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NEWSCONの気になるNEWS(2023年1月第1週)

中国でのLIB用アノード材の生産能力が現在の160万トン/年から今後数年内には約9倍の1,400万トン/年になる為、供給過剰が懸念され始めています。一部の生産者は市場が飽和状態になる事に懸念を示し、投資が鈍化していると言及しています。アノード材の価格は、2022年1月から11月までに40%以上下落しています。ただし計画されている新工場では低品質のアノードしか生産できない為、高品質の黒鉛アノード市場は、しばらく供給不足が続くと見られています。
https://www.argusmedia.com/en/news/2405749-viewpoint-china-overshoots-on-battery-anodes?backToResults=true

ドイツは今年エネルギー改革の最大の山場を迎える事になりそうです。エネルギー危機に直面しているドイツは2030年迄に115GW の陸上風力発電、30 GWの洋上風力発電、215 GWの太陽光発電を目指しています。しかし現在の発電容量は陸上風力発電が57GW、洋上風力発電は約8 GW、太陽光発電が63.4GWしかなく、後8年でそれぞれ2倍以上、4倍、3倍以上に増やさなければなりません。特に洋上風力発電の参加入札が低調で、陸上風力発電は環境アセスメントに時間が掛かるだけでなく、既に最適な立地条件の場所にはそれらの施設が設置済みであり、大幅に増やす為にはかなり大胆な緩和、投資、設置スピードが要求されます。今年スタートするプロジェクトがインフレの中でどれ程の量になるのかは、非鉄市場にも影響が出そうです。
https://www.euractiv.com/section/energy/news/germanys-green-energy-transition-enters-make-or-break-year/

国際通貨基金(IMF)専務理事の Kristalina Georgievaが2023 年の厳しい経済見通しを示し、世界経済の3分の1が景気後退に陥ると予想しています。これは1月1日のTV番組でのインタビューで答えたもので、特に世界第2位の経済大国である中国が約40年振りに世界の経済成長率以下に成長が鈍化する可能性が高いと発言しています。EUは半分の国々が景気後退に陥るが、米国は回復力が強く今年の景気後退をある程度回避できる可能性がある事を示唆しています。
https://www.aljazeera.com/economy/2023/1/2/2023-to-be-tougher-than-2022-for-global-economy-imf-chief-says

カタールゲートをご存知でしょうか。偶然とは思えないタイミング?でサッカーのワールドカップ開催中に同時に浮かび上がったカタールによる欧州議会議員への贈収賄容疑で、議会大物議員やそのスタッフが汚職やマネロンで家宅捜索や尋問を受けたものです。同時にモロッコ政府からも同様の贈収賄があったと疑われています。これは、カタールやモロッコ政府が欧州でのロビー力を強化する目的で行われた疑惑が持たれており、欧州政治では一大スキャンダルとして扱われています。不正行為が疑われる 2 人の欧州議会議員が持つ免責特権を欧州議会が放棄するよう、ベルギーの捜査当局が求めています。エネルギー危機に瀕している欧州にとって天然ガスの最大の産出国の1つであるカタールは将来の供給先として重要国の1つです。同時にアフリカ(アルジェリア)からパイプラインでガス供給を目論む南欧州諸国にとってモロッコも重要な国の1つです。ワールドカップ開催中に、しかも西欧諸国がカタールの人権問題を取り上げている最中に突如起こったこの2ヵ国による贈収賄事件は、エネルギーを巡って見えない大きな力が「別の戦争」を仕掛けているように見えるのは、すこし考えすぎでしょうか・・・・。
https://www.politico.eu/article/qatargate-belgium-parliament-waive-immunity-meps-tarabella-cozzolino/
https://time.com/6240539/eva-kaili-european-union-eu-corruption/

EUが2023年に繊維産業への大胆な規制強化案を示す予定である事が伝えられています。規制とそのガイドラインは今年発表予定で、持続可能な繊維製品のための包括的なものとなり、2030 年までに繊維・ファッション業界全体に影響を与えるものとなります。現在、繊維・ファッション産業は規制の少ない産業の1つですが、この新規制により大きく様変わりすると見られています。繊維産業の持続可能性には、現在問題となっている一部のアフリカ諸国、バングラディッシュ、パキスタン、ウイグル自治区をはじめとした人権や環境問題に対するデューデリジェンスが規制に大きく盛り込まれる見込みです。
https://wwd.com/sustainability/business/legislation-moves-in-the-eu-new-laws-in-france-germany-and-the-netherlands-1235458823/

米国ニューヨーク州でカーペットの回収とリサイクル プログラムを確立する法案が可決されました。2026年1月からカーペット生産者は、カーペット産業が承認したリサイクル計画に組込まれているか、ニューヨーク州環境保全局によって承認されたカーペット回収プログラムを確立していない限りニューヨーク州でのカーペットの販売は禁止となります。また回収されたカーペットの内、少なくとも10% が新しいカーペットの材料として使用される事も含まれています。更に5年間で30%のカーペットのリサイクル率を達成することを目指しています。規制開始後15年間で75%のカーペットリサイクル率を達成し、回収された材料の少なくとも40%を新しいカーペットのリサイクル材料として使用することを目指しています。リサイクル材料の利用率の設定は事実上の拡大生産者責任となりますので、メーカーがリサイクルに本腰を入れざるを得なくなります。
https://www.nysenate.gov/legislation/bills/2021/S5027

欧州最大の経済大国であるドイツが重要な原材料戦略を刷新する事を発表しています。時期や詳細については言及していませんが、海外への依存体質を改善する為に、2020年に発表した重要な原材料戦略を大幅に刷新する見込みです。現在ドイツは重要な原材料27品目の内、21品目を100%海外に依存しています。新しい戦略の3つの「主要な行動分野」はリサイクル率を2倍にする事、サプライチェーンを多様化する事、国内での採掘を促進する事です。エネルギー転換に伴う資源確保のナショナリズム化は短期的にはリサイクラーにとって有益ですが、長期的にはリサイクラーの独立性に影響する問題となる可能性があり、特にトレーダーにとってはその役割が試される事になりそうです。
https://www.euractiv.com/section/economy-jobs/news/germany-to-revamp-raw-materials-strategy-to-tackle-dependencies/

欧州が掲げる水素戦略の実態が紹介され、宣伝されている勢いを維持するのに苦労しています。S&Pが公開したデータによるとクリーン水素(低炭素又はグリーン水素)で計画されている様々なプロジェクトの総生産量は2,970万トンで、その内現時点で稼働中、許可済み、または建設中のものは僅か0.3%しかありません。EU は水素戦略の中で2030年までに年間1,000 万トンの再生可能水素の生産と年間1,000万トンの同水素の輸入を目標にしています。しかし、アナリストは2030年までに欧州での生産量は年間450万トン、輸入量も450万トン程度と予測しています。水素ファンドの Hy24 によれば、エンジニアリング、調達、建設のオファーが大幅に遅れており、原材料コストが急速に上昇しているため、長期契約のオファーを決める事が困難になっています。また金利が4%を超えると債務負担が増加し、コスト削減の見通しが立たない為、一部のオペレーターにとってプロジェクトファイナンスが困難になり始めると言及しています。古くは1970年代のオイルショックの時からエネルギー危機が起きる度に脚光を浴びてきた「水素」ですが、幾度となく現実化に頓挫しており、今回の欧米の膨大な補助金政策でどの程度まで伸ばす事ができるかは、試金石と言えます。
https://www.spglobal.com/commodityinsights/en/market-insights/latest-news/electric-power/122322-europe-struggles-to-maintain-hydrogen-momentum-into-2023

今年の冬は、欧州の一部で記録的な暖かさ、逆に北米では寒波が襲い、北カリフォルニアは洪水となっています。ポーランドの一部の都市では1月1日に気温が19度に達し、1月の平均気温1度を大幅に超えました。同じくチェコ共和国でも19.6の最高気温を記録し、ドイツでは2023年の最初の3日間に982ヶ所で1月の高温記録が破られました。12月下旬から言われていた大西洋上でのジェット気流と北米での「爆弾サイクロン」と呼ばれる嵐の影響です。北極圏での極渦の流れが乱れ、極ジェット気流と呼ばれる高高度の気流が不安定になり、冷たい北極の空気を南に押しやる一方で、暖かい空気を北極に押し込む事が原因と見られています。欧州では、一部で降雪の少なさから春~夏にかけての水不足を心配する声が出ています。
https://www.newscientist.com/article/2353293-winter-storms-in-us-set-to-continue-while-europe-sees-record-warmth/

米国の大手タイヤメーカーGoodyear Tire & Rubber Coが持続可能な素材を90%使用したデモタイヤを発表しています。持続可能な素材には4種類のカーボンブラック、ポリエステル、樹脂、シリカ、ビードワイヤー、ポリマーが含まれ、バイオ材料やリサイクル材を利用しています。グッドイヤー社は今年最大で70%の持続可能な素材を使用したタイヤを販売する為、サプライチェーンとの協力を強化する予定です。
https://www.prnewswire.com/news-releases/goodyear-unveils-90-sustainable-material-demonstration-tire-approved-for-road-use-301713430.html

ベトナムが中国以外のレアアースの供給先として見直され始めています。米国地質調査所のデータによると、ベトナムは中国に次ぐ世界第2位の利用可能なレアアースの埋蔵量があり、その量は中国の4,400万トンの約半分の2,200 万トンに上ります。北朝鮮は世界最大級の埋蔵量があると考えられていますが、政治的な理由からグローバルなサプライチェーンからは切り離されており、資源開発が進んでいません。昨年12月には韓国政府がベトナム政府と探査や鉱物開発の合意を行い、オーストラリアの民間企業やカナダも投資を模索し始めています。
https://www.argusmedia.com/en/news/2406483-vietnam-becomes-focus-for-new-rare-earths-supply?backToResults=true

中国の国営メディアCCTVによると中国の広州が2023年に1,722件のプロジェクトを計画しており、その総額は6.5兆元(9,450億ドル)を超える膨大な額となるようです。この報道により3月引き渡しの銅先物はNY市場で2.4%上昇しました。ただし、上海先物取引所の2月の銅契約は1.8%下落し、昨年2022年11月4日以来の安値となりました。世界的な景気後退局面もあり価格が上昇を続ける可能性は低いと見られています。これ程のプロジェクト規模でも中国市場で価格が動かないとなると、中国経済の実態がどうなっているのか把握が難しい所です。
https://www.mining.com/copper-price-bounces-after-news-about-fresh-investment-in-china/

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