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NEWSCONの気になるNEWS(2023年2月第2週)

欧州委員会が「グリーンディール産業計画」を発表しました。この計画は、米国のインフレ削減法による巨額のグリーン補助金に対応するもので、欧州での規制手続きの簡素化、資金アクセスの加速、スキルの強化、新しい貿易協定の実施、を通じて強力なサプライチェーンを構築することが目的です。ネットゼロ技術に投資する企業に減税を提供し、グリーン化の為に、既存のEU基金から最大で€2,500億を提供します。欧州政府は、「$3,690 億規模の米国のインフレ削減法に対応する為に、グリーンプロジェクトへの大胆な投資パッケージを展開する必要性」を強調しています。少し言い方は悪いですが、米国の保護政策に対抗する欧州版グリーン保護政策としての機能が強く、過去30年、ロシアと中国を巻き込んだグローバリズムから世界貿易がブロック経済に加速していると見る事ができます。原材料に必ず影響が出ると思われます。
https://ec.europa.eu/commission/presscorner/detail/en/ip_23_510

米国で銅が「重要鉱物リスト」に入る可能性が指摘されています。米国ではサプライチェーンの混乱で経済や国家安全保障に影響が出る鉱物が「重要鉱物リスト」として明記されています。このリストは3年毎に更新されますが、内務長官はいつでも更新でする権限を持ちます。米国地質調査所(USGS)は定性的な方法論を利用してリスクをスコア化し、銅は基準値を0.4としています。 銅は2022年のリスト見直しでは0.4の基準値より低く重要な鉱物となりませんでしたが、これは2018年の算定法を利用した為です。最新の銅開発協会 (CDA)からのレポートによると、新しい方法論を利用した場合、銅供給のリスクは「しきい値」0.4を超えており、自動的に重要鉱物リストに入る基準をクリアしました。新算定では2022年の銅の供給リスクスコアは0.423、4年間の加重平均スコアは0.407と計算されています。米国の2022 年上半期の純輸入依存度は48%でした。もし欧州と米国で銅が「重要な鉱物リスト」入りした場合、世界の銅の流れに変化が見られる事は避けられないと思われます。
https://www.recyclingtoday.com/news/cda-report-shows-copper-critical-mineral-to-us-national-defense-economy/

ウォーレンバフェットのバークシャーハサウェイが中国のEVとEV電池メーカーであるBYDの株式155万株を売却していた事が明らかになりました。バークシャーは拡大を続けているBYDの持ち分を昨年8月から徐々に1/3以上減らしています。BYDは2022年時点で世界最大のPHEVとEVメーカーで、テスラよりも急速に成長しています。昨年末の中国のEV補助金の終了が理由なのか、インフレ削減法と米中緊張による理由なのか定かではありませんが、オマハの賢人の先見の明による事は確かなようです。
https://www.asiafinancial.com/buffett-backed-berkshire-sells-45-million-shares-in-byd

欧米では環境NGOや環境保護団体がメディアに登場し、過激な行動をとり、政策的な影響力も非常に強い事はご存知かと思います。よくグリーンピースが日本の捕鯨船に体当たりして捕鯨を阻止したり、近年ではグレタさんが国連で訴えたりヨットで大西洋を渡ったり、様々な活動を目にする事だと思います。これらの活動には多額の費用がかかるのですが、どこから出ているか、という問題は殆ど報道されません。欧州では資金関係の「透明性登録簿」制度があり、資金提供者を開示していますが、実はこれも資金の直接寄付者のみが開示され、その寄付が団体である場合はその団体への寄付や出資をしているのが誰であるかまで追跡する事は容易ではありません。例えば、以前お伝えしたグレタさんへの初期の出資者はスウェーデン著名投資家Ingmar Rentzhogが率いるNGOのWe Have No Timeで、Rentzhog氏はアル・ゴアの投資会社のイニシアチブに所属していました。会員300万人のグリーンピースは2000年代中盤まではCNN やアトランタブレーブスなどを保有していた米メディア界の超大物テッド・ターナーが率いるターナー財団、ロックフェラーブラザーズ財団がそれぞれ1ミリオンを超える上位の寄付者です。実はこのリベラルな両財団が最も寄付をしているのが、NGOとしては世界屈指のNRDC(天然資源防衛評議会)です。NRDCのトップは現バイデン政権でホワイトハウスの国家気候アドバイザーのジーナ・マッカーシーです。彼女は、オバマ時代は米環境保護庁EPAの長官でした。つまりNRDCの動きを見れば、政権の環境政策の方向性は見える、という事です。またNRDCへの巨額な寄付者の1人には、ヘッジファンドの億万長者トム・ステイヤーはがいます。ステイヤーは一昨年Galvanizeという環境グローバル投資会社を設立しています。米国の石油産業を推進したトランプの弾劾キャンペーンの主導者の1人で、有名なバイデン大統領就任初日に閉鎖を決定したキーストーン石油パイプラインの影の決定者とも言われています。NRDCは法的にも慈善団体ですが、純資産は200億円を超えるような超金持ち団体です。NRDCは過去に何件か過激なメディア戦略をとってきましたが、背後にCNNなど大手ケーブルネットワークがある事も要因です。非営利・慈善団体の多くは非課税もしくは税的優遇があります。NRDCは気候変動と脱石油政策に大きな影響力を持ち、化石燃料の締め出しをモットーとしています。つまり政権と富豪とメディアの合体こそが、現代の国際的環境NGOの実態の一部です。環境団体とは環境を武器にした政治ロビー団体かそれ以上になってきました。 久々に、欧州議員がこの問題に疑念の声を上げましたが、毎回直ぐにもみ消されてしまいます・・・。
https://www.euractiv.com/section/politics/news/eu-lobbyists-boss-urges-for-more-transparency-on-ngos-donors/

インド政府がマテリアル リサイクル産業へのコミットメントを宣言し、鉄鋼生産におけるスクラップの使用量を2047年迄に50%増やす事を示しています。その間、段階的にスクラップ使用量を増やします。この発表はインド材料リサイクル協会(MRAI)が開催した第10回国際インド材料リサイクル会議でインドの連邦大臣が発言したものです。インドは過去8年間で2,500万トンのスクラップを生産し500万トンを域外から購入しています。鉄鋼生産量は過去9年で50%増加し、年間1億2,000万トンとなっています。この会議では鉄スクラップだけでなく、プラスチックリサイクルの生産者責任制の導入やとタイヤのリサイクル技術の進歩等、世界的にホットな話題がパネルディスカッションで議題となっています。鉄スクラップに関してはWFEでも取り上げられ、産業のサプライチェーンの脱炭素化に最も重要な資源の1つとして政治的な発言が増えています。
https://www.pib.gov.in/PressReleasePage.aspx?PRID=1896312

ミンデルー財団が第2 回プラスチック廃棄物メーカー指標を掲載しています。2021年に世界では1億3,900万トンの使い捨てプラスチックを含むプラ廃棄物が発生し、2019年よりも600万トン増加しています。2年間の増加量は人口1人あたり約1キロの増加を示しており、フィルムや小袋等の柔軟な包装の需要増によってもたらされている事が判明しています。使い捨てプラスチックによる温室効果ガス排出量(GHG)は、英国の総炭素排出量である4億6000万トンに相当します。また使い捨てプラスチックによるGHG汚染を行っている企業、プラスチック廃棄物の原因となるような企業が名前入りでランキング&数値と併せて掲載されています。プラスチックのリサイクル容量はプラスチックの製造量に対応できるほど急速に拡大できない為、生産量の増加に伴い投棄される使用済みプラスチックが増える量の方が遥かに多いという事が浮き彫りになっています。これはバーゼル条約改定後に欧州や英国で抱え始めた深刻な問題で、元々違法ルートで域外に出ていた廃プラが域内に残り不法投棄が増えている実情があります。英国とドイツがOECD国であるトルコに最も多くのプラスチック廃棄物を輸出している事は意外と知られていません。
https://www.minderoo.org/plastic-waste-makers-index/#key-findings

米中の緊張は報じられる事が多いと思いますが、中印の緊張も続いています。インドはTikTokやWeChat Messenger等、国内で人気の数百種類の中国製アプリを禁止してきました。昨年、セキュリティ上の懸念を理由にSea’s Free Fireや韓国のゲームBattleGrounds Mobile Indiaを含め、中国に関連する複数のモバイルアプリを禁止し、中国は二国間の経済・貿易協力に懸念を示しました。今回インドの電子情報技術省(MeitY)は中国に関連する138の「賭けアプリ」と94の「融資アプリ」の使用禁止を開始した事を発表しています。最近は米国でもTikTokを禁止する動きが共和党内で発せられており、モバイルアプリは安全保障の問題にも関連してきています。
https://www.asiafinancial.com/india-to-urgently-ban-china-linked-betting-and-loan-apps

オーストラリアアルミニウム評議会は豪州政府に対し、アルミニウムを国の「重要鉱物リスト」に追加するよう求めました。ボーキサイトとアルミナも含まれます。豪州政府の昨年の重要鉱物戦略では高純度のアルミナとシリカが重要鉱物のリストに追加されました。これは両方とも電子産業にとって不可欠な為です。重要な鉱物リストに含める事で、関連企業が重要鉱物関連施設等に豪州の連邦支援基金を得られるようになる可能性があります。インドネシアが国家戦略としてニッケル権益を強化し、欧州で重要な原材料法が3月8日に発表される予定で、グリーン化と戦争により更なる価値を生み出す非鉄金属のナショナリズムは今後も続きそうです。
https://aluminium.org.au/news/incoming-president-of-the-australian-aluminium-council-calls-for-bauxite-alumina-and-aluminium-to-be-formally-recognised-as-critical-minerals-in-australia/

イエレン米財務長官が米国経済は引き続き堅調に推移しているため、米国の景気後退を回避する道筋が見えているとABCのインタビューで述べた事が話題となっています。50年来の低い失業率があれば、インフレ率が低下し経済が好調を維持するとの見方を示しています。
https://abcnews.go.com/GMA/News/video/us-treasury-secretary-janet-yellen-recession-fears-inflation-96917799

右系のシンクタンクであり2013年から2018年まで同組織の議長を務めた人物が元国連米国大使で元米国国家安全保障顧問の「あの」ジョン・ボルトンである「ゲートストーン研究所」がジョージ・ソロスの教育への影響力をHP上で掲載しています。これは先月、右系メディアのドンであるルパード・マードック率いるニューヨークポスト紙が報告した調査によるもので、2020年1年間にソロスの財団が内外の高等教育機関(主にエリート大学)に寄付した金額が6300万ドル、およそ1年で70億円です。政治家や官僚、ビジネスマンを多く生み出す著名な大学への寄付を行い、ゲートストーン曰く「彼の政治的イデオロギーを反映するようにカリキュラムを再設定していることが明らかになった」としています。ソロスは彼の死後も彼の目標を追求する新しい世代から政治幹部を作ろうとしているが、その目標が何であるかは明確でない、としています。実はこれに似た事をWEFも行っており、次世代の世界政治を担う若者を集めた「ヤング・グローバル・リーダーズ」を組織し、世界各国の官僚や政治家を排出する為に活動しています。有名な出身者にはフランス大統領のマクロン、カナダ首相のトルドー、NZ前首相のジャシンダ・アーダーンがいます。「ゲートストーン研究所」への主な献金者にはヘッジファンドで巨万の富を築いたロバート・マーサーの家系が率いるマーサーファミリー財団があり、ある意味、金持ちが自からのイデオロギーの為に教育から政治、メディアまで影響を与え続けるという構図があります。つい先日まではWEF側のグローバリズムと反資本主義が勝っていましたが、戦争を機に欧米では少し変化を見せ始めています。
https://www.gatestoneinstitute.org/19373/goerge-soros
https://www.younggloballeaders.org/

インドによるエネルギー需要の急増が一部で波紋を呼んでいます。これは、インドエネルギーウィークの開会式でモディ首相の発言によるもので、インドのガス需要が今後数年で最大5倍に増える可能性があると発言した事です。インドのLNGの再気化能力は2014 年に年間 2,100 万トンでしたが2022 年には2倍になり、今後数年間で更に大幅に増加すると予想しています。モディ首相はインドのエネルギー需要は2030年までに「最高レベルに達する」とも述べています。インドのエネルギー輸入に占めるロシアのシェアは過去1年間で実質的にほぼゼロから25%近くになったとも報道されており、エネルギー消費の急増により西側のロシア産エネルギー制裁でも輸入を継続しています。ブルームバーグによると、欧州はロシアのガスを禁止した事で代替や価格高騰により約1兆ユーロの損失を被っています。インドの担当大臣は条件が有利であれば、世界中の「どこからでも」石油を購入すると公言しています。以前からインドの「がぶ飲み」がいつ始まるかとの懸念がありましたが、今後2030年まで世界経済とエネルギー市場にかなり影響を与える存在になりそうです。鉄スクラップやアルミスクラップにも国の大臣が言及するようになり、スクラップの囲い込みを示唆するにまで至っています。
https://www.upstreamonline.com/production/narendra-modi-india-poised-for-five-fold-rise-in-gas-consumption/2-1-1399371

欧州では、相変わらず欧州廃棄物輸送指令の改訂をめぐりリサイクル産業界が猛烈に反発を続けています。国際リサイクル局(BIR)の紙部門のトップであるフランシスコ・ドノソ氏が「EUは二次材料を全て同じであるかのように扱っている、故紙の輸出は全て再生用であり処分用ではない。輸出時には処分品と同じ規制が適用されるため、古紙の輸出は将来的にはるかに困難になる」と述べています。先週、BIRのトップがインドの講演で「この指令の改訂は環境、公衆衛生を保護し、違法な出荷と闘う為のツールとしているが、実際にはリサイクルスクラップをEU内に維持し、貿易相手国との取引を犠牲にして国内経済を強化する事を目的としている」と保護貿易主義を批判しました。この問題は指令が欧州理事会との協議を経て法律化するまで、場外バトルが収まりそうもありません。それだけ、リサイクラーにとって大きな法規制という事です。
https://recyclinginternational.com/paper/donoso-fears-for-eu-paper-exports/52271/

再生可能化学品市場が急成長している事が伝えられています。2022年から2032年の10年間で年率10.6%で市場が成長すると予測され、特に再生可能エタノールは年率約12.5%で急成長すると見られています。北欧やカナダではクラフトパルプラインから出る黒液を精製したメタノールへの投資が進む等、今後、燃料だけでなく原料への再生可能要件が強くなるなかで市場の伸びが期待されています。
https://www.digitaljournal.com/pr/news/renewable-chemicals-ethanol-product-type-to-grow-at-the-highest-cagr-of-over-12-5-by-2032

タイヤ及びゴムのリサイクル専門サイトが、英国から輸出される欧州の使用済みタイヤ(ELT)の量と比率を表にしています。英国の場合は半数以上のELTがインドに輸出されています。ELTは欧州や英国では、かなりの量が域内でリサイクルされず域外に輸出されている実態が報告されています。世界では毎年10億から18億本の使用済みタイヤ(ELT)が廃棄されていると推定されています。これは世界中で収集される廃棄物の約2~3%に相当します。世界人口が増え、更に途上国で車両がより普及する事でこの問題は加速し続けています。欧州では1999年からELT を埋め立て地に送ることは、EU指令 1999/31/EC(EU. 1999)によって禁止されています。しかし、これは単に別の場所に輸出されて処分・焼却・埋立されているだけです。世界のELTの75%は埋め立てされていると言われています。インドに輸出される英国のELTは南アジア地域でセメントキルン等で燃やされています。ELTの問題は3つに集約されます。不完全燃焼による有害物質の排出、埋め立てによる土壌や水質汚染、使用済みタイヤの途上国への輸出、です。そのいずれも、世界的には解決されない状態が続いています。
https://www.tyreandrubberrecycling.com/articles/news/uk-tyre-recycling-in-meltdown/
https://www.circularonline.co.uk/features/how-can-we-solve-the-problem-of-end-of-life-tyres/

中国の新車販売が1月に38%落ちこみました。昨年12月の2.4%増から大幅に落ち込んだ原因は、旧正月とEVとPHEVへの補助金の終了が主な原因です。EVは2022年に前年比90%増でしたが、1月は6.3%減少ました。市場シェアを維持する為に、EVメーカーは値引きを行っています。この動きはドイツも全く同様で、政府の補助金が縮小された為、1月にEV販売が急落、EVは13%減、PHEVは53%減となっています。テスラはドイツでの市場シェアを維持する為に値引きを行っています。逆にガソリン車は 3.5% 増、ディーゼル・ゲートで大問題になったディーゼル車でさえ 1.2%減と僅かな落ち込みしかありませんでした。1月の全体の乗用車販売は前年同月比 2.6%減ですので、ディーゼル車の落ち込みは全体よりも良いものでした。PHEVが53%減もの大幅な下げとなったのは、補助金が終了した為です。自動車業界団体VDAは補助金の終了が新車販売に直接影響を及ぼした事を認めています。EVが売れた情報は一般紙が大々的に取り上げるのですが、現実は補助金によるもので、売れなくなるとマーケットや自動車の専門誌しか扱わないという所に、EV 政策のアンバランスな所が垣間見えます。
https://www.marketscreener.com/news/latest/China-car-sales-plunge-38-in-January-as-subsidies-tax-cut-end–42926119/
https://europe.autonews.com/sales-market/german-car-market-falls-january-ev-sales-plunge

今から丁度100年前の1923年2月4日、英国の遺伝学者で生物学者のジョン・ホールデンは、石炭の枯渇が産業革命にもたらす影響を考え、その対策の為に風力を使い、水を電気分解して水素を得るという考えを示しました。まさに現代のグリーン水素です。100年経ち、1970年代の石油危機、2003年の欧州-米国の「水素経済の発展に関する協定」、2010年以降の気候変動等、エネルギーや地政学危機の度に出てくる「水素」の本質的な問題が最近になってまた、ぶり返しています。既に1930年代には水素の燃焼は化学的、産業的、経済的にはナンセンスである事が理解され始めています。更に電気で水分子を分解するにはあまりにも多くのエネルギーを消費する事は、既に1960年代には科学者が理解し、現在提案されている高温電気分解も、同様に幻想であると説明しています。その電気を水素製造に使うより、そのまま使った方が余程効率が良いのです。ヨーロピアン・サイエンティスト(European Scientist)という科学の専門家集団によって運営されているウェブサイトが、電気分解グリーン水素100年を記念して「(今)欧州委員会がグリーン水素を生産する為に費やす数十億ドルは、エネルギー問題を何ら変えるものではなく、「風に投げられたお金」です、と言い、「“クール”なアイデアは 1 世紀経った今でも“クール”であり、“水素はずっと未来のエネルギー”であり続けるでしょう」と皮肉っています。
https://www.europeanscientist.com/en/features/hydrogen-a-century-old-idea-and-still-windy/

ドイツの PET リサイクル業者は非常に厳しい市況に直面し続けています。昨年末よりリサイクルPET(r-PET)の需要が下がり、更にアジアから安価なバージンPETが輸入されている為です。リサイクルPETを利用してきた顧客が、よりアジアのバージン材を利用するようにシフトする動きが強まっています。いくつかのボトラーは、今年はr-PETを使用しない事を検討しているとさえ伝えられています。欧州では大手飲料メーカーを中心にr-PET材の利用率をコミットしていますが、インフレ、エネルギーコスト、人件費の高騰、再生材利用による多くの調整問題から、利益を優先している実態があるようです。
https://www.euwid-recycling.com/news/markets/demand-for-recycled-pet-in-germany-still-lacklustre-in-january-080223/

欧州で移民問題が大きな政治問題になりつつあります。不法移民は昨年1年で64%増加し難民申請も46%増えました。この問題に対処する為に9日にEU首脳の特別会議が開催される予定です。2020年にEU全体としての移民申請の政策案が提起されましたが、全く調整がつかず機能不全で一部の国の負担が続いています。EUは昨年12月8日にクロアチアをシェンゲン圏に参加することに同意しましたが、ブルガリアとルーマニアはシェンゲン圏に入れる事を承認しませんでした。理由は外部からの不法移民の移住です。昨年西バルカン半島からの不法入国者が前年比で77%増加していました。殆ど語られる事はありませんが、欧州の安価なホテルの従業員、清掃員やリサイクル業の労働者は多くが東欧からの移民で成り立っています。英国ではブレグジット前には東欧からの出稼ぎ労働者がリサイクルや生産工場の現場を支えていましたが、現在は慢性的な労働力不足に悩んでいます。
https://www.euronews.com/my-europe/2023/02/07/migration-returns-to-the-top-of-the-eus-agenda-but-the-same-old-political-divisions-remain

繊維産業の先進企業として注目されているオランダのByBorre社が約20億円規模のインパクト投資から資金を得た事を発表しています。同社はリサイクルされたマイクロプラスチックゼロの合成繊維から、メリノウールやバイオコットン等の天然繊維まで様々な製品を提供しています。大した情報ではありませんが、繊維産業では革新的な新興企業で顧客には欧州の多国籍大企業が名を連ねていますので、知っておいても良いかと思います。この当りのビジネスイノベーションは欧米らしいです。
https://byborre.com/

欧州最大の鉄鋼メーカーであるアルセロールミッタルが2022年の業績を発表しています。営業利益は103億ドル(2021年度は170億ドル)。EBITDAは142億ドルですが、4四半期に3億600万ドルの営業損失を出しています。2023年の見通しについては、鉄鋼出荷量が最大5%増加、設備投資額は45億ドルから50億ドルの増加、金利費用も金利上昇により約4億ドル増加すると予想しています。地政学的な不確実性が残るが、サイクル、脱炭素化、持続可能な投資/リターンの戦略を推進する事を表明しています。
https://www.recyclingtoday.com/news/arcelormittal-steel-2022-earnings-recycling-hbi-usa-europe/

欧州委員会から発表された「グリーンディール産業計画」について、欧州委員会の雇用担当トップが欧州の競争力を強化するものでは決して無いと発言し話題になっています。同計画は米国のインフレ削減法(IRA)に対抗して欧州政府が提案したものです。規制の枠組みの強化、資金アクセス、熟練労働力の育成、域内取引の促進等、多くの良条件を満たしています。しかし米国のIRAは少ない個別の補助金と米国の安いエネルギー価格の組み合わせがポイントで、デジタル化とイノベーションで競争力のある米国のモデルに合致していると評価しています。EUは産業の生産性が米国と比べ比較的低いこともあり、補助金は競争力を低下させる可能性のある「毒」との見解を示しています。EUのGDP世界シェアは1990年の25%から2020年には17%に低下し、企業は米国の同業他社より平均40%遅く成長し、R&Dへの支出は40%少なくなっています。これは新しいテクノロジーが生まれる数にも反映しています。市場障壁を取り除き、非現実的な規制や行政の枠組みを撤廃する事の重要性を示唆しています。
https://www.euractiv.com/section/economy-jobs/opinion/green-deal-industrial-plan-is-no-substitute-for-a-competitiveness-agenda/

ラベル用の印刷インクメーカーSiegwerkがドイツのスタートアップWildplastic、更にハンブルグ工科大学(TU-Hamburg)と提携し、リサイクル用の各種廃プラスチックやラベルからのインク除去を行うプロジェクトで成功を収めた事を発表しています。プラスチック廃棄物の脱インクの試験は昨年末に最初の試験を行っています。インクによってはその化学的性質から薬品で除去した場合にリサイクルに影響を与えたり、リサイクル材に残り材料の色や匂いに影響を与えたりする事があります。この共同研究は、プラスチック廃棄物における様々なインクに由来する問題を解決する為に続けられています。
https://www.siegwerk.com/en/news-media/press-releases/details/collaboration-to-increase-low-density-polyethylene-packaging-recyclability-sees-success-in-deinking-trials.html

INGが主要通貨ペアのFXについて予測を出しています。「ゴルディロックスかブラックスワンか?」というタイトルのレポートでは、主要通貨の為替予測をマクロ経済動向と金利予測から判断しており、注目されるドル円は1ヶ月後128円、3ヶ月後126円、6ヶ月後125円、12ヶ月後120円と、円高方向で予測しています。日銀総裁人事とドル安が影響すると分析しており、有力候補の雨宮正義氏がハト派、中曽浩氏の場合はタカ派で10 年物国債利回りが現在の0.50%の上限を超える圧力が高まり、円を大幅に上昇させる可能性を指摘しています。USD/JPY は主にドル安に関する話題に牽引されていますが、日銀とエネルギー価格の下落に支えられて、今年は120 円が目標と予測しています。
https://www.hellenicshippingnews.com/g10-fx-goldilocks-or-black-swan/

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