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NEWSCONの気になるNEWS(2024年12月第1週)
ChemAnalystの分析によると、銅棒の価格が間もなく上昇すると見ています。価格上昇の要因は、政治的要因と経済的要因の複合的な影響と分析しています。中国政府による輸出税還付の中止、米ドルの変動、年末に向けた需要の急増により、銅棒市場に大きな変化が生じる可能性を秘めています。
▶ https://www.chemanalyst.com/NewsAndDeals/NewsDetails/china-policy-shakeup-and-us-critical-minerals-act-reshape-copper-rod-market-31762
トランプによる中国製品への関税引き上げに対する中国の対抗措置の懸念から、複数の中国輸入業者が米国からの銅スクラップの輸入を減速させているようです。関係筋によると、これまでのところ、中国国内市場で銅原料の供給が逼迫している為、主要な銅スクラップ消費者は影響を受けていないようです。しかし小規模な輸入業者は損失や債務不履行のリスクを回避する為に、より慎重になると考えられています。2018年当時、トランプ大統領が前回の任期中に2000億ドル相当の中国製品に25%の関税を課したことを受けて、中国政府は米国から輸入される銅スクラップとアルミスクラップに25%の税金を課すという対抗措置を取っていました。これにより米国から中国への銅とアルミニウムスクラップの輸入は大幅に減少しました。
▶ https://www.spglobal.com/commodityinsights/en/market-insights/latest-news/metals/112924-chinese-importers-hit-pause-on-copper-scrap-from-us-as-talks-of-new-tariffs-weigh
アルセロール・ミタルは、フランスでのグリーン投資の延期に続き、スペインで建設中の年間230万トンの水素直接還元プラントに関する投資決定を延期すると発表しました。このPJTは同社が水素DRIの主力としていたものです。投資額は約10億ユーロと予定されており、その大部分はDRIユニットに充てられる計画でした。スペイン政府は今年4月に4億5000万ユーロ(5億ドル)の資金提供を承認したばかりでした。今後スペイン工場に関する最終決定がいつ下されるかについては明らかにしていません。
▶ https://eurometal.net/arcelormittal-suspends-final-investment-decision-on-spanish-dri/
メディアでは多くは発表されませんが、欧州の鉄鋼業界は大きな転換期の問題を抱えています。Thyssenkrupp Steel、Swiss Steel、Stahl Gerlafingenは既に人員削減を発表していますが、それ以外にも、ポーランドのCMC社を筆頭に複数の企業が生産削減、US Steel Kosice、Liberty Ostrava、Acciaierie d’Italia、ArcelorMittal Asturias、Arvedi ASTは遊休設備を削減、Tata Steel Nederlandはコスト削減を開始する等、かなりの措置を講じ始めています。欧州の鉄鋼価格は3か月連続で最低水準にあり、10月の輸入の急増で倉庫は在庫過剰、中国政府の刺激策で一旦世界的に鉄鋼価格がリバウンドしましたが、欧州だけはその傾向が有りませんでした。欧州メーカーの利益率は悪化しています。生産能力の停止に関する発表はまだ数件にとどまっていますが、この状況があと数ヶ月続けば、生産能力の大規模な停止と労働市場への悪影響が実際に報道されると見られています。Liberty Dudelange、Liberty Dunaújváros等の一部の企業は賃金の支払いを遅らせており 、Huta Czestochowa、Liberty Specialty Steel UKは経営危機に陥っていると見られています。Eurofer、労働組合、鉄鋼メーカーの会長らは、欧州委員会や地方自治体に緊急の危機対策を講じるよう再三に渡って求めている状況です。内容を見る限り、単に中国の過剰生産による影響だけでなく、根本的な需要の減速と政策的コストが背景にあると言えます。鉄は実態経済の先行指標なので、注意が必要です。
▶ https://gmk.center/en/infographic/pain-points-of-european-iron-steel-industry/
11月末にフランス、ドイツ、スウェーデンは、欧州委員会に対してEUの電池産業が中国への依存を回避する措置を講ずるよう要請しました。EU競争力閣僚会議用に発表された文書の中で、これらの3カ国は「欧州のバッテリー企業は、公平ではない国際競争の場で規模を拡大するという共通の課題に直面している」と記載しています。既にBYDとCALTの2社だけで世界のEVバッテリーの約53%のシェアを占めるようになっており、今後欧州政府がいくらお金を注ぎ込んでも挽回は難しいと見られています。しかし、この3ヵ国は既に大きな投資を実施しており、後に引けない状況です。
▶ https://batteriesnews.com/france-germany-sweden-urge-eu-battery-sector-push-to-avoid-china-reliance/#google_vignette
英国の地方会議で、古紙輸出に関する議論がありました。問題はBBCがこれを大々的に取り上げている事です。英国で段ボールをリサイクル可能にも関わらず、マレーシアに輸出した事で、議会がその内容を公表し、政権党である労働党がこの問題を取り上げています。古紙は英国や近隣諸国で処理できるのに、マレーシアに送ることが「環境に優しい」とは信じられないと述べています。
中国の商務省は12月3日に、米国へのガリウム、ゲルマニウム、アンチモン、超硬質材料の米国への輸出を即時停止すると発表しました。これは現米国政権の半導体産業企業に対する中国輸出禁止を受けての対抗措置となりました。中国政府は昨年よりガリウムとゲルマニウムの輸出を大幅に削減してきました。中国は現在、世界のゲルマニウム生産量の少なくとも60%、世界のガリウム生産量のほぼ90%を占めています。これに呼応する形で中国の産業団体は「米国製半導体はもはや安全ではない」とし、国内企業に対し購入に慎重になるよう呼びかけています。
▶ https://www.asiafinancial.com/china-hits-back-at-us-bans-halts-export-of-key-chip-materials
商工会議所を始めポーランドの産業界が延期を要請していた飲料容器に対する同国のデポジット返還制度(DRS)について、11月下旬にポーランド政府は開始を2025年1月1日から10月1日に延期することを決定しました。11 月 21 日に下院議会でポーランドの包装及び包装廃棄物管理法の改正案を採択し、システムの稼働開始日が延期されることになりました。今年7月中旬に環境省はデポジット額を設定しました。使い捨てのペットボトルや金属缶には0.5ズウォティ(約0.12ユーロ)を支払う必要があります。デポジットは容量3リットルまでの全て使い捨てペットボトルと1リットルまでの缶に義務付けられています。しかし、採用や移行にコストが掛かる事から業界は反対していました。欧州の環境政策の後退の1つの例となりました。
▶ https://wbj.pl/polish-chamber-of-commerce-calls-for-longer-delay-of-deposit-system-implementation/post/143812
インド政府は中国から輸入される太陽光パネルやそれらのモジュールに使用される陽極酸化アルミニウムフレームに反ダンピング関税を導入しました。関税は5年間有効で、中国からの低価格輸入品の流入を抑制するのが目的です。インド財務省の通知では、中国からの輸入が国内生産者の発展に悪影響を及ぼしていることが強調されています。スクラップ材の輸入にも影響がでると思われます。
▶ https://www.alcircle.com/news/aai-anti-dumping-duty-on-chinese-solar-components-a-game-changer-for-domestic-aluminium-producers-112700
欧州の重要原材料法、米国の重要鉱物戦略に続き、英国も来年春を目途に重要鉱物戦略を発表する見込みです。新たな戦略は供給確保の為に国際パートナーと協力すること、鉱物安全保障パートナーシップ等のフォーラムでパートナーとより緊密に協力すること、戦略策定にデータを使用すること等、的を絞った長期的なアプローチを採用することで、これまでの戦略とは異なるものとなります。戦略はバーミンガム大学の希土類磁石の専門部隊や、カンボーン鉱山学校の鉱山工学研究等、英国の大学の知識人が協力して政府の役割を規定する予定です。
▶ https://www.spglobal.com/commodityinsights/en/market-insights/latest-news/metals/120324-uk-government-to-publish-new-critical-minerals-strategy-in-2025
欧州のT&EがNorthvoltの失敗の根本を分析しています。2010年、中国のBYDは同社初のEVモデルの一つである「e6電気タクシー」を発売し、失敗しました。しかし投資家も中国政府も同社への支援を止めず、10年後には高品質のリチウム電池の製造とEVを販売しています。2023年にBYDは300万台以上のEVを販売しました。こうした経緯からNothvoltの失敗は我慢強さと持久力の欠如、と結論付けています。更に欧州の多くの規制が産業の育成を阻んでいる実態を明かしています。このような中、欧州委員会と欧州投資銀行(EIB)は欧州の電池製造部門への投資を支援する方針を表明しています。既に民間投資は欧州のEV関連産業から遠ざかり始めており、公的資金の導入は、欧州市民を苦しめる結果をもたらす可能性があります。
▶ https://www.transportenvironment.org/articles/northvolt-collapse-shows-stamina-and-leadership-are-lacking-for-europe-to-realise-its-battery-ambition
静脈産業にとってお金があってブルーオーシャンの地域や国は非常に限られています。欧州最大のフランスの環境サービスグループ、ヴェオリアは2030年迄に中東での収益を50%増やすことを目指し、サウジ投資リサイクル会社(SIRC)と覚書を締結したことを発表しました。この契約は、水資源保全、有害廃棄物処理、現地での低炭素エネルギー生産の分野におけるイノベーションを主体に行われます。ヴェオリアはこれらの活動による同グループの中東での売上高は、2023年には11億ユーロに達しており、今回の新規契約は、フランスのマクロン大統領のサウジアラビア公式訪問中に発表されています。
▶ https://www.veolia.com/en/our-media/press-releases/veolia-and-saudi-investment-recycling-company-sign-memorandum#:~:text=On%20the%20occasion%20of%20a,of%20its%20three%20historical%20businesses.
トルコは2025年にETS(排出権取引制度)の試験運用を開始する為の準備を進めていると、気候変動局の高官が述べています。本格的な実施の第一段階は2027年から2034年にかけて計画されています。既にETSの準備は完了しており、議会の承認を得て開始される予定です。トルコのETSはEUの排出量取引制度に似たものになると予想されており、再生可能エネルギーの利用、火力発電の削減によりクリーンな生産を促進する事に重点が置かれます。EUへの輸出が多いトルコは欧州のCBAMによって大きな影響を受ける為、ETSへの移行が必須となっていました。中国でも同じ動きがあり、中国鉄鋼協会(CISA)によると、中国の鉄鋼業界は今年、国家炭素取引市場に組み込まれる可能性があると伝えています。CISAの広報担当者によると、低炭素鋼の国家基準は現在検討中であり、今年中に公表される予定です。
▶ https://eurometal.net/pilot-phase-of-turkeys-ets-on-track-for-2025-launch-official/
欧州中央銀行のラガルド総裁は議会公聴会で欧州の経済について「調査に基づくデータは、サービス部門の成長鈍化と製造業の継続的な縮小により、短期的には成長が弱まることを示唆している」と述べています。景気は今後数ヶ月で鈍化する可能性があるものの、回復は長期的には加速するはずだ、との見解も示しています。
▶ https://uk.finance.yahoo.com/news/ecbs-lagarde-sees-weak-growth-134224403.html
マレーシアの貿易当局は、中国企業に対して、米国の関税を回避する為に中国製品の「再ブランド化」拠点としてマレーシアを利用しないよう強く求めています。貿易副大臣はマレーシアが米国と中国の貿易戦争に巻き込まれるのを避けたい意向を示しています。トランプ政権になれば、両国の貿易戦争は激化する可能性が高く、最新の米国の輸出規制では、マレーシア、シンガポール、台湾で製造された製品を含む中国企業140社が懸念国規制の対象となっています。マレーシア政府は、中国企業に対して米国の関税を回避する為にマレーシア経由で製品の迂回販売を考えているのであれば、マレーシアに投資しないようアドバイスしています。中国による投資で比較的好調だったマレーシアにも影響が出そうです。
▶ https://www.asiafinancial.com/malaysia-tells-chinese-firms-dont-use-us-to-dodge-us-tariffs
イタリアのスクラップ、原材料、鉄鋼販売業者協会の会長は、鉄鋼貿易を大きく変える欧州の炭素国境調整メカニズム(CBAM)を批判しています。理由は現在の排出権割当制度とCBAMの組合せが始まると、鉄鋼業界に大きな負担を生じさせる為です。中国は国家を上げて再生可能エネルギー部門を強化し鉄鋼の脱炭素化を取り組み始めている事から、将来脅威になると見ています。「CBAMが緩和されなければ、自動車、建設、機械、家電などの歴史的に鉄鋼の最大の消費者であったセクターに深刻な脅威が及ぶことになる。特に自動車業界では今年の鉄鋼消費量が40%減少している」と警告しています。CBAMによる炭素課金が始まると、鉄鋼輸出国であるウクライナは5年間で46億ドルの損失が生ずると見られており、近隣鉄鋼輸出諸国にも大きな影響が出ます。
▶ https://www.steelorbis.com/steel-news/latest-news/paolo-sangoi-cbam-and-quota-system-threatens-eu-steel-sector-1368888.htm
タイ政府(投資委員会)は、EVの輸入車に対する国内生産割り当て期限を延長し、ハイブリッドEVに優遇措置を与えると発表しました。現在のEVインセンティブでは輸入された車両1台につき1台の車両を現地生産することが義務付けられています。この比率は2025年には輸入車両1台につき1.5台に増加します。この措置は停滞する国内市場への経済刺激策の1つとなり、タイの自動車業を支援する為の措置となります。
▶ https://batteriesnews.com/thailand-to-extend-production-timeframe-for-battery-evs/#google_vignette
仮想通貨に友好的なSEC長官がノミネートされ、ビットコインが10万ドルを突破しました。トランプ次期大統領は、証券取引委員会(SEC)の委員長にポール・アトキンス氏を指名すると発表し、ビットコインが1日で5%以上の伸びとなりました。同氏は元SEC委員で 「デジタル資産の発行と取引プラットフォームの開発」に取り組むトークン・アライアンスとデジタル商工会議所の共同議長を歴任しており、仮想通貨政策に携わってきたベテランです。選挙運動中より仮想通貨への緩和措置を述べていました。
▶ https://www.cnbc.com/2024/12/05/the-road-to-100000-whats-behind-bitcoins-storied-2024-run.html
英国は、洋上を始め膨大な資金を風力発電プロジェクトに注ぎ込んできました。しかしバックアップ電力を含む送電網の問題から、風力発電所を閉鎖する為に10億ポンド以上を費やしており、英国の再生可能エネルギー戦略に大きな疑義が生じています。急増する風力発電能力により、2024年には発電量が大幅に伸びるはずでした。しかし送電網が対応できず、電力会社は風力発電所に停止する為の費用を支払わざるを得なくなり、その費用は最終的に消費者が負担することになりました。この状況は2030年迄に送電網を脱炭素化に対応させると言う英国の計画を危険に晒し、電気料金の削減を困難にしています。欧州のグリーン政策の多くは、科学的根拠に乏しく政治的力学で行われてきた為、ここに来て多くの失敗が巨額の負担を市民に強いらせるという状況が続いています。
▶ https://oilprice.com/Alternative-Energy/Wind-Power/UKs-1-Billion-Wind-Power-Waste-Sparks-Net-Zero-Concerns.html
▶ https://www.chemanalyst.com/NewsAndDeals/NewsDetails/china-policy-shakeup-and-us-critical-minerals-act-reshape-copper-rod-market-31762
トランプによる中国製品への関税引き上げに対する中国の対抗措置の懸念から、複数の中国輸入業者が米国からの銅スクラップの輸入を減速させているようです。関係筋によると、これまでのところ、中国国内市場で銅原料の供給が逼迫している為、主要な銅スクラップ消費者は影響を受けていないようです。しかし小規模な輸入業者は損失や債務不履行のリスクを回避する為に、より慎重になると考えられています。2018年当時、トランプ大統領が前回の任期中に2000億ドル相当の中国製品に25%の関税を課したことを受けて、中国政府は米国から輸入される銅スクラップとアルミスクラップに25%の税金を課すという対抗措置を取っていました。これにより米国から中国への銅とアルミニウムスクラップの輸入は大幅に減少しました。
▶ https://www.spglobal.com/commodityinsights/en/market-insights/latest-news/metals/112924-chinese-importers-hit-pause-on-copper-scrap-from-us-as-talks-of-new-tariffs-weigh
アルセロール・ミタルは、フランスでのグリーン投資の延期に続き、スペインで建設中の年間230万トンの水素直接還元プラントに関する投資決定を延期すると発表しました。このPJTは同社が水素DRIの主力としていたものです。投資額は約10億ユーロと予定されており、その大部分はDRIユニットに充てられる計画でした。スペイン政府は今年4月に4億5000万ユーロ(5億ドル)の資金提供を承認したばかりでした。今後スペイン工場に関する最終決定がいつ下されるかについては明らかにしていません。
▶ https://eurometal.net/arcelormittal-suspends-final-investment-decision-on-spanish-dri/
メディアでは多くは発表されませんが、欧州の鉄鋼業界は大きな転換期の問題を抱えています。Thyssenkrupp Steel、Swiss Steel、Stahl Gerlafingenは既に人員削減を発表していますが、それ以外にも、ポーランドのCMC社を筆頭に複数の企業が生産削減、US Steel Kosice、Liberty Ostrava、Acciaierie d’Italia、ArcelorMittal Asturias、Arvedi ASTは遊休設備を削減、Tata Steel Nederlandはコスト削減を開始する等、かなりの措置を講じ始めています。欧州の鉄鋼価格は3か月連続で最低水準にあり、10月の輸入の急増で倉庫は在庫過剰、中国政府の刺激策で一旦世界的に鉄鋼価格がリバウンドしましたが、欧州だけはその傾向が有りませんでした。欧州メーカーの利益率は悪化しています。生産能力の停止に関する発表はまだ数件にとどまっていますが、この状況があと数ヶ月続けば、生産能力の大規模な停止と労働市場への悪影響が実際に報道されると見られています。Liberty Dudelange、Liberty Dunaújváros等の一部の企業は賃金の支払いを遅らせており 、Huta Czestochowa、Liberty Specialty Steel UKは経営危機に陥っていると見られています。Eurofer、労働組合、鉄鋼メーカーの会長らは、欧州委員会や地方自治体に緊急の危機対策を講じるよう再三に渡って求めている状況です。内容を見る限り、単に中国の過剰生産による影響だけでなく、根本的な需要の減速と政策的コストが背景にあると言えます。鉄は実態経済の先行指標なので、注意が必要です。
▶ https://gmk.center/en/infographic/pain-points-of-european-iron-steel-industry/
11月末にフランス、ドイツ、スウェーデンは、欧州委員会に対してEUの電池産業が中国への依存を回避する措置を講ずるよう要請しました。EU競争力閣僚会議用に発表された文書の中で、これらの3カ国は「欧州のバッテリー企業は、公平ではない国際競争の場で規模を拡大するという共通の課題に直面している」と記載しています。既にBYDとCALTの2社だけで世界のEVバッテリーの約53%のシェアを占めるようになっており、今後欧州政府がいくらお金を注ぎ込んでも挽回は難しいと見られています。しかし、この3ヵ国は既に大きな投資を実施しており、後に引けない状況です。
▶ https://batteriesnews.com/france-germany-sweden-urge-eu-battery-sector-push-to-avoid-china-reliance/#google_vignette
英国の地方会議で、古紙輸出に関する議論がありました。問題はBBCがこれを大々的に取り上げている事です。英国で段ボールをリサイクル可能にも関わらず、マレーシアに輸出した事で、議会がその内容を公表し、政権党である労働党がこの問題を取り上げています。古紙は英国や近隣諸国で処理できるのに、マレーシアに送ることが「環境に優しい」とは信じられないと述べています。
中国の商務省は12月3日に、米国へのガリウム、ゲルマニウム、アンチモン、超硬質材料の米国への輸出を即時停止すると発表しました。これは現米国政権の半導体産業企業に対する中国輸出禁止を受けての対抗措置となりました。中国政府は昨年よりガリウムとゲルマニウムの輸出を大幅に削減してきました。中国は現在、世界のゲルマニウム生産量の少なくとも60%、世界のガリウム生産量のほぼ90%を占めています。これに呼応する形で中国の産業団体は「米国製半導体はもはや安全ではない」とし、国内企業に対し購入に慎重になるよう呼びかけています。
▶ https://www.asiafinancial.com/china-hits-back-at-us-bans-halts-export-of-key-chip-materials
商工会議所を始めポーランドの産業界が延期を要請していた飲料容器に対する同国のデポジット返還制度(DRS)について、11月下旬にポーランド政府は開始を2025年1月1日から10月1日に延期することを決定しました。11 月 21 日に下院議会でポーランドの包装及び包装廃棄物管理法の改正案を採択し、システムの稼働開始日が延期されることになりました。今年7月中旬に環境省はデポジット額を設定しました。使い捨てのペットボトルや金属缶には0.5ズウォティ(約0.12ユーロ)を支払う必要があります。デポジットは容量3リットルまでの全て使い捨てペットボトルと1リットルまでの缶に義務付けられています。しかし、採用や移行にコストが掛かる事から業界は反対していました。欧州の環境政策の後退の1つの例となりました。
▶ https://wbj.pl/polish-chamber-of-commerce-calls-for-longer-delay-of-deposit-system-implementation/post/143812
インド政府は中国から輸入される太陽光パネルやそれらのモジュールに使用される陽極酸化アルミニウムフレームに反ダンピング関税を導入しました。関税は5年間有効で、中国からの低価格輸入品の流入を抑制するのが目的です。インド財務省の通知では、中国からの輸入が国内生産者の発展に悪影響を及ぼしていることが強調されています。スクラップ材の輸入にも影響がでると思われます。
▶ https://www.alcircle.com/news/aai-anti-dumping-duty-on-chinese-solar-components-a-game-changer-for-domestic-aluminium-producers-112700
欧州の重要原材料法、米国の重要鉱物戦略に続き、英国も来年春を目途に重要鉱物戦略を発表する見込みです。新たな戦略は供給確保の為に国際パートナーと協力すること、鉱物安全保障パートナーシップ等のフォーラムでパートナーとより緊密に協力すること、戦略策定にデータを使用すること等、的を絞った長期的なアプローチを採用することで、これまでの戦略とは異なるものとなります。戦略はバーミンガム大学の希土類磁石の専門部隊や、カンボーン鉱山学校の鉱山工学研究等、英国の大学の知識人が協力して政府の役割を規定する予定です。
▶ https://www.spglobal.com/commodityinsights/en/market-insights/latest-news/metals/120324-uk-government-to-publish-new-critical-minerals-strategy-in-2025
欧州のT&EがNorthvoltの失敗の根本を分析しています。2010年、中国のBYDは同社初のEVモデルの一つである「e6電気タクシー」を発売し、失敗しました。しかし投資家も中国政府も同社への支援を止めず、10年後には高品質のリチウム電池の製造とEVを販売しています。2023年にBYDは300万台以上のEVを販売しました。こうした経緯からNothvoltの失敗は我慢強さと持久力の欠如、と結論付けています。更に欧州の多くの規制が産業の育成を阻んでいる実態を明かしています。このような中、欧州委員会と欧州投資銀行(EIB)は欧州の電池製造部門への投資を支援する方針を表明しています。既に民間投資は欧州のEV関連産業から遠ざかり始めており、公的資金の導入は、欧州市民を苦しめる結果をもたらす可能性があります。
▶ https://www.transportenvironment.org/articles/northvolt-collapse-shows-stamina-and-leadership-are-lacking-for-europe-to-realise-its-battery-ambition
静脈産業にとってお金があってブルーオーシャンの地域や国は非常に限られています。欧州最大のフランスの環境サービスグループ、ヴェオリアは2030年迄に中東での収益を50%増やすことを目指し、サウジ投資リサイクル会社(SIRC)と覚書を締結したことを発表しました。この契約は、水資源保全、有害廃棄物処理、現地での低炭素エネルギー生産の分野におけるイノベーションを主体に行われます。ヴェオリアはこれらの活動による同グループの中東での売上高は、2023年には11億ユーロに達しており、今回の新規契約は、フランスのマクロン大統領のサウジアラビア公式訪問中に発表されています。
▶ https://www.veolia.com/en/our-media/press-releases/veolia-and-saudi-investment-recycling-company-sign-memorandum#:~:text=On%20the%20occasion%20of%20a,of%20its%20three%20historical%20businesses.
トルコは2025年にETS(排出権取引制度)の試験運用を開始する為の準備を進めていると、気候変動局の高官が述べています。本格的な実施の第一段階は2027年から2034年にかけて計画されています。既にETSの準備は完了しており、議会の承認を得て開始される予定です。トルコのETSはEUの排出量取引制度に似たものになると予想されており、再生可能エネルギーの利用、火力発電の削減によりクリーンな生産を促進する事に重点が置かれます。EUへの輸出が多いトルコは欧州のCBAMによって大きな影響を受ける為、ETSへの移行が必須となっていました。中国でも同じ動きがあり、中国鉄鋼協会(CISA)によると、中国の鉄鋼業界は今年、国家炭素取引市場に組み込まれる可能性があると伝えています。CISAの広報担当者によると、低炭素鋼の国家基準は現在検討中であり、今年中に公表される予定です。
▶ https://eurometal.net/pilot-phase-of-turkeys-ets-on-track-for-2025-launch-official/
欧州中央銀行のラガルド総裁は議会公聴会で欧州の経済について「調査に基づくデータは、サービス部門の成長鈍化と製造業の継続的な縮小により、短期的には成長が弱まることを示唆している」と述べています。景気は今後数ヶ月で鈍化する可能性があるものの、回復は長期的には加速するはずだ、との見解も示しています。
▶ https://uk.finance.yahoo.com/news/ecbs-lagarde-sees-weak-growth-134224403.html
マレーシアの貿易当局は、中国企業に対して、米国の関税を回避する為に中国製品の「再ブランド化」拠点としてマレーシアを利用しないよう強く求めています。貿易副大臣はマレーシアが米国と中国の貿易戦争に巻き込まれるのを避けたい意向を示しています。トランプ政権になれば、両国の貿易戦争は激化する可能性が高く、最新の米国の輸出規制では、マレーシア、シンガポール、台湾で製造された製品を含む中国企業140社が懸念国規制の対象となっています。マレーシア政府は、中国企業に対して米国の関税を回避する為にマレーシア経由で製品の迂回販売を考えているのであれば、マレーシアに投資しないようアドバイスしています。中国による投資で比較的好調だったマレーシアにも影響が出そうです。
▶ https://www.asiafinancial.com/malaysia-tells-chinese-firms-dont-use-us-to-dodge-us-tariffs
イタリアのスクラップ、原材料、鉄鋼販売業者協会の会長は、鉄鋼貿易を大きく変える欧州の炭素国境調整メカニズム(CBAM)を批判しています。理由は現在の排出権割当制度とCBAMの組合せが始まると、鉄鋼業界に大きな負担を生じさせる為です。中国は国家を上げて再生可能エネルギー部門を強化し鉄鋼の脱炭素化を取り組み始めている事から、将来脅威になると見ています。「CBAMが緩和されなければ、自動車、建設、機械、家電などの歴史的に鉄鋼の最大の消費者であったセクターに深刻な脅威が及ぶことになる。特に自動車業界では今年の鉄鋼消費量が40%減少している」と警告しています。CBAMによる炭素課金が始まると、鉄鋼輸出国であるウクライナは5年間で46億ドルの損失が生ずると見られており、近隣鉄鋼輸出諸国にも大きな影響が出ます。
▶ https://www.steelorbis.com/steel-news/latest-news/paolo-sangoi-cbam-and-quota-system-threatens-eu-steel-sector-1368888.htm
タイ政府(投資委員会)は、EVの輸入車に対する国内生産割り当て期限を延長し、ハイブリッドEVに優遇措置を与えると発表しました。現在のEVインセンティブでは輸入された車両1台につき1台の車両を現地生産することが義務付けられています。この比率は2025年には輸入車両1台につき1.5台に増加します。この措置は停滞する国内市場への経済刺激策の1つとなり、タイの自動車業を支援する為の措置となります。
▶ https://batteriesnews.com/thailand-to-extend-production-timeframe-for-battery-evs/#google_vignette
仮想通貨に友好的なSEC長官がノミネートされ、ビットコインが10万ドルを突破しました。トランプ次期大統領は、証券取引委員会(SEC)の委員長にポール・アトキンス氏を指名すると発表し、ビットコインが1日で5%以上の伸びとなりました。同氏は元SEC委員で 「デジタル資産の発行と取引プラットフォームの開発」に取り組むトークン・アライアンスとデジタル商工会議所の共同議長を歴任しており、仮想通貨政策に携わってきたベテランです。選挙運動中より仮想通貨への緩和措置を述べていました。
▶ https://www.cnbc.com/2024/12/05/the-road-to-100000-whats-behind-bitcoins-storied-2024-run.html
英国は、洋上を始め膨大な資金を風力発電プロジェクトに注ぎ込んできました。しかしバックアップ電力を含む送電網の問題から、風力発電所を閉鎖する為に10億ポンド以上を費やしており、英国の再生可能エネルギー戦略に大きな疑義が生じています。急増する風力発電能力により、2024年には発電量が大幅に伸びるはずでした。しかし送電網が対応できず、電力会社は風力発電所に停止する為の費用を支払わざるを得なくなり、その費用は最終的に消費者が負担することになりました。この状況は2030年迄に送電網を脱炭素化に対応させると言う英国の計画を危険に晒し、電気料金の削減を困難にしています。欧州のグリーン政策の多くは、科学的根拠に乏しく政治的力学で行われてきた為、ここに来て多くの失敗が巨額の負担を市民に強いらせるという状況が続いています。
▶ https://oilprice.com/Alternative-Energy/Wind-Power/UKs-1-Billion-Wind-Power-Waste-Sparks-Net-Zero-Concerns.html