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NEWSCONの気になるNEWS(2024年12月第2週)

欧州リサイクル産業連合(Euric)は「EUプラスチックリサイクル業者のロードマップ」を公開し、需要を刺激し投資を奨励する為に、製品へのプラスチックリサイクル材の含有量目標の義務化を迅速に実施することを提案しました。Euricは今年施行された廃棄物輸送規制(WSR)によりプラスチック廃棄物の輸出に対する制限に直面しており、EUのリサイクルプラスチックがEU市場で適切に機能することが不可欠と述べています。その為、今後改正される 自動車規制では野心的なリサイクルプラスチック含有量目標を設定するよう要求しています。
https://euric-aisbl.eu/resource-hub/press-releases-statements/stakeholders-call-for-ambitious-recycled-plastic-content-targets-in-eu-vehicle-regulation

英国政府は苦境に陥っている英国の鉄鋼業界の為に、業界を支援する意向を再確認しています。UKスチールが主催したサミットで政府代表は鉄鋼分野での効率の向上と低炭素生産プロセスに投資することで「状況を変える」ことを強調しています。今や欧州と英国の鉄鋼業は政府支援が無ければ成長できない段階にまで来ています。しかし低炭素プロセスが競争力強化に本当に貢献できるのか、現状では未知数です。
https://gmk.center/en/news/uk-intents-to-support-steel-industry-secretary-of-state/

政府が大混乱しているフランスはEU政府によるラテンアメリカでの貿易協定締結で完全に無視された状態になっています。バルニエ首相率いる政権が崩壊し、政治的混乱に陥っているフランスは混乱が今後数ヶ月で終わるとしても、経済への打撃は数年にわたって続くと見られています。南米とのこの協定により、フランスとドイツの分裂が助長される事は避けられず、欧州の経済にとって大きな打撃になると見られています。
https://www.politico.eu/article/eu-mercosur-countries-seal-controversial-trade-deal/

中国の規制により、西側諸国、特に欧米は重要鉱物のサプライチェーン確保に大きくシフトし始めています。日本では殆ど伝わっていませんが、今、アンチモンの獲得に、特に米国は行動を活発にし始めています。中国税関データによれば、今年、中国が米国に輸出したゲルマニウムやガリウムはゼロでした。恐らく、ここ数ヶ月でこの問題はもっと大きく取り上げられるようになると思います。
https://www.asiafinancial.com/western-firms-rush-to-source-critical-minerals-after-china-curbs

中国の学術誌「非鉄金属」で発表された新しい鉄鋼製造技術が注目されています。10年以上の研究を経て開発されたこの方法では細かく粉砕した鉄鉱石の粉末を非常に高温の炉に注入し「爆発的な化学反応」により高純度の鉄が連続の液滴状鉄として炉の底に蓄積します。処理時間は僅か3~6秒でフラッシュ製鉄法と呼ばれています。注目を集める最も大きなポイントは、この工法が中国国内に豊富にある低品位の鉱石でも非常に優れた製造性能を発揮するという為です。
https://interestingengineering.com/science/china-new-ironmaking-method-boosts-productivity-3600-times

インド国内でも慎重論があった中国からの鉄鋼の輸入に対する制限措置ですが、輸入検査の厳格化の運用で対処を開始しました。中国産の鉄鋼製品が米国とEUの追加関税で新しい市場を模索している中、インドの輸入が急増したための措置となります。インドでは品質管理命令(QCO)の基準を満たさない鉄鋼の流入を抑制するため、昨年末から承認を受けていない鉄鋼の輸入は鉄鋼省の許可を最初に受けるよう制度を変更しています。今回その運用を強化し、輸入の制限を課す目論見です。
https://www.deccanchronicle.com/business/india-plans-action-to-curb-chinese-steel-imports-1845165

1ヵ月前に始まったマレーシアでの海事汚職防止ネットワーク(MACN)による主要港Klangの検査強化は、スクラップ貿易にも大きな影響を与え始めているようです。BIRの局員はその内容について専門紙で解説しています。この汚職防止キャンペーンはMACNと中部地域海運協会(CRSA)、マレーシア船主協会(SAM)が共同で行い、マレーシア最大かつ最も重要な海上貿易拠点であるKlang港で実施されています。また、タイでも政府による非準拠リサイクル施設の取り締まりが強化され、所謂グレー取引が大幅に妨害され始めています。インドを含め世界の低品位スクラップの受け皿国の政府の厳しい規制の実施で、輸出システム全体にストレスが掛かり始めているようです。
https://www.maritimeprofessional.com/news/just-aims-corruption-port-klang-398792

PoliticoがEU政府のあるブリュッセルで「持続可能な未来」会議を3日間開催しました。その中での最大の議論は、EU新政府(新欧州委員会)によるグリーンディールの将来でした。EU加盟国はそれぞれ独自の気候政策と目標を持っており、グリーンディールの目標達成は困難を極めています。更にEUのグリーン政策は選挙結果からも明らかなように、市民に人気がりありません。特に欧州の産業、経済に与える影響が疑問視されています。その為、グリーンディールをリセットし、世界の動向に合わせて調整しなければならないという共通認識になっています。これからの5年間は、グリーンディールは「クリーンインダストリアルディール」に変更され、気候主導型ではなく産業競争力に重点が置かれるものになると見られています。
https://www.politico.eu/sustainable-future-week-3/

日本が最大の長期契約を持つ米国の世界最大の木質ペレット製造企業Envivaがチャプター11からの再建承認を得ました。
American Industrial Partners Capital Fund VIII(AIP)が同社の最大株主となり、再建経営に乗り出します。AIPは中堅企業への投資、短期投資資金回収、管理重視のファンドの為、契約内容にもよりますが、一旦破綻した場合は過去の契約が無効となる事が多く、日本のバイオマス発電所は価格再交渉を迫られることになる可能性があります。ベトナム産の輸入がより増える可能性が伺えます。
https://www.bioenergy-news.com/news/enviva-announces-emergence-from-bankruptcy-as-aip-becomes-largest-shareholder/

年末に近付き、各国の投資銀行や分析機関が来年の銅価格の予測を出し始めています。シティグループは2025年の銅の平均価格が1ポンド当たり3.97ドル(1トン当たり8750ドル)になると予想しており、以前の予測(4.65ドルより大幅に下がると発表しました。スイスの投資銀行UBSもシティグループと同様の見解を示し、貿易戦争への懸念と中国政府の経済刺激策の期待外れにより、商品の見通しは先月から悪化していると顧客に対して伝えました。しかし来年の銅の予測価格は据え置いています。オーストラリアの銀行マッコーリーは来年の銅価格予想を6%引き下げ、1ポンド当たり3.92ドルに下げると発表しました。需給バランスは、需要がやや減速しても供給も減速している事から、来年もやや供給過剰状態は残ると見ています。
https://www.forbes.com/sites/timtreadgold/2024/12/10/dr-coppers-falling-price-points-to-low-global-growth-next-year/

EU各国が過去6ヵ月間で鉄鋼業界の脱炭素化プロジェクトに対し助成した金額が、総額146億ユーロ(約2兆4000億円)に達しました。補助金のプロジェクトは合計で15件、1件当たり約10億ユーロです。これらは現在議論中の大型プロジェクトはなく、総額の100%が既に承認済みのプロジェクトです。主要鉄鋼生産国の内、鉄鋼業界の脱炭素化を支援する措置を発表していないのはオーストリアだけです。政府補助金を受けたプロジェクトの大半はBF-BOFから DRI-電炉 への移行を伴います。スクラップ-電炉は政府補助金の額が大幅に低い英国、スロバキア (US Steel Kosice)、ルーマニア (Liberty Galati) の工場で導入される予定です。中国からの鉄鋼輸出は今年1億1,700万~1億1,900万トンに達する可能性があります。2024年の11ヵ月間のEUの熱延コイル価格は前年比で12%も下落しています。同時にマイナスの限界性にも関わらず、中国は鉄鋼生産を削減していない為、原材料価格は高止まりし、世界の鉄鋼市場全体が損失に直面している状況です。もはや公的援助が無いとEUの鉄鋼グリーン化PJTは立ちいかない状況です。
https://gmk.center/en/infographic/european-countries-granted-e14-6-bln-for-decarbonization-of-the-steel-sector/

今月、コカコーラ社は環境目標の最新版を発表し、詰め替え可能な容器の使用目標を削除しました。同様にリサイクル材料の使用とボトル、及び缶の回収率目標を後退させ、目標達成期限を2035年まで延長しています。2022年に同社は詰め替え可能なガラスやプラスチックのボトル、或いは詰め替え可能な容器と併用されるディスペンサーで販売される飲料の全世界での販売割合を2030年迄に少なくとも25%まで引き上げることを目指していました。
https://finance.yahoo.com/news/coca-cola-defends-changes-environmental-123142639.html

米国の大手投資銀行のゴールドマン・サックス(GS)が、国連が主導し世界140の金融機関が加盟するネットゼロ・バンキング・アライアンス(NZBA) から脱退します。GSの撤退は、こうした同盟が推進する気候目標と米国の主要利害関係者との間の緊張が高まっていることを反映していると見られています。NZBAは3年前に結成され、金融機関を結集して2050年までにネットゼロ排出を 達成することを目指しています。ウェルズ・ファーゴやモルガン・スタンレーなどの大手を含む140以上の世界的な銀行が加盟するこの同盟は、持続可能なプロジェクトに資金を振り向け、環境に有害な部門への投資を削減してきました。厳格な要件で知られるNZBAは、会員の評判の礎となってきました。GSの離脱は多国籍銀行が規制、政治、自主的な気候変動対策に取り組む方法に変化が起きていることを示しています。
https://www.sustainabletimes.co.uk/post/goldman-sachs-leaves-net-zero-banking-alliance-over-u-s-regulatory-concerns

日本製鐵によるUSスチール買収に対して、バイデン大統領が反対の意向を示している事が報じられ、次のステップは外国投資が国家安全保障上のリスクに及ぼす影響を審査する委員会(CFIUS)の審査を待つ事になりそうです。CFIUSは12月22日にこの取引の審査を承認するか、阻止するか、或いは期限を延長するかを決定します。CFIUSは9月に両社に対して、この取引は重要な輸送、建設、農業プロジェクトに必要な鉄鋼の供給に悪影響を与える可能性がある為、国家安全保障上のリスクを生じさせる可能性があると伝えていました。トランプ政権でトリプルレッドになる前に承認を得たいところです。
https://www.mining.com/web/biden-plans-to-finally-kill-nippon-steel-bid-for-us-steel/

インド政府は中国製太陽電池の輸入を制限する期限を設定しました。インドの再生可能エネルギー省は2026年6月から政府プロジェクトにおいて、承認されたリストに載った企業から供給される国内製造の太陽電池のみを使用すると発表し、中国製の排除を決めています。インドは既に政府プロジェクトにおいて、承認リストに掲載された国産の太陽光発電(PV)モジュールの使用を義務付けており、当局はこの規則を太陽電池にも拡大適用した事になります。
https://punchng.com/india-restricts-solar-module-imports-to-cut-reliance-on-china/

中国の人民銀行は、米中貿易摩擦に備えて、人民元安を容認する見込みです。中国の金融政策担当者はトランプ氏が米国大統領に就任し貿易関税が引き上げられることに備え、来年人民元安を容認するかどうかを議論しています。関係者によるとトランプ大統領が関税引き上げを宣言したことは中国にとって大きな懸念材料であり、政策担当者は貿易による打撃に対処するには中国がより大きな経済刺激策を必要とすることを認識していると伝えています。人民元を切り下げれば、米国の貿易関税の影響を弱めることができる可能性があります。中国人民銀行は人民元を1ドル=7.5元まで下げる可能性を検討していると伝えられています。対中関税というカードを持たない日本は少なからず影響が出そうです。
https://www.reuters.com/markets/currencies/chinese-authorities-are-considering-weaker-yuan-trump-trade-risks-loom-sources-2024-12-11/

リチウムの過剰供給は2027年まで続く見込みです。中国企業は損失や薄利にも関わらずジンバブエの鉱山を操業し続けており、大規模な生産削減を引き起こすほど価格が下落しているにも関わらず、リチウムの生産を維持しています。電池メーカーには恩恵ですが、このまま持続できるのか、懸念が出始めています。電池自体も生産能力の過剰状況が更に悪化しており、中国政府のEVへの補助金カットが状況の変化点になりそうです。
https://batteriesnews.com/lithium-supply-surplus-set-to-stay-with-battery-makers-help/

インドの競争委員会はJSW JFE Electrical Steel(J2ES)の子会社 Jsquare Electrical Steel Nashik によるThyssenkrupp Indiaの完全買収を承認しました。JsquareはインドのJSW と日本のJFEの100%子会社です。J2ESは現在商業活動を行っていませんが、2027年までにインドで方向性電磁鋼板の生産を開始する予定です。Thyssenkrupp は欧州での大リストラが話題ですが、今後、世界の鉄鋼企業の買収や淘汰による大変革時代が来る可能性が高いと言えます。2026年には世界の鉄鋼の余剰生産能力が6億3000万トンを超える見込みの為、かつて大手といわれた企業の生き残りを含めて、大きな岐路を迎える事になります。
https://www.msn.com/en-us/money/markets/india-s-competition-commission-approves-major-steel-industry-acquisition/ar-AA1vHvgR?ocid=finance-verthp-feeds

銅はEVではなく、近い将来AIの爆発的な投資による需要で供給不足が起きる可能性が高くなっています。世界のIT大手はAIに1兆ドル以上(150兆円)を投資する計画で、銅を含む貴金属の需要が大幅に増加するとみられています。IT機器、送電網、蓄電装置、データセンターを含めAIによる今後30年間での銅を含む金属需要は70%増加すると予測されています。
https://finance.yahoo.com/video/copper-demand-benefit-ai-trade-223116851.html

リチウムイオン電池の価格は2017年以来最大の下落となり、1KWh当たり115ドルになっています。下落の要因にはセル製造の過剰生産能力、金属価格の下落、低コストのリン酸鉄リチウム(LFP)バッテリーの採用、EVの販売成長の鈍化等があります。この数字は世界平均を表しており、価格は国や用途分野によって大きく異なります。過去2年間、バッテリーメーカーはEV及び定置型蓄電池分野での需要の急増を見越して積極的に生産能力を拡大してきました。現在、過剰生産能力が蔓延しており、全世界で3.1TW時のバッテリーセル製造能力があります。調査によると、これは2024年のリチウムイオンバッテリーの年間需要の2.5倍以上です。一方でEV市場は成長が鈍化しました。定置型蓄電池市場は特に中国でセル及びシステムプロバイダー間の激しい競争により急成長しています。
https://batteriesnews.com/lithium-ion-battery-pack-prices-see-largest-drop-since-2017-falling-to-115-per-kilowatt-hour-bloombergnef/

ECBが金利を引き下げました。今年4回目となります。ラガルド総裁はEUの経済の弱さを強調しています。特に「必要な限り、政策金利を十分に引き締めた水準に維持する必要がある」という今まで繰り返されたメッセージが削除されています。これは景気後退によるハト派的な動きと市場は捉え始めています。更に今年と来年の成長が鈍化すると見込んでいます。予測ではユーロ圏の経済成長率は2024年に0.7%と見られています。英国の中央銀行は12月19日に政策金利を現在の4.75%から引き下げる可能性は低いと見られています。米国の金利についてはエコノミストの90%が今月(12月18日)に0.25%引き下げると予想しています。多くのエコノミストは、米国の利下げは1月下旬(新政権以降)には、一時的に停止されると見ています。
https://www.fxstreet.com/news/european-central-bank-set-to-cut-interest-rates-again-amid-slow-economic-growth-202412120800


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