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NEWSCONの気になるNEWS(2023年4月第3週)

欧州自動車最大手VWが、現在議論を巻き起こしているEuro 7排ガス規制提案について、実施を少なくとも 2026 年の秋まで延期する事を求めました。欧州理事会と議会は今年、窒素酸化物と一酸化炭素を含むEuro 7排ガス規制提案について交渉する予定です。昨年の提案発表から欧州の自動車メーカーは、計画通り早期に実施するにはコストが掛かり過ぎて不可能であると主張していました。イタリアの運輸大臣は来年のEU議会選挙前までには交渉に応じない等、業界だけでなくチェコやポーランド等、自動車生産国の政治を巻き込んで反対意見が相次いでいました。VWは提案通り2025年7月から新規制が実施されると、欧州全体で何ヶ月も多くの車種の生産を停止せざるを得ない事を主張しています。新規制にはブレーキやタイヤの摩耗で発生する微粒子状物質の排出制限があり、関連メーカーも反対を続けてきました。しかし現在のEU議会は2019年の選挙時に環境タカ派が多数当選しており、全ての環境規制で実現が困難な野心的な提案を支持しています。VWはディーゼルゲートで信用を失墜させ、過去にロビー力が弱まっているという事情も背景にはあります。
https://europe.autonews.com/environmentemissions/vw-seeks-euro-7-tailpipe-regulation-delay

LIBリサイクルに関して欧州で2つの動きがありました。
スイスの鉱山大手グレンコアは、スペインとポルトガルでLIBのリサイクル事業を展開する事を発表しています。LIBリサイクルはスペインとポルトガルで廃棄物管理を行う準大手のFCC アンビトと、スペインのエネルギー会社イベルドローラと協業して行われます。リサイクルはLIB工場発生のスクラップと使用済みLIBの両方を行い、更に使用済みLIBの中古利用事業も行う計画です。場所は決まっておらず、規模も発表していません。スペインではVASQUEVOLTやVWグループのSEAT等が一部計画は発表していますが、実態として進んでいません。ただしスペインやポルトガルは太陽光を中心とする再生可能エネルギーへの投資が増しており、通年を通して電力消費の多い産業が見直されています。特にグリーン水素投資はこの地域に集中し始めています。
https://www.glencore.com/media-and-insights/news/glencore-fcc-and-iberdrola-partner-to-provide-lithium-ion-battery-circularity-solutions-for-spain-and-portugal

廃棄物管理大手のRemondisの子会社で金属リサイクル子会社であるTSRと自動車生産用の物流や組立請負を行うRhenus AutomotiveがThe Battery Lifecycle Company GmbH(BLC)を設立し、LIBの再利用とリサイクルを行う事を発表しています。両者は独Rethmannのグループ企業です。JVはリサイクルだけでなく、修理や再利用も行います。このJVの特徴は自動車生産用の物流や組立請負を行うRhenus Automotiveが静脈側でLIBの輸送や管理に精通している事から、危険でコストが掛かるLIBのロジスティックスのノウハウがある事です。Remondisは自動車リサイクルでは欧州でも最大手の1社でTSRはリサイクル金属販売のノウハウが豊富です。今後ESS(エネルギー貯蔵システム)で大量に利用されるLIBのリユース品の価値を考慮すると、動脈+静脈の中間に当る再利用のサービスをソリューションの1つに持つ事は強みと言えます。ただドイツはVWやベンツが自社でリサイクルに乗り出しており、どのような調達ルートを構築できるかが1つのテーマとなりそうです。
https://www.rhenus.group/news-media/detail/rhenus-and-tsr-set-up-a-joint-venture-for-reusing-and-recycling-lithium-ion-batteries-from-the-mobility/

米国海洋大気庁(NOAA)が先週発表した2022年の世界の温室効果ガス(GHG)量が注目されています。NOAAの年次報告書では上位 3つのGHGが2022年に「未知のレベル」に達し続けている事が強調されています。3種類とはCO2、メタン、亜酸化窒素です。大気中のCO2は2.13 ppm増加して417.06 ppmとなり、過去10年間の伸び率とほぼ同じです。CO2が2 ppmを超えて増加したのは11年連続です。それ以前は2 ppm以上のCO2の増加が3年連続で記録された事はありませんでした。2022年のメタンの増加は14.0ppb で1983年に測定が開始されて以来、4番目に大きい増加率です。亜酸化窒素は1.24 ppb上昇し335.7ppbになりました。2000年以来 3番目に大きい伸びです。報告書では現在の大気中のCO2の量は約430万年前の水準に相当し、当時の海面は現在よりも約23m高く、平均気温は産業革命前よりも約摂氏3.9度高かったという事です。ただし地球の気候変動をたった1つのガスを基に過去と比較する事自体が、科学的ではなく恣意的な匂いがしますが・・・この手の研究レポートには多いパターンです。1ヶ月前に国際エネルギー機関(IEA)が出した報告書では、世界の「エネルギー関連のCO 2排出量」は2022年に0.9%の伸びで、経済成長率を下回り、経済成長と炭素排出量をうまく「切り離す」ことに成功し始めている事を示唆していました。
https://www.noaa.gov/news-release/greenhouse-gases-continued-to-increase-rapidly-in-2022

先日中国政府が鉄鋼生産量の調整を検討している事を伝えましたが、ロイターやブルームバーグが報じた生産調整情報が多くのサイトで拡散されています。内容は中国政府が2023年の国内鉄鋼生産を2022年と同等量に抑えることを計画している事です。しかし政府は下半期に政策を変更する可能性を残しています。Mysteelによると、この政策とは別に既に広東省の18の電炉は4月17日の時点で鉄鋼販売で利益を出せず、14社が鉄鋼生産量を削減、1社は完全に停止しています。鉄スクラップ価格は高止まりしていたものが、先週から下げ始めているようですが、完成鋼の価格は下落し続けており、メーカーは苦戦しています。ただし中国の輸入鉄スクラップ量は限定的の為、国際市場への鉄スクラップ価格への影響は限定的と見られています。それよりも2023年の世界経済成長の半分はインドと中国で担うとの予測から、思った以上に景気が良く無い可能性があり、影響が他に出てくる可能性があります。
https://thedeepdive.ca/china-cuts-steel-output-over-environmental-concerns-leading-to-falling-iron-and-coal-prices/

欧州の120の包装利害関連団体が、 欧州政府宛てに共同書簡を発行しています。これは包装廃棄物指令 94/62/EC (PPWD) の改定に関するもので、現在、欧州委員会は指令PPWD を改定し、規則(PPWR)に変更することを提案しています。この書簡は、規則に変更する法的根拠を欧州政府に示すよう、強調するものです。欧州指令は加盟国が各国で法律に落とし込むものですが、欧州規則は単一市場全体に定められるもので加盟国が関連する他の法律の適用によって提案されている規則が断片化する事を防ぐ狙いがあります。断片化によって法律の「パッチワーク」での対応が必要な場合、その国の消費者の安全、環境保護、競争力を損ない、加盟国全体の循環経済を構築するという目的を損なう、と強調しています。表向きはこのような表現ですが、本音はこの規則が厳し過ぎ、二次原料の市場が十分に熟成していない中での欧州全体の規制に、産業界が追い付いていない事が原因です。元々指令を規則に昇格させる大きな目的は、加速度的に増え続ける包装廃棄物に歯止めをかける事です。フランス等の一部の加盟国では、包装及び包装廃棄物に関する国内法を採用しており、EU 全体法を先取りしている所もあり、市場格差に繋がっています。
https://www.europen-packaging.eu/wp-content/uploads/2023/04/Joint-Industry-Statement-on-PPWR-Single-Market-Legal-Basis-1.pdf

英国の財務長官が、現在米国が行っている膨大なグリーン支出は世界を「暗黒時代」に突入させる可能性がある、と警告して話題になっています。これは現在の英欧が置かれている立場を象徴するものです。昨年、米国大統領は気候変動対策とエネルギー事業を支援するための 3,690億ドルの補助金パッケージを法律として制定しました。FT紙の推計ではインフレ削減法によって米国は凡そ2000億ドルの投資を集めており、EUと英国は対応を迫られています。この政策は経済が関税と補助金によって管理される「保護主義経済」時代への恐怖を引き起こしています。補助金は元々イノベーションを援助するものですが、今の政策は「補助金を無くすと事業が成り立たなくなる可能性がある企業」を生み出している事です。英国財務長官のハント氏は「自由貿易に背を向ければ、世界経済は大惨事になる。暗黒時代に突入する。私たちは保護主義に移行したくない」と述べています。悪い言い方をすれば、補助金によるグリーン投資の呼び込みは欧州で始まったもので、世界最大かつ自由貿易国である米国が欧州の何倍もの規模で始めた事で、完全にゲームがチェンジしています。
https://uk.finance.yahoo.com/news/biden-green-spending-blitz-could-050000424.html

欧州議会が「欧州排出権取引制度」(EU ETS)の改革案を採択しました。この改革案は、これまでで最大かつ最も野心的な気候政策の1つと言われています。投票では海事部門のGHG排出量を初めてEU ETSに含めること、また航空部門の改訂にも同意しています。これにより2026年迄に航空部門の「無償排出枠」が段階的に廃止され、持続可能な航空燃料の使用が促進されます。更に重要な事はEU 炭素国境調整メカニズム(CBAM)の規則を採択した事です。CBAMの対象となる製品は、鉄鋼、セメント、アルミニウム、肥料、電気、水素、です。これらの商品の輸入業者は、生産国で支払われる炭素価格とEU ETSの炭素排出権価格との差額を支払わなければなりません。所謂国境炭素税です。現在それらの業種に与えられている「無償排出枠」は2026年から2034年に掛けて段階的に廃止され、それに伴いCBAMの採用が拡大していきます。
https://www.europarl.europa.eu/news/en/press-room/20230414IPR80120/fit-for-55-parliament-adopts-key-laws-to-reach-2030-climate-target

昨年、EUタクソノミーは天然ガスと原子力を条件付きでグリーンに分類し、持続可能な金融規則の下でグリーン投資のラベルを与えています。このEUタクソノミー委任法は1月1日に発効しています。5つの環境団体がこの法律に関して、欧州委員会を欧州司法裁判所に提訴しています。昨年9月Client Earth、WWF 欧州政策局、Transport & Environment (T&E)、BUND(Friends of the Earth Germany) の4つの環境団体が欧州委員会に異議を申し立てていましたが拒否されました。訴えの根拠となる理由は、化石ガスは『持続可能』には当てはまらず違法である、というものです。 委任法はEUの科学者らによる助言に反するものであり、EUの気候変動対策の信頼性を根本的に損なうものと見られています。今回の提訴は上記4団体にグリーンピースが加わって起こされました。昨年10月にはオーストリアが新しい分類法(タクソノミー)を覆すよう、欧州連合裁判所に訴状を提出しています。この問題はロシアのガスを欧州ハブとして拡散販売する、欧州議会最大議席割当かつ欧州委員長を出しているドイツの目論見が壊れた事が大きな要因です。元々この動きは旧東ドイツの「緑の党」が統合後のドイツ連立政権に入った頃から本格化したもので、苦し紛れのタクソノミー変更は、誰の目にも明らかでした。
https://earth.org/eu-gas-nuclear/

欧州も中国問題で揺れています。欧州議会で中国に関する政策の明確化と統一を求める議論がありました。EUの外交政策責任者はEUによるロシアへの制裁、リトアニアとの問題、台湾海峡での中国の軍事演習により、EUと中国の関係が最近悪化している。しかしEUは中国と話し続ける必要があることを強調しています。EU政府トップである欧州委員長は、中国との関係管理の重要性を述べ、デカップリングは欧州にとって実行可能でなく、また望ましくなく、現実的でないことを強調しました。欧州がデリケートな部分のリスクを取り除く必要がある事も言及しています。欧州議会議員は中国に対する効果的で一貫性のある「統一された戦略」を求める声で一致団結しました(同じような事を、クリミアの時のロシア問題で聞いたような覚えがありますが・・・・)。
https://www.europarl.europa.eu/news/en/press-room/20230414IPR80115/meps-call-for-clarity-and-unity-in-policy-on-china

インフレ削減法によるインセンティブで米国にはEV関連投資が増加し続けていますが、そのような中でZero Hedgeが「アメリカ人がEVを買わない理由」というレポートを上げています。FT紙はインフレ削減法による補助金が出てもEV を購入する可能性が非常に高いアメリカ人は10人に2人に過ぎないと報じました。特に高いEV価格や充電設備の不足が依然として解決されていません。EV購入に関して補助金を理由の1つとして挙げた人は10人中6人で、EVを購入する「主な理由」と答えた人は10人中3人に過ぎませんでした。カリフォルニアのように電力問題が解決していない事も要因の1つです。本当の問題は補助金を止めると購入者が減るという、中国と同じ現象が表れた時かもしれません。
https://oilprice.com/Energy/Energy-General/Why-Americans-Arent-Buying-EVs.html

CATLは自社のナトリウムイオン電池が中国のEVメーカーChery Automobileの車に搭載されると発表したばかりですが、更に旅客機用途を視野に入れたエネルギー密度が最大500Wh/kgの凝縮型(condensed)バッテリーを発売する事を発表しています。このバッテリーは、超高エネルギー密度のカソード材料、革新的なアノード材料、セパレータ、及び製造プロセスを含む一連の革新的な技術を統合した仕様となっており、優れた充放電性能だけでなく、安全性能を確保しています。現在CATLはパートナーと協力して電気旅客機の開発を行っています。航空レベルの安全性と品質の要件を満たす試験を実施しています。更に車載用としてもこの凝縮型バッテリーを年内に量産開始する予定です。CATLは3月に第3世代の「CTP(cell-to-pack)」技術を利用した車載用バッテリーの量産・販売を開始したばかりです。同バッテリーはセル~システム構造に至るまで革新技術を採用する事で、三元系のエネルギー密度が255Wh/kg達成し、EV車の場合、航続距離を最大1000Kmにまで伸ばす事が可能と宣伝していました。LFPでも160Wh/kgまでエネルギー密度を高める事ができると発表していました。
https://www.catl.com/en/news/

Apple社が2025年迄に自社製品に搭載されるバッテリー内のコバルト、磁石の希土類元素、自社設計の基板のスズ、はんだ、金に 100%リサイクル材を使用する事を発表しています。 金は当然ですが 、その他にも幾つかのリサイクルへの取組を発表しています。昨年、Appleはリサイクル金属の使用を拡大し始め、現在アルミの3分の2以上、全希土類金属の約4分の3、タングステンの95%以上をリサイクル材としています。また専用プリンターを開発し、iPhone 14とiPhone 14 Proの製品ボックスに直接デジタル印刷をする事で多くのラベルを不要にしました。トップメーカーのこの動きと発表はある程度業界にインパクトがあると思われます。(Appleの気候変動、CEへの取組は有名ですが、現在一番長く取締役(20年間)を務めているのは、あの気候変動で最初に億万長者になりスポークスマンと言われるアル・ゴアです。3月の取締役会では株主であるNational Legal and Policy Center(NLPC)からCEOのティム・クックとアル・ゴアの取締役の継続に反対票を投じるよう他の株主に促すという事件が起こりました。NLPCはアル・ゴアが取締役として有する唯一の資格は、彼が地球温暖化の「チキン・リトル」(寓話に出てくる「空が落ちてくる」と騒ぎ立てるキャラクター)だった事、と皮肉っています。
https://www.apple.com/newsroom/2023/04/apple-will-use-100-percent-recycled-cobalt-in-batteries-by-2025/

英国でファンドによるスクラップ企業の買収がありました。BW Riddleという屋号で運営されているPeterborough Metals Recycling (PMR)が中小企業専門に投資するHarwood Private Capitalによる資金提供で、コンサルタント会社のKJB Global Consultingに買収されています。同社は英国では大手リサイクル企業で2022年にはチャーター船で50万トン以上の金属スクラップを輸出しています。買収を行った中心人物は同社幹部でBIRの幹部でもあるTom Bird氏で彼は過去にScholz RecyclingとChiho Environmental Groupのトレーディング部門の幹部でした。金属スクラップ企業の買収に関して、業界のベテランを主軸にコンサルタント企業がファンドの資金を使いオーナーとなるという流れは、今までにはあまり無い動きです。CE、ESG、脱炭素で金属スクラップの原料価値が次の段階にステップアップしている事の例と言えます。ファンドが買収に乗り出すこの動きは、鉄鋼メーカーがスクラップ企業の価値が上がる前により垂直統合に動く可能性を生み出すかもしれません。欧州最大の鉄鋼メーカーであるアルセロールミッタルは2022年からスクラップ会社4社を買収し、130万トン以上のスクラップ発生を手に入れています。
https://lexingtoncf.co.uk/transactions/kjbconsulting/
http://www.bwriddle.co.uk/

議会で採択された欧州排出権取引制度の改定案が、欧州の貧しい国々の人々に打撃を与える可能性が懸念されています。改定案では取引制度を輸送と暖房用燃料にまで拡張する事が盛り込まれています。現在ハンガリー、ブルガリア、ルーマニア等の中央/東ヨーロッパの国の貧しい家庭では、未だに薪が主要な暖房源となっています。特にハンガリーでは低所得層のほぼ半分の世帯が薪か固形燃料を利用しています。現在の改正案は賃金や貧富の格差のあるEU27ヵ国に平等に適用される為、不平等を悪化させ、よりクリーンなエネルギー源に移行する余裕のある人とそうでない人の間の格差を深める方向に進んでいます。既にロシア制裁により薪の価格が高騰する中、ガスや地域暖房を利用する事が出来ず、電気暖房も手頃な価格ではないため、熱の代替手段がない最も脆弱な世帯が壊滅的な打撃を受けています。こうした経緯から欧州政府はCold Homes Fund を設定する事を計画しており、社会的・技術的支援を追加して暖房の改修を最も必要としている人々に的を絞った資金を割り当てる予定です。
https://www.euractiv.com/section/emissions-trading-scheme/opinion/eu-ets-extension-could-have-devastating-impact-on-low-income-households/

欧州議会はEUで販売される製品が森林伐採、又は土地を劣化させたものでない事を証明する規制について可決しています。森林破壊に関する本規制は牛、ココア、コーヒー、パーム油、ゴム、大豆、木材を含む製品に適用されます。これらの商品を使用して作られた革、チョコレート、木炭、印刷された紙などの製品も対象となります。規制が発効した場合、EU当局は企業から提供された地理的な位置情報等の情報にアクセスし、衛星監視ツールとDNA分析を利用して製品の原産地を確認します。違反した業者への罰則金は違反者のEUにおける年間総売上高の少なくとも4%となる予定です。同法律では製品をEUに輸入する企業に対し、その製品が森林伐採された土地からのものではない事、または森林の劣化に繋がっていない事を確認する、いわゆる「デューデリジェンス」ステートメントを発行することを要求します。ステートメントには2020年12月31日以降、商品が生産された全ての土地の数量や地理的な位置情報を含める必要があります。またこれらの製品がその地域に住む先住民族の権利を尊重し、生産国の関連法に準拠している事を要求しています。この法案はかなり野心的なものとして捉えられています。しかし何百万本も木を伐採して製造する木質ペレットがEUでは再生可能燃料という矛盾に変更が無い所が、EUらしい所です。
https://www.europarl.europa.eu/news/en/press-room/20230414IPR80129/parliament-adopts-new-law-to-fight-global-deforestation

英国と欧州ではグリーンウォッシングに対する規制強化が始まっていますが、米国でも連邦取引委員会(FTC)が、グリーンに関する主張を行う場合の「グリーンガイド」の更新を進めています。米国のグリーンガイドは1992年に最初に発行され、1996年、1998年、2012年に改訂されました。最新の改訂に関しては、現在パブリックコメントを募集しており、当初予定していた締め切りである1月末を4月24日まで延長しています。グリーン志向の高まりから、欧米では企業によるグリーンウォッシングが横行しており、先に規制を進めている欧州政府は特にグリーンの主張をしている欧州で販売されている食品の凡そ40%は根拠が無く、50%以上は曖昧で誤解を招く主張をしている、と考えています。マーケッティング担当者はガイドを熟知しており、その行間をうまく利用して消費者を欺くという行為が横行しています。
https://www.ftc.gov/news-events/topics/truth-advertising/green-guides

昨年末、オランダ応用科学研究機構(TNO)が風力発電の利益性についてレポートを上げ、2030年までに全ての風力発電事業が利益を上げられる訳では無い事を報告しました。Oil.comも独自の調査レポートを上げ、風力発電には収益性の問題がある事を詳述しています。これは欧州でも内部告発として幾つか報告された例がありますが、色々な圧力で報道が広まる事が少ない傾向にあります。世界最大の風力エネルギー企業のいくつかは、経済的な規模が大きいにも関わらず巨額の損失を出しています。しかし多くの関連企業は政府の膨大な補助金と支援により、成長見通しについて楽観的です。これは実事業では赤字でも補助金により黒字化できている実態がある為です。昨年GEは再生可能エネルギー部門で20億ドルの損失を予測し、人員削減を行い、陸上施設部門の人員を1年で20%削減する計画を立てています。世界最大の風力タービンメーカーであるVestasは2022年に10年振りに約16億8000万ドルの損失を出しています。専門家は2030年の世界的な風力発電容量目標を達成する成長を生み出す事が出来るか疑問視しています。業界のアナリストは業界がインフレとサプライチェーンの問題に見舞われ、収益性が極めて悪化している状況となっている事に言及しています。再生可能エネルギー関連企業は世界各国で「突然」倒産するニュースが流れる傾向にあるのは、元々本業での収益性の悪さが補助金により表に出ない体質があるから、と言えます。
https://oilprice.com/Alternative-Energy/Wind-Power/Wind-Power-Has-A-Profitability-Problem.html

米国のプラスチック産業協会(PLASTICS)は連邦取引委員会(FTC)に提出する為に行ったプラスチックとそのリサイクルに関する米国人の意識調査を発表しています。調査では、米国人の62%が使い捨てプラスチックは生活の質にとって重要であると考えています。90%の人はプラスチック製品がリサイクルでどのリサイクルプロセスが使用されるかよりも、ゴミにならない事を気にしており、87%はあらゆる種類のリサイクルを支援する為に、産業界と政府がより多くの事を行うべきだと考えています。更に89%の人はリサイクル材を含む製品には「リサイクルされたコンテンツ」のラベル表示が適切で、91%は「リサイクル可能」というラベルに適したリサイクルプロセスは、機械的かケミカルによるものが適切と考えています。最後に82%の人は製品がリサイクル可能な場合は「リサイクル可能」という表示を付ける事が適切であると考えています。調査は1200人を対象に行われました。
https://www.plasticsindustry.org/article/plastics-survey-consumers-overwhelmingly-support-all-types-recycling

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