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NEWSCONの気になるNEWS(2024年7月第2週)

6月にドイツ・フランクフルトで開催された「2024年E-Waste World、バッテリーリサイクル、金属リサイクルカンファレンス&エキスポ」の結果が専門誌で伝えられています。65ヶ国以上からの参加者があり、参加者数上位3ヶ国は、ドイツ、オランダ、イギリスでした。3,500人以上の業界専門家、300人以上の出展者、130人以上の講演者が集まり、過去最大級のものとなった事が伝えら得ています。欧州でのバッテリーやWEEEへの関心は相変わらず高く、エキスポの参加人数に表れています。
https://wasteadvantagemag.com/reflecting-on-the-success-of-2024-e-waste-world-battery-recycling-and-metal-recycling-conference-expo-series-securing-future-supply-chains-at-scale/

インドのエネルギー移行政策が二転三転しています。インド政府は電力事業者に330億ドル相当の石炭火力発電設備を発注するよう要請しました。インドは今月、過去14年間で最大の電力不足に見舞われました。その為、緊急指令を発動し、企業(電力会社)に輸入石炭で発電所を稼働させるよう要請しました。エネルギー研究所の最新データではインドは1ヵ国で欧州と北米の合計よりも多くの石炭を消費しています。一人当りの石炭消費量も両地域の水準をやや上回る量になっています。2022年の統計では世界最大のCO2排出国は中国で世界の排出量の30.7%、次いで米国の13.6%、インドは3位で7.6%となっています。日本は4位のロシアに次ぐ5位で2.8%です。(出典はStatita)インドはグリーン化よりも経済成長を優先しており、今後もGHG排出量は増えると見られています。次回COPでのインド政府による石炭廃止への反対は続くものと見られています。
https://www.oecd.org/en/publications/coal-in-the-energy-supply-of-india_9789264175945-en.html

英国の選挙は、中道リベラルな労働党の大勝利に終わりました。しかし、この結果は英国の選挙制度もあり得票率と比例しておらず、EU側のメディアでは極右政党の大躍進によってもたらされたと分析されています。労働党の全国での得票率33.8%で圧倒的多数の412議席(+214)を獲得しました。現政権の保守党は得票率23.7%で、121議席(-252)となりました。実は3位の得票率は極右と言われる改革UKが14.3%でしたが、議席数は僅か5議席でした。改革UKの得票率は緑の党の2倍を超えています。改革UKは多くの選挙区での得票率が2位~3位となり、現政権の保守党の票を奪う形となりました。その結果、政権党である保守党は歴史的な惨敗となりました。労働党が勝利したのではなく「保守党が負けた」というのがもっぱらの評価です。この様に英国を含め各地で起こる右傾化で最も意識する必要があるものは、「投資の流れ」「お金の流れ」の変化です。右傾化は保護政策を助長します。今、世界の工場であり対立軸となりつつある中国はモロッコでの投資を猛烈に増やしています。欧米の右傾化を鑑み、EUと米国の両方に友好的な貿易協定があり、会社(企業)の裁量権(資本比率)等の決定に自由度があるモロッコは、中国企業が「モロッコ企業」となり欧米に輸出をする窓口として最も有効な国と考えられています。アジアからモロッコへの資金の流れは別のビジネス機会を生み出し始めています。
https://edition.cnn.com/2024/07/04/uk/uk-election-results-tracker-map-2024-intl/index.html

プラスチックリサイクルの新しい技術である「バイオリサイクル」を商業化したフランスのCarbios社(カルビオス)は、中国のZhink Groupとの長期提携を発表しました。Zhink Groupは中国民間企業トップ500社にランクされる会社で、売上高は200億人民元を超えます。この長期提携はカルビオスのバイオ技術を中国で利用する為のもので、年間5万トンのPET廃棄物処理施設のライセンス契約が含まれます。現在中国では年間6,700万トンのPETが生産されており、これは世界生産量の61%を占めます。rPETの世界の消費量の58%をアジアが占め、その内38%は中国が1ヵ国で消費しています。この技術に限りませんが、日本を含む欧米の新技術の多くは多額の資金により中国企業が商業的な実用化を始める所が多い為、今後のプラスチックのバイオリサイクルにも期待が掛かっています。
https://www.carbios.com/newsroom/en/carbios-and-zhink-group-enter-official-discussions-for-long-term-partnership-to-build-pet-biorecycling-industrial-capacities-in-china/

オーストラリアで使用済みタイヤを破砕し蒸留処理(GDT :Green Distillation Technologies)によりリサイクルを行うGDT社は、本格的な商行運転を開始する事を発表しています。今後数ヵ月以内に2つの新しいリサイクル施設を建設し、既存のGDTモジュールに追加する計画です。能力拡大により、地元からの廃タイヤを受入れ拡張する予定です。同社の技術はエジソン財団から賞を受賞しており、更に地元政府からの援助を受けています。
https://www.gdtc6.com/our-solution/

ドイツの化学大手BASFは、EVの普及鈍化により、チリのリチウム採掘への投資計画を撤回しました。中止に至った背景は重要で認識する必要があります。現在、鉱山会社やリチウム生産会社が生産能力の増強と新たな探索に多額の資金を投入している事から、将来的なリチウムの供給過剰予測が高まっています。またチリ政府は今後10年間でリチウムの生産量を増やす計画を発表しており、リチウムのサプライチェーン全体に補助金を出す予定です。こうした事が重なり、リチウムの供給過剰に拍車が掛かり、投資に対する採算性に問題が出る懸念が強まっています。つい最近、BASFとフランスの鉱山企業Erametは同様の理由でインドネシアでの26億ドルのニッケル・コバルト精錬所プロジェクトを中止したばかりです。
https://www.mining-technology.com/news/basf-chile-lithium-downturn/

米国内の7月の鉄スクラップトレンドは「弱気」で一致しています。米国内の鉄スクラップの指標は41.7と弱気調となっています。買い手は悲観的(34.4)で需要減、価格下落の1つの要因となっています。しかし売り手は比較的楽観視(53.2)しており、輸出余力はありそうです。在庫水準は45.3で平均より僅かに低い水準を示しています。
https://www.fastmarkets.com/insights/us-scrap-trends-outlook-july-2024/

EVバッテリーで中国勢の躍進による日韓メーカーへの影響が報道され始めています。先月末には、吉利グループのGeelyが走行距離100万キロ、最長50年間使用できるLFPを発表し話題になりました。サウスチャイナモーニングポストは中国のUSTC研究チームがコスト10分の1となる次世代のリチウム個体電池を開発したと発表しています。そうした中、韓国の大手EVバッテリーメーカーのSK On(SKオン)は李錫熙最高経営責任者(CEO)が従業員宛てに送付した書簡で、一連のコスト削減と労働改善策を発表し、これを「緊急管理状態」と表現しました。またFT紙は日本のパナソニックがアジアのEVバッテリー戦争で中国勢との競争に勝つ事が難しく、計画を変更する可能性があると報じています。短期的にEVの問題は欧米での雇用問題もあり、技術的なものから政治的な判断に変わりそうです。しかしその間の技術進歩では中国勢が有利になると見ているようです。
https://www.geely.com/en/news/2024/geely-auto-unveils-new-short-blade-ev-battery-technology

中国の中央銀行である人民銀行は、加熱する債券市場の取引を抑制する為に、主要金融機関と中長期債の借り入れ契約を締結し、状況に応じて債券を売却し鎮静化を図ります。中国人民銀行は先週末に市場の状況に応じて債権を売却すると発表しました。中国経済が不安定な中、貯蓄先が安全資産に流れ込み、中国の国債が今年好調に推移しています。利回りが過去最低を記録し、価格は高騰し続けています。人民銀行は債券高騰を鎮静化させるための取り組みとして、債権売却(=価格の鎮静化)を行う計画です。今年、資金(資本)流出を抑え、人民元安を食い止め、更に過熱する債権市場を鎮静化するという一連の措置がとられています。それだけ、中国経済悪化の実態が反映されていると言えそうです。
https://www.reuters.com/world/china/chinas-central-bank-tweaks-liquidity-operations-amid-strong-bond-demand-2024-07-08/

2024年1月~6月までの世界の鉄鉱石輸出量は2023年の同時期に比べて5%増加し、7億5100万トンに達する見込みです。中国は鉄鋼生産量の制限を徐々に実施し、更なる削減を検討しています。しかし実態としては鉄鉱石の輸入量が前年比6%以上増加して6億1,500万トンに達しています。日本、韓国はそれぞれ2%以上、5%以上の輸入量の減少となっています。鉄鉱石価格については来年にかけて下落傾向と見られていますが、一部では鉄鉱石や石炭については今後もインドを始め、新興国での需要が減りにくい傾向にあるとの見方に改められるようになっています。最近グレンコアはカナダの冶金石炭事業テック・リソーシズ・エルク・バレー・リソーシズの株の77%を69億ドル買収したばかりです。カナダ政府もこの買収を承認しました。同社の残りの少数株主は新日鉄とポスコです。引続き、不動産から製造にシフトした中国と政府による強力な経済発展が続けられているインドの2ヵ国が鉄鉱石と石炭輸入を引っ張りそうです。
https://www.bigmint.co/insights/detail/global-seaborne-iron-ore-exports-rise-5-y-o-y-in-jan-june-24-will-trend-continue-in-h2cy-24–558033


インドの億万長者グプタ一族が英国と欧州で複数個所の工場を有するLiberty Steel(リバティスチール)の内、チェコ最大の鉄鋼所であるリバティ・オストラバ製鉄所が先月末に裁判所から破産宣告を受けました。リバティスチールは2030年迄に「全ての鉄鋼をグリーン化する」として投資家から資金を集め、現在まで殆ど成功せずに巨額な負債を抱えた悪しき前例となりつつあります。この破産は欧州鉄鋼業界に衝撃を与えると共に市場に深い懸念を抱かせる事件となっています。オストラバ製鉄所は数ヵ月前から売却を計画していましたが買い手が見つからず、債務を処理する為の手段として破産となりました。現在も複数の買い手と交渉していますが、成功するかは未定です。同社は破産前に1日当たり約100万ユーロという莫大な負債とEUとチェコ政府からの炭素排出量の割当に関する問題を抱えていました。リバティは2019年に欧州最大の鉄鋼会社アルセロール・ミタルからオストラバ工場を買収しましたが、その後も上手くいかず、圧延生産ラインは2023年後半から停止したままで、生産再開計画の全ては未実現のままです。リバティのルーマニア製鉄所も今年5月に高炉を停止しています。
この破産劇には、欧州鉄鋼業界とグリーン投資にまつわる2つの暗い背景があります。1つはグプタ一族が所有するリバティの親会社であるGFGアライアンスへの最大の出資者であった新興の「グリーンシル・キャピタル」が2021年に破産した事です。そしてこのグリーンシル・キャピタルを急速に成長させたのは、2019年に8億ドルを出資した日本のソフトバンクのビジョン・ファンドです。グリーンシルはソフトバンクが出資した2019年から2年以内にIPOを完了する予定でしたが失敗、その後、破堤しました。その間、スイスUBS銀行に吸収合併される事になったクレディスイスからの多額のローンに頼ってきました。グリーンシルの上級顧問の1人は、英国元首相のデビッド・キャメロンでした。グリーンシル・キャピタルの創設者アレクサンダー・デイビッド・グリーンシルはキャメロンを通じてオバマ元大統領とも知り合いだと豪語し、2017年にはチャールズ皇太子(当時)からビジネスへの貢献が認められ、大英帝国勲章コマンダーを授与されています。しかし限りなくグリーンウォッシングに近い「未実現なグリーンスチール」で政治家を巻き込み集めた金でIPOによるキャピタルゲインを狙った新興ファンドの計画は全て破堤しました。そのキャピタルゲインを狙って失敗したもう1つの組織はソフトバンクという事です。
そして2つ目はこうした未計画で科学的に実現不可能な鉄鋼業のグリーン化の大きな宣伝が、欧州鉄鋼業全体へのグリーン化圧力を生み出してきた事です。現実的に、現段階では鉄スクラップしか「解」が無く、結果的に欧州での「鉄スクラップの囲い込み」という動きに繋がるという皮肉な結果を生み出す事になりました。
https://agmetalminer.com/2024/07/05/ostrava-steel-manufacturing-plant/

他のベースメタルに比べて銅価格が安定している理由の1つに軍事需要が伝えられています。弾丸の薬きょうは真鍮(銅と亜鉛の合金)製です。ウクライナ戦争前、米国での砲弾生産は月平均1万4400発砲でしがたが、2025年末迄に月間10万発の生産を目指しています。NATOの155ミリ砲弾には0.5キロの銅が含まれており、ウクライナ軍は1日当り最大7,000発の砲弾を発射しています。ウクライナ戦争前、EUは年間23万発の155mm砲弾を生産していましが、現在は年間100万発の生産を目指しています。更に2030年迄には年間300万発の生産を目標としています。ただし現在のEUの生産は大幅に遅れており、これが回復すると一気に銅需要が増加する可能性があります。鉱山関係者は中国での軍事需要も非常に高いと伝えています。調査会社は軍事用途の銅の使用量は2026年迄に世界で年間14%増加し、422万トンに達すると推定しています。ニッケルも同様の傾向があり、戦争と分断により生産が回復すると特需がしばらく続きそうです。
https://www.mining.com/ukraine-war-sparks-surge-in-copper-demand/

欧州非鉄金属生産者及びリサイクル業者協会と欧州リサイクル産業連合は、連名で非有害電子廃棄物(WEEE)に関する欧州政府の提案を再考するよう求めています。欧州委員会によるこの提案は2025年1月1日から改正されるバーゼル条約に合わせて「欧州廃棄物輸送規則」に変更を加えるものです。改正バーゼル条約では、非有害であってもWEEEの越境輸出は原則禁止となります。国境を越えて輸出する場合は、相手国の当局の許可と再生プロセスの保証が確立されている場合に限ります。現在、EU域内ではWEEEの75%はグリーンリストの廃棄物として自由に売買されています。しかし新たな提案が承認された場合、手続きが煩雑になります。伝統的にバーゼルの付属書Ⅱに記載された廃棄物はEU法に同じ条件が追加され事実上の輸出禁止となります。今回もその措置を踏襲したものとなりました。過去に付属書IIに記載された廃棄物は家庭ごみとプラスチック廃棄物です。
https://euric-aisbl.eu/resource-hub/position-papers/euric-eurometaux-challenge-commission-proposal-on-prior-notification-for-intra-eu-shipments-of-non-hazardous-e-waste

中国が実施する10月からのレアアース管理は、対立軸にある米国企業を動かす事になりそうです。米国は国内生産の拡大とレアアースの供給網の多様化に向けた取り組みを強化するものと見られています。中国以外からの供給網の確立、リサイクル技術の開発・利用、そして代替材料の開発の緊急性も高まっています。カナダやオーストラリア等の希土類生産企業との協力は必要不可欠となっていますが、コストや環境負荷などの課題が残っています。注目されているのはオーストラリアのLynas社です。軍事産業と電化に欠かせないレアアースを巡っては、暫く欧米での投資が活発化しそうです。
https://agmetalminer.com/2024/07/09/china-tightening-rare-earths-further/

EUはインド政府と本格的にEU炭素国境調整メカニズム(CBAM:国境炭素税)について協議を行いました。既に日本と韓国はCBAMに関するEUとの協議を開始しています。インド政府と企業は欧州の難解なメカニズムに対応する為、EUと協力して取り組む事を約束しています。現在の大きな問題は、EUへの鉄鋼輸出時にインド側で炭素排出量の詳細なデータを得る事ができない事です。そうしたシステム自体がインドでは確立されておらず、EU法ではどのような要求があるのかを認識する必要が生じています。
https://taxation-customs.ec.europa.eu/news/eu-india-advance-cooperation-cbam-2024-07-05_en

中国政府は銅とアルミのスクラップ輸入規制を緩和し、輸入量を増やす草案を提起しました。8日に中華人民共和国生態環境省が発表したもので、通知によると今後、銅とアルミのスクラップは「固形廃棄物」としての分類を改めるようです。緩和措置となるスクラップには銅やアルミの合金類も含まれます。中国政府は「リサイクル金属の使用を奨励することで、世界の金属市場における競争力を維持しながら、産業活動による環境への影響を軽減する事を目指している」としています。今までは「廃棄物の輸出先」となる事を避ける為に銅やアルミのスクラップに対する純度の閾値を高めに設定していました。今後これらが変わる可能性が高くなりました。既に中国は銅スクラップの輸入を増やしている中で、政府として輸入を推奨する方針を固めたようです。
https://english.mee.gov.cn/
https://www.alcircle.com/news/china-aims-to-improve-industry-competitiveness-with-recycled-aluminium-and-copper-import-rules-111375

インド最大の鉄鋼メーカーJSWスチールは2050年迄にカーボンニュートラル(CN)を達成する為に10億ドル(1600億円)を投資すると発表しました。JSWは計画の第一段階として、2030年迄に生産される鉄鋼1トン当たりのCO2排出量を現在の2.36トンから1.95トンに削減することを計画しています。同社は2050年までにグリーン水素と炭素回収・利用・貯蔵技術を組み合わせることで、実質CNを達成することを目指します。同社の生産拡張計画も野心的で2027年9月までに生産能力を4,300万トン超に拡大し、2030~31年までには5,150万トンに引き上げる計画です。今後3年間で64,434億ルピーの設備投資を予定しており、ドルヴィ工場の生産能力拡大に多額の投資を行います。
https://businessworld.in/article/jsw-steel-to-invest-1-bn-to-decarbonise-operations-525498

欧州は今後、規制緩和に動かざるを得ない状況です。政府関係者、アナリスト、産業界の幹部の多くは、欧州が経済の主要分野で米国、中国、その他の国々と競争できないという懸念を抱いています。2008年、EUと米国のGDPは両方共に14兆ドル超で並んでいました。その後15年が経ち、米国のGDPは27兆ドルとなった一方、EUは16兆ドル強にとどまっています。EUのGDPの伸び率は2023年で0.5%に留まっています。米国の3.1%、中国の5.2%と比較すると、明らかに停滞しています。ビジネス界のリーダー達はEUの「行き過ぎた官僚的な規制群」を指摘しています。スウェーデンの通信大手エリクソンのCEOは「過剰な規制がヨーロッパを無価値に追いやり、ヨーロッパに産業が残らない」と強い警告を発しています。EUの工業生産は2023年から2024年にかけて5.7%減少し、パンデミック以降最大の減少となりました。EU議会選挙を経た政府主要ポストの組閣後は、より規制緩和に動くとみられており、今年後半に掛けて状況は大きく変わる見込みです。
https://www.euractiv.com/section/economy-jobs/opinion/europes-economy-is-falling-behind-a-new-commissioner-can-help-it-catch-up/

ドイツ化学協会は2024 年の上半期業績を発表し、過去3年に及ぶ不況は底を打ったが、「輸出主導型のビジネスモデルは終わったかもしれない」との見解を示しました。水素、塩素、硫酸等の無機基礎化学物質の生産は回復し、前年比12%の増加、更に石油化学製品の生産も8.5%増加しました。しかし発表では、国際市場では「価格競争力が無い」事を認めています。協会のトップは2017年迄の数十年間成功したドイツの化学製品の輸出ビジネスモデルは「その寿命が尽きた」と述べています。2023年にはドイツ最大の化学会社BASFがルートヴィヒスハーフェンのアンモニア生産拠点の1つを閉鎖し話題を呼びました。ドイツの化学業界では2023年に約300社が実際に操業を一部停止しており、深刻な状況でした。ここでも「規範的な規制からの脱却」を求めています。
https://www.vci.de/presse/pressemitteilungen/halbjahresbilanz-chemisch-pharmazeutischen-industrie-2024.jsp

中国の6月の乗用車販売台数は前年比6.9%減、輸出は28%増、PHVは67%増、EVは9.9%増となりました。政府は4月に自動車下取りの補助金を導入しましたが、全体の販売量は減少しました。その分、輸出を伸ばしている事が分かります。中国国家統計局は消費者物価・生産者物価データを発表し、何れも予想を下回っています。国内需要の弱さが表れており、乗用車販売も同様と見られています。国内市場はデフレに向かっているようで、それを補完する為、輸出攻勢は今後も続きそうです。
https://www.reuters.com/business/autos-transportation/chinas-car-sales-slide-june-falling-third-month-2024-07-08/

EUの国境炭素調整メカニズムに対応する為、インドに続き中国も動き出しました。中国鉄鋼業界の低炭素冶金専門委員会は2060年のカーボンニュートラル目標達成に関する新たな報告書(ロードマップ)を発表しました。このロードマップでは新たに欧州の国境炭素調整メカニズム、低炭素鋼、排出量取引、低炭素金融に関する情報を追加しています。中国当局は上半期に710万トンの新規電炉プロジェクトを承認しました。中国は鉄鋼業界の二酸化炭素排出量を2040年に40%、2050年に85%、2060年に95%削減するという目標を維持しています。また炭素排出量のピークを2030年と設定しています。ロードマップには炭素排出量を削減する6つの方法を網羅した51の技術リストも含まれています。
https://www.kallanish.com/en/news/steel/market-reports/article-details/chinas-steel-industry-enters-national-carbon-market-soon-0724/#:~:text=The%20steel%20industry%20in%20China,the%20China%20Iron%20and%20Steel

米国エネルギー省のエイムズ国立研究所は、新しい長距離送電用の電力送電線を開発しました。導体はアルミニウムとカルシウムの複合材で、既存の材料と比較して軽量で強度が高く、線路損失が少なくとも10%低い為、電力網の信頼性と性能が向上する可能性があります。現在の最も一般的なタイプは、アルミニウムと鋼鉄の芯線で作られています。これら2種類の異なる金属を使用すると氷、風、嵐等の気象現象への対応等、様々な課題が生じます。これらの課題の多くは今回開発したアルミニウム-カルシウム複合材の導体で解消できます。
https://www.ameslab.gov/news/ames-national-laboratory-to-test-new-electrical-transmission-line-that-could-improve-grid

オーストリアの破砕・リサイクルシステム専門企業リンドナーは、インドへの事業拡大を続けています。同社はデリーに本社を置く子会社リンドナー・リサイクリングテック・バーラト(インド)LLPを設立しました。新設された事業部門は、インド市場における廃棄物、及びプラスチック業界向けリンドナーのリサイクルソリューションの販売店として機能します。インドでは毎年約6200万トンの廃棄物が発生しており、その量は増え続けています。インドは廃棄物管理のブルーオーシャンとして、欧州企業のターゲットになりつつあります。
https://www.lindner.com/news/article/lindner-founds-subsidiary-in-bharat-india

6月にエネルギー研究所は2024年の世界エネルギー統計を発表しました。2023年の世界の石油消費量は初めて1日当たり1億バレルを超えました。石油製品の需要は地域によってばらつきはあるものの、2019年以前の水準に戻るか、それを上回っています。化石燃料の削減を政策方針としている米国ですが、石油生産量は8.5%以上増加し、最大の生産国となりました。これは新記録です。消費に関しては米国が以前より1位ですが、2位の中国は2022年から2桁の増加率で、1日当たり1,660万バレルに達しています。今回のレビューで明らかになったのは、世界中で石油の生産と消費のパターンが変化していることです。米国の生産の伸びや途上国での消費の伸びが顕著に表れています。
https://www.energyinst.org/statistical-review

過去1カ月でトルコに対する国際的な投資家の目線が変わりつつあります。著名投資家のジム・ロジャースは「世界の投資家は現在のトルコの経済政策を評価し注目が戻っている」と述べています。外国人投資家は、短期的にトルコ株からは資金を引き上げていますが、6月にはトルコの政府国内債務証券(GDDS)を7億8,200万ドル購入し、GDDSの純保有額は105億ドルとなっています。トルコは欧州への架け橋として今後、徐々に復活すると見られています。その為、BYDも参入する事を決めています。
https://www.hurriyetdailynews.com/economic-policies-to-bring-foreign-investments-back-to-turkiye-rogers-198263


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