NEWS

NEWSCONの気になるNEWS(2024年10月第5週)

欧州でDRIプラントに多額の援助が行われる計画です。イタリアの鉄鋼メーカー、アッチャエリ・ディタリア(ADI)と国営投資会社インビタリアの子会社であるDRIディタリアは直接還元鉄工場(DRI)を建設する覚書に署名した事を発表しています。生産能力は年間 250 万トン、建設費用の内、10 億ユーロ(約1650億円)は公的資金によるものです。ADIによれば、この覚書は脱炭素化に向けた重要な一歩と述べられています。ただし将来、本当に水素利用のDRIが商業的に成功するのかは未知数です。
https://www.steelorbis.com/steel-news/latest-news/italys-acciaierie-ditalia-to-build-new-dri-plant-in-taranto-1363127.htm

インド政府は中国からの5品目に対して、5年間の反ダンピング関税を課します。鉄鋼は含まれていません。イソプロピルアルコール、硫黄化合物、セロハン透明フィルム、熱可塑性ポリウレタン、枠なしガラス鏡が対象品となります。インドと中国は共にWTO加盟国です。また中国はインドにとって第2位の貿易相手国ですが、インド政府は中国との貿易赤字の拡大について再三にわたり深刻な懸念を表明してきました。貿易赤字の額は昨年度、850億ドルに達しています。鉄鋼省も再三にわたり経済相へ追加関税を要求しています。大口の輸入先であるインド政府が中国の鉄鋼製品に追加関税を課した場合、ドミノ効果はかなりのものになりそうです。
https://m.economictimes.com/news/economy/foreign-trade/india-imposes-anti-dumping-duty-on-5-chinese-products-for-5-years/amp_articleshow/114512989.cms

IMFが経済見通しを発表し、購買力平価に基づく予測では、今後5年間の政界経済の「成長」は、中国、インド、ロシア、ブラジル等のBRICS諸国の経済大国が占める割合が大きくなると予想しています。対照的に米国、ドイツ、日本等のG7諸国の貢献は下方修正されました。この予測に基づくブルームバーグの計算では、中国は今後5年間で世界の経済「成長」への最大の貢献者となり、そのシェアは22%でG7諸国の合計を上回る見込みです。インドは世界経済成長のもう一つの主役で、2029年迄に全体の成長の約15%を占めると予想されています。エジプトは今後5年でドイツや日本と同等の1.7%を世界の経済「成長」に寄与すると予想されています。ベトナムは、フランスや英国と同等の1.4%。過去25年間、米国経済の力強い拡大により、米国は先進国の中で世界経済の成長に圧倒的に大きく貢献してきました。しかし人口が最も多いインドや中国と比較すると、PPPベースで見た米国は世界経済に占めるシェアを維持できていません。G7の中で最も経済規模が小さい2ヵ国のカナダとイタリアは、5年間で世界GDP成長にそれぞれ1%未満しか貢献しないと予想されており、これはバングラデシュ、エジプト、フィリピンなど人口が多く貧しい国々よりも低い数字となります。
https://www.imf.org/en/News/Articles/2024/10/22/tr102224-weo-transcript

確実な長期投資戦略で定評のあるウォーレンバフェットのバークシャーですが、保有銘柄第1位であるアップルの株を売却し続けています。少し前にはBYDも大幅に売り越していました。BYDは米中関係が緊迫する中、長期投資としてふさわしくないとの早めの判断でした。アップルに関しては高く評価するものの、2023年10月1日から2024年6月30日までの3四半期で、保有を56%も減少させています。アップルの「物理デバイス」の売上は、過去2年間の大部分で低迷しており、売上が失速すれば、その評価プレミアムが下がる可能性があります。「オマハの賢人」はこうした小さな予兆を長期視点で分析する能力に長けており、今と将来を結ぶ線の繋ぎ方が「賢人」たる所以のようです。
https://www.fool.com/investing/2024/10/23/warren-buffett-sold-56-apple-pile-into-stock-split/

EV電池大手の韓国LGエナジーソリューションズ(LGES)がQ3の結果を発表しました。営業利益は市場予想を上回りましたが、39%減少しました。来年の収益成長について保守的な見通しを示し、EV需要減速により設備投資を大幅に削減すると発表しています。LGESは米国のインフレ抑制法に基づく税額控除が無ければQ3に180億ウォンの「営業損失」を計上していただろう、との見解を示しています。LGESの上級幹部は以前、気候変動政策やその他の規制次第ではあるが、欧州では約18ヵ月、米国では2~3年で需要が回復する可能性があると述べていました。
https://www.energy-storage.news/lg-energy-solution-scaling-back-expansion-launching-us-ess-battery-production-in-2025-as-profits-dive-again/

VWの経営陣は少なくとも3つの工場を閉鎖し、数万人の雇用を削減し、更に残った従業員の給与を10%削減したいと考えていると伝えられています。また残りの工場の規模を縮小することを目指していると内部文書には記されている事が明らかになりました。リストラ後、多くの業務がアウトソーシングされることになる予定です。「これはドイツ最大の産業グループが自国で事業の売却を開始する計画だ」と労働組合評議会議長は怒りを露わにしています。VWは現在ドイツに10工場と30万人の従業員を抱えています。ロシアのガスをドイツで独占し欧州で権益を得る為にロシア国営石油大手のロスチネフの役員に就任し、ノルドストリームAGの会長に就任したのは、元ドイツ首相のシュレーダーです。彼の後継者メルケルは石炭と原子力を廃止する為、緑の党を欧州政治の中心にまで成長させました。皮肉な事にそのシュレーダーを監査役員として迎えていたVWがドイツ企業で最も被害を受けているという事は語られる事が無い事実です。
https://uk.finance.yahoo.com/news/volkswagen-set-close-three-german-110222488.html

NYTは中国政府が半導体向けの重要鉱物に対する規制を一層強化する方針であると報じました。中国政府による希少鉱物の採掘と精錬に対する管理強化は活発化しています。政府は中国国内で精錬された希土類金属やその他の鉱物の輸出業者に対して、西側諸国のサプライチェーンで希土類金属の出荷がどのように使用されているかの詳細を提供するよう命じました。またコンピューターチップの製造に使用されるアンチモン、ガリウム、ゲルマニウムの輸出が制限された事を受けて国有企業が中国に残る外資系希土類精錬所2ヶ所の所有権を更に取得していると伝わっています。中国政府は国内のレアアース採掘や精錬に関する情報を国家機密と称して隠蔽する動きを見せており、希少資源の保護に努めています。最近、同分野の管理職2人が外国人に詳細を漏らした罪で懲役11年の判決を受けました。
https://www.nytimes.com/2024/10/26/business/china-critical-minerals-semiconductors.html

イタリアの鉄鋼機器大手メーカーのダニエリは、今後5年間で持続可能な開発プロジェクトに5億7,200万ユーロ(約950億円)を投資する計画です。最重要プロジェクトは「デジタル・ グリーン・ プラント」と位置付けています。PJTは、年間 70 万トンの特殊鋼を生産する環境に優しいラインです。再生可能エネルギーを利用しながらデジタルで自動化された炉を活かし、新たな生産工程を提案します。鉄鋼業界では「炉」の近代化とデジタル化が急務な課題として大きく注目されるようになっています。同社は鉄鋼部門のAcciaierie Bertoli Safau(ABS)の開発に投資する意向を表明し、今後2~3年でABSは約6億ユーロを投資し、生産量を約200万トン、売上高を30億ユーロに引き上げる予定です。ダニエリとAcciaierie Bertoli Safauは、売上高を現在の約40億ユーロから2023年と比較して約20~25%増加させて50億ユーロにし、EBIDTAを10%にすることを計画しています。
https://www.ansa.it/friuliveneziagiulia/notizie/2024/10/18/c.-benedetti-danieli-investiremo-572milioni-per-sostenibilita_f1d86f72-3cdd-4391-95aa-5cac0b7b7e4c.html

BIR 主催の国際リサイクル・コンベンションがシンガポールで開催されています。つい最近、BIR鉄部門のトップは様々な要因によりスクラップ業者にとって「困難な時期が到来した」と語りました。「今年はリサイクル金属業界にとって厳しい年となった。需要、価格、調達のすべてが最悪の状況を引き起こしている」と、四半期報告書に記載しています。BIRの非鉄部門のトップは、企業にとって「複雑な市場」となった事を述べています。「国際的な混乱」や「不安定さ」に加え「消費は減少しているがベースメタル価格は上昇している」と指摘しています。各国政府は消費を刺激するために金利を緩和し始めており、中期から長期の傾向は「強気」に据え置いています。金属トレーダーとスクラップの購入業者は、循環型経済を支える為に集荷、アップグレード、付加価値を高める努力を継続する必要があると訴えています。
https://www.bir.org/bir-singapore-2024

土曜日のジョージアの選挙で親ロシア派(「ジョージアの夢」党)が勝利しました。過去、親西側だった同国はウクライナ戦争(ジョージアは2008年に紛争でロシアに負けている)で、同国がまた戦争に巻き込まれるという懸念を常に持っていました。今回の選挙結果にEUと米国は考えられない程静かな反応を示し、緩やかな非難に終始しました。ウクライナ戦争によりコーカサス地方に新たな戦略的重要性が生まれています。欧州はロシアを迂回してアジアへ向かう新たな輸送ルートの開発に取り組んでいます。中東の地政的な悪化でイラン周辺の海域も避けたい為、欧州にとってコーカサスが唯一の道となっています。更にロシアのエネルギーへの依存を断ち切る為、EUはジョージアを経由して欧州に向かうアゼルバイジャン産のガスの購入を増やし、黒海の海底をジョージアからルーマニアまで延びる大規模な新送電線に資金を提供しています。欧米諸国は今回の選挙は「不正に満ちたもの」として選挙結果を認めていません(確かにロシアによる大規模な干渉がありました)。しかし選挙結果をあからさまに非難し、ジョージアに制裁を強化する動きに出ない本当の理由は欧州のエネルギー問題です。残された数少ない選択肢であるジョージア経由の中央アジアのエネルギー獲得にはジョージアを外す事が出来ないという事情があります。今回の選挙は結果がどうであれ、ジョージアとの軋轢を生む事ができない「欧州のアキレス腱」が存在するという事をあたかも明確にした「選挙結果後の静けさ」となっています。
https://www.nytimes.com/2024/10/23/opinion/georgia-election-europe-west.html

EUの鉄スクラップ輸出は24年1月から8月にかけて5%減少しました。価格の下落、資源の囲い込みによる保守的な動きが重なったものです。英国とEUからの鉄スクラップ輸出量は2024年1月から8月に暫定1180万トンでした。昨年は1241万トンでした。フランスは輸出量が約 4% 減少、しかしモロッコへの輸出量は 64% 以上増加しました。英国は 7% 以上の減少、インドとパキスタン向けは 46% の大幅な減少でした。ポーランドは8% の増加、これはモロッコへの出荷量が 468% 増加急したことによるものです。チェコ共和国は 60% の急激な減少を記録し、ベルギーは 10% の減少でした。脱炭素化が将来の合言葉となる中、より多くの国が国内使用の為に鉄スクラップを保持することを目的とした法律を導入すると予想されるため、EUの海上輸送による鉄スクラップ貿易は今後減少する見込みです。
https://www.bigmint.co/insights/detail/eu-ferrous-scrap-exports-dip-5-in-jan-aug-24-what-lies-ahead-594252

中国政府は米国大統領選挙期間中に全人代の常任委員会による会議を開催する予定です。この会議では1兆4000億ドル以上の追加債務を検討しています。トランプがホワイトハウスに復帰した場合、中国への経済的逆風が強まると予想される為です。この巨額の債務は特別国債と地方債の両方を発行して3年間で調達する予定で、資金は主に地方政府の帳簿外債務への対応を支援する為に使われる予定です。発表と同時にコモディティは動く可能性があります。大統領選挙については13 Keysで非常に有名かつ正確に選挙を予測することで知られる(過去10回中9回正確に予測)アメリカン大学教授のAllan Lichtmanが、カマラ・ハリスの勝利を8月後半に予測、賭けサイトではトランプ優勢、過去の経緯から殆どあてにならないPoll(世論調査)は互角となっており、毎度の事ですが直前で盛り上がっています。
https://www.msn.com/en-us/money/markets/exclusive-eyeing-us-election-china-considers-over-1-4-trillion-in-extra-debt-over-next-few-years-say-sources/ar-AA1t7rAm?ocid=finance-verthp-feeds

バフェットはApple株を大幅に減らしてきました。中国での販売の落ち込みがからハード分野の製品販売の将来に若干の不安が出てきた為です。今回、人口が2億8000万人弱で、更に口が急速に伸びているインドネシアで新型iPhoneの販売が禁止される見込みです。アップルにとって主要市場の一つである中国での販売拡大に苦戦している今、インドネシア市場での販売禁止は大きな痛手となる可能性があります。インドネシアはAppleが同国への投資を履行していないとして、少なくとも今のところはiPhone 16の販売を禁止しています。インドネシアでは2016年以降、スマートフォンやタブレットのメーカーに対し、TKDNと呼ばれる現地調達規則を導入しており、定量の部品を国内で調達するか、その割合に相当する金額を投資することが義務付けられています。Appleはスマートフォンの部品の40%を現地製造品とする事が義務付けられていますが、これを履行していない為です。
https://www.fudzilla.com/news/59972-apple-s-iphone-16-banned-in-indonesia

1828年7月に創刊され、イギリスで現存する最古の政治・文化雑誌「The Spactor」は、「VWの苦境は驚くべきことではなく、1つの原因に集約される」というコラムを載せています。VWの苦境の原因は「ネットゼロ経済への移行を誤ったドイツ」と述べています。ウクライナ戦争後、安価なロシア産ガスが供給停止となり、ドイツのエネルギーコストは急騰しました。ドイツは原子力発電所を建設するか、豊富なシェールガス資源を利用することできました。しかし同国の環境保護団体はどちらの方針も真剣に検討しようとしません。代わりに高価な「輸入ガス」と「再生可能エネルギー」に未だに固執しています。自動車の製造には大量のエネルギーが必要であり、米国、湾岸諸国、アジアよりも電力コストが高い状況ではドイツが競争力を維持するのは不可能です。 気候変動と低炭素経済への移行の重要性は疑いの余地がありません。しかしヨーロッパは「完全に誤った(低炭素社会への)移行管理をし、産業基盤を無視し、従来の製造業で失われた雇用を「高給のグリーン雇用」が奇跡的に埋め合わせるだろう、と自己満足しています。その結果の象徴がVWなのです。
https://www.spectator.co.uk/article/volkswagens-woes-are-no-surprise/

あまり知られていませんが、ファストファッションの製造委託は海外の大手数社に委ねられています。H&M、ユニクロ、Zara等の国際ブランドの衣料品を生産しているインドネシア最大のアパレルメーカーの一つであるSri Rejeki Isman(通称:スリテックス)が、25日に裁判所の破産判決を受けました。同社は約5万人の従業員を雇用しています。昨年年6月には負債総額が約16億ドルと報告しており、債務再編の支払いが不履行の為、破産判決を受けました。この破産判決はインドネシアの繊維産業の課題を浮き彫りにしています。鉄鋼と同様、中国からの安価なダンピング輸入品の流入で、地元の産業が大きなダメージを受けています。ダンピング税等の保護措置が導入されているにも関わらず業界関係者は政府に対して、更に規制を強化するよう求めています。インドネシアでは今年、繊維部門の労働者が約1万5500人解雇される見込みです。ドミノ効果は様々な所で大きな流れとなっています。
https://www.peoplemattersglobal.com/news/talent-management/indonesian-textile-giant-sritex-fights-back-against-bankruptcy-vows-to-protect-50000-jobs-43246

Big Mintがシンガポールで開催されたBIRのリサイクル・コンベンションの内容の一部を紹介しています。中国リサイクル企業のオフショア進出の動きは益々加速し、今後もその傾向は続くと見られています。また米国では2030年迄に銅スクラップの供給不足が発生すると予測され、更に米国のアルミニウム産業への投資増加とアジアの新生産能力により、アルミスクラップ材料の競争が激化する予想等が取り上げられています。中国が11月からアルミスクラップの輸入緩和をする理由の1つかも知れません。
https://www.bir.org/news-for-the-app/item/bir-singapore-2024-non-ferrous-metals-division-opportunities-and-challenges-in-establishing-new-operations-outside-china

韓国は鉄筋生産がやや低迷しており、週毎の鉄スクラップ輸入量は今週、低レベルに落ち込んでいると伝わっています。今週の鉄筋生産量は2万トンを下回り、鉄鋼メーカーの購入意欲が減少しているようです。メーカーの稼働率の低下により、国内の鉄スクラップの利用を増やしているようで、今年1月から8月までの鉄スクラップの自給率は91%、前年に比べて大幅に上昇しているとBig Mintは伝えています。
https://www.bigmint.co/insights/detail/south-korea-ferrous-scrap-imports-fall-to-lowest-this-year-amid-low-rebar-production-594611

米大手自動車メーカーのFordがQ3の結果を発表しました。売上高は前年比5%増となりましたが、通期の予想は下方修正しました。またEV部門は売上12億ドルに対して、損失が12.2億ドルを計上しています。業績発表直後に株価は一時9%下落しました。同社はEVの通年損失を約50億ドルと予想しています。しかしHV車は好調で売上が前年比38%増となりました。
https://londonlovesbusiness.com/ford-motor-company-lowers-their-2024-earnings-forecast/

現在、159年の歴史上最大といわれる大改革を実施している大手銀行のHSBCは、戦略改革の一環として16人の執行委員会の規模を縮小し、グループの最高サステナビリティ責任者のポストを、新しい12人で構成される執行委員会から外しました。同社は利益の最大化を最優先にすると表明しています。この発表は新CEOが経営層の削減とコスト削減を目指した事業の抜本的改革に着手した直後の事でした。サステナビリティ責任者が銀行の上級意思決定機関から無くなった事の影響について同行は「ネットゼロへの移行を支援することに引き続き尽力している」というコメントを発するのみとなりました。環境保護団体は強い抗議をしています。濃淡はあるものの、英米銀行のこうした流れは少なからず散見されるようになりました。実際に化石燃料プロジェクトへの融資は、水面下だけでなく、増えているようです。
https://www.msn.com/en-gb/money/other/hsbc-drops-sustainability-chief-from-executive-committee/ar-AA1t89IJ

EVを巡り、欧米と中国のデカップリングが更に加速しそうです。中国政府はEUによる中国製EVの追加関税を受け、国内の自動車メーカーに対し関税を支持したEU諸国への投資を停止するよう奨励しました。追加関税の投票ではイタリア、フランス、オランダ、デンマークを含むEU加盟10ヵ国は賛成、ベルギー、ギリシャ、スペイン、スウェーデンを含む12ヵ国は棄権しました。反対票を投じたのはドイツ、ハンガリーなど5ヵ国でした。中国の自動車メーカーは現在、年間300万台のEVを「余分に生産」しており、米国やカナダがEVに100%の関税を課している為、欧州は重要な市場でした。追加関税に賛成したイタリアとフランス、そして棄権したスペインは上海汽車や奇瑞汽車等の中国自動車メーカーと投資協議を行っています。BYDは追加関税に反対票を投じたハンガリーに工場を建設中です。同社はコスト上の懸念から、欧州本社をオランダからハンガリーに移転することを検討していると伝わっています。ハンガリーは欧州でも親中国、親ロシアと言われています。
https://electrek.co/2024/10/30/china-tells-automakers-to-pause-investment-in-tariff-supporting-countries/

主にEV用の電池利害関係者が参画する「Battery Advocacy for Technology Transformation Coalition」は懸念外国事業体(FEOC)が規制を免れる為に悪用する可能性のある「抜け穴」を塞ぐことを米議員に対し呼びかけています。要求はIRAに関する法制度の一部改正を含んでいます。西側諸国は規制の変更などによりサプライチェーンの脆弱性が大きなリスクとなっています。同団体はIRAの税優遇措置はEVバッテリーの金属や材料の新しいサプライチェーンの強化には不十分であり、中国等が同法の優遇措置を利用するのを防ぐのにも不十分だと警告しています。中国企業はFEOC規制を防ぐ為、オフショアで所有シェアを減らした会社を設立する動きを行っており、それは活発化しています。
https://www.eenews.net/articles/producers-of-battery-materials-ex-doe-officials-push-congress-to-tweak-ira/

中国の電池材料メーカーCNGR Advanced Material Coは、インドネシアに約105億ドル規模(1兆5000億円規模)の電池材料工場を建設する予定である事が報じられています。このプロジェクトはインドネシア政府から国家戦略プロジェクトとして認められており、土地の調達等一定の恩恵を受けることになる予定です。投資は10-15年間かけて行われる見込みです。しかし9月10日に米国政府の労働省は、児童労働または強制労働によって生産された物品のリストにインドネシア産ニッケルを追加しています。このリストはインドネシアのニッケル部門が中国企業によって支配されていることを浮き彫りにし、米国との重要鉱物特定自由貿易協定(CMS-FTA)を確保するというインドネシアの野望に打撃を与えました。しかし専門家の中には米国の措置は裏目に出るとの見方もあります。価格競争力のあるインドネシアのニッケルを米国向けに使用できない西側の自動車メーカーは、サプライチェーンの構築に苦労すると共にインドネシアはCMS-FTAの遅延や課題から、より中国依存を高める可能性があるからです。
https://www.msn.com/en-us/news/world/china-s-cngr-planning-10-billion-battery-material-facility-in-indonesia/ar-AA1tbIKo

スペイン第3の都市であり、最も急成長している地域の1つであるバレンシアで史上最悪の洪水が起き、欧州で気候変動に対する脆弱性の議論が再燃しています。過去数年間にギリシャ、ベルギー、ドイツで発生した洪水は、異常気象の危険性と欧州の都市の脆弱性を露呈しました。国連環境計画は地中海周辺を気候変動の「ホットスポット」と呼び、気温上昇による洪水の確率が他地域に比べ大幅に増加すると予測しました。地中海は今年8月、史上最高気温を記録しました。その結果、より多くの水が雲に運ばれる状況が生まれたと考えられています。今回の洪水では場所によっては1日で1年分の雨の量が降りました。バルセロナ・スーパーコンピューティング・センターのイタリア人気候科学者は「干ばつと洪水は気候変動という同じコインの裏表だ」と表現し、今後に警告を発しています。欧州でも散発し始めた洪水と干ばつによる山火事によって、気候変動規制の強化が再び議論になりそうです。
https://www.politico.eu/article/spain-floods-valencia-europe-climate-change-preparation/



NEWSCON Inc. TEL. 03-3528-6223

営業時間 09:00-18:00
(土日・祝日・年末年始を除きます。)

CONTACTお問合せフォーム