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NEWSCONの気になるNEWS(2022年11月第2週)

英国の保険会社 UK P&I Club と TT Clubがリチウムイオン電池の海上輸送に関するホワイトペーパー(白書)を発行しています。この白書は科学系コンサルタント会社のBrookes Bell と協力して発行したもので、リチウムイオン電池の海上輸送における安全上の問題を特集しています。現在リチウムイオン電池を空輸する場合にはIATA の規制で、最大充電状態(SOC)の定格容量の30%以下に規制されています。しかし同様な基準は海上輸送には適用されていないと白書は指摘しています。主要なトピックはリチウムイオン電池の化学的特性の詳細とその背景、輸送に伴う危険性、不十分なテストや誤った申告などです。特に火災消火技術のみを重要視するのではなく、電池の正しい分類、安全で効果的なパッケージング、マーキングとラベル付け、更に輸送待機時のテストと適切な保管環境に関する規制の重要性を強調しています。現在廃棄LIBの海上輸送に関しては、安全が担保できる特定梱包を除き原則禁止されており、特に損害賠償保険への付保が大変難しい状況となっています。このような保険会社からの白書は今後廃棄LIBの海上輸送をより困難にさせる伏線となり得ます。
https://bit.ly/3Nyca0q

米国のタイヤリサイクル大手企業「Bolder Industries」がベルギーのアントワープ港内の工業地区で自社として最初のEU工場を設立する事を発表しています。同新工場は約300万本/年の使用済みタイヤの処理能力を持つよう計画されています。同社はISCC Plusに認定された持続可能性なカーボンブラックである「Bolder Black®」とタイヤを原料とした油化製品である「Bolder Oil™」を製造していますこれは特に欧州地域で高まる持続可能原料(リサイクル材料)の需要の高まりに対応する為です。同社によれば廃タイヤを原料とし循環させる事で、バージン材のカーボンブラックに比べてCO2を98%削減し、水とエネルギーを85%削減することできる、としています。
https://www.bolderindustries.com/
https://bwnews.pr/3t0U3aa

11月8日に迫っている米国の中間選挙は民主党、共和党のどちらが両議会の過半数を取るかで大きな話題となっています。この中間選挙は史上最も「高額な中間選挙」となっており、両党が支出した額は既に167億ドル(2兆4000億円)に上り、TV宣伝・広告だけで30億ドル(4300億円)を超え、TV宣伝回数は430万回を超えています。選挙に金がかかるという意味では米国は世界でも突出しています。バイデンとトランプばかりが報道されていますが、意外と日本の環境問題に関係するのは、トランプの次に共和党で人気のあるフロリダ州知事のロン・デサンティスと、もう1人の人気州知事で各地の応援に出ている共和党のバージニア州知事のグレン・ヤンキンです。このグレン・ヤンキンは州知事になる前は、元世界最大のプライベート エクイティ会社であるカーライルグループのCEOで25年以上のキャリアをそこで過ごしています。
カーライルグループは、かつてサウジ王室との取引や石油利権の為アラブ諸国(当時はイラン・イラクにも)への投資を積極的に行い、同時にアメリカの防衛・軍需産業を次々に買収した軍産複合体をベースとする「世界一実態が見えない世界一の投資会社」とも言われていました。顧問や共同事業者には元米国大統領のジョージ・W・ブッシュ、ブッシュ父親(元大統領)や、元イギリス首相のジョン・メイジャーなどが居ました。
このグレン・ヤンキン バージニア州知事がカーライルのCEO時代に同社が買収した会社が、現在日本が発電の為に最も多くの輸入木質ペレット燃料を購入している米国のエンビバ・バイオマスという会社です。買収はゴールドマンサックスからスピンオフしたリバースト―ン投資と共同で行っています。
2007-8年にアラブの石油利権がマズくなり、環境投資に切り替え、人工的に米国で製造できる木質ペレット燃料を産業として押し上げる為に買収しました。そして木質ベレットを最初に再生可能エネルギー燃料として補助金の対象にしたのはイギリスです。
日本では木質ベレット燃料への補助金FITに認められた今後20年の総額は8兆円と言われています(日本人が払う電気代に上乗せされています)。この内、どれだけの額が今後10-15年間でエンビバ・バイオマスに流れるかは不明ですが、少なくとも長期契約で15年続く供給量は毎年300万トンを超えるはずですので、相当額と推測します。
実は、この話はまだ続きがあり、グレン・ヤンキンバージニア現州知事がカーライルのCEOを辞めたとほぼ同時にカーライルはエンビバ・バイオマスへの投資資金を全て引き上げています。バージニア州というのはエンビバ・バイオマスが最初に大型木質ペレット工場を設立した本拠地であり、グレン・ヤンキンは2021年秋にバージニア州知事当選直後に、バージニア州の森林伐採と木質ペレット工場の環境規制を大幅に緩和しています。そして、カーライルがンビバ・バイオマスの投資資金を全て引き上げた直後に、その株を引き継いだのは、ロスチャイルド投資銀行が米国に設立したインクルーシブ・キャピタル・マネージメントという会社です。もしかしたら、日本人の電気代の一部も上記のようなルートで米国の選挙資金の一部になっているのかも知れません。中間選挙と環境問題は、今後の方針を巡っても、結構大きなテーマとなると推測しています。
https://cnb.cx/3U4ugJP

独自の湿式地金製錬技術を開発している米国のリチウムイオン電池リサイクル企業であるAqua Metalsが、ネバダ州に設立したパイロット工場の運営開始を伝えています。このパイロット工場は同社が特許を取得した湿式冶金 AquaRefining™を実践するものです。米国でのリチウムイオン電池のリサイクルは、今年成立したインフレ削減法により急速に投資が拡大しています。
同法律ではEVを買う場合に税額控除を受ける為には、バッテリーに指定された重要な鉱物資源を米国又は米国のパートナー国から調達する事が要件となっています。その割合は2023年までに40%、2029年までに100%となっています。この法案が成立して以来、米国が中心となり、今までブラックマスの生産に留まっていたリチウムイオン電池のリサイクル企業が一斉に資金調達と湿式地金製錬への投資を加速させています。
https://www.aquametals.com/uncategorized/aqms-pilot-plant-update-plating-cells-installations-and-more/

City AMが銅市場における中国と西側諸国のパワーバランス、中国の主要市場の支配力について特別コラムを掲載しています。Fastmarketsの金属アナリストであるBoris Mikanikrezai氏の見解や欧州シンクタンクのデータを上げて纏めている内容では、中国は銅市場の支配力で西側のライバル国や企業の先を行く、と結論づけています。また2023年Q2には中国市場が回復する見込みを示し、銅市場が安定から上昇に転じる可能性も指摘しています。IEAは今後20年で銅がグラファイト、ニッケルと並ぶ3つの主要鉱物になると予測しており、西側諸国は同盟関係を利用した独自の鉱物政策の策定を推進しています。
英国の重要な鉱物戦略、欧州の重要な原材料法、米国のインフラ削減法のバッテリー材料規制等がそれらに当たります。しかし中国は鉱業を掌握するだけでなく、短期市場や投資家に縛られず忍耐強く国際銅市場へのプレゼンスを強化している事から、市場の優位性を確保すると見られています。
https://www.cityam.com/exclusive-west-faces-copper-crisis-as-china-dominates-key-markets-warns-expert/

COP27が6日から開催されています。気候変動に関する危機的な状況を国連事務総長が「World is on the highway to the climate hell (世界は気候地獄に向かいハイウェーを走行している)」と発言してスタートしました。同じような危機説は今後何度も強調されて報道が出ると思いますので、違った角度から多少の皮肉も混ざった報道をお伝えします。
英国のウェブサイトで、政治、ニュース、文化に関する解説と分析を提供し、著名なコラムニストの執筆が読める「Reaction」が、「COP27はコカ・コーラが支援する偽善的なLove-in」と皮肉ったコラムを上げています。
Love-inとは昔のヒッピー語で「皆が愛する」という意味です。
意訳するとCOP27は、コカ・コーラが支援する世界中の人々が愛する偽善大会、というダブルミーニングの意味です。まず世界最悪のプラスチック廃棄物汚染企業であるコカ・コーラが後援している事。同社の製品は主に化石燃料から製造され、製造する年間 300 万トンのプラスチック包装は、ほとんどが最終的に投棄され海に流れ込みます(消費者の多くは人口の多い途上国で廃棄物回収が進んでいない為)。
二酸化炭素排出量を削減する方法を議論するためにプライベートジェットで飛んでくるグローバルエリートは、前回COP26 の時は「カーボンニュートラルな会議とする」と誓ったのですが、COP25の2倍の100,000 トンのCO2をたった2週間で排出した事。今回も似たようなものであり進歩していない事。排出量が多い中国やインドのトップが出席予定していない事を指摘しています。
更に米国でも欧州でも「陰謀論」として一蹴されていますが「一般人を絶え間ない恐怖の状態に保ち、その指導者が救世主として行動できるようにすること」を目的の1つにしている会議、というものです。
これは世界経済フォーラムにも同じ事が言えます。
英国の有名な新聞のThe Telegraphでさえ、COP会議は「偽善のキャラバン」と言い放っています。
今回は環境活動家として有名なグレタ・トゥーンベリがCOP27に参加しません。
これは欧州では少し話題になっていました。表向きは「エジプトの人権侵害」に反対する、としていますが、Telegraphは彼女が大人になって自立して行動するようになり国連にとってあまりにも厄介なものなってしまった為、としています。
かつてグレタを賞賛した「偉大で善良な人(政治家)の手を噛む」傾向を発達させ過ぎた為、と結論づけています。
更に各国の首脳は国内問題が山積しており、COP会議で危機に対応する政治家を演出する必要に迫られている、と記しています。これらの批判は、気候変動そのものを否定するものではなく、COP会議が目的を達成する為の会議とは程遠いものになっている、という事を示しています。
https://reaction.life/cop27-is-set-to-be-a-hypocritical-love-in-a-summit-of-abject-hypocricy/
https://www.telegraph.co.uk/news/2022/11/01/greta-thunberg-absolutely-right-cop27-will-haven-hypocrisy/

米国のインフレ抑制法により、今後数年以内に米国の再生可能エネルギー発電容量が約150GW増加し、更にEV需要が2026 年までに世界で約 30% 増加すると見込まれており、銅、リチウム、コバルト、ニッケルなどの金属の高い需要が続くとみています。しかし2023 年の産業用コモディティの価格は平均して 2022 年よりも低く予測されています。銅はマイナス 7%、リチウムはマイナス 33%となっており、前年より下落する見込みです。その後2024年には、需要が供給を上回る状況が生まれ、供給のタイト感が増し価格の上昇が見込まれています。
https://bit.ly/3tdgRUg
https://bit.ly/3WJbNV2

欧州の政策アドバイザー団体である「政策健全性パートナーシップ (PFPI:Partnership for Policy Integrity)」 が7日に欧州の急激な森林面積の低下について新しいレポートを発表しています。レポートは、欧州連合の地域で自然の森林(と自然の土地)が驚くべき速さで失われていることを示しています。欧州は再生可能エネルギーの目標を達成する為に政策的に木質バイオマス燃料を利用し、その為に森林伐採が増加している、と結論づけています。
具体的には、バイオマス エネルギーを「カーボンニュートラル」、「再生可能」と定義して奨励する EUの政策が、バイオマスの使用を急増させ自然森林を滅ぼしている、というものです。
欧州には炭素排出権取引市場があり「再生可能」や「カーボンニュートラル」燃料を使う事で燃焼しても炭素会計上は炭素排出量がゼロとなる為に市場から排出クレジットを購入する必要が無くなります。更に再生可能エネルギーには長期間の補助金が支払われます。欧米の世界3大木質ペレット製造業者の株主は全て超大手の多国籍金融資本であり、強力なロビー力を武器に木質バイオマスを「再生可能」とするよう欧州政治に圧力をかけ続け、政治家も再生可能エネルギー目標の達成の為に、木質バイオマスを「再生可能」とする事を容認しています。
https://bit.ly/3NP6akf

The Korea Economic Daily が鉄鋼メーカーの1つの需要家である韓国造船業の来年の受注急落を予測しています。報道では金利の急上昇による世界的な金融環境の悪化で注文量が来年 40% 以上減少する可能性があるという事です。これは世界の造船市場の発注が急落する予測からきており、来年は今年の1,000億ドルから 610 億ドルに 39% 急落すると予測されています。今年の第3四半期までの受注の64.6 %がLNG船、30.9%がコンテナ船で、造船の95.5%がこの2つのタイプに集中しています。中期的には脱炭素による排出規制強化により新造船の需要が増加するとみられており、2024年には回復すると予測しています。
https://bit.ly/3fTE2zD

現在COP27が開催されていますが、スウェーデンとポーランドの脱炭素化への取組が緩和される事をEuractiveが伝えています。スウェーデンは政府の計画により CO2 排出量を 10% 増加させることを COP27 で発表する予定です。これは、同国が直面しているエネルギー危機と、総選挙で躍進した新政府によるものである、としています。また欧州最大の石炭採掘国であるポーランドは、全ての炭鉱を2049年までに閉鎖するという長期目標は変えずに、廃止の段階的ステップを遅らせる事を担当大臣が述べています。石炭の内外価格差が拡大し国内産の方がはるかに安い事から、国内炭鉱を計画的に閉鎖して緊急に必要な分を国外から輸入する事を避ける為に取られる措置、としています。ポーランドは最近、米国、韓国企業との共同原子力プロジェクトを発表しましたが、計画では同国初の原子力発電所は 2033年まで完成しない予定です。それまでは、稼働中の炭鉱を閉鎖することはできない、との見解を示しています。
https://bit.ly/3DPxJFi
https://bit.ly/3hpza5Y

欧州の廃棄物処理業者にとってGHG排出規制の大きなニュースです。欧州連合の担当者は11月8日深夜に道路輸送、農業、建物、廃棄物部門に対し拘束力のある排出削減目標を導入する事に合意しています。欧州議会議員の担当メンバーと欧州理事会の交渉担当者の間で行われた合意は、上記の当該分野の温室効果ガス排出削減量を対2005年比で2030年までに40%削減するものです。これらの産業分野は現在、EU排出権取引制度 (EU-ETS)や炭素市場に組み込まれていません。その為、EU-ETSとは別に目標に沿った各国での規制が行われる予定です。該当分野には、道路及び国内(域内)海上輸送、建物、農業、廃棄物、その他の小規模産業が含まれます。これらの分野の温室効果ガス排出量は、EUの排出量の約60%を占めています。EUの各加盟国には、対象となる部門で排出量を削減するための国家目標を割り当てなければなりません。排出量が年間削減割当量を下回わる場合、EU加盟国は未使用の削減割り当て分を2022年から2029年の間、2030年まで翌年以降に繰り延べ(繰越し)する事ができます。ただし繰延量は年間排出量割り当て量の最大 25%です。 道路輸送と域内海上交通が入るという事は、廃棄物トレーディングに影響が出ると言えます。欧州企業は炭素会計ソフトが必須になってきました。ただし、基準年が2005年なので、日本の2013年と違い排出量削減そのものは見せかけを大きくしていると言えます。
http://bit.ly/3hmjbFz

米国のアルミリサイクル・圧延企業であるノベリスが、2023年第2四半期の財務結果を公開し、また世界最大の鉄リサイクルア企業のシムズの近況がRecycling Todayやその他のメディアによって報じられています。シムズの情報はオーストラリア証券市場でも取り上げられ、昨日株価が11%以上下落する場面がありました。
ノベリスは売上高が前年同期比17%増加して48億ドルになり、製品出荷量も増加し984,000 トンに達しましたが、純利益は前年同期比23%減となりました。市場環境に不確実性がある事が強調されていますが、長期的には成長を維持できる、としています。シムズは年次株主総会に先立って現在の取引状況を発表しました。その後、投資家はいわゆるパニック売りに転じました。 リリースでは同社が8月以来の厳しい状況の中にあり、それが2023年度の第1四半期(シムズの会計年度)を通じて続いています。世界経済の大幅な縮小に起因するスクラップ量の減少と競争の激化が相まって、トンあたりの利益と利益率の両方が減った事が明らかになりました。同社は上半期の利払い前利益(EBIT)が6,500万ドルから7,500万ドルになると予測していますが、この数字は前年同期の3 億6,170万ドル から大幅に減少する見込みです。
http://bit.ly/3hrOUFv
https://www.fool.com.au/2022/11/08/heres-why-this-asx-200-share-is-crashing-14-on-tuesday/

10月末に英国の金融行為監督機構 (FCA) が持続可能性開示要件 (SDR)と投資ラベルに関する協議書 (CP 22/20)を発行しています。これはグリーンウォッシングを対象とした法制度化に向けた協議書で、暫定的に2023年6月30日から施行される予定です。誤解を招く、または根拠のないESG 関連の主張をする投資ファンドに対する懸念が年々高まっており、グリーンウォッシングに対するスタンスを強化することを目的としています。今回のものは金融業をターゲットにしたものですが、その他の業種でも欧米ではグリーンウォッシングが問題になっており、規制強化の動きが進んでいます。丁度、英国のアジア経済情報サイトであるAsia Financialが、COP27での国連高官の話として「企業の気候変動への誓約はしばしば空虚なスローガンにすぎない」と伝えています。欧米企業の誇大広告やグリーンウォッシングは数多く指摘され始めており、安易に発表を鵜呑みにする事は避けるべき状況が生まれています。
https://www.fca.org.uk/publication/consultation/cp22-20.pdf
https://www.asiafinancial.com/corporate-climate-pledges-often-just-empty-slogans-un-says

欧州最大、世界第2位の鉄鋼メーカーであるルクセンブルクのアルセロールミッタルが2022年Q3の財務結果を発表しています。生産量は1,360万トンで前年同期比マイナス 7.1%に留まりましたが、純利益は前四半期マイナス74%、前年同期比ではマイナス78%の10億ドルと大幅に減少しています。マイナスの要因はエネルギーコストの上昇、ウクライナ戦争による影響、市況の悪化、としています。市況の悪化は製品と共に鉄スクラップ市場で顕著に表れており、欧州・米国共にスクラップ価格は過去数か月連続して下落しています。米国では4月に鉄スクラップが1トンあたり500ドル~600ドルでしたが、今月に入り400ドルを大幅に下回っています。欧州ではインフレと金利上昇が相まって民間投資にブレーキが掛かり始めています。更に長引くエネルギーコストの上昇によりメーカーのコスト負担が増しており、アルセロールミッタルも9月にはドイツのブレーメンにある2つの高炉の内の1つを無期限で停止しています。
https://bit.ly/3fR48DB

中国自動車用動力電池産業イノベーションアライアンス (CAPBIIA)が発表したデータによると、中国の動力用電池の生産量は前年同月比150.1%となり、前月比でも6.2%増で62.8GWhに達しました。三元系リチウム電池は24.2GWで前年同期比163.5%、リン酸鉄リチウム(LFP)電池は38.6GWhで同じく142.6%増加しています。2022年の生産量も継続して増加しており、10月までの累計は425.9GWh、対前年比 166.5% と急増しています。三元系は前年比137.9%ですが、LFPは254.2GWhとなり前年比190.4%とほぼ倍近く伸び、LFPへの旺盛な投資が報告されています。10月の輸出は合計で14.7GWh、その内4.3GWhが三元系リチウムバッテリーでした。上位4社のCATL、FinDreams Battery、CALB、Gotion High-Techが生産シェアの81.93%を占めています。中国ではLFPへの投資が今年大きく加速しているという事が結果として反映され始めています。
https://autonews.gasgoo.com/new_energy/70021668.html

米国の中間選挙は集計結果が完了しない、または再選で体制が完全に決定していません。現状は選挙当日に有権者自らが持参して投票所のポストに入れた「郵送投票」が今回非常に多く、集計に時間が掛かっているようです(過去のデータでは事前郵送は民主党員が多く、当日投票は共和党員の方が多いようですが、今回パターンは不明でこの事を米国メディアが報じ始めています)。しかし、今回一番興味を引いたのは、欧米の保守系メディアで政治的影響力の大きい代表格であるルパート・マードック率いるメディア・コンプレックス(新聞、TV等)が一斉に親トランプから脱トランプに「明確に舵を切った」事です。代表的なものはFOXニュース、Sky TV、NYポスト、WSJです。半年前に同メディアからトランプの露出が減り始めた事から「ステルス脱トランプ」と噂されていましたが、今回、事前の共和党大勝利予測(Red Wave)を下回る選挙結果となり、完全に反旗を翻して親トランプから脱トランプというよりやや反トランプに180度態度を変えた事です。更に数ヵ月前から兆候があったフロリダ州知事ディサンティスへの強力な支持です。ディサンティスはマードックメディアへの露出が極端に増えただけでなく、彼を共和党の次期大統領候補にすべく賞賛を尽くしています。キリスト教福音派の支持が絶対的に必要な米国の保守系大統領候補にとってディサンティスは十分な知性と資質を持つ事が今回証明され、資質に難ありのトランプを支えてきたと言えるマードックメディアが「乗り換え」てきた事です。タブロイド紙だけでなくCNNまでもがこの事実を報道し始めており、恐らく今後、米国の主要ケーブルニュースネットワークからのトランプの露出はかなり減ると思われます。既に今年8月には共和党王国のアラスカ州の下院議員補欠選挙で民主党が勝利するという前代未聞の事件が起きており、この時に党派を超えて「トランプ嫌い」な有権者が反対候補に投票するという出来事がありました。共和党の上院トップであるミッチ・マコーネルはその時点で今回の選挙結果を暗に予言していました。 ディサンティスは超名門のイエール大学とハーバードのLawスクールの出身で、トランプよりも嫌悪感を与えづらい人柄から、もし大統領予備選に立候補した場合、今後の米国の気候変動・エネルギー転換政策にとっては非常に怖い存在になりそうです。来年末に予備選挙が始まれば、彼の事は日本でもよく目にする事になると思います。
http://bit.ly/3UoxiIZ
http://bit.ly/3A1oosM

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