています。政府は選挙中から義務化の時期を変更する事は無いと公言していましたが、自動車メーカーによる激しいロビー活動で協議が開始される事になりました。政府の広報は、ガソリン車とディーゼル車の新規販売を段階的に廃止する期限は「2030年に固執する」と発言しています。ただし、何等かの形で妥協策が打ちだされる可能性が高いと見られています。

欧州最大手の廃棄物管理会社であるフランスのスエズは、計画している超大型PETのケミカルリサイクル工場の建設を断念したと報じられています。このプロジェクトは技術サプライヤーのループ・インダストリーズ、韓国企業のSKジオ・セントリックと共同で2023年2月に発表したものです。地元フランスの放送局フランス・3・グラン・エストは11月初旬にスエズが工場建設予定地の購入を行わなかったと報じていました。このプロジェクトは公的資金を確保したにも関わらず、凍結されたと報じられています。施設の建設は2025年Q1に開始される予定でした。スエズは正式にコメントしていませんが、地元放送局にはプロジェクトを進めない事で合意したと語っています。欧州では高騰するエネルギー価格とリサイクル材需要の低迷から、プラスチック廃棄物の大型プロジェクトが大幅に減っています。ただし中止の報道は大型案件でも殆ど発表されない状況です。
https://www.euwid-recycling.com/news/business/suez-cancels-pet-recycling-project-in-saint-avold-france-251124/

ステランティスの自動車ブランドであるボクスホールは120年の歴史を持つ英国のルートン工場を閉鎖する計画と発表しました。以前よりステランティスは英国のゼロエミッション車義務化と罰金制度に反対しており、ルートン工場を閉鎖する可能性に言及してきました。英政府は今年7月にステランティス社の計画を知らされ、閉鎖に対して「非常に激しく」抵抗したと同社は述べています。EVは欧州では、もはや政策的なアジェンダを離れ、雇用と政治的理念とのジレンマの象徴となっています。
https://news.sky.com/story/amp/vauxhall-to-close-luton-plant-putting-more-than-1-100-jobs-at-risk-13261106

米国下院議会の中国共産党特別委員会の超党派議員は、香港の銀行業界と米国の関係について財務省当局者に説明を求めるとともに関係の見直しを要求しました。議員達はイエレン財務長官に書簡を送り、香港は西側諸国の管理技術のロシアへの漏洩、イランの石油を購入する為のダミー会社の設立、ロシアの金の取引、北朝鮮との違法貿易を行う「幽霊船」の管理等、「今や犯罪の中心地」と述べ、関係を見直すよう求めています。2023年に香港からロシアに輸送される商品の約40%がロシアがウクライナ戦争を遂行する為に使用できる半導体等の優先度の高い品目である事を示す調査結果を引用し、この見解を主張しています。スクラップ貿易の多くも香港の貿易会社を経由して行われている事から、米国が規制に動けば、影響が出る可能性があります。今回の書簡は超党派の議員達で行われている事から共和党政権に代わった後でも方針は変わらないと見られています。
https://www.pymnts.com/bank-regulation/2024/lawmakers-question-us-banking-relationship-with-hong-kong/

バイデン政権が2035年迄に電気自動車(EV)を普及させる計画は既に逼迫している米国の電力網に支障をきたす可能性があると専門家は警告しています。米国の電力網は25年以上更新されておらず、何百万台もの新しいEVに電力を供給する為に更に更に多くの送電線が必要であり、その費用は総額2兆5,000億ドルを超える可能性があります。
https://www.dailymail.co.uk/news/article-14127791/pete-buttigieg-ev-donald-trump-jr-elon-musk.html

欧州では主要電力価格が1年振りの高値に達し、ロシアのガスプロム銀行が米国の制裁リストに加わりドル決済が不可能になった事でエネルギーへの懸念が再燃しています。そのような中、今年、中国とロシアは5,111kmのガスパイプラインを完成させています。中国の地元紙は毎年1億3000万世帯の家庭に天然ガスを供給する事ができると報じています。中国の天然ガスパイプラインのロシアからの輸入は2023年に61.7%増加し、64億米ドルに達しました。ロシア産原油の中国への出荷量も同期間に24%増加し、日量214万バレルに達しています。この量はサウジアラビアからの輸入を既に上回っています。ガスプロムは2026年迄に中国に年間100億立方メートル(bcm)のガスを追加供給することが求められています。今後、既存のロシアの2つのパイプラインを拡張し、中国市場と結びつける計画も進められています。
https://oilprice.com/Energy/Energy-General/Does-China-Have-the-Upper-Hand-in-Energy-Deals-With-Russia.html

ブリュッセルシグナル紙のコラムニストのラルフ・シェルハマーがXにポストした内容が反響を呼んでいます。ドイツ大手鉄鋼メーカーのThyssenKrupp(ティッセンクルップ)が従業員の40%に当たる11,000人を削減する計画を発表したことを受けて 「ドイツの「グリーン」鉄鋼は予想通りの結果をもたらしているようだ。雇用は減り、貧困は増えている。私のドイツの友人達が緑の党と社会民主党が再び加わる政府に投票するなら、あなたは正気を失っている。AfDか破滅か、単純な二者択一だ。」とツイートしました。
https://www.luxuo.com/business/germany-existential-crisis.html

欧州鉄鋼生産者連合(Eurofer)が非常に悲痛な声明を出しました。会長の発言は以下の通りです。
「時計はもう真夜中を回っています。EUと加盟国が目を覚ますまでに、あと何件の工場閉鎖、雇用喪失、脱炭素化プロジェクトの停滞が必要でしょうか?ヨーロッパの産業空洞化は加速しており、鉄鋼、自動車、再生可能エネルギー、バッテリーは全て危機に瀕しています。直ちに行動を起こさなければ、ヨーロッパの製造基盤は消滅します。私達は新しい欧州委員会とEU政府に、この流血行為を止め、貿易、CBAM、エネルギー、鉄スクラップに関する迅速な措置を講じ、業界の競争力を維持するための構造的解決策に取り組むよう求めます」。
EU政府は「鉄鋼産業行動計画」を発表する予定で、その中で鉄スクラップがどのような扱いになるのかは、世界に影響が出そうです。
https://www.eurofer.eu/press-releases/european-steel-industry-on-the-brink-the-eu-must-act-now-or-risk-losing-manufacturing-warns-eurofer

EU 包装及び包装廃棄物規制(PPWR)は先週の議会採決後に環境委員会が26日夜に PPWR を承認しました。今後、最終採択に向け加盟国の政府を代表する理事会による承認が行われます。PPWR はその後 EU 官報に掲載され、2025 年初頭に発効する予定です。その後、18 ヵ月の移行期間を経て様々な要件が適用開始となります。PPWRには移行期間が異なる規定も幾つか含まれており、これらは発行後期限が来ると拘束力を持つことになります。世界で最も厳しく野心的なPPWRが発効される予定となりました。
https://www.europarl.europa.eu/news/en/press-room/20231117IPR12213/parliament-adopts-revamped-rules-to-reduce-reuse-and-recycle-packaging

ノルウェーのアルミニウム生産会社ノルスク・ハイドロ は、バッテリー事業とグリーン水素事業への投資を中止すると発表しました。また、今後これらの事業を大幅に縮小する計画です。大型の水素事業計画を持つ欧州企業が投資の廃止を発表したのは、これが初めてです。CEOは、同社は今後これらの分野への投資を再開する予定はなく、代わりにアルミニウムのリサイクルと押出事業に注力すると発言しています。事業中止の理由は、限られた補助金、供給過剰の懸念、特に中国からの安価な 輸入品との競争激化を上げています。水素は過去に何度も「政治的」なテーマとして取り上げられてきましたが、商業的に成功した事例は殆どありません。恐らく、鉄鋼の水素利用も時間の問題と思われますが、こちらは多額の補助金が出ている為、しばらく時間が掛かりそうです。
https://finance.yahoo.com/news/norsk-hydro-pulls-plug-green-064752977.html

苦境のVWですが、中国の国有有自動車メーカーSAICとの提携を2040年まで10年延長すると発表しました。同時に批判が多い、新疆ウイグル自治区での事業を売却する事も発表しています。SAICとの提携では来年2モデル、2030年迄に18モデルの投入を計画しています。提携の目的は、現在の販売不振、熾烈な競争、需要低迷に悩むVWにとって、中国での市場シェアの回復が生命線の為です。資源はロシア、販売市場は中国というドイツ企業の方程式は既に崩壊の危機に瀕していますが、そう簡単に変更できないようです。
https://www.volkswagen-group.com/en/press-releases/all-set-for-future-mobility-volkswagen-group-and-saic-strengthen-long-standing-partnership-with-new-joint-venture-agreement-18844


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