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NEWSCONの気になるNEWS(2024年7月第4週)
世界的にAIへの熱狂が続く中、日本企業は先進国の中ではAI導入にあまり積極的でない実態が調査結果として現れました。国内企業の41%は業務にAIを導入する予定は無く、既にAIを導入しているのは24%に留まっています。調査は506社を対象に行われ、250社が回答しています。AI導入の目的を複数回答で尋ねたところ、回答者の60%が「人手不足への対応」と答えた他、「人件費削減」が53%、「研究開発の加速」が36%となっています。AI導入への障害としては、専門知識の不足、多額の支出、信頼性に関する懸念等が挙げられました。人口の約35%が65歳以上となる2040年問題を抱える日本は、労働人口の極端な減少に対処する時間は15年しかありません。そのような状況で日本企業のAIへの関心の少なさは、問題をより複雑にする可能性がありそうです。
▶ https://www.reuters.com/technology/artificial-intelligence/more-than-40-japanese-companies-have-no-plan-make-use-ai-2024-07-17/
S&Pは、コバルト価格が9月前に回復する事が難しいという分析レポートを出しています。2024年Q3は供給過剰とEV用バッテリーLFP化によりコバルト価格が低迷すると予想しています。中国の国営調査機関アンタイケは、世界のコバルト生産量は2023年の22万~23万トンから2024年には23万8000トンに達すると発表しています。現在の推計では、EV用電池としてLFPが約80%のシェアに急増すると見ています。中国自動車電池イノベーション連盟によると、6月の中国の市場シェアはLFP電池が75.5%、NMC電池が24.3%でした。コバルトに関しては5月に中国がコバルトの備蓄を行うとのニュースが出ましたが、それでも価格上昇は一瞬だけでした。
▶ https://www.spglobal.com/commodityinsights/en/market-insights/latest-news/energy-transition/071924-trade-review-oversupply-shifting-battery-preference-hurt-q3-cobalt-outlook
大手証券会社シティは、トランプ氏の再選と共和党が両議会の多数を占める事で世界の商品市場に大きな影響を与える可能性があると指摘しています。シティはアルミニウム、銅、金、銀、原油、リチウム、バッテリー関連金属への影響を指摘しています。トランプ政権が前回と同じ政策を行った場合、中国政府は(関税により米国から締め出された金属需要を国内で満たす為)インフラ投資、特に国内エネルギー網のアップグレードを推進する可能性が高いと考えています。1-2年は中国の政策がアルミニウムと銅価格にはプラスに動きます。しかし、その後は米国の関税の引き上げによる貿易の「大きな逆風」により、価格の下げ圧力が強まり、中国のインフラ投資との綱引きになると予想しています。
▶ https://www.marketindex.com.au/news/what-a-trump-presidency-could-mean-for-copper-gold-oil-and-battery-metals
市場調査会社の多くは今後10年間で低炭素鋼の価格「プレミアム」が生まれるだろうと予測しています。発行されたばかりのグローバル・エネルギー・モニター(GEM )の最新の報告書では鉄鋼のグリーン化の進捗について特集しています。現在開発中の鉄鋼関連生産能力の49 %は電炉で、 2023年の43%、2022年の33 %から増加し続けています。2030年には、世界の鉄鋼生産の36%以上が電炉で構成される可能性があります。これは国際エネルギー機関の予測とほぼ一致しています。高炉の代替として最有力候補となっているのは直接還元鉄(DRI)製造です。現在、世界の鉄製造能力のうちDRI が占める割合は僅か9 %です。GEMによると現在開発中の世界の鉄製造能力の内、DRI が占める割合は36 % で、製鉄業界のグリーン化の大きな転換期であると報告しています。脱炭素の為のDRIは未だ商業的利用が達成されていないグリーン水素を必要とする為、研究者は水素 DRIへの移行が排出量にどのような影響を与えるかを正確に把握することが難しい、との見解を示しています。こうした鉄鋼のグリーン化にも関わらず足元では年間3億トン以上の高炉生産能力が16カ国で計画されています。その大半は中国、インド、ベトナム、マレーシアで予定されていることから、供給過剰の懸念、過剰市場での成長の鈍化が指摘されています。それでも、世界の鉄鋼業が石炭を捨てる準備がまだ整っていないことは、明らかになっています。
▶ https://globalenergymonitor.org/report/pedal-to-the-metal-2024/
「三中全会」の発表内容の分析から、中国が長期のデフレリスクを抱え、日本型不況に陥る懸念が湧いています。専門家は、会議での経済政策の方向性は「消費を増やすものが殆どなく、産業近代化(ハイテク産業)へのインフラ投資が主な事から(国や地方の)債務が経済成長を上回り続ける可能性がある」と懸念を発しています。当局も複雑さを認めており、「改革が深まれば深まるほど、利益相反はより複雑かつ深刻になる」と述べています。ムーディーズのエコノミストは「中国政府の声明は、主に『新たな生産力』『科学技術革命』『産業変革』に焦点を当てていた。家庭の福祉への支援については、最後まで触れられなかった」と指摘しています。
▶ https://www.asiafinancial.com/chinese-officials-admit-its-economic-goals-full-of-contradictions
欧州で二次原材料市場に関して年内に動きがありそうです。2期目に入った欧州委員長のフォンデアライエン氏は最初の100日以内にエネルギー産業の投資を促す「グリーン産業協定」を提出する意向を発表しました。更に「循環経済法」を計画していることも発表し、重要な原材料に関しては、二次原材料の需要と廃棄物の単一市場の創出を支援するとしています。2年以内に欧州委員会から「重要二次原材料リスト」が発表される可能性があり、その場合には複数のリサイクル金属が入る可能性が高いと見られています。現在の議論は鉄鋼生産者協会が推している鉄スクラップです。EUの共同調達メカニズムを天然ガスに加え、重要な原材料や水素へ対象を拡大する意向です。
▶ https://www.endseurope.com/article/1881349/whats-green-agenda-von-der-leyens-second-term
米国政府は2027年迄に食品サービス業務、イベント、包装、使い捨てプラスチックを段階的に廃止する方針を掲げました。更に2035年迄に全ての連邦政府業務から、使い捨てプラスチックの政府調達を段階的に廃止するという新たな目標を示しました。直ちに全面禁止ではなく、 その後に続く可能性のある措置についても検討される予定です。それらには廃棄プラスチックの収集、リサイクルの強化、プラスチック廃棄物が自然環境に流入するのを防ぐ為の措置が含まれています。
▶ https://www.whitehouse.gov/briefing-room/statements-releases/2024/07/19/fact-sheet-biden-harris-administration-releases-new-strategy-to-tackle-plastic-pollution-takes-action-to-reduce-single-use-plastics-in-federal-operations/#:~:text=Additionally%2C%20the%20Biden%2DHarris%20Administration,all%20federal%20operations%20by%202035
中国の民間銅製錬所は、銅精鉱の供給不足から生産削減を検討しています。しかし国営の大手銅製錬所は生産を維持し経済成長を持続させる責任がある為、大幅な生産削減が行われる可能性は低いと見られています。現在、継続的な銅精鉱の不足により、中国のいくつかの銅製錬所は生産量の削減を余儀なくされています。来年は原材料供給が更に逼迫すると予想されており、更なる生産削減が行われる可能性が指摘されています。銅の生産減は価格の下支えになります。しかし銅精鉱の不足から銅スクラップの輸入を増加させており、この傾向は暫く続きそうです。
▶ https://www.mining.com/web/china-copper-smelters-eye-more-output-cuts-as-raw-material-supply-tightens/
韓国の鉄鋼メーカー現代製鉄は低炭素鋼板の販売基盤を拡大しています。その状況をコリア・ヘラルド紙が報じています。同社は最近、チェコの自動車部品メーカーであるタウェスコ社、及びイタリアの自動車板金加工会社であるユーサイダー社と低炭素鋼板の供給に関する覚書を締結しました。それらのサプライヤーはVWやステランティスに部品を供給しています。現代製鉄と部品メーカーは今年9月から低排出鋼部品のテストを開始する予定です。現代製鉄は今年5月にもボルボ、BMW、メルセデス・ベンツ、部品メーカーのキルヒホフ・オートモーティブと冷間圧延鋼板や溶融亜鉛メッキ鋼板等の低炭素鉄鋼製品の販売に関する覚書を締結しています。EUではCSRDが発効して製造大手は炭素削減目標の開示が必要となり、この傾向はより強くなると考えられています。
▶ https://www.koreaherald.com/view.php?ud=20240715050518
2023年10月から試験運用が開始され、2026年から炭素税(炭素証明)の徴収が始まるEU国境炭素調整メカニズム(CBAM)は、インド製品の輸出先を変える可能性があります。CBAMは当初インドのGDPに0.05%の影響を与えるのみと見られています。しかしCBAMの対象となる製品は、インドの総輸出の25.7%を占めており、EU以外に輸出した国で製造された製品がEUに輸出される場合には材料を供給するインドでの鉄鋼やアルミ製品の炭素排出量も課税対象となります。その為、直接的な輸出による影響以外にも今後は間接的な影響も十分に起こり得るとしています。インド当局は欧州のCBAMはクリーンな技術への経済的負担を途上国に負わせている、と非難しています。CBAMの懸念材料は余剰生産の鉄鋼やアルミ二ウムが欧州のCBAMと米国の関税制度で行き場を失い、日本を始め保護政策を持たない地域にさらに大量に安価に流入してくる事です。この現象はCBAMの実施で更に激しくなると思われます。
▶ https://www.business-standard.com/economy/news/eu-s-carbon-tax-mechanism-expected-to-cost-india-0-05-of-gdp-report-124071700953_1.html
欧州はプラスチックのケミカルリサイクル工場向けの「選別されたプラスチック」の生産が始まっています。今年5月には、亜臨界水による熱分解リサイクルを行う英国のMura Technologies社がElite Recycling Solutionsと提携し、選別処理されたブラスチック廃棄物の供給を受ける契約を行いました。今月、オランダの廃棄物処理会社 Renewi は、Freepoint Eco-Systems(フリーポイント・エコシステムズ)社のケミカルリサイクル工場向けの原料を生産する長期戦略提携を計画している事を発表しました。この提携の目的は廃プラをRenewiとフリーポイントの自社工場で選別し、フリーポイントの廃プラケミカルリサイクル工場向けに年間 8 万トンの「選別された廃プラ原料」を供給する事です。欧州で始まった廃プラのケミカルリサイクルは、廃プラの「前処理」に多くのコストが嵩み、未だに宣伝された成果が上がっていません。
▶ https://resource.co/article/renewi-and-freepoint-partner-extract-plastics-residual-waste
CIWM (英国廃棄物管理公認協会)は、英国政府に対して、電池の拡大生産者責任(EPR)とデポジット返還制度 (DRS)を求めています。CIWMは廃棄された電池による火災が廃棄物・資源管理部門、納税者、そして地域社会に大きな危機をもたらしていると警告しています。CIWMの調査では電池のデポジット制度の利用に対する英国民の支持が「強い」レベルにあると報告しています。国民の51%が「全ての場合、又は殆どの場合」デポジット制度を利用すると回答しました。32%は「場合によっては」利用すると回答しており、合わせると83%の国民は、デポジット制同が有れば利用する用意がある事が示されています。
▶ https://www.ciwm.co.uk/ciwm/news-and-insight/reports-and-research.aspx
欧州ではEV生産にブレーキが掛かっています。フランスのサプライヤーOPmobilityは、欧州メーカーのEV生産が最大で45%減少する可能性を指摘しました。またポルシェは、EVの普及が計画通りに進んでいないことを認め、ルノーもCEOが「2035年迄に100%EV化を実現する軌道に乗っていない」と発言しています。フォードも2030年からEVブランドになるという計画を「野心的すぎる」と述べ、フィアットはアイコンである500をEVのみにする計画を破棄しています。アウディもEVモデルの展開を縮小し、高級ブランドのベントレーは、2030年までに完全EV化する計画を3年延期しています。
英国は政権の交代で労働党政権がガソリン車とディーゼル車の新車販売禁止を2030年にすると予想されていますが、欧州の2035年EV義務化は、かなり疑問視されるようになっています。
▶ https://www.thisismoney.co.uk/money/electriccars/article-13662403/Renault-boss-casts-doubts-2035-EV-switch.html
英国では重要原材料のリサイクル回収に向けて、バーミンガム大学、レスター大学、エディンバラ大学がRECREATE(環境の為の先進技術における重要な元素のリサイクル)という5年間のプロジェクトを立ち上げました。エンビプロホールディングスがMoUを結ぶHyProMag社の元々の母体であるバーミンガム大学の戦略元素・臨界材料センターが中心となっています。公的基金より£820万(約16億5000万円)の助成金を受けて、廃棄物からの重要な材料の分類、再利用、リサイクル、生成物と副産物の特定、環境影響、廃棄物の削減に関する開発を行います。また循環性を高める新しい材料の開発と製造も研究対象としています。このプロジェクトのユニークな点は製造と使用を結び付けて、修理、再利用、リサイクルのプロセスを簡素化する開発を行う事です。
▶ https://www.birmingham.ac.uk/news/2024/8.2m-award-from-esprc-to-transform-how-technology-critical-materials-are-recycled-and-reused
また1つ、多国籍企業によるプラスチック・サーキュラーエコノミー(CE)の目標が密かに撤回されています。エネルギー大手のShellは廃プラスチックの「高度なリサイクル(ケミカルリサイクル)を急拡大する公約を密かに撤回しました。ユニリーバ、ネスレに続くものです。Shellは「2025年迄に世界中の化学工場で年間100万トンの廃プラをリサイクルし熱分解油にする」と宣伝していましたが、2023年(2024年発行)のサステナビリティ―リポートでは一転して「2023年に、2025年迄に年間100万トンのプラスチック廃棄物を熱分解油に変えるという当社の野望は実現不可能であると結論付けました」と記載しています。CSRDが始まり、更にグリーンウォッシング規制が強化され、欧米企業は以前のように宣伝文句の為に根拠も無く野心的な目標を公表できなくなっています。今後、廃プラのケミカルリサイクルへの投資は、やや減少する可能性があります。
▶ https://www.theguardian.com/business/article/2024/jul/17/shell-recycling-plastic-pledge
銅を巡り、業界の流通ルート(サプライチェーン)が大きな変革期にある兆候が示されています。大手鉱山グループは、ケーブルメーカーや大手バイヤーが手頃な価格で銅を確保する為に「直接取引」への移行の兆しが強まっているとみています。一方で鉱山業界内では、かつて石油産業がそうであったように、鉱山会社が「スーパーメジャー」として合併統合するのか、それとも数十億ドル規模のプロジェクト毎に「提携」するのか、と議論が激しく交わされています。銅鉱山への投資は生産に達するまでに約15年掛かる為、長年開発投資が不足しており、一旦銅の需要が増せば、供給の大幅な不足が起こる事は、既に業界のコンセンサスとなっており、このような2つの動きとなっています。
▶ https://www.ft.com/content/220ef9d2-df1e-4b93-b044-fb1957591428
韓国のバッテリーメーカーLGESは、欧州の低価格EV向けに中国の電池材料企業と協議を行っている事が伝えられています。LGESは欧州市場向けに中国企業と共同でLFPカソードを生産する為にモロッコ、フィンランド、インドネシアの3ヶ所を検討しています。このような事が起きる背景には欧州で生産する自動車メーカーが中国製と同等レベルの安価なバッテリーを望む要望が強い事が挙げられます。EUは中国製EVに追加関税を課しましたが、それでも欧州生産モデルよりも安価な製品が有り、競争が激化し始めています。既に中国系電池材料メーカーはモロッコに多額の投資をしており、安価な材料サプライチェーンを構築しつつあります。
▶ https://www.reuters.com/technology/lg-energy-solution-talks-with-chinese-firms-make-low-cost-ev-batteries-europe-2024-07-24/
2025年から始まる改正バーゼルの発行に先立ち、e-Stewards と R2認証 を管理している2つの団体、BAN(バーゼル・アクション・ネットワーク)とSERI(サステナブル・エレクトロニクス・リサイクリング・インターナショナル)が協力する事になりました。歴史的に、両団体は対立関係にありましたが、今後のバーゼル改正を控え、互いに協力し合う事を確認しています。バーゼルの変更点は、広範囲な電子機器を条約の規制対象物として分類するものです。対象となるものは、電子機器からの e-プラスチックを含む混合プラスチックです。今後は海外企業がわざわざ2つの団体から認証を取る必要が無くなるのか、そこがユーザーにとっての焦点になりそうです。
▶ https://resource-recycling.com/e-scrap/2024/07/18/basel-regulations-unite-ban-and-seri-in-collaboration/
インド政府は「重要鉱物ミッション」を立ち上げる予定です。財務大臣が次年度の連邦予算を発表した際に明らかにしたものです。銅やリチウム等の重要鉱物の国内生産とリサイクルを促進する国家的なミッションとなります。財務大臣は「我々は、国内生産、重要鉱物のリサイクル、重要鉱物資産の海外取得の為の「重要鉱物ミッション」を設立する。その任務には技術開発、熟練労働力、拡大生産者責任の枠組、適切な資金調達メカニズムが含まれる」と述べています。このミッションでは、国内のみならず、海外での鉱物資源の獲得も含まれています。欧州、米国、英国に続き、インドでも国家規模でリサイクルを含めた重要鉱物プロジェクトがスタートする事になりそうです。
▶ https://www.business-standard.com/budget/news/budget-2024-finmin-announces-critical-mineral-mission-what-we-know-so-far-124072400367_1.html
フランスの電力大手EDFとイタリアの鉄鋼業界は、鉄鋼生産の脱炭素化に向け小型原子力モジュール炉(SMR)による電力供給への共同投資を検討している事を発表しました。鉄鋼業界が直接原子力発電に「共同出資」するという新たな流れとなっています。EDFは自社のイタリア子会社を経由し、機器メーカーのアンサルド・エネルギア及びアンサルド・ニュークレア、そしてイタリア鉄鋼業界団体フェデラッチャイと原子力エネルギーの利用に関する協定を締結します。この協定では今後10年の内にSMR建設への共同投資の検討が含まれています。SMRは特定の場所に設置することが出来、今回、製鉄所等、排出量の多い施設に低コストでより的を絞った電力を提供する為に開発される予定です。イタリアの鉄鋼業界は脱炭素化、循環性、エネルギー効率の面でEUをリードしています。イタリアでは脱炭素化を進める事で鉄鋼業界の競争力を維持する狙いがあります。
▶ https://www.edf.fr/en/the-edf-group/dedicated-sections/journalists/all-press-releases/edf-edison-federacciai-ansaldo-energia-and-ansaldo-nucleare-signed-a-memorandum-of-understanding-for-the-use-of-nuclear-energy-to-boost-the-competitiveness-and-decarbonisation-of-the-italian
欧州政府は一次プラスチックポリマーの生産を抑制する宣言である「Bridge to Busan」に署名しました。この宣言はプラスチック汚染撲滅の国際的な法的拘束力のある規制を目指すEUの立場を示すものです。一次プラスチックポリマーの生産は、2050年迄に「飛躍的に」増加すると予想されており、膨大なプラスチック廃棄物の量によって、各国の廃棄物管理・リサイクル能力に負担がかかり過ぎるという懸念が共有されつつあります。現在のペースで進めば、世界はプラスチック汚染を終わらせ、世界の平均気温上昇を1.5℃未満に抑えるという目標を達成できない可能性が高まっています。一次プラスチックポリマーの生産抑制は、プラスチック汚染問題を管理する為の最も効率的で費用対効果の高いアプローチの 1 つと言われています。宣言の署名国は取組の負担は各国間で公平に分配され、各国がプラスチックのライフサイクル全体にわたって役割を果たすことが保証されるべき、と考えています。
▶ https://www.bridgetobusan.com/
中国政府は富裕層に対する圧力を強め始めています。北京政府は「過剰所得」を規制する動きを強めており、深圳の大手ファンド2社の職員に300万元を超える昨年の給与所得の返還を求めています。2社は政府の緊縮政策を遵守する為に職員に支払う年間収入に上限を設けています。国営企業である招商基金管理の幹部らは、新たな賃金上限である300万元(41万3297ドル)以上を支払われている労働者に対して、昨年の超過額を返還するよう要求し、さもなければ来月にも返還に動くと見られています。三中全会後に発表された文書の中で、当局は「所得分配と富の蓄積手段を適切に管理し」、「過剰な所得を適切に規制する」と述べていました。
▶ https://www.asiafinancial.com/chinas-war-on-wealth-funds-staff-told-to-repay-excess-salaries
▶ https://www.reuters.com/technology/artificial-intelligence/more-than-40-japanese-companies-have-no-plan-make-use-ai-2024-07-17/
S&Pは、コバルト価格が9月前に回復する事が難しいという分析レポートを出しています。2024年Q3は供給過剰とEV用バッテリーLFP化によりコバルト価格が低迷すると予想しています。中国の国営調査機関アンタイケは、世界のコバルト生産量は2023年の22万~23万トンから2024年には23万8000トンに達すると発表しています。現在の推計では、EV用電池としてLFPが約80%のシェアに急増すると見ています。中国自動車電池イノベーション連盟によると、6月の中国の市場シェアはLFP電池が75.5%、NMC電池が24.3%でした。コバルトに関しては5月に中国がコバルトの備蓄を行うとのニュースが出ましたが、それでも価格上昇は一瞬だけでした。
▶ https://www.spglobal.com/commodityinsights/en/market-insights/latest-news/energy-transition/071924-trade-review-oversupply-shifting-battery-preference-hurt-q3-cobalt-outlook
大手証券会社シティは、トランプ氏の再選と共和党が両議会の多数を占める事で世界の商品市場に大きな影響を与える可能性があると指摘しています。シティはアルミニウム、銅、金、銀、原油、リチウム、バッテリー関連金属への影響を指摘しています。トランプ政権が前回と同じ政策を行った場合、中国政府は(関税により米国から締め出された金属需要を国内で満たす為)インフラ投資、特に国内エネルギー網のアップグレードを推進する可能性が高いと考えています。1-2年は中国の政策がアルミニウムと銅価格にはプラスに動きます。しかし、その後は米国の関税の引き上げによる貿易の「大きな逆風」により、価格の下げ圧力が強まり、中国のインフラ投資との綱引きになると予想しています。
▶ https://www.marketindex.com.au/news/what-a-trump-presidency-could-mean-for-copper-gold-oil-and-battery-metals
市場調査会社の多くは今後10年間で低炭素鋼の価格「プレミアム」が生まれるだろうと予測しています。発行されたばかりのグローバル・エネルギー・モニター(GEM )の最新の報告書では鉄鋼のグリーン化の進捗について特集しています。現在開発中の鉄鋼関連生産能力の49 %は電炉で、 2023年の43%、2022年の33 %から増加し続けています。2030年には、世界の鉄鋼生産の36%以上が電炉で構成される可能性があります。これは国際エネルギー機関の予測とほぼ一致しています。高炉の代替として最有力候補となっているのは直接還元鉄(DRI)製造です。現在、世界の鉄製造能力のうちDRI が占める割合は僅か9 %です。GEMによると現在開発中の世界の鉄製造能力の内、DRI が占める割合は36 % で、製鉄業界のグリーン化の大きな転換期であると報告しています。脱炭素の為のDRIは未だ商業的利用が達成されていないグリーン水素を必要とする為、研究者は水素 DRIへの移行が排出量にどのような影響を与えるかを正確に把握することが難しい、との見解を示しています。こうした鉄鋼のグリーン化にも関わらず足元では年間3億トン以上の高炉生産能力が16カ国で計画されています。その大半は中国、インド、ベトナム、マレーシアで予定されていることから、供給過剰の懸念、過剰市場での成長の鈍化が指摘されています。それでも、世界の鉄鋼業が石炭を捨てる準備がまだ整っていないことは、明らかになっています。
▶ https://globalenergymonitor.org/report/pedal-to-the-metal-2024/
「三中全会」の発表内容の分析から、中国が長期のデフレリスクを抱え、日本型不況に陥る懸念が湧いています。専門家は、会議での経済政策の方向性は「消費を増やすものが殆どなく、産業近代化(ハイテク産業)へのインフラ投資が主な事から(国や地方の)債務が経済成長を上回り続ける可能性がある」と懸念を発しています。当局も複雑さを認めており、「改革が深まれば深まるほど、利益相反はより複雑かつ深刻になる」と述べています。ムーディーズのエコノミストは「中国政府の声明は、主に『新たな生産力』『科学技術革命』『産業変革』に焦点を当てていた。家庭の福祉への支援については、最後まで触れられなかった」と指摘しています。
▶ https://www.asiafinancial.com/chinese-officials-admit-its-economic-goals-full-of-contradictions
欧州で二次原材料市場に関して年内に動きがありそうです。2期目に入った欧州委員長のフォンデアライエン氏は最初の100日以内にエネルギー産業の投資を促す「グリーン産業協定」を提出する意向を発表しました。更に「循環経済法」を計画していることも発表し、重要な原材料に関しては、二次原材料の需要と廃棄物の単一市場の創出を支援するとしています。2年以内に欧州委員会から「重要二次原材料リスト」が発表される可能性があり、その場合には複数のリサイクル金属が入る可能性が高いと見られています。現在の議論は鉄鋼生産者協会が推している鉄スクラップです。EUの共同調達メカニズムを天然ガスに加え、重要な原材料や水素へ対象を拡大する意向です。
▶ https://www.endseurope.com/article/1881349/whats-green-agenda-von-der-leyens-second-term
米国政府は2027年迄に食品サービス業務、イベント、包装、使い捨てプラスチックを段階的に廃止する方針を掲げました。更に2035年迄に全ての連邦政府業務から、使い捨てプラスチックの政府調達を段階的に廃止するという新たな目標を示しました。直ちに全面禁止ではなく、 その後に続く可能性のある措置についても検討される予定です。それらには廃棄プラスチックの収集、リサイクルの強化、プラスチック廃棄物が自然環境に流入するのを防ぐ為の措置が含まれています。
▶ https://www.whitehouse.gov/briefing-room/statements-releases/2024/07/19/fact-sheet-biden-harris-administration-releases-new-strategy-to-tackle-plastic-pollution-takes-action-to-reduce-single-use-plastics-in-federal-operations/#:~:text=Additionally%2C%20the%20Biden%2DHarris%20Administration,all%20federal%20operations%20by%202035
中国の民間銅製錬所は、銅精鉱の供給不足から生産削減を検討しています。しかし国営の大手銅製錬所は生産を維持し経済成長を持続させる責任がある為、大幅な生産削減が行われる可能性は低いと見られています。現在、継続的な銅精鉱の不足により、中国のいくつかの銅製錬所は生産量の削減を余儀なくされています。来年は原材料供給が更に逼迫すると予想されており、更なる生産削減が行われる可能性が指摘されています。銅の生産減は価格の下支えになります。しかし銅精鉱の不足から銅スクラップの輸入を増加させており、この傾向は暫く続きそうです。
▶ https://www.mining.com/web/china-copper-smelters-eye-more-output-cuts-as-raw-material-supply-tightens/
韓国の鉄鋼メーカー現代製鉄は低炭素鋼板の販売基盤を拡大しています。その状況をコリア・ヘラルド紙が報じています。同社は最近、チェコの自動車部品メーカーであるタウェスコ社、及びイタリアの自動車板金加工会社であるユーサイダー社と低炭素鋼板の供給に関する覚書を締結しました。それらのサプライヤーはVWやステランティスに部品を供給しています。現代製鉄と部品メーカーは今年9月から低排出鋼部品のテストを開始する予定です。現代製鉄は今年5月にもボルボ、BMW、メルセデス・ベンツ、部品メーカーのキルヒホフ・オートモーティブと冷間圧延鋼板や溶融亜鉛メッキ鋼板等の低炭素鉄鋼製品の販売に関する覚書を締結しています。EUではCSRDが発効して製造大手は炭素削減目標の開示が必要となり、この傾向はより強くなると考えられています。
▶ https://www.koreaherald.com/view.php?ud=20240715050518
2023年10月から試験運用が開始され、2026年から炭素税(炭素証明)の徴収が始まるEU国境炭素調整メカニズム(CBAM)は、インド製品の輸出先を変える可能性があります。CBAMは当初インドのGDPに0.05%の影響を与えるのみと見られています。しかしCBAMの対象となる製品は、インドの総輸出の25.7%を占めており、EU以外に輸出した国で製造された製品がEUに輸出される場合には材料を供給するインドでの鉄鋼やアルミ製品の炭素排出量も課税対象となります。その為、直接的な輸出による影響以外にも今後は間接的な影響も十分に起こり得るとしています。インド当局は欧州のCBAMはクリーンな技術への経済的負担を途上国に負わせている、と非難しています。CBAMの懸念材料は余剰生産の鉄鋼やアルミ二ウムが欧州のCBAMと米国の関税制度で行き場を失い、日本を始め保護政策を持たない地域にさらに大量に安価に流入してくる事です。この現象はCBAMの実施で更に激しくなると思われます。
▶ https://www.business-standard.com/economy/news/eu-s-carbon-tax-mechanism-expected-to-cost-india-0-05-of-gdp-report-124071700953_1.html
欧州はプラスチックのケミカルリサイクル工場向けの「選別されたプラスチック」の生産が始まっています。今年5月には、亜臨界水による熱分解リサイクルを行う英国のMura Technologies社がElite Recycling Solutionsと提携し、選別処理されたブラスチック廃棄物の供給を受ける契約を行いました。今月、オランダの廃棄物処理会社 Renewi は、Freepoint Eco-Systems(フリーポイント・エコシステムズ)社のケミカルリサイクル工場向けの原料を生産する長期戦略提携を計画している事を発表しました。この提携の目的は廃プラをRenewiとフリーポイントの自社工場で選別し、フリーポイントの廃プラケミカルリサイクル工場向けに年間 8 万トンの「選別された廃プラ原料」を供給する事です。欧州で始まった廃プラのケミカルリサイクルは、廃プラの「前処理」に多くのコストが嵩み、未だに宣伝された成果が上がっていません。
▶ https://resource.co/article/renewi-and-freepoint-partner-extract-plastics-residual-waste
CIWM (英国廃棄物管理公認協会)は、英国政府に対して、電池の拡大生産者責任(EPR)とデポジット返還制度 (DRS)を求めています。CIWMは廃棄された電池による火災が廃棄物・資源管理部門、納税者、そして地域社会に大きな危機をもたらしていると警告しています。CIWMの調査では電池のデポジット制度の利用に対する英国民の支持が「強い」レベルにあると報告しています。国民の51%が「全ての場合、又は殆どの場合」デポジット制度を利用すると回答しました。32%は「場合によっては」利用すると回答しており、合わせると83%の国民は、デポジット制同が有れば利用する用意がある事が示されています。
▶ https://www.ciwm.co.uk/ciwm/news-and-insight/reports-and-research.aspx
欧州ではEV生産にブレーキが掛かっています。フランスのサプライヤーOPmobilityは、欧州メーカーのEV生産が最大で45%減少する可能性を指摘しました。またポルシェは、EVの普及が計画通りに進んでいないことを認め、ルノーもCEOが「2035年迄に100%EV化を実現する軌道に乗っていない」と発言しています。フォードも2030年からEVブランドになるという計画を「野心的すぎる」と述べ、フィアットはアイコンである500をEVのみにする計画を破棄しています。アウディもEVモデルの展開を縮小し、高級ブランドのベントレーは、2030年までに完全EV化する計画を3年延期しています。
英国は政権の交代で労働党政権がガソリン車とディーゼル車の新車販売禁止を2030年にすると予想されていますが、欧州の2035年EV義務化は、かなり疑問視されるようになっています。
▶ https://www.thisismoney.co.uk/money/electriccars/article-13662403/Renault-boss-casts-doubts-2035-EV-switch.html
英国では重要原材料のリサイクル回収に向けて、バーミンガム大学、レスター大学、エディンバラ大学がRECREATE(環境の為の先進技術における重要な元素のリサイクル)という5年間のプロジェクトを立ち上げました。エンビプロホールディングスがMoUを結ぶHyProMag社の元々の母体であるバーミンガム大学の戦略元素・臨界材料センターが中心となっています。公的基金より£820万(約16億5000万円)の助成金を受けて、廃棄物からの重要な材料の分類、再利用、リサイクル、生成物と副産物の特定、環境影響、廃棄物の削減に関する開発を行います。また循環性を高める新しい材料の開発と製造も研究対象としています。このプロジェクトのユニークな点は製造と使用を結び付けて、修理、再利用、リサイクルのプロセスを簡素化する開発を行う事です。
▶ https://www.birmingham.ac.uk/news/2024/8.2m-award-from-esprc-to-transform-how-technology-critical-materials-are-recycled-and-reused
また1つ、多国籍企業によるプラスチック・サーキュラーエコノミー(CE)の目標が密かに撤回されています。エネルギー大手のShellは廃プラスチックの「高度なリサイクル(ケミカルリサイクル)を急拡大する公約を密かに撤回しました。ユニリーバ、ネスレに続くものです。Shellは「2025年迄に世界中の化学工場で年間100万トンの廃プラをリサイクルし熱分解油にする」と宣伝していましたが、2023年(2024年発行)のサステナビリティ―リポートでは一転して「2023年に、2025年迄に年間100万トンのプラスチック廃棄物を熱分解油に変えるという当社の野望は実現不可能であると結論付けました」と記載しています。CSRDが始まり、更にグリーンウォッシング規制が強化され、欧米企業は以前のように宣伝文句の為に根拠も無く野心的な目標を公表できなくなっています。今後、廃プラのケミカルリサイクルへの投資は、やや減少する可能性があります。
▶ https://www.theguardian.com/business/article/2024/jul/17/shell-recycling-plastic-pledge
銅を巡り、業界の流通ルート(サプライチェーン)が大きな変革期にある兆候が示されています。大手鉱山グループは、ケーブルメーカーや大手バイヤーが手頃な価格で銅を確保する為に「直接取引」への移行の兆しが強まっているとみています。一方で鉱山業界内では、かつて石油産業がそうであったように、鉱山会社が「スーパーメジャー」として合併統合するのか、それとも数十億ドル規模のプロジェクト毎に「提携」するのか、と議論が激しく交わされています。銅鉱山への投資は生産に達するまでに約15年掛かる為、長年開発投資が不足しており、一旦銅の需要が増せば、供給の大幅な不足が起こる事は、既に業界のコンセンサスとなっており、このような2つの動きとなっています。
▶ https://www.ft.com/content/220ef9d2-df1e-4b93-b044-fb1957591428
韓国のバッテリーメーカーLGESは、欧州の低価格EV向けに中国の電池材料企業と協議を行っている事が伝えられています。LGESは欧州市場向けに中国企業と共同でLFPカソードを生産する為にモロッコ、フィンランド、インドネシアの3ヶ所を検討しています。このような事が起きる背景には欧州で生産する自動車メーカーが中国製と同等レベルの安価なバッテリーを望む要望が強い事が挙げられます。EUは中国製EVに追加関税を課しましたが、それでも欧州生産モデルよりも安価な製品が有り、競争が激化し始めています。既に中国系電池材料メーカーはモロッコに多額の投資をしており、安価な材料サプライチェーンを構築しつつあります。
▶ https://www.reuters.com/technology/lg-energy-solution-talks-with-chinese-firms-make-low-cost-ev-batteries-europe-2024-07-24/
2025年から始まる改正バーゼルの発行に先立ち、e-Stewards と R2認証 を管理している2つの団体、BAN(バーゼル・アクション・ネットワーク)とSERI(サステナブル・エレクトロニクス・リサイクリング・インターナショナル)が協力する事になりました。歴史的に、両団体は対立関係にありましたが、今後のバーゼル改正を控え、互いに協力し合う事を確認しています。バーゼルの変更点は、広範囲な電子機器を条約の規制対象物として分類するものです。対象となるものは、電子機器からの e-プラスチックを含む混合プラスチックです。今後は海外企業がわざわざ2つの団体から認証を取る必要が無くなるのか、そこがユーザーにとっての焦点になりそうです。
▶ https://resource-recycling.com/e-scrap/2024/07/18/basel-regulations-unite-ban-and-seri-in-collaboration/
インド政府は「重要鉱物ミッション」を立ち上げる予定です。財務大臣が次年度の連邦予算を発表した際に明らかにしたものです。銅やリチウム等の重要鉱物の国内生産とリサイクルを促進する国家的なミッションとなります。財務大臣は「我々は、国内生産、重要鉱物のリサイクル、重要鉱物資産の海外取得の為の「重要鉱物ミッション」を設立する。その任務には技術開発、熟練労働力、拡大生産者責任の枠組、適切な資金調達メカニズムが含まれる」と述べています。このミッションでは、国内のみならず、海外での鉱物資源の獲得も含まれています。欧州、米国、英国に続き、インドでも国家規模でリサイクルを含めた重要鉱物プロジェクトがスタートする事になりそうです。
▶ https://www.business-standard.com/budget/news/budget-2024-finmin-announces-critical-mineral-mission-what-we-know-so-far-124072400367_1.html
フランスの電力大手EDFとイタリアの鉄鋼業界は、鉄鋼生産の脱炭素化に向け小型原子力モジュール炉(SMR)による電力供給への共同投資を検討している事を発表しました。鉄鋼業界が直接原子力発電に「共同出資」するという新たな流れとなっています。EDFは自社のイタリア子会社を経由し、機器メーカーのアンサルド・エネルギア及びアンサルド・ニュークレア、そしてイタリア鉄鋼業界団体フェデラッチャイと原子力エネルギーの利用に関する協定を締結します。この協定では今後10年の内にSMR建設への共同投資の検討が含まれています。SMRは特定の場所に設置することが出来、今回、製鉄所等、排出量の多い施設に低コストでより的を絞った電力を提供する為に開発される予定です。イタリアの鉄鋼業界は脱炭素化、循環性、エネルギー効率の面でEUをリードしています。イタリアでは脱炭素化を進める事で鉄鋼業界の競争力を維持する狙いがあります。
▶ https://www.edf.fr/en/the-edf-group/dedicated-sections/journalists/all-press-releases/edf-edison-federacciai-ansaldo-energia-and-ansaldo-nucleare-signed-a-memorandum-of-understanding-for-the-use-of-nuclear-energy-to-boost-the-competitiveness-and-decarbonisation-of-the-italian
欧州政府は一次プラスチックポリマーの生産を抑制する宣言である「Bridge to Busan」に署名しました。この宣言はプラスチック汚染撲滅の国際的な法的拘束力のある規制を目指すEUの立場を示すものです。一次プラスチックポリマーの生産は、2050年迄に「飛躍的に」増加すると予想されており、膨大なプラスチック廃棄物の量によって、各国の廃棄物管理・リサイクル能力に負担がかかり過ぎるという懸念が共有されつつあります。現在のペースで進めば、世界はプラスチック汚染を終わらせ、世界の平均気温上昇を1.5℃未満に抑えるという目標を達成できない可能性が高まっています。一次プラスチックポリマーの生産抑制は、プラスチック汚染問題を管理する為の最も効率的で費用対効果の高いアプローチの 1 つと言われています。宣言の署名国は取組の負担は各国間で公平に分配され、各国がプラスチックのライフサイクル全体にわたって役割を果たすことが保証されるべき、と考えています。
▶ https://www.bridgetobusan.com/
中国政府は富裕層に対する圧力を強め始めています。北京政府は「過剰所得」を規制する動きを強めており、深圳の大手ファンド2社の職員に300万元を超える昨年の給与所得の返還を求めています。2社は政府の緊縮政策を遵守する為に職員に支払う年間収入に上限を設けています。国営企業である招商基金管理の幹部らは、新たな賃金上限である300万元(41万3297ドル)以上を支払われている労働者に対して、昨年の超過額を返還するよう要求し、さもなければ来月にも返還に動くと見られています。三中全会後に発表された文書の中で、当局は「所得分配と富の蓄積手段を適切に管理し」、「過剰な所得を適切に規制する」と述べていました。
▶ https://www.asiafinancial.com/chinas-war-on-wealth-funds-staff-told-to-repay-excess-salaries