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NEWSCONの気になるNEWS(2023年6月第2週)
欧州の環境局と欧州委員会は、廃棄物削減の状況に関するプレスリリースを出しています。欧州加盟国は2025年の目標として、都市廃棄物の55%、包装廃棄物の65%をリサイクルする、材料別の包装廃棄物のリサイクル目標を定める(紙・段ボール紙75%、ガラス70%、鉄70%、アルミニウム50%、プラスチック50%、木材25%)事が制定されています。この目標の全てを達成する為に順調に進んでいるのは、僅か9ヵ国で、残りの18ヵ国は一部もしくは全部を達成できない可能性が高い事が示されています。地域差が大きく、全体で達成する事はかなり難しい状況です。
▶ https://ec.europa.eu/commission/presscorner/detail/en/ip_23_3105
オーストラリアで包括的なプラスチック包装廃棄物に関する規則が制定される予定です。9日に連邦政府と州政府は、製造業者と小売業者に包装製品に関する規則を課す事に合意しました。これは拡大生産者責任に相当します。4月の公式調査ではオーストラリアがリサイクルしているプラスチック包装の割合は僅か18%で、現在掲げている2025年迄に70%という目標には大きく届かないことが判明しました。その為、新たに製造者と小売業者に義務を課す事になりました。この規制にはリサイクル材の利用と数値を含む強制的な基準が含まれる予定です。またリサイクル施設や再処理工場が経済的インセンティブを得られる事を考慮し、規制が制定される予定です。今後ロードマップが策定され、企業がリサイクル材料の使用を促進できるよう、リサイクルに関するトレーサビリティの枠組みが導入される予定です。新規則には産業界に対して回収・リサイクルの費用負担を強制する項目も設けられる予定です。オーストラリアも昨年左派政権に代わってから急速に欧州と似た政策を相次いで導入するようになりました。
▶ https://www.theguardian.com/environment/2023/jun/09/australian-governments-impose-mandatory-packaging-rules-on-industry-to-cut-waste
中国の元高官が政府に対しEVバッテリーの標準化を主導するよう要請した事が大きなニュースになっています。今までは工業規格や製品標準の殆どは欧米がルールを作ってきましたが、現在の優位性を確実にする為に中国がEV用バッテリーの標準化を策定するという趣旨のものです。これは中国の宜賓市で開催されている世界動力電池会議で元産業省の大臣が提案したものです。2022年に世界のEVに搭載されたバッテリーの63%、その材料であるリチウムの70%、正極材料の70%、負極材料の90%は中国企業が供給しており、その優位性を利用すべきであるとの内容です。また世界基準に沿った二酸化炭素排出量管理システムを構築する事が含まれています。同氏は「欧州と米国は国内電池メーカーの育成に向けた取り組みを強化している一方、保護主義が再燃している」とも述べています。
▶ https://www.reuters.com/business/autos-transportation/ex-minister-urges-beijing-lead-setting-global-ev-battery-standards-2023-06-09/
欧州の大手自動車メーカー2社がスイスの鉱業大手グレンコアを支援する事で、銅とニッケルの確保に乗り出しました。世界3位の自動車メーカーであるステランティス、2位のフォルクスワーゲンのバッテリー子会社であるPower Co、更にグレンコアの3社はファンドACCに支援する事で、同ファンドがブラジルにある銅とニッケルの2つの鉱山を10億ドルで買収する事となりました。ACGはロンドン市場の特別目的買収会社(SPAC)です。この取引は投資家により活発となっている鉱山のM&Aの1つです。SPACは新規株式公開(IPO)を通じて資金を調達し、その後非公開企業と合併して株式を公開するペーパーカンパニーです。鉱業分野では今回のケースは過去に例が少なく、特殊と言えます。グレンコアはACGの株式に1億ドルを投資し、ステランティスと鉱山投資ファンドのラ・マンチャ・リソース・キャピタルもそれぞれ同額の株式投資を提供します。VW傘下のPower Co.は、1億ドルをニッケルの「前払い」として支払いを行います。1年前にイーロンマスクが鉱山会社を買収する意思がニュースで伝わり、EVメーカーの原料争奪戦が始まりました。世界の2位と3位の自動車メーカーが、EV化に向け欧州の鉱業大手と組んで本格的に鉱山業の買収に進出するという新しい流れです。
▶ https://www.reuters.com/markets/deals/glencore-automakers-back-1-bln-nickel-copper-spac-deal-brazil-2023-06-12/
ジョージ・ソロスが250億ドルの資産規模を有し、世界の政治・経済に多大な影響を与え続けているオープン・ソサエティー財団の経営権を息子のアレクサンダー(アレックス)・ソロスに譲りました。元々ソロスは5人の子供たちに財団を引継いで欲しくない意向を示していましたが、息子のアレックスは、父親のジョージから財団を譲り受けた事を認めました。アレックスは父親より「政治的」である事を本人も認めています。父親のジョージは既に膨大な資金を財団に投入しており、今後数10年はアレックスが政治的影響力を行使できると予想されています。しかしアレックスは、父親のような天才ヘッジファンドマネージャーではなく、興味を寄せるかは疑問で、ゆっくりと影響力が少なくなるのでは、とも見られています。何より90代の父親が築いた実績とカリスマをお金だけで獲得する事は不可能な事は確かです。ソロス関連の米国や東欧への政治献金額は突出しており、直接間接的に与えてきた影響は計り知れません。その為、多くの陰謀論にも巻き込まれてきました。ジョージ・ソロス、ルパード・マードック、ヘンリー・キッシンジャーの90代トリオが表舞台から徐々に影が薄れていき、年代が近いクラウス・シュワブ(WEF会長)も後継者の問題が囁かれるなど、世界は時代の変わり目に来ているように見えます。今の世界経済フォーラム(WEF)の前進である「欧州経営シンポジウム」を事実上作ったのは、国連環境・人口会議事務局の創設者で国連環境計画初代議長、気候変動運動の「発明者」「ゴッドファーザー」と呼ばれたモーリス・ストロング(クラウス・シュワブのメンター)で、その後にこの「欧州経営シンポジウム」をWEFにまで押し上げたのがウクライナ人のボダン・ハウリシンで、そのハウリシンの盟友の1人がジョージ・ソロスという流れです。その為、国連もWEFも環境・気候変動を主要アジェンダとして早い段階から提唱し続けてきた経緯があります。
▶ https://www.businessinsider.com/george-soros-son-alex-taking-over-empire-2023-6?r=US&IR=T
▶ https://www.opensecrets.org/elections-overview/top-organizations?cycle=2022
EVの値下げ競争が中国全土で拡大した影響により、電池交換式のプレミアムEVを製造する中国のNioが、交換の無料サービスを終了する事を発表しています。Nioの発表は全モデルの価格を6~9%引き下げる事と同時に行われています。これは同社が利益減と売上不振による圧力を受けて行われたものです。Nioの第1四半期の業績は市場予想を下回りました。中国では自動車需要の低迷が波紋を呼ぶ中、BYDやVWを含む40以上の自動車ブランドがシェア争いの為に価格競争を行っています。Nioは2023年内に中国国内に1,000ヵ所の電池交換ステーションを建設し、年末までにステーションの総数を2,300カ所に増やす計画を発表したばかりでした。
▶ https://www.scmp.com/business/china-business/article/3223815/chinese-ev-start-nio-cuts-prices-us4200-ends-battery-swapping-services-sales-stutter
欧州廃棄物管理協会(FEAD)が、先日欧州委員会が発行した早期警告報告書に関するポジションペーパーを発行しています。報告書ではEU加盟国27ヶ国の内、9ヶ国だけが2025年までに廃棄物削減目標(都市廃棄物のリサイクル率55%、包装廃棄物リサイクル率65%)を達成でき、残りの国は一部又は全部を達成出来ないというものです。このポジションペーパーでは分別収集、リサイクル、そしてごみ発電(エネルギー回収プラント)をより優先する必要があり、公的な支援が必要な事を強調しています。FEADは7月6日にイベントを開催する予定で、そこでは廃棄物を循環経済に適用させる為に廃棄物管理業者と製造業との新たな提携について議論される予定です。イベントには業界の専門家、政策立案者、関係者が出席予定です。EPRへの動きは継続しています。
▶ https://fead.be/position/fead-pledges-commitment-of-the-waste-management-industry-as-member-states-struggle-to-meet-recycling-targets/
欧州委員会は6月13日に持続可能な金融分類(EUタクソノミー)の最新案を発表する予定です。今回の最新版では、水、循環経済、汚染防止、生物多様性に関する新たな技術的審査基準を提案すると予想されています。今回、生物多様性を巡り「生物多様性のオフセット」という定義が組み込まれる可能性があります。これは何らかの経済プロジェクトによって引き起こされる生物多様性への避けられない影響を補う為に別に行う自然保護活動の事で、言い換えれば生物多様性を犠牲にした場合は別の地域で自然回復に関連する活動行う事で相殺するという制度です。この問題は物議を醸しており、EUタクソノミーにカーボン・オフセットが含まれていないにも関わらず、生物多様性オフセットをタクソノミーに導入することは「矛盾」だとの意見があります。EUタクソノミーは厳格な条件付きながら原子力を「グリーン」と分類した事や、数年前には木質ペレットに代表される森林バイオエネルギーと林業の条件が脆弱かつ「非科学的」だとの抗議からNGOの数団体が「持続可能な金融に関する欧州委員会の専門家協議グループ」への参加を一時停止した経緯がありました。EUタクソノミーは内部からも政治色が極めて強いとの批判があります。
CNBCが繊維リサイクルについて、大手ファッションブランドや新興企業の動きを掲載しています。EUの繊維製品に関する新な規制、米カリフォルニア州の繊維製品に関するリサイクルを義務化するSB 707法案、ニューヨーク州の「ファッションの持続可能性及び社会的責任法」等、生産者に対する規制が次々に出てきています。欧州ではファストファッションを終わらせるという議会の強い表明もあり、メーカーが動き出しています。アディダスは2023年末迄にリサイクルポリエステルのみを使用する予定で、現在の使用率は96%です。当初の目標より1年早く進捗しています。しかしリサイクルポリエステルの世界市場が小さく、サプライチェーンを拡大・構築する必要があります。ZARAは2025年迄に全ての衣類に100%オーガニックコットン、リサイクル、または持続可能な素材の生地のみを使用し、100%リサイクルポリエステルとオーガニックリネンを使用するという目標を掲げています。Renewcell、Evrnu、Spinnova、SuperCircle等の新興を含む繊維リサイクル会社が最近次々とプレゼンスを高めています。これらリサイクル企業のビジネスモデルは今後どのように成功するのか注意深く見る必要があります。確実なのは綿のTシャツをリサイクルして100万ドル儲けるビジネスはほぼ不可能なので、どのような方法でマネタイズできるのか、その鍵は規制にありそうです。
▶ https://www.cnbc.com/2023/06/11/a-recycled-idea-at-levis-adidas-to-stop-clothing-from-going-to-waste.html
スペインのインフラ企業Sacyr SAは同社の廃棄物管理事業(バロリザ・セルビシオス・メディオアンビエンタレス(VSM))を投資会社であるモルガン・スタンレー・インフラストラクチャー・パートナーズ(MSIP)に売却すると発表しました。売却額は総額7億3,400万ユーロで、その内、約4億2,500万ユーロがVSMの資本に相当します。VSMは廃棄物の収集、処理、管理等、廃棄物リサイクルチェーンにおける様々なサービスと管理を専門としています。超大手の投資会社が廃棄物管理サービス部門を買収するという事で、それなりのニュースになっています。Sacyr SAは一部事業で負債を抱え、様々な事業を分割して売却を進めていたようですが、詳細は明らかになっていません。
▶ https://www.marketscreener.com/quote/stock/SACYR-S-A-69101/news/Sacyr-S-A-reaches-agreement-to-sell-100-of-Valoriza-Servicios-Medioambientales-VSM-to-Morgan-St-44089697/
ポーランドは、2035年からEUで禁止される内燃機関乗用車(ガソリン、ディーゼル車)の規則に反対し、数日以内にEU最高裁判所に提訴する予定であると、同国の気候変動大臣が発表しています。今年初めに承認されたEUの一連の規制案では、乗用車やバンからの炭素排出を2035年からゼロにすることを定めています。当初よりポーランドは一貫してこの提案に反対していました。内燃機関乗用車の禁止が市場と社会に及ぼす影響について適切な分析が不足しているという理由で、規則に反対票を投じた唯一の国でした。同国の気候変動大臣は「私たちはこの文書(規則)やFit for 55パッケージの他の文書に同意せず、これを欧州司法裁判所に提訴するつもりです。他の国も参加してくれることを願っています」とラジオで発言しています。訴状は数日中に出される予定です。ユーロ7の排出規制も議論の的になっており、今後、すんなり全てが進むかは注目されています。
▶ https://europe.autonews.com/environmentemissions/poland-appeal-2035-combustion-car-ban-eu-court
欧州委員会はEUタクソノミーの新たな追加パッケージを発表しました。今後、幾つかの手続きを経て2024年1月から適用される予定です。ESGの格付けプロバイダーの透明性と運営に関する規制が提案され、採用された場合は、企業持続可能性報告指令(CSRD)の対象となる企業によって使用される事になります。事前のリーク内容の通り、水と海洋資源の保護、循環経済への移行、汚染の予防と管理、生物多様性及び生態系の保護と回復が追加され、持続可能を求める経済活動のリストが拡大されます。
▶ https://ec.europa.eu/commission/presscorner/detail/en/qanda_23_3194
米国エネルギー省(DOE)はバッテリーリサイクル技術の進歩に向けて1億9,200万ドル(約275億円)の資金を提供する事を発表しました。これは2030年迄に米国の自動車販売台数の半分をEVにするという現政権の目標に対応するものです。この資金はEV及び定置型蓄電池エネルギー貯蔵システム(BESS)用バッテリーの「安全で持続可能な国内サプライチェーン」を支援する事を目的に提供される事になります。また主要な自動車メーカー、大学、国立研究所、鉱物と材料のサプライヤー、その他の主要なバッテリー関係者を招集し、「先進電池研究開発コンソーシアム」を組織し、最大6,000万ドルを提供する予定も加えられています。
▶ https://www.energy.gov/articles/biden-harris-administration-announces-192-million-advance-battery-recycling-technology
先週Natureに掲載された英国オックスフォード大学の研究者らによるリチウム個体電池(Li-SSB)の研究が話題を呼んでいます。この研究は高度な画像技術を使用してリチウム金属固体電池が故障するメカニズムを明らかにしたものです。Li-SSBは他の電池とは異なります。Li-SSBは負極にリチウム(金属)を使用しており、多くのエネルギーをバッテリーに蓄える事ができ、自動車の航続距離、安全性、性能を大幅に向上する事が可能です。しかし充電時にリチウム金属による短絡が発生し易くなるという課題がありました。オックスフォードの研究チームはこの短絡がどのように発生するのか、またどのように回避できるのかについてテストを実施しました。リチウム金属陰極の全固体電池は電池技術の進歩が直面する最も重要な課題の1つです。SSBは2040年迄に世界の電池家庭用電化製品の50%、輸送用電池の30%、航空機用電源の10%のシェアになると予測されています。
▶ https://www.ox.ac.uk/news/2023-06-08-new-study-could-help-unlock-game-changing-batteries-electric-vehicles-and-aviation
中国の大手電池及びEVメーカーのBYDは、中国の複合企業「淮海控股集団」と戦略的協力協定を締結し、江蘇省徐州にナトリウム・イオン電池を製造する合弁会社を設立する事が伝えられています。BYDは小型EV用ナトリウム電池システムの世界最大のサプライヤーになる事を目指しています。公式発表では建設開始のスケジュールや試運転の予定は明らかにされていません。工場の生産能力に関する詳細も明らかにされていません。このバッテリーはマイクロカーや二輪車等の小型EVモビリティ向けに計画されていると伝えられています。
▶ https://laoyaoba.com/n/865315
トヨタ自動車が昨日発表した「クルマの未来を変える新技術」で、ギガ・キャスティングの部品を動画でYouTubeにあげています。既にテスラで商業利用されている技術です。今まで鋼板をプレス成型した部品を溶接で接着しながら構造部を作る方法から、巨大なアルミキャスティング機で一体成型してしまう方法です。バッテリートレイのアルミ+車体骨格でもアルミが利用される事になるとコストが上昇するだけでなく、リサイクルする時に部品の溶解による再利用という流れになる可能性が非常に高く、ELVに対するメーカーの管理が一層高まる理由になります。既に、欧州ではこの動きは具体化し始めています。
▶ https://www.youtube.com/watch?v=GsHw0qBKs3w&t=23s
▶ https://global.toyota/en/newsroom/corporate/39288520.html
スウェーデンの新興LIBノースボルト社は、5月にドイツのハイデに30億~50億ユーロを投資しLIBギガ工場を建設すると発表しましたが、未だ公的援助の正式な要請は欧州委員会に提出されていません。この発表は米国による大型の補助金を伴う誘致の懸念が伝えら得た中で行われました。ドイツの放送局ARDによると、米国とネブラスカ州は、同州に電池工場を建設する場合、総額8億5000万ユーロの補助金を提供すると申し出ていました。これに対してドイツはEUの「一時的危機移行の枠組み(TCTF: EU’s Temporary Crisis and Transition Framework 」制度や「欧州共通利益の重要プロジェクト」(IPCEI)制度を利用して対抗提案を行っていました。欧州委員会が資金提供を承認すればTCTFが初めて適用される事になります。Euractiveによると、今日現在、資金提供の為の通知は提出されていません。ドイツ経済省と欧州委員会は予備的な協議は認めていますが、それ以上の情報は提供しない意向を伝えています。過去2年、欧州で様々なLIBギガ工場プロジェクトが発表されてきましたが、中韓資本以外ではフランスに設立されるトタルエナジー、ステランティス、ベンツよる合弁LIB工場以外、工場建設に動いている所は殆どありません。欧州資本のギガ工場の半分以上は、資金、エネルギーコスト、人件費等の複数の要因により計画を遅延し続けています。
欧州委員会は米国との重要鉱物協定(CMA)に関する交渉を行う事を決定しました。目的はEVバッテリーの生産に必要な重要な原材料に関してEUと米国の間でサプライチェーンを育成することです。EU-米国CMAと呼ばれるこの協定が成立すれば、米国IRAの下でも、EU企業は米国市場でチリ、韓国、日本等の競合企業と同じ条件で競争出来るようになります。現在EU政府は、原材料の「戦略的パートナーシップ」についてチリと協議中で、その交渉が最終段階に来ています。これはチリが生産するリチウムと銅がEUの重要な原材料にリストに入っている事が大きな理由です。既に中国は数年前から動いており、バッテリーとその原材料で圧倒的な世界シェアを占めている事から、こうした政治的な動きが最終的な企業の競争力に繋がるかは疑問の声もあります。
▶ https://ec.europa.eu/commission/presscorner/detail/en/ip_23_3214
欧州の電池規制案が法制度に向け前進しています。欧州議会は2020年12月に欧州委員会より提出された電池と廃電池に関する規制案(EU電池指令の改正案)を承認しました。主な数値目標はポータブルバッテリー:廃棄物の収集率で2023年迄に45%、2027年迄に63%、2030年迄に73%。EVや2輪等の軽輸送(LMT)バッテリー:廃棄物の収集率は2028年迄に51%、2031年迄に61%。廃バッテリーから回収される材料の最低値:リチウム -2027年迄に50%、2031年迄に80%。コバルト、銅、鉛、ニッケル- 2027年迄に90%、2031年までに95%。
新しい電池に使用する廃棄物からのリサイクル含有量の最低レベル:規制発効後8年- コバルト16%、鉛85%、リチウム6%、ニッケル6%。発効から13年後:コバルト26%、鉛85%、リチウム12%、ニッケル15%、となっています。
▶ https://www.europarl.europa.eu/news/en/press-room/20230609IPR96210/making-batteries-more-sustainable-more-durable-and-better-performing
スウェーデンのSwedish Tyre Recycling ABが、年間9万トンの廃タイヤをリサイクルする工場を稼働しました。同社は2021年に、2023年1月からパートナーと協力して全国的な使用済みタイヤの回収・リサイクルを行う計画を発表していました。リサイクル自体は現状行われているタイヤチップを製造する工程となり、販売する製品も一般的なものですが、2年掛けて地元のパートナーとスウェーデン全土からの回収システムを構築した事がポイントと言えます。同社は「SDAB2.0」と呼ばれるプロジェクトを推進する事でタイヤ ショップ、リサイクルセンター、その他のタイヤ回収ポイントに専用アプリを配布し、モバイルやPC経由でタイヤの回収を注文できるようにしました。このアプリは使用済みタイヤの収集を合理化する為に作成されたものです。また今年秋には世界初となるリサイクルタイヤゴムに関する「研究ポータル」(タイヤリサイクル研究部門)を開設する事を計画しています。同部門はELTRP(End of life Tire Research portal)と名付けられる予定です。
▶ https://www.sdab.se/press/#/pressreleases/svensk-daeckaatervinning-tar-vaerldsledande-daeckaatervinning-i-drift-vid-tekniska-verken-linkoeping-3257311
国連によるSDGsの12.3を基に、現在、欧米では食品ロスと食品廃棄物に関する規制が進められています。SDGsの目標は2030年迄に世界の食品廃棄物を半減し、生産と供給における食品ロスを削減することです。世界の食料システムは生産から消費までに年間で約18GtCO2eの総温室効果ガスを排出しており、約半分が食品廃棄物によるものです。また国連によると、二酸化炭素排出量に加えて、2021年には8億人以上が飢餓の影響を受けています。2020年にはハーバード大学ロースクール、ドレクセル大学、世界自然保護基金、天然資源防衛評議会、ReFED等の専門家チームが、政策や研究などでの使用を目的として「アップサイクル食品」を正式に定義しました。アップサイクル食品とは、通常は廃棄される食品製造の余剰成分や副産物を使用して人間が消費するための新しい製品を製造する事です。世界最大の飼料とエビの生産企業であり、鶏肉と豚肉の世界トップ3の企業でもあるタイのCharoen Pokphand Foods(CPF)は、国連のSDGsに沿った、食品ロスと食品廃棄に関する政策を発表しました。CPFは英米企業を買収して多国籍化した大企業で海外事業が65%を占めています。同社が1つの典型的な例ですが、情報戦で常に優位に立ち、それを事業戦略に落とし込めるスピードが国を問わず国際的な大企業になる1つの大きな要因と思われます。
▶ https://www.cpfworldwide.com/en/media-center/sustainability-manage-food-loss-and-food-waste-sustainably