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NEWSCONの気になるNEWS(2024年11月第2週)

欧州の金属需要が軍需で上昇する可能性が高まっています。EU首脳による非公式首脳会議でフランスのマクロン大統領は、安全保障で米国に経済で中国に依存する事を避け、特に軍事力を欧州で高める事を強調しました。ウクライナ戦争直後にニッケルの上昇とスクイーズが起きたように、弾薬(真鍮)への銅需要、日本の鉄鋼の特需(昨年は180万トン以上)がより高まる可能性があります。マクロンは「EUは「肉食動物」に囲まれた弱い「草食動物」でいることは許されない」と付け加えています。しかし、弾薬を製造する時に欠かせない綿花の種子から作られる「コットンリンター」の大半、更に軍事用に必要なレアアースの98%を中国に依存している欧州は早急には対応が出来ないと見られています。時間が有る程度掛かっても、調達経路は確実に変化する見込みです。
https://www.politico.eu/article/emmanuel-macron-france-europe-us-elections-donald-trump/

米国大統領選の結果を経て、海外のクリーンエナジー株が一時的に急落しています。ワイルダーヒル・クリーンエネルギー指数は6.7%下落、太陽光発電のサンノバ・エナジー52%、ファースト・ソーラー約20%、サンラン30%と大幅に下落しました。しかしアナリストの一部はトランプ氏がバイデン政権時代の重要な気候変動対策を廃止するという想定は誇張されている可能性が高いと見ています。IRAによる雇用創出の恩恵を受けてきた共和党主導の州の多くは、IRAの完全廃止を阻む可能性があるからです。その為、全面的な巻き戻しは起こらず「影響は中程度」と予想しています。こうした予想からヘッジファンドは安値買いの機会を模索していると伝わっています。しかし、エネルギー転換が一定の期間遅れる事は市場が想定し始めているようです。
https://www.hedgeweek.com/hedge-funds-eye-buying-opportunities-as-trump-win-sparks-sharp-esg-sell-off/

欧州最大の鉄鋼メーカーArcelorMittalが2024年Q3の結果を発表しました。注目は結果ではなくCEOの発言で「現在の市場状況は持続不可能である」と言及した事です。中国による供給過剰は世界中の鉄鋼メーカーを苦しめています。欧州ではそれだけでなく、過去4年で制定された炭素規制により、同社はQ3で「脱炭素化設備投資」に1億ドル、年初からの支出総額は2億ドルに達した、と述べています。その為Q3の純利益は前年比69%減となっています。同社は炭素国境調整メカニズム(CBAM)の更なる強化を訴え、政府への援助を期待しています。欧州の鉄鋼メーカーを取り巻く状況は、改善の兆しが見えない状況です。
https://corporate.arcelormittal.com/investors

欧州のコペルニクス気候変動サービス(C3S)は、2024年がパリ協定の1.5℃の温暖化閾値を超える最初の年になる見込みと発表し話題となっています。C3Sによると今年は昨年の世界平均の+1.48℃を上回る見込みで、産業革命以前の水準より1.5℃以上平均気温が上昇する最初の年となる事はほぼ確実という事です。欧州での洪水の増加、南極の海氷面積の記録的低水準などが既に見られるという事です。
https://climate.copernicus.eu/year-2024-set-end-warmest-record

中国が銅精鉱の輸入規制を緩和し、民間企業への銅精鉱の混合事業を開放する見込みです。中国は世界の銅の半分を製錬していますが、標準グレードの銅を確保するのに苦労しています。この措置により、現在厳しい関税規則の対象となっている輸入可能な銅精鉱の範囲が大幅に広がる可能性があります。中国の現在の輸入基準では世界の銅精鉱の約20%しか同国に輸送できず、残りは汚染が多過ぎると見做されています。既に一部のスクラップで動き出していますが、中国の非鉄原料の輸入開放路線は、かなり広範囲に及ぶ可能性があります。
https://www.mining.com/web/china-opens-up-copper-blending-business-to-private-firms-sources-say/

GSは2025年のユーロ圏のGDP成長率の予想を1.1%から0.8%に引き下げました。また2026年の経済成長率予想も前回予測の1.1%から1%に引き下げました。GSはトランプのホワイトハウス復帰が欧州経済に影響を及ぼすと考えています。OECDはユーロ圏経済が今年は0.7%、2025年には1.3%成長すると予想しています。
https://gmk.center/en/news/goldman-sachs-has-downgraded-its-forecast-for-euro-zone-gdp-growth-in-2025/

COP29が始まりました。今回の主要議題は「新たな共同数値目標」(NCQG)です。2015年のパリ協定に盛り込まれた概念で、先進国は2020年迄に途上国向けに年間1000億ドルの気候変動対策資金を約束していました。その約束は2025年まで延長することに合意しています。合意では「締約国は2025年迄に新たな、より高い年間目標に合意する」とされている為、新たな数値目標が合意に今回至るかが注目されています。今回のCOPは次回のブラジルで開催されるCOP30の「予備会議」とも呼ばれ、主要国のトップも大口投資家もグレタさんも参加していません。「ブーム」が去ったような雰囲気は否めないようです。
https://www.ft.com/content/078df7d6-07c6-4284-8508-62d55206c35e

現在欧州で1つの議論となっているのは、廃棄物のエネルギー利用での排出枠の問題です。一定の条件を満たすところは、許可量の一部を無料で受け取ることができます。しかし最近、この割当を予算から削る動きがあり、それがオランダで起きました。オランダの廃棄物処理会社は、廃棄物発電(WTE)プラントに割り当てられたCO2排出枠を大幅に削減する予算案に抗議しています。排出枠の大幅な削減は、炭素排出税の支払いが増加することを意味します。オランダ下院で2025年度予算案の議論が行われるのを前に、オランダ廃棄物管理協会(DWMA)は議員らに予算案を修正し、廃棄物焼却プラントへの炭素税の強化を一時停止するよう求めています。「ごみ発電」に対する炭素排出規制は、欧州で段階的に厳しくなっていく予定です。
https://www.euwid-recycling.com/news/business/dutch-waste-industry-protests-plans-to-sharply-curtail-co2-allowances-111124/

中国自動車工業協会によると10月の新車販売台数は前月比8.7%増の305万3000台、前年比では7%増、1-10月の累積販売は前年比2.7%増の2,462万台でした。景気減速の中での、この伸びには政府の補助金政策があります。地域にもよりますが、EV車に対する最大10,000人民元の補助金、競争が激しい市場でのメーカーによる更なる追加のインセンティブがあります。特にドイツメーカーは販売減少を食い止める為、SAIC-フォルクスワーゲンは最大2万人民元、BMW/Miniは既存のオーナーに最大18,000人民元の保険と税金の優遇措置を提供する等、作られた数字である事も背景に挙げられます。こうしたインセンティブは需要の先食いになる為、アナリストは過剰生産に対する懸念を始めています。アナリストは、これらのインセンティブが100万~200万台の販売を押し上げ、シェアの3.2~6.5%を占めると予測しています。
http://en.caam.org.cn/

米国政府は大手石油・ガス生産者へのメタン税を最終決定しました。課税は2024年に排出されるメタン1トン当り900ドルから始まり、2025年には1,200ドル、2026年以降は1,500ドルに増額されます。米国環境保護庁の発表によると、この規則は二酸化炭素換算で年間25,000トン以上を排出する施設にのみ適用されます。1月に詳細が発表されてからこの規制に対する一次差し止め訴訟が起きていましたが、最高裁が差し止めを却下した為に成立される事になりました。しかしトランプ次期大統領は選挙期間中にこの課税を廃止する事を公表しており、更に上下院ともに共和党になる事から、課税は廃止される可能性が高いと見られています。
https://money.usnews.com/investing/news/articles/2024-11-12/us-sets-methane-fee-on-oil-gas-emitters-as-biden-term-winds-down

銅市場でエリオット波動(テクニカル分析で一定方向に5動き反動で3逆進してトレンドを形成する)が起きており、9 月の安値に向かって下落を続ける見込みです。一旦底打ちが有った場合、反転後は上げトレンドに変換すると見られています。理由は2月からファンダメンタルズの強気トレンドは変わっていないから、と説明されています。銅には一定の投機マネーが入っている為、テクニカル指標が当てはめられる事が多くなっています。
https://www.fxstreet.com/analysis/copper-elliott-wave-technical-analysis-video-202411111111

英国の高級車ジャガーは、1年間ガソリンとディーゼル車の新車販売を縮小・中止し、2026年にEVのブランドとして再出発する作業を開始すると発表しました。親会社のジャガー・ランド・ローバー(所有はインドのTataグループ)は2021年からの新型車をEVシリーズに切り替える意向を発表していました。しかしEVの販売不振によって移行が遅れていました。この決断は今後、より裕福な顧客層に焦点を合わせるという大胆なブランド戦略の転換と見られています。VW、フォード、日産を始めEVシフトを推進した先が、軒並み結果が良くない為、この戦略がどう出るかは未知数です。
https://www.autotrader.co.uk/content/news/jaguar-ends-sales-of-new-cars

ノースボルトの状況が深刻さを増しています。3億ドルといわれる投資家からの緊急融資も予定していた11月初旬に行われておらず、最大の顧客であり出資者でもあるVWの投資責任者がノースボルトの取締役を退任する予定です。VWとは2021年に140億ドル相当の受発注契約を行いました。この契約は10年間のバッテリーセル納入の約束となっています。 更に従業員500人分の宿舎の解約、社内食堂運営会社との契約解消(社員用食料販売の終了)、バッテリーリサイクル合弁会社ハイドロボルトへの出資の停止等、伝わる状況は日増しに悪くなっています。同社は毎月約10億クローナを必要としており、直近では少なくとも30億クローナを確保できない場合、一部の関係者は部分的な事業の撤退の可能性もあるのではないかと伝えています。同社に出資した利害関係者は官民合わせて相当広範囲に渡り、スウェーデン、ノルウェー、カナダの年金基金や欧州の商業銀行も含まれています。設立以来、今年9月末迄に集めた総資金は150億ドル(約2兆2000億円)を超えており、何かあれば欧州だけでなく、出資した投資家や業界に大きな影響が出るものと考えられています。欧州の電池事業は一部で行き詰まりを見せており、先月末には中国のバッテリーメーカーSvoltが欧州での事業終了を発表しています。しかし、こうしたEVを巡るネガティブなニュースは全く配信されず、EV販売が少しでも伸びた時には大々的に報道されるといるのは、投資家の存在が情報拡散に改めて大きな影響を持つ証になっています。
https://www.norran.se/english/skelleftea/artikel/northvolts-restaurant-shuts-comes-as-a-shock/ly4x9q9l

日本と同様に自動車産業が基幹産業の1つであるドイツの自動車業界の景況感は引き続き悪化しています。経済研究所が行った10月の調査では対象となった企業の44.3%が受注不足に悩まされており、これはパンデミックの2020年7月以来最高の比率となっています。ドイツ自動車産業の季節調整済み景況指数は9月の-23.4ポイントから10月には-27.7ポイントに低下しました。また、輸出期待も再び悪化し、指標は-32.8ポイントに低下し、こちらも2020年春以来の最低の水準となっています。VWは10月末に従業員の賃金の10%カットを要請しています。ただし中期的にはある程度回復する傾向が出てきています。
https://www.ifo.de/en/press-release/2024-11-08/sentiment-german-automotive-industry-continues-worsen

欧州では分別収集される電気電子機器廃棄物(WEEE)の増加が停滞しています。最近、EUの統計機関ユーロスタットが出したデータでは2022年にEU加盟27ヵ国では約500万トンのWEEEが回収されました。僅かですが2014年以来、初めての減少となりました。しかし、市場で購入される新しい電気電子機器が急増している為、それを考慮すると、回収量は事実上かなり減っていると推測されています。何故このような事が起こっているかと言えば、他の廃棄物(特に繊維やプラスチック)と同様、エネルギーコストの上昇が主な要因です。非鉄や貴金属が多いWEEEは回収されますが、少ないものは高いエネルギーでコストを掛けてリサイクルしても収益にならない為、回収されません。つまり高価な再エネや欧州特有の高価なガスにより、石炭のような安価なエネルギーが供給されないと、廃棄物が増えるという結果となります。WEEEでさえこのような現象が表れている為、プラスチックや繊維製品の廃棄物が行き場を失ううとい大きな問題が浮上しています。
https://ec.europa.eu/eurostat/statistics-explained/index.php?title=Waste_statistics_-_electrical_and_electronic_equipment

欧州委員会は、エジプト、ベトナム、日本、インドからの熱延鋼板の輸入に対する反ダンピング調査を開始しました。この調査は、これらの輸入品が不当に低い価格で販売されているという欧州鉄鋼協会の苦情を受けて行われる事になりました。欧州委員会がダンピングの証拠を発見した場合、欧州の鉄鋼メーカーを保護する為、これらの輸入品に関税を課す可能性があります。EU内で鉄鋼メーカーの利益を代表する団体である欧州鉄鋼協会は6月に反ダンピング訴訟を起こしています。
https://agmetalminer.com/2024/11/11/eu-cracks-down-on-anti-dumping/

銀の業界団体シルバー・インスティテュートは、世界の銀のネット不足は2024年に4%減少して1億8200万オンスとなり、総供給量が2%増加する為、需要の増加1%を相殺すると発表しました。銀は投資の他に、電子機器、電気自動車、太陽光パネルからの需要増で、構造的な不足が4年連続で続くと見込まれています。しかし鉱山からの供給は1%増加、リサイクルスクラップは5%程度増加すると見込まれています。その為、当初の予想よりもネットでの供給不足がやや(4%)減ると予測しています。
https://www.mining.com/web/higher-silver-supply-to-reduce-global-deficit-by-4-in-2024/

欧州鉄鋼生産者連合は、EUの産業団体であるインダストリアル・ヨーロッパと共同で欧州政府に「EU鉄鋼行動計画」の策定を求めています。背景には欧州の鉄鋼業界の苦境があり、世界の鉄鋼生産の過剰生産能力により状況が好転する見込みが無い為です。行動計画には「グリーンスチールへの移行に対する投資への支援の強化」と「鉄スクラップを含む鉄鋼製造に不可欠な原材料へのアクセス」を求めています。引続き鉄スクラップの域内での確保と利用推進を求めています。
https://www.eurofer.eu/press-releases/eu-steel-action-plan-now-steel-industry-and-steel-workers-unite-to-demand-urgent-action-to-restore-the-sectors-competitiveness-and-save-thousands-of-jobs-before-it-is-too-late

通貨ユーロを使うユーロ圏の鉱工業生産が予想を下回っています。9月の鉱工業生産は、予想のマイナス1.4%を下回るマイナス20%、内訳は、資本財(-3.8%)、エネルギー生産(-1.5%)耐久消費財(+0.5%)、非耐久消費財(+1.6%)、中間財(横這い)となっています。ドイツを中心に鉱工業生産が伸びない実態が表れています。
https://www.forexlive.com/news/eurozone-september-industrial-production-20-vs-14-mm-expected-20241114/

COP29で懸念される事態が起きています。アゼルバイジャンの大統領がフランスのマクロン大統領を激しく非難した事でフランスは気候変動担当トップの会議出席を中止し、高官級の政治家が代表として出席しない事態になりました。更に現代の気候危機を「社会主義者の嘘」とまで呼ぶアルゼンチンのミレイ政権は僅か3日でCOP29サミットから代表団を撤退するよう命じています。又、米国の新政権は環境問題よりも国内の経済と安全保障を優先する姿勢を示しており、今回のCOPは合意よりも分断が一部で目立つ会議となっています。
https://www.ft.com/content/b06ee7d7-bfd2-4fbf-8867-922d87ca49a0

欧州議会は特定の原材料を欧州に輸入する全ての貿易業者にデューデリジェンス義務を課す「EU森林破壊(防止)法」の適用を延期し、緩和修正案を承認しました。この法律はまだ最終決定していませんが、牛肉製品、カカオ、コーヒー、パーム油、ゴム、大豆、木材、及びそれらの派生製品は森林伐採地から産出されてはならず、輸入業者は完全なトレーサビリティを保証しなければならない義務が課されます。修正案は全て緩和に関するもので、既存の「低リスク」、「標準リスク」、「高リスク」のカテゴリーに加え、森林破壊に関して「リスクなしの国」という新しいカテゴリーを導入しています。選挙後の新議会では環境に関する投票にも影響し、グリーンディールの主要要素を緩和に進める可能性がありましたが、結果としてそのような方向性が示されています。
https://www.europarl.europa.eu/news/en/press-room/20241111IPR25340/eu-deforestation-law-parliament-wants-to-give-companies-one-more-year-to-comply



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