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NEWSCONの気になるNEWS(2025年2月第4週)

韓国政府は造船・建設用の中国産厚板に対して、27.91%から38.02%の暫定的な反ダンピング関税を課すことを決定しました。この措置は宝鋼鉄、沙鋼集団、湘潭鋼鉄、ITGホールディングス等、主要な中国鉄鋼メーカーに適用されます。2024年に中国は韓国に約820万トンの圧延製品を供給しており、韓国は中国の第2位の輸出先であった為、この決定は中国の鉄鋼産業に大きな影響を与えると予想されています。この反ダンピング関税は韓国企画財政省の承認後に発効する予定です。韓国が中国産への対応を始めたことから、ドミノ効果で他市場への影響は避けられそうもありません。
https://www.steelorbis.com/steel-news/latest-news/the-republic-of-koreas-motie-decide-to-impose-provisional-anti-dumping-duties-on-thick-steel-plates-from-china-1379874.htm

EUがグリーンから急速に競争力強化に方向転換しています。ドラギ前ECB総裁は、伝統産業と新技術開発の二者択一は必ずしも必要ないと主張し、欧州の革新的な改革によってこれらの目標間のトレードオフを緩和できると強調しました。特に鉄鋼業や化学産業等の伝統産業は欧州にとって戦略的に重要だと述べました。現在EUは米国からの関税リスクや中国の余剰生産能力の転用による影響に直面しており、これらの課題に対して迅速な対応が必要な苦しい状況です。その解決策として、エネルギー市場の統合による生産コストの削減や、新たな財源の確保を提案しました。
https://www.notizie.it/en/Draghi-warning-to-Europe-too-many-no%27s-lead-to-isolation/

2月23日に行われるドイツ連邦議会選挙では、保守系のキリスト教民主同盟(CDU)のフリードリヒ・メルツ氏が首相候補の最有力者となっています。主要な争点は移民問題と経済政策です。メルツ氏は移民規制の強化を主張していますが、財政政策では債務ブレーキ(財政赤字をGDP比0.35%に制限する規定)の堅持を主張しています。現在ドイツは深刻な経済危機に直面しており、2025年のGDPは0.1%縮小する見通しです。東西統一後初めて3年連続のマイナス成長となる可能性があり、産業界からは近代的なインフラ整備や経済構造の転換に向けた公共投資の必要性が指摘されています。しかし、ドイツのアイデンティティとも言うべき財政の債務ブレーキは、今後、更に経済を悪化させる可能性があると言われています。ドイツの行方は欧州の政治と経済に大きな影響を与える為、選挙には注目が集まっています。
https://www.aljazeera.com/news/2025/2/21/debt-brake-how-this-fiscal-rule-could-shape-germanys-election

既に米国では動きが見られますが、今後、欧米大企業のネットゼロ宣言が影を潜める可能性が指摘されています。BPは2024年の業績が大幅に悪化し、年間利益が35%減の89億ドルとなりました。これを受けて、大手投資ファンドのエリオット・マネジメントが約5%の株式を取得し、再生可能エネルギーへの投資削減と石油・ガス事業への注力を求めています。一方で、機関投資家グループはBPに対して気候目標の変更について株主投票の実施を要求しました。特に2050年までのネットゼロ目標の撤回については、株主の意見を反映させるべきだと主張しています。英国政府は2050年迄のネットゼロ達成に向けた取組を継続しており、2024年12月には石炭火力発電の全廃を達成しています。しかし、経済成長との両立や具体的な実施方法をめぐって、政党間や産業界との間で意見の対立が深まっています。
https://oilprice.com/Energy/Energy-General/Is-the-Era-of-Net-Zero-Pledges-Coming-to-an-End.html

WSが1月の世界の鉄鋼生産量を発表しました。前年比では4.4%減少し、1億5,140万トンとなりました。前月比では4.8%増加しています。季節要因もありますが、韓国と中国の減少が特徴的です。1月の鉄鋼生産国上位国は以下の通りです。
中国 – 8,190万トン(前年比5.6%減)、インド – 1,360万トン(+6.8%)、日本 – 680万トン(-6.6%)、米国 – 660万トン(+1.2%)、ロシア – 600万トン(-0.6%)、韓国 – 520万トン(-8.8%)、トルコ – 320万トン(-1.4%)
https://worldsteel.org/media/press-releases/2025/january-2025-crude-steel-production/

EUはOECD非加盟国24ヶ国から非有害廃棄物の輸入継続の要請を受領しました。2月21日の期限までに申請しなかった国はEUから「グリーンリスト」廃棄物の輸入が認められるOECD非加盟国の今後のリストに含まれない恐れがあります。その場合、2027年5月21日以降、それらの国はリサイクルや回収の為にEUの廃棄物を受け取ることが禁じられることになります。非OECD諸国への「グリーンリスト」廃棄物の輸出を禁止することは、EU廃棄物輸送規則(WSR)に基づいて確立された、より厳格な規制です。欧州のリサイクル業界団体は今月初め、鉄・非鉄金属スクラップや古紙などの二次原材料の重要な貿易相手国が期限に間に合わないかもしれないと警鐘を鳴らしていました。EUの廃棄物輸出の承認対象国リストの作成に伴う過去の問題や申請要件の複雑さを、欧州のリサイクル業者とその協会は懸念しています。
https://environment.ec.europa.eu/news/first-non-oecd-countries-request-eligibility-import-non-hazardous-eu-waste-2025-02-24_en#:~:text=For%20other%20types%20of%20non,request%20was%2021%20February%202025.

23日のドイツの選挙で特徴的だったことは、若年層の有権者が2分し、極端な右と左に分かれたことです。選挙結果は予想通りキリスト教民主同盟(CDU)がトップ(28%以上)でしたが、同党の69歳のフリードリヒ・メルツ党首を支持する若いドイツ人は殆どいませんでした。一般メディアからは「極右」と呼ばれているAfDは18~24歳の層で約21%の支持を獲得し、2021年から14%も増加しました。左翼党も若者層で25%の支持を得て、前回から17%上昇しています。一方、勝利したCDU・CSUの若者支持率は僅か13%に留まっています。これは先進国で世界的な傾向でもあり、移民問題への関心の高まりや経済状況への不満が根底にあります。また、ソーシャルメディアが選挙に果たす役割が確実に上昇していることも要因です。ドイツの若者の関心は、確実に気候変動から経済問題や移民問題へとシフトしています。
https://www.aljazeera.com/news/2025/2/25/how-afd-the-left-won-the-german-youth-vote

メルセデスはEV専用ラインアップを廃止すると発表したばかりですが、EUは1月に34%増の12万4,341台となる販売を記録しました。欧州全体の自動車販売は、2.1%減少しています。数字を誇張する既存メディアで盛り上がっていますが、EV販売の伸びの本当の理由はEVの市場性の上昇とは別にあります。理由は自動車メーカーがEU排出ガス規制に対応する為にバッテリー駆動車の販売を促進した結果です。この傾向は英国などでも強く出始めており、排ガス規制の罰金よりも、販売値引きや奨励金の加算を推進している結果です。自動車メーカーは、EUの排ガス規制を満たせない場合、数十億ユーロの罰金を支払うことになります。フランス政府はEUに規制緩和を求めており、ドイツの次期首相予定のメルツ氏も、2035年の内燃機関車販売禁止に反対しています。このままいけばメーカーが利益を圧迫して雇用にも影響が出るため、うかつに喜べる数字ではありません。
https://www.euronews.com/business/2025/02/25/eu-battery-electric-vehicle-sales-see-a-january-jump-driven-by-germany

米国政府は銅の輸入が米国の国家安全保障に与える影響を調査するよう指示し、関税導入を含む対策を検討する大統領令に署名しました。銅は防衛やインフラ、エネルギー分野で重要な資源である一方、米国の輸入依存度が高まっており、中国の市場支配を懸念しています。調査は270日以内に完了する予定で、関税や国内生産強化策が提案される可能性があります。対象国にはチリ、カナダ、メキシコが含まれ、世界市場への影響も注目されています。
https://www.straitstimes.com/world/united-states/trump-orders-new-tariff-probe-into-us-copper-imports

米通商代表部(USTR)は、中国製船舶に最大150万ドルの入港料を課す提案を発表しました。これは中国が政府補助金を活用して造船市場で50%以上のシェアを占める現状に対抗し、衰退する米国造船業を再建する目的で行われたものです。提案では、中国製船舶の割合に応じて段階的な料金が設定され、今後2年間に中国造船所で建造される船舶にも追加料金が適用される可能性があります。一方、米国製船舶には最大100万ドルの手数料返金が提案されています。また、米国輸出品の一定割合を米国船籍・製造船舶で輸送する義務化も含まれます。この措置は国内産業振興を目指す一方、貿易コスト増加や物流への影響が懸念されています。
https://www.asiafinancial.com/chinese-ships-may-face-a-hefty-fee-to-enter-us-ports

欧州委員会は、欧州の鉄鋼業界の競争力強化と持続可能性確保を目的とした対話を業界代表者と開始しました。予定されている3月4日のハイレベル会合では、鉄鋼バリューチェーン全体の代表者や市民社会と共に競争力向上、環境移行、脱炭素化、公正な貿易条件確保等を議論する予定です。欧州業界が抱えるエネルギーコスト高騰や国際競争の課題に対応し、具体的な行動計画を策定する方針で、欧州理事会や議会とも協議を進めます。更に英国でも同様の協議会が設立されています。欧州の鉄鋼業はこのままでは全く立ち行かない状況に来ています。
https://gmk.center/en/news/the-ec-launches-a-strategic-dialog-with-representatives-of-the-steel-industry/

欧州委員会は環境報告要件を縮小する一連の法案を発表しました。企業持続可能性デューデリジェンス指令(CSDDD)では、サプライチェーン全体ではなく直接のビジネスパートナーに焦点を置き、報告頻度を5年ごとに変更しました。企業持続可能性報告指令(CSRD)は対象企業を従業員1,000人以上に限定し、中小企業の負担軽減を図りますが、透明性低下への懸念があります。EU分類法も同様に報告基準を簡素化し、炭素国境調整メカニズム(CBAM)は対象企業を絞りつつ報告手続きを緩和しています。更に投資EUプログラムでは500億ユーロの追加資金を革新的プロジェクトに投入する予定です。これらの規制緩和は企業支援を目指す一方で、環境や透明性への影響が議論されています。
https://www.euractiv.com/section/eet/news/commissions-new-omnibus-slashes-green-reporting-to-catch-up-with-us/

欧州政府はクリーン産業協定を発表しました。この政策は建前上は欧州製造業の競争力向上と脱炭素化を成長の原動力として位置づけていますが、実際にはエネルギー集約型産業への資金提供を目的としています。過去10年間に膨れ上がった環境規制の効率化と官僚的な運営を削減します。エネルギーコスト削減、クリーン製品需要増加、1000億ユーロ以上の資金提供、材料へのアクセス確保、国際的取組等が含まれています。欧州委員長は「欧州企業の足かせとなっているつながりを断ち切り、明確なビジネスケースを作る」と述べています。
https://ec.europa.eu/commission/presscorner/detail/en/ip_25_550

米国による25%の鉄鋼関税は、中国から第三国経由で米国へ輸送される約70億ドル規模のサプライチェーンに混乱をもたらす見込みです。中国国内の住宅市場崩壊により余剰生産分を輸出せざるを得なくなった中国鉄鋼業界にとって、米国の関税は重要な市場を失うことになります。2016年と2018年に行われた関税や貿易障壁により、中国の鉄鋼メーカーは第三国経由で米国市場に製品を販売してきました。しかし、今回の新関税はこの貿易慣行を揺るがすことになります。中国の鉄鋼輸出はその他の地域で競争激化が予想されています。米国はベトナムからの鉄鋼輸入が前年比で143.4%急増したことを指摘し、メキシコ等、他国も中国製鉄鋼の輸入を増加させています。ベトナム、韓国、インドは中国製鉄鋼に新たな関税を課し、EUも保護措置を検討中です。中国政府はこれに対して、鉄鋼業界に低炭素生産への移行を推奨し、金融支援を強化すると同時に、米国政府に関税調査の中止を要求しています。
https://www.reuters.com/markets/commodities/china-urges-us-halt-tariff-probe-into-copper-imports-2025-02-27/

英国のバッテリー新興企業のフォルクレックは、英国中部に10GWh規模のバッテリーギガファクトリーを建設する計画を発表しました。ノースボルトを始めとする欧州企業の失敗を繰り返さぬよう、中国のファー・イースト・バッテリーと独占ライセンス契約を締結し、電池の製造を開始します。フォルクレックの幹部は「英国におけるバッテリーサプライチェーンの確保が急務」と強調し、特にEV産業の専門分野・高性能分野向けの安全なサプライチェーン構築を目指していることを強調しています。同社は、既に中国の吉利汽車が所有するLEVC(ロンドンEVカンパニー)の拠点となっています。ただし、英国で製造する電池のコストが下がるかは疑問視されています。
https://www.theguardian.com/business/2025/feb/26/uk-battery-firm-volklec-coventry

鉄鋼の次の生産過剰問題と言われている中国の太陽光パネルは、今年、生産を減らす予定です。中国の太陽光発電容量の成長は2024年に記録的な277ゴールデンウイークの新規容量を達成した後、2025年には215ゴールデンウイーク?255ゴールデンウイークに減速する見込みだと業界団体が発表しました。減速の主な理由は送電網が太陽光発電の急増に追いついていない事と、6月から導入される新しい市場ベースの電力価格決定メカニズムです。これにより、太陽光発電会社は政府の補助金に頼れなくなり、自由市場で競争しなければならなくなります。中国の太陽光パネル業界は、世界的な需要鈍化の中で過剰生産能力の問題に直面しており、昨年は業界団体が企業統合を促しました。国家発展改革委員会は、補助金廃止後も価格は横這いになると予想していますが、市場は価格が下がると考えているようです。
https://oilprice.com/Latest-Energy-News/World-News/China-Solar-Growth-Set-for-Slowdown-in-2025.html


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