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NEWSCONの気になるNEWS(2024年2月第1週)

1月29日(月曜日)に香港の裁判所は中国の恒大集団を清算する為に任命された清算人を審理する公聴会を実施する可能性があります。恒大の主要なオフショア社債保有者グループは香港で1月29日に開かれる公聴会で恒大の清算を求める請願に参加する予定です。社債保有者グループは恒大が保証するオフショア債券を20億ドル以上保有しており、清算申請の支援により裁判所から即時清算命令が出される可能性も警戒されています。万が一そうなった場合、恒大は清算命令に対して控訴する可能性があり、清算手続きは控訴を保留し乍ら進められる可能性があります。清算命令後に恒大株の取引が停止されるかどうかは不明で上場規則では企業は十分な事業運営と資産価値を備えた事業構造を証明する事が求められます。中国政府は国内の銀行に対して経営難に陥った不動産開発業者への「融資をやみくもに撤回しない」よう求めています。政府管理が強い中国では連鎖ドミノは無いと思いますが、株式市場への救済措置が2日で元に戻る気配を見せている事から注意が必要です。
https://fortune.com/asia/2024/01/26/beijing-asks-banks-not-blindly-withdraw-loans-real-estate-crisis-evergrande-liquidation-hearing/

欧州のプラスチックリサイクラーは安いバージン材による再生プラスチック材の価格低迷、更に紅海での混乱でアジアとの取引量の低下で苦しんでいます。元々昨年後半から中国国内でのポリマー需要の低下から中国材が海外向けに安価で輸出された事に端を発しています。この傾向は直ぐには解決される見込みが無く、暫くは継続されると見られています。紅海では欧米所有のコンテナ船が紅海航路の利用を停止していますが、この穴を埋めているのが実は中国のコンテナ船である事が最新の調査で明らかになっています。中国政府はイラン政府に紅海での混乱を抑えるよう要請しており、シーア派のターゲットは欧米所有の貨物船に完全に絞られているようです。
https://bit.ly/3UjhwlB

中国の全固体電池の生産能力は2025年迄に128GWhを超える可能性があります。CITIC証券によると中国は既に全固体電池の生産能力を10GWh保有しており、完全な統計ではありませんが、中期的には128GWh以上の生産能力が計画されていると報告しています。CITCIの研究チームによると全固体電池は、航空宇宙、医療、一部のハイエンドEV等の分野で2024年に初めて使用される予定という事です。2025年以降、エネルギー貯蔵、ドローン、家電等の分野で利用され始めると見られています。また個体と液体の両方の特性を持つ半固体電池に関してはメーカーの計画では2024年に量産が進み多くの製品に搭載され始めると予想されています。半固体電池は電解質に固体と液体のハイブリッド形式を用いており、この電池の採用は今年から来年に掛けて大きく進むと見られています。ただし「全固体電池」には未だ解決すべき技術的課題が多く、大量採用にはコスト削減が鍵となります。
https://cnevpost.com/2024/01/26/china-solid-state-battery-planned-capacity-to-exceed-128-gwh-2025/

木質ペレット発電に関して世界的にも動きがあるかも知れません。既にEnvivaについてはお伝えしていますが、世界最大の木質ベレット発電事業者で木質ペレットの生産でも世界2位の英国のエネルギー会社Draxは英国の国家会計検査院から木材資源の持続可能性関して疑義を持たれています。国家会計検査院は「Draxは納税者から数十億ポンドの給付金を受けているにも関わらず持続可能な資源から木材を燃やしていることを証明出来ていない」との見解を示しています。Draxは2027年には木質ペレット発電事業への電力の買取による補助金が終了する事から2つの炭素回収プラントを併設する事でカーボンネガティブな発電所の建設が可能として、炭素回収プラントに対し英国政府から補助金を得る事に成功しました。しかし、この決定はグリーンウォッシングとして各方面から大きな反対運動が起こされており、上記の様な流れになっています。Drax社の持続可能性に関する主張は英国のエネルギー規制当局のOfgemによっても調査されており、Ofgemは昨年5月にグリーン補助金の計算に使用されたデータをどの様に報告しているかを調査する為に訴訟を起こしています。日本はFITやHIPを始め、欧州の方式をコピーした政策を展開しており、英米の利権構造が創ったグリーンウォッシングに翻弄されたと見る事も出来るかも知れません。
https://www.telegraph.co.uk/business/2024/01/24/drax-biomass-power-station-greenwashing-concerns/

ダイバーシティー、インクルージブ、サステナビリティー等、常に新しい定義と用語を創り国際化する事でマネタイズに成功してきた欧州ですが6月の選挙に向けて大きな逆風が吹いています。オランダ、ドイツ、イタリア、フランス等の有権者は移民を潰し、EUの気候変動計画を逆転させ、EUを連邦主義の官僚的怪物としてバッシングするという極右政党のポピュリスト的なレトリックに益々興味を示しています。選挙後の議会ではこれまで以上に環境保護が減り、欧州懐疑論が強まる可能性が高いとの予測が出ています。議会の過半数は今まで通り親EU派が抑える見込みですが、極右派の躍進は次期欧州委員会に影響を与えるのは確実で移民、農業、グリーンディールに至るまで中道派を分断し、EU立法を苦しめる可能性が指摘されています。これは歴史でよくある「イデオロギー的に行き過ぎた政策の巻き返し」で、この傾向は米国でも顕著になっています。最近までサーキュラーエコノミーの象徴として国連環境計画とサーキュラーエコノミーのデファクトスタンダードを創ってきたエレンマッカーサーや元ユニリーバCEOのポール・ポールマンは3年前にはダボス会議の「主役」でしたが今年は名前すらリストに無い状態でした。「環境正義」の定義は6月のEU議会選挙と11月の米国大統領選挙で大きく変わる可能性が否定出来なくなっています。
https://www.politico.eu/newsletter/eu-election-playbook/a-far-right-european-parliament/

香港の裁判所が中国恒大集団に精算命令を出した事で「雪だるま」現象が起こるのか、香港の司法制度に影響力を持つ中国の中央政府が何等かの措置を行うのか何れにしても今後に影響が避けられない状況の様です。中国恒大集団の資産は約2,400億ドル、負債は3,000億ドルで既に7回の延長、18ヵ月の審問を経ても債務整理の十分なリストラ計画が裁判所に認められない結果となりました。既に資産の殆どは債権者に抑えられていますが、実際の債権者の回収率は3%を下回る模様です。香港に上場されている2つのグループ企業の時価総額も合計で9億7,300万ドルに減少しており、買い手を見つけるのは難しい状況です。恒大の問題が重要な理由は、回収不可能な債権者企業に連鎖的な影響を及ぼす事です。経済成長に重要な不動産セクター全体に更に打撃を与えるだけでなく、家計の財産が主に(前払いで未完成の)アパートにある多くの中国の人々にも打撃となる為です。
https://www.bbc.co.uk/news/business-67562522

世界4位の自動車メーカーのステランティスは、CE戦略の一環として、Valorautoと呼ばれる車両引取、及びリサイクルサービスを開始しました。このサービスはフランスとベルギーの金属リサイクル業者ガルーとの合弁事業で、既に昨年11月から開始されていましたが、今月(1月)から自家用車を所有する一般の顧客が利用可能となっています。サービスは先ずフランス、ベルギー、ルクセンブルクで行います。重量3.5トンまでの車両は無料で引き取りと解体が行われます。解体された自動車部品は再利用、再製造、又はリサイクル可能な材料の回収の為に使われます。ステランティスは昨年末にイタリアのトリノに「サーキュラーエコノミーハブ」も開設したばかりで、メーカーによる回収とリサイクルを主導する新たな取組を先導しています。
https://www.euwid-recycling.com/news/business/stellantis-and-galloo-open-elv-recovery-services-to-private-owners-290124/

インド鉄鋼協会、JSW、タタ・スチールを含むインドの鉄鋼産業は、政府に書簡を送り、再生可能エネルギーインフラに使用する鉄鋼製品を「インド製」に義務化するよう請願しています。インドでは太陽光発電1 MW毎に約50トン、風力発電には200トンの鉄鋼が必要とされています。インドでは会計年度の初月の4月から12月までの9ヶ月間で、鉄鋼の貿易赤字が近年で最大となる88億8800万ルピーに拡大し、輸入量も前年同期比26.4%増の560万トンまで拡大しています。特に太陽光発電や風力発電に利用される鉄鋼製品にはハイエンド鋼材が多く、コーティングされた高張力板や合金鋼に関するインド国内の技術の進展の為にも義務化は必要であると主張しています。中国の過剰生産能力の1つの輸出先であるインドである為、制限が始まる事でまた他に影響が出る可能性があります。
https://www.thehindubusinessline.com/economy/indias-steel-mills-want-mandatory-usage-of-india-made-steel-offerings-in-wind-and-solar-power-projects/article67782916.ece

デンマークの大手再生可能エネルギー企業European Energy社は10年に渡り開発を続けてきたオモ・シド地区での洋上風力発電プロジェクトを中止します。同社はフランスの大手エネルギー企業Total Energiesと北欧での洋上風力発電プロジェクト開発に関するパートナーシップを締結したばかりでした。実はこれは欧州の洋上風力発電の行き詰まりを端的に示す例となっています。環境アセスメントに関する膨大な手続き、資材の高騰、補助金の制限等で実際に殆どの洋上風力発電プロジェクトは頓挫し始めています。最近連続して起きている大手再生可能エネルギー開発企業が他の大手企業と資金確保の為に提携をした例となります。
欧州の実態例から洋上風力発電は余程の立地条件が合わなければ採算は無理、水素は未だに政治的プロパガンダ、更にバイオマス発電まで頓挫の兆しが見え始めており、脱炭素に重要な再生可能エネルギーはここに来て大きな曲がり角になっています。その為、世界的に原子力への流れが加速していますが、肝心の核燃料は、ロシアのRosatomが濃縮ウラン核燃料生産の世界の4割近いシェアを持ち、2028年迄は代替工場が無いという状況です。欧米はロシア制裁を強めていますが、核燃料は制裁対象にしていません。核拡散防止から核燃料生産は一部の国に限られています。脱炭素の問題は、実はこれからが本当のコストとの戦いの局面になると思われます。
https://www.offshorewind.biz/2024/01/29/european-energy-cancels-wind-project-offshore-denmark/

EU議会とEU加盟国は「都市廃水指令(Urban Wastewater Directive)」の改正について三者協議で合意しました。この改正で注目されるのは医療及び美容企業が排出するマイクロプラスチックについて、汚染者負担の原則から洗浄費用の少なくとも80%をメーカーが負担する事が含まれている点です。製薬会社や化粧品業界は今後、廃水処理の費用を負担する必要が生じます。医薬品に関してはメーカーの費用負担により重要な医薬品価格が上昇する場合は、公的費用によって補われる予定です。医薬品や化粧品は廃水に微量ながら混入しており、下水処理場で濾過する事が出来ないとの報告がありました。欧州ではEPRと汚染者負担の原則は各指令や規則が改正される度に厳格化されており、欧州の廃棄物枠組みの基本路線となっています。
https://ec.europa.eu/commission/presscorner/detail/en/ip_24_504

欧州の大手2社のEV部門のIPOが中止となりました。VWの電池部門スピンオフ企業PowerCoは予定していたIPOを延期、上場の可能性についても優先していない旨が伝えられています。大手ルノーのEVとソフトウェア部門をスピンオフしたAmpere EVも上場計画を中止しています。いずれもEV普及の鈍化としていますが、実際はIPOで予測した資金が得にくい環境である事と、このまま計画を進めても価格競争力のある電池の製造が困難であるとの予想から来ています。サプライチェーンで中国に依存した場合、いつ政治的な判断で中国から切り離されるか分からず、メーカーとしても中国からの原材料輸入をベースとした計画を立てにくい状況にあります。逆に中国抜きではコスト競争力のある電池を製造出来ないという実態があります。欧州のみならず、米国では国会議員らが政府に対してフォードがミシガン州で計画している総額20億ドルの電池工場に関与した中国企業4社を捜査するよう求めています。
https://www.cnbc.com/2024/01/30/renault-shares-jump-5percent-after-scrapping-plans-to-list-ampere-ev-unit.html

インド財務省は、インドは2024会計年度に7%以上の成長を遂げ、2025年にも更に7%の成長が見込まれると述べています。またインドは2027年迄に国内総生産が5兆ドルとなり、世界第3位の経済大国になる可能性があると発表しています。現在の同国のGDPは約3兆7000億ドルです。同時にインドの首席経済顧問はインドが2047年迄に『先進国』になるという、より高い目標を設定している事を述べています。中所得国から高所得国、または途上国から先進国への壁は厚く、現在のインドはイケイケですが、今後もマクロ政策が安定して成功するかは国内の構造改革に掛かってくるとの見方が優勢です。
https://www.thehindu.com/business/Economy/india-to-become-third-largest-economy-with-gdp-of-5-trillion-in-three-years-finance-ministry/article67788662.ece

戦争による分断、輸送の混乱等が東南アジア経済に徐々に影響を与え始めています。タイの政府高官は景気減速により景気刺激策の重要性を訴えています。輸出の低迷、及び外国人観光客数の減少を理由にタイは2024年の経済成長を従来の3.2%から2.8%に引き下げています。また発表されていない2023年の成長率予想も2.7%から1.8%に大幅に引き下げました。タイの2022年の成長率は2.6%でした。現在、家計と民間企業の両方の債務負担が高い状況が続いており、政府は消費促進の為に5000億バーツ(140億ドル)の給付計画を推進しようとしています。更に中国と双方での30日間のビザ免除協定も締結したばかりで、これは3月から実施されます。新首相は中銀に対し現在の金利2.5%を引き下げるよう要請していましたが、中銀総裁はタイはデフレ状態でもなく、景気刺激よりも構造改革が必要との認識を強調して金利引き下げを行っていません。タイ産業連盟の会長は「現在の地政学的状況は重大な課題をもたらしており、タイの産業部門は動向を注意深く監視する必要がある」と警告しています。欧州への輸送費用の高騰はタイ経済の重しの1つになり始めています。
https://www.thehindu.com/news/international/thailands-economy-in-recession-needs-a-boost-says-julapun-amornvivat/article67788154.ece/amp/

EnvivaはNY証券取引所から上場基準に関する通知を受けています。この通知は30日以上株価が1ドルを下回っており、同取引所の最低株価要件を遵守していないという通告となります。エンビバ株はフィッチによりデフォルト格付となっています。長期契約を結んでいる日本のバイオマス発電所(商社)への影響が出そうです。
https://ir.envivabiomass.com/news/default.aspx

米国のリサイクルゴム連合は研究レポートを発行し、EV化に伴う廃タイヤの増加に対応する必要性を述べています。EVは同等サイズのガソリン車に比べて重量が20%重く、エンジンと反対でモーターの特性からスタート時に最大トルクに達する為、タイヤ摩擦が増えます。研究レポートではEVの普及により廃タイヤが12%増えると予想しています。米国では2030年迄に年間3億5,000万本以上の廃タイヤが発生すると推定しています。同連合ではこれらの廃タイヤをリサイクルするスキームやシステムの確立、更に最も重要なリサイクルゴム材の市場創出の重要性を訴えています。
https://recycledrubbercoalition.org/research

コモデティ(一次産品、原料・燃料等)には「スーパーサイクル」という需要拡大による強い成長時期があり、同時に価格が上昇します。例えば銅やアルミニウムの非鉄類はグリーン化により「スーパーサイクル」に入る(入った)と言われてきました。しかし次のコモディティのスーパーサイクルは「スーパースクイーズ」になるとの予測が出ています。「スクイーズ」というのは需要の伸びで引き起こされるのではなく、供給制約によって引き起こされる価格上昇を意味します。「スーパースクイーズ」というのは過去に前例が無い現象であくまでも新語としての定義です。既に2023年から経済地政学や気候変動に関連し、ココア、砂糖、コーヒー、原油、ウランは、スーパースクイーズの傾向を見せ始めています。例えば銅は2024年から2025年にかけ供給過剰が確実視されていましたが、南米やアフリカでの鉱山開発が政治問題化し、あっという間に供給懸念となりました。これも経済地政学に関連した資源ナショナリズムから起こされています。GSは2024年のコモディティに対し非常に強気で一部の商品は再びスーパースクイーズによる価格の暴騰が起こる可能性を示唆しています。
https://amp.fxempire.com/en/the-next-phase-of-the-commodities-supercycle-will-be-the-super-squeeze/1405880

SMMはインドネシアの安価なニッケルが市場に大量に供給され起こる「ゲームチェンジャー」について詳説しています。FTも同様の論調で記事をあげており、この問題は他国でのニッケル鉱山閉鎖の連鎖を招き市場に大きなインパクトを与えています。地政学的問題と各国の重要な鉱物資源策により世界のニッケル市場の供給過剰に対処する「自動調整機能」は以前のように機能しなくなっています。インドネシアの台頭によるニッケルの加工ルートの変更により、生産者はあるニッケル製品から別のニッケル製品に簡単に移行出来るようになりバリューチェーン全体を備えた新興ニッケル企業は様々な市場状況により適応出来るようになりました。またインドネシアのニッケルMHPから副生物として生産されるコバルトも量が増えており、コバルトの国際価格に影響を与え始めています。このルートの指標は今後注視する必要があります。
https://news.metal.com/newscontent/102607061/game-changer-in-global-nickel-market-booming-indonesian-nickel-industry-

今後、中東での混乱がQ1以降も続き、紅海を経ず南ア沖のルートが常態化した場合でも新造船が急増する事でコンテナ船の供給余剰が起こる可能性が高い事が示されています。2024年の新造コンテナ船の有効容量は2023年比で9.3%と急増します。しかし港湾処理量(コンテナ需要)は2024年には2.3%しか増加しないと見られており、何れかの時点で供給過剰に転換するとの予測が出ています。従って直近では紅海の混乱によりコンテナ価格が高騰しても、今年中には価格が下落に転じる可能性が高い事が指摘されています。
https://finance.yahoo.com/news/red-sea-effect-container-shipping-225221814.html

実績が殆ど無い新興EV企業のバブルが崩壊しています。Rivian Automotive(米国)、Lucid Group(米国)、XPeng Motors(中国)の株価は80%~90%下落ています。過去5年間に特別目的会社SPACを買収する形式で株式公開した全てのEVメーカー株は公開時を下回っています。EVの成長鈍化に伴いテスラ株も過去1カ月で22%も下落しています。IPO後、一時Rivian Automotiveの時価総額は世界2位の自動車メーカーであるVWを上回っていました。数年前、新興EVメーカーの誇大広告が溢れ、政府の積極的なEV支援もありバブルとなっていました。EV業界は高金利による借入コストの上昇、欧州の成長鈍化、補助金の期限切れ等により、かつてのような力強い将来予測と資金を集める魅力が薄れつつあるようです。
https://markets.businessinsider.com/news/stocks/ev-stock-price-crash-tesla-rivian-lucid-market-historic-selloff-2024-1

欧州は選挙ムードに突入しており、議会の主要勢力は、選挙に向け以下のようなマニフェストを用意しています。最大会派の欧州人民党(EPP)は「経済が第一、環境は最後」、第2会派の社会民主党(S&D)は「労働者の権利とグリーン化推進」、この2大会派は若干議席数を減らす見込みです。第3勢力に躍進すると見られている極右のアイデンティティと民主主義(ID)グループの主張は「エネルギーと環境を含むEU政策を欧州の中央政府から個々の国に戻す」となっています。第4位のリベラル派のリニュー・ヨーロッパ(母体は、欧州自由民主党同盟ALDE)は「規制の一時停止」となっており、最も議席数を減らすと見られている緑の党は「気候保護と環境トピックに焦点を当てる」という内容になっています。環境政策で緑の党に近い左翼勢力は最小会派となり得票率は5.9%弱になると見られています。前回と180度に近い変わり様で、今まで日本に「先行する欧州の環境政策」という枕詞で影響を与えた時代は終焉を迎えそうです。
https://www.euractiv.com/section/energy-environment/news/eus-looming-green-election-backlash-heres-what-to-expect/

リサイクルによる再生が困難な低密度ポリエチレン(LDPE)について、新たな化学組成が開発され、今後リサイクルを容易にする可能性があり伝えられています。一定のサイズまで分解後に適温で有機溶媒に溶ける組成を開発した事で、再生材は再びLDPEとして再利用が可能となります。新しい組成のLDPEは250°C、2,500~4,000barでエチレンのフリーラジカル重合を起こし製造します。この技術はドイツの公立研究機関/大学であるバイロイト大学で開発されたもので、まだ研究段階ですがLDPEのリサイクル性を高める研究が進んでいる事が示されています。
https://phys.org/news/2024-01-scientists-loop-recycling-widely-plastics.html

苦境が長引く欧州のプラスチックリサイクラーの為、欧州リサイクル産業連盟は緊急提言を掲載しています。提言では業界に対しリサイクル材の公正な価格を受け入れるよう要求しています。最新の統計では欧州内で設置されているプラスチックのリサイクル能力は1,250万トンに達しています。しかし成長率は17から10%に低下しました。2023年、EU域内での工業生産の減少とEU域外からの安価なリサイクル材の輸入により、バージンプラスチックの価格が下落、欧州域内でのリサイクル材の需要が低迷し、大きな打撃を受けました。業界ではプラスチックリサイクルの進歩を確実に継続するには「法的措置が不可欠」との認識が高まっています。欧州のプラスチックリサイクル業界は欧州政府が作った法的目標を達成する為に長年に亘り投資を続けてきました。しかし現在、需要の減少によりリサイクル品の生産が低下し、苦境に立たされています。英国ではこうした状況を受けて非OECD諸国へのプラスチック廃棄物の輸出が急増しています。2022年の輸出の伸び率は前年比約9%でしたが、2023年には20%となり、輸出の伸び率が倍になりました。輸出先は非OECD諸国であるマレーシアとベトナムが最も多い地域となっています。リサイクル業界が希望している「法的措置」とは輸入リサイクル材の排除ですので、また動きが有りそうです。
https://euric-aisbl.eu/resource-hub/press-releases-statements/recyclers-urgently-call-for-fair-prices-for-plastic-recyclates-under-ppwr

欧州で最もEV化に力を入れているメーカーの1社であるスウェーデンのボルボ・カーズ(親会社は中国の吉利控股集団)は同社が48%を所有する高級EV新興企業のPolestar Automotive(ポールスター)の株式を中国の吉利控股集団に譲渡すると発表しました。皮肉な事にこの発表でボルボの株価は一気に24%以上も上昇しました。ボルボの2023年は増益でしたが、大々的に宣伝して始まったポールスターはEVの成長の鈍化もあり経営不振に陥っていました。
https://www.cnbc.com/2024/02/01/volvo-shares-jump-21percent-on-higher-sales-plans-to-stop-polestar-funding.html

世界の人権擁護団体で最も有名かつ強力な団体は、アムネスティ・インターナショナル(Amnesty International)とヒューマン・ライツ・ウォッチ(Human Rights Watch: HRW)です。この2つの団体の発信は国際政治にも大きな影響を与えてきました。両方共にノーベル平和賞を受賞しています。HRWには、あのジョージ・ソロスが10年間で1億ドル(145億円)を寄付する等、表向きは個人や慈善団体からの寄付で成り立っている独立系の団体と主張していますが、実際には国連へのロビー力を始めとした、非常に政治色の強い活動をしています。HWRへの献金の3/4は米国からで、残りが欧州からです。その他の地域は1%程しかありません。その為、欧米寄りの団体と言えます。非営利団体ですが、その収益は年間100億円近いもので集金力は突出しています。そのHWRが中国の自動車産業をターゲットにした99ページの人権侵害に対する報告を上げ、ロイター始め欧米の大手主要メディアが一斉に伝えています。報告書では、新疆ウイグル自治区で強制労働により生産されたアルミニウムを使い中国の自動車が生産されている為、ただちに是正するよう促しています。欧米は共に選挙戦に突入、安価な中国製EVを排除する事は票獲得に必要不可欠な課題となっています。その為、このタイミングでHRWが特別レポートを上げ、欧米メディアが取り上げるといういつものパターンが行われました。また中国が世界最大の自動車輸出国になった事が伝えられた、その僅か数日後に報告書を発表するという、よく出来たタイミングです。WTOによる自由貿易を推進してきた欧米は自国が不利になり保護主義に移る時には、必ず「環境」か「人権」で攻める、更にそれが効かないと「国家安全保障」という切り札を出すという典型的な例となりました。このパターンからも明らかですが、欧米による中国製EVの排除は既に出来レースと見て良いかもしれません。今後、欧米市場を失う中国のEV過剰生産応力がどこに向くのか、次に注視する必要がある要素です。その1つは、経済停滞にあえぐタイとも言われています。
https://www.hrw.org/report/2024/02/01/asleep-wheel/car-companies-complicity-forced-labor-china
https://www.reuters.com/business/autos-transportation/human-rights-watch-warns-carmakers-over-china-forced-labour-risk-2024-02-01/




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