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NEWSCONの気になるNEWS(2024年10月第2週)

10月1日に中国は希土類の輸出に広範な制限をスタートさせました。この規制により既にボラティリティは高まり始めています。元々、中国はレアアースを過剰生産し過ぎて供給過剰となり、希土類の価格は数ヶ月前に20%下落しました。しかし今回の規制により市場は圧力を感じ始め、価格は再び上昇し始めています。米国企業はレアアースの代替供給源を見つける等、中国の活動の影響を軽減する新たな方法を模索し続けています。しかし代替供給ネットワークの構築には時間が掛かる為、短期的には価格上昇と供給量減少により、多くの米国企業とハイテク産業が圧力を受けることになります。市場への影響は今後数ヶ月に掛けてじわじわと出てきそうです。
https://agmetalminer.com/2024/10/04/rare-earths-mmi-chinas-restrictions/

シンがポールに登記するMeranti Steel傘下のタイMeranti Green Steelは、グリーンスチールを核にタイでの鉄鋼事業を拡大する計画です。同社はDRI プロセスにグリーン水素を一部導入し、電気炉に再生可能エネルギーを調達する事で鉄鋼生産における炭素排出量を 70% 以上削減することを目指しています。同社ビジョンはグリーン水素の割合を徐々に 90% まで増やし、年間最大 400 万トンの CO2 排出量を削減する事です。タイは、かつて東南アジアの鉄鋼大国でしたが、現在、大きな課題に直面しています。ベトナムやインドネシア等の国が近代化を進める中、タイの老朽化した製鉄所と熱間圧延施設は競争力維持に苦戦している状況です。同国の鉄鋼生産能力は2023年の31.2%から29.3%という悲惨な稼働率に低下しています。年間需要1,700万トンの内、1,100万トンを輸入に大きく依存するタイは、自動車等の高級鉄鋼の需要を満たす能力がなく、この依存が国際競争力をさらに弱めています。
https://www.merantisteel.com/project-meranti-green-steel
https://www.merantigreensteel.com/

欧州委員会はEUによる「森林保護規則」の施行を遅らせる提案をしました。欧州委員会委員長は10月2日に森林を劣化させる製品に関するEU森林破壊規制(EUDR)を12~18ヵ月延期することを提案しました。この提案に対して、環境保護団体は猛反発しています。しかしアジアを中心に南米やアフリカの国々はこの規制により大きな打撃を被る事から延期を歓迎しています。今回の延期は予め予想されたものでした。6月のEU選挙では中道右派の欧州人民党が勝ち、同党はEUDRの2年間の延期を求めていた為です。この延期の提案は欧州の右派系の政治団体やオーストラリアの全国農業連盟などの団体によって支持されています。いよいよEUでも「グリーンへの巻き返し」が現実的になってきました。
https://www.bnnbloomberg.ca/business/international/2024/10/03/how-europes-forest-protection-drive-ran-into-trouble/

スイスのバーゼルで開催された国際電池リサイクル会議(ICBR)のビデオがHPで公開されています。欧州を中心に専門家や業界代表が集った同会議では、電池リサイクル業者が直面する課題について議論が行われました。最大の障害の1つは国によって異なる規制とその複雑さであり、企業がリサイクル・インフラに大規模な投資をすることを思いとどまらせているという事です。この点については参加者が一同に同意しました。リサイクル業者の次の課題はEV電池市場の成長鈍化、リサイクル可能な材料の不足、そしてリサイクルの過剰生産能力です。またアジア勢は世界的な競争があり、欧米勢を遥かに凌いでいる事も欧米勢には大きな課題です。世界のLIBリサイクル市場では中国が支配的な地位を維持しています。中国のブラックマスの世界シェアは75%にも達しており、大規模な製錬/精製インフラを持つ唯一の国です。特に欧州勢はこの競争に勝つ事が非常に困難である事が強調されています。
https://events.icm.ch/event/6747b2ca-647b-4525-9506-b9e63e4d94d0/summary

コモディティー価格だけでなく、海運にも影響を与えている中東の緊張はイスラエルがレバノンに地上軍を派遣した事で懸念が増しました。またイスラエルがイランの石油・ガス施設を攻撃するとの噂で原油価格が4%急騰する等、情報により一喜一憂しています。トルコのエルドアン大統領は先週、国連安全保障理事会がイスラエルの攻撃を阻止できない場合、国連総会はイスラエルに対し武力行使を勧告すべきだと発表しました。地上進行後、パレスチナ側がUAEに対しても敵対を表明する等、混沌となりました。UAEはAIや投資を通じて米国との1兆ドル規模のパートナーシップの拡大を期待し、1週間前にはバイデン政権が異例にもUAEを「主要防衛パートナー」に指定したばかりでした。現状はコントロールされているようですが、サウジアラビアとUAEはイランとイスラエルの戦争を内心恐れていると伝えられています。今後の状況の変化はコモディティー―と国際輸送に少なくない影響を与える段階となっています。
https://www.turkiyetoday.com/region/saudi-arabia-uae-likely-afraid-of-iran-israel-war-here-is-why-61387/

インド鉄鋼省は中国からの輸入品の流入を抑える為、外国の製造業者に付与されているインド規格協会(BIS)のライセンスの見直しと、今後1年間は新たなBISライセンスを発行しない予定です。関税やセーフガードによる対抗ではなく、輸入鉄鋼製品がインド規格に適しているか、より厳格な運用をする事で輸入材を抑制する目論見です。インドでは4月から8月の5ヵ月間の間に鉄鋼輸入量が372万トンに達しています。これは前年比で34%増加した事になり、その多くはHRCとCRCでした。鉄鋼輸入大国であるインドが規制を強化する事で中国製HRCの国際価格に影響が出てドミノを生む可能性があります。
https://www.thehindubusinessline.com/economy/steel-ministry-pushes-for-stricter-regulations-on-non-standard-steel-imports/article68713842.ece

EUによる中国製EVへの課税は過去10年間で最大の貿易紛争と認識され、関税は継続される事になりました。投票ではEU加盟国10ヵ国が関税を支持し、5ヵ国が反対、12ヵ国が棄権しました。世界で最も中国に投資している国の1つであるドイツは反対票を投じています。事前に中国政府はEV最低販売価格を設定する妥協案を提案していましたが、EU政府はこれを不服としていました。今回の投票結果により関税の継続は確定しましたが、EUと中国との協議は継続される見通しです。
https://www.newsweekjapan.jp/headlines/business/2024/10/518213.php

欧州リサイクル産業協会EuRICは使用済み自動車リサイクル規則(ELVR)について、EU政府への要望を発表しました。現在、極めて厳しい状況に直面しているEUのプラスチックリサイクル産業を維持する為に、自動車に使用されるプラスチックのリサイクル含有量目標の設定を求めました。2022年のデータではEUの使用済み自動車のプラスチックの80%が埋め立てられるか焼却されています。廃棄と炭素発生を抑制する為に新車で使われるリサイクル材料の義務的目標値が不可欠であると主張しています。 EUの法案ではリサイクル含有量目標は25%、その内、1/4は廃自動車由来のクローズドループ材料である事が求められています。しかし最近の政治的な緩和傾向もあり、この厳しい目標は変更される可能性があります。EuRICはリサイクル産業が投資を加速する為にはこの厳しい規制が必要であるとの見解を示しています。
https://euric-aisbl.eu/resource-hub/press-releases-statements/robust-recycled-content-for-plastics-in-vehicles-essential-to-drive-plastic-recycling-in-europe

今や欧州でもトップクラスの自動車大国となったチェコは首相と運輸大臣の両方がEUの自動車排出量目標の「変更」を推進する計画と発表しました。また内燃機関(エンジン)の禁止についても見直しを要求する計画です。首相は「EUグリーンディールの目標の幾つかは非現実的であることが判明しており、我々はそれを調整しようと努める。変化がなければ、欧州自動車産業の将来は危険に晒される」と言及しています。また「2025年に予定されている乗用車の排出ガス規制の変更がなければ、欧州の自動車メーカーは多額の罰金を支払う事になり、更に競争力が低下する」、と苦言を呈しています。欧州の自動車業界の専門家は、現在の市場状況では2025年からの新車の排出目標を達成するのは事実上不可能と考えています。欧州の自動車業界は、現在雇用問題にも直面しており、政治家が規制緩和への動きを本格化しています。
https://www.euractiv.com/section/politics/news/czechia-plans-to-push-for-major-changes-to-eus-car-emissions-goals/

インド鉄鋼省は最終的に鉄鋼輸入に対する基本関税(BCD)を現在の7.5%から15%に倍増することを提案しました。インド鉄鋼省の長官は財務省に書簡を送り、提案をしています。しかし財務省がこの提案を受け入れるかは分かりません。この一連の動きは、明らかに中国鋼材をターゲットにしたものです。書簡では不公正な貿易慣行に対抗する為にセーフガード措置を実施したEUと米国の措置と、現在のインドの状況を比較しています。
https://www.constructionworld.in/steel-news/steel-ministry-to-double-import-duty-to-counter-chinese-steel-dumping/63358

ドイツの廃棄衣料市場が大きな課題に直面し、回復の見込みが中々見えない事が伝えられています。業界関係者は「絶望的」、「大惨事」、「とんでもなく困難な時期」、「毎日新しい問題」、「最悪の年」等と述べています。業界のベテランは「これまで多くの浮き沈みを経験してきたが、今の状況に匹敵するものはなかった」と語っています。回収用のコンテナは質の悪い古着が集まるポイントから撤去され、他の場所でも同様に撤去や回収の中止が行われることが増えています。最近の地方自治体の入札には1件も入札がなかった場所もあります。古着は販売危機と価格下落により、業界全体の資金の流動性が激減しました。選別した古着を少しでも販売したい場合、リサイクル企業はより大きなリスクを負い、販売価格を下げるか、支払い期間の延長に同意する必要が生じています。主な原因は景気悪化による低価格ファストファッションの拡大、リサイクル不可能な繊維製品の廃棄コストの倍増、等が挙げられています。
https://www.euwid-recycling.com/news/markets/german-waste-textiles-market-somewhere-between-bleak-and-catastrophic-071024/

中東情勢は更に新たな段階に入りそうです。現在イランは核弾頭3個分の(核)物質を保有していると報じられています。これはロシアがウクライナ戦争でのミサイル支援と引き換えにイランに核技術支援を行い実現したと見られています。国際原子力機関(IAEA)は5月にイランには少なくとも3個の核弾頭を製造できるだけの物質があると警告したように、多くの人が考えるよりも差し迫った危険がある可能性があります。しかしイランが核兵器の実装をするのには、少なくとも約9ヵ月掛かると見られています。イスラエルは米国抜きで核施設を攻撃できる力がありますが、その結果を自国だけで処理するのは難しいと見られています。イランの核保有前に施設を叩く事がイスラエルにとって大きな意味があります。バイデン大統領はイスラエルがイランの核施設を攻撃することに賛成していないと明確にしました。今後世界が注目しているのは、イスラエルがいつイランの施設を攻撃するか?どの規模でどのように攻撃するか?という事です。プーチン大統領とイランのマソウド・ペゼシュキアン大統領は今週金曜日にトルクメ二スタンで会談する予定です。
https://oilprice.com/Alternative-Energy/Nuclear-Power/Is-Israel-Waiting-For-The-US-Elections-To-Make-Its-Biggest-Move-Against-Iran.html

米国のNGO、チャイナ・グローバル・サウス・プロジェクト(CGSP)が調査報告書を発表し、中国の巨額投資に支えられ急成長したインドネシアのニッケル産業のダーティーな内幕を暴露しています。インドネシアのニッケルは環境破壊、汚職、違法採掘活動が蔓延し、330以上のニッケル採掘・精錬プロジェクトの内、約3分の1が汚職や違法採掘活動に関与しています。 インドネシアのニッケル産業はEVバッテリーの需要の高まりによって中国資本が介入、巨大化してきました。現在は世界のニッケルの市場バランスを変えています。インドネシアのニッケル産業は中国による投資無しでは現在の発展は不可能でした。正式には公開情報となっていませんが、インドネシアのニッケル加工施設の約90%は中国企業が所有していると報告書は述べています。インドネシアのニッケル産業を悩ませている汚職、環境悪化、社会問題は中国企業に端を発するものではありませんが、中国企業はこうした慣行から利益を得ていると結論づけています。本来、EVは環境に良いはずなのですが・・・・チリと言い、新たな環境破壊が横行する商品となってしまいました。
https://chinaglobalsouth.com/analysis/nickel-nexus-indonesias-china-backed-nickel-to-battery-ambition/

約1兆円の資金を集め華々しく業界を賑わしたスウェーデンのEVバッテリーメーカー、ノースボルトABは同社の子会社の1つであるノースボルト・エット・エクスパンションABの破産申請を提出しました。ノースボルトはグループ会社を20社持ち、今回は破産するNorthvolt Ett Expansion ABは数十億ドル規模の生産拡張プロジェクトを担当した会社となります。負債総額は1億9400万~2億9000万ドルと推定されています。ノースボルトは9月に1600人規模の人員削減を行うと発表したばかりでした。ノースボルト・エット・エクスパンションABは破産申請当日、約45万9000スウェーデンクローナの債務不履行に陥っており、4700万クローナの延滞金請求に直面していました。既に親会社のノースボルトも生産問題や競争力問題を抱え、解決が見込めない状況です。金はあれど、実力で事業が行き詰まっている、との市場の噂が絶えません。
https://northvolt.com/articles/subsidiary-filing/

グリーンムーブメントを代表する会社の1つで、日本のバイオマス発電所が最も発電用木質ペレットを長期購入契約している米国Envivaは連邦破産法11条からの再建計画をバージニア州東部地区裁判所に提出し、その中で同社を「非公開企業」にする事を計画に盛り込んでいます。元々同社はリバースストーンとカーラエルグループという2つの投資会社が、投資家が分配金の税繰延が可能なMLP企業として立ち上げられ、カーラエルが去った後はロバート・エイドリアン・ロスチャイルドの妻リン・フォレスターと著名投資家ジェフ・ウッベンが共同で立ち上げたインクルージブキャピタルが主要投資家の1社でした。日本人が支払う「再エネ課金」が欧米投資家に分配金として還流するクッション会社として機能していました。結局、倒産後に再建しても非上場となるとは運命の皮肉さを物語る出来事です。
https://www.steelforpackagingeurope.eu/news/steel-for-packaging-europe-shares-eu-vision-paper/

リチウムを巡る米中対立は政府高官が口撃をする程度に熱くなり始めています。米国務省の経済成長・エネルギー・環境担当次官は、リチウム埋蔵量が豊富なポルトガルを訪問時「中国のリチウム生産者が世界市場に殺到し「略奪的な」価格下落を引き起こし、競合プロジェクトを立ち上げようとしている鉱山会社を妨害しようとしている」「彼らは略奪的な価格設定を行って競争がなくなるまで価格を下げる。それが今起こっていることだ」と述べました。中国は世界のリチウム化合物の生産量の約3分の2を占めており、主にEVバッテリーに使用されています。リチウムの価格は、中国の過剰生産とEVの需要低下により、過去1年間で80%以上下落しました。価格暴落は鉱山投資以外にも中国自身に影響を及ぼしており、電池大手のCATL等の中国企業は、特定の鉱山での生産停止を余儀なくされている状態です。
https://www.reuters.com/markets/commodities/china-is-oversupplying-lithium-eliminate-rivals-us-official-says-2024-10-08/

BHPが銅に関する報告書を発行しました。世界の銅需要は2035年まで年間100万トンの成長率で増加し、過去15年間の2倍に達すると予想しています。年率換算での成長は2.6%に相当し、2006年以降の1.9%から加速しています。BHPによるとEVだけでも従来の内燃機関車の約3倍の銅を使用しており、EVの銅需要により輸送部門の銅需要全体に占める割合は2021年の11%から2040年までに20%以上に上昇すると予想しています。データセンターでの銅使用量は2050年迄に6倍に増加すると予測しています。中国やインドなどの成長経済が都市化と電力消費の拡大を続けている為、従来の銅の需要は依然として堅調です。現在操業中の銅鉱山は今後 10 年間の銅需要の半分以上を満たす事が期待されていますが、インフラの老朽化、鉱石品位の低下、コストの上昇等、大きな課題に直面しています。これらの課題により既存の鉱山の銅生産量は 2035 年までに現在よりも約 15% 減少すると予測しています。スクラップに関しては2021年に回収・リサイクルされた銅スクラップは43%で、2023年には40%にまで落ち込むと推定しています。この比率は2050年まで50%に達すると見ています。特に今後はインドが銅をバク食いする可能性があり、何れにしても中期的な供給懸念は継続しそうです。
https://www.bhp.com/what-we-do/products/copper

中国政府はEUによる中国製EVの追加関税に対し広範な「報復措置」を準備していると報じられています。具体的には利益率の良いEUメーカーの大型エンジン車、EU産ブランデーへの関税引き上げを検討しています。EU産のブランデーに関しては、輸入業者に対して10月11日から最大39%の「保証金」を課す措置を行います。こうした情報から関連する欧州企業の株価は急落しました。特に中国への依存度が高いBMW、メルセデス・ベンツ、フランスの蒸留酒メーカー、レミー・コアントローSA、ヘネシー・コニャックの親会社LVMHモエ・ヘネシー・ルイ・ヴィトンSE、ペルノ・リカールSAは影響を受けています。しかし、EUの経済担当トップのパオロ・ジェンティローニは中国による報復関税リスクについては「心配していない」、との見解を示しています。逆にVWのトップは中国が追加関税を課した場合、ドイツの自動車産業にとっては「特にリスクが高い」と警戒しています。
https://environmentjournal.online/headlines/precious-metals-chinas-copper-market-control-threatens-renewable-supply-chain-resilience/

Oxfamと他2社で共同制作され発行された報告書がEUで物議を醸しています。EUは中国製EVが中国政府の不当な補助金によって競争力が強化された事を理由に追加関税を実施しています。しかし実際にはEU政府も似たような事をしている実態が暴かれています。EUは世界各国の投資格差の縮小を目的に、EUが他地域のインフラ投資に貢献する為の「Global Gateway」という投資パッケージプログラムを2023年に立ち上げました。Oxfamによる調査では同プロジェクト40件の内、25件(60%)が、シーメンス、モラーグループ、スエズなどの欧州企業に利益をもたらす為に使われている、と明らかにしました。更に「Global Gatewayビジネス諮問グループ」に所属する少なくとも7社が、同組織の資金から出たプロジェクトの契約を締結したことも明らかにしています。調査ではGlobal Gatewayの戦略の不透明性も浮き彫りになっています。人権と環境に関するプロジェクト、資金調達、契約、評価について情報公開が不足しており、本来の目的である「持続可能な開発」にどの程度貢献しているか不明と報告しています。Global Gatewayは本来、貧困国でのインフラ投資を通じて「貧困と闘う」ためのものです。しかし実態は、欧州の納税者のお金でEUの大企業の利益を増大させていたのです。Global GatewayはEUによる派手なブランド宣伝活動でEUの援助予算を増やしてきただけに実態への失望は大きなものです。
https://www.oxfam.org/en/press-releases/global-gateway-risks-diverting-eu-aid-budget-big-business

「ネットゼロは脱中国依存では達成できない」と専門家が警告しています。鋭い分析で有名なOCIグループの創業者兼CEOのオリバー・チャップマンは「他の国々は、銅に関して中国に大きく遅れをとっており、中国に依存しない銅サプライチェーンを簡単に構築することはできない。強靭な銅サプライチェーンを構築することは重要だが、中国抜きでその目標を達成できるとは考えにくい」と指摘しています。専門家の多くは同じ意見で「脱炭素化と中国への依存を減らすという2つの目標は相反する」と断言する人も少なくありません。中国は既に世界中で銅鉱山や銅精鉱のサプライチェーンを構築しており、市場を支配しています。他国が「商業的に利用可能な」銅サプライチェーンを構築することは重要ですが、中国抜きでその目標を達成できる可能性は極めて低いと考えられています。それ程、安価で圧倒的な供給網を持つ中国の銅支配は抜きんでています。
https://environmentjournal.online/headlines/precious-metals-chinas-copper-market-control-threatens-renewable-supply-chain-resilience/

コモディティーに影響を与えている中東の政情不安ですが、イスラエルは米国の反対にも関わらず、イランのエネルギー施設への攻撃を検討していると伝わっています。米国はイスラエルに対して、特定の標的への攻撃を回避すれば「外交的保護と武器パッケージを補償する」という密約を交わしているようです。それに対して、ネタニヤフはバイデン大統領の言う事をあまり聞いていないと伝わっています。イスラエル政府内の強硬派はイランの核開発施設への攻撃を求めていますが、NYTによれば「かなりの議論の末、それらの標的はイランが反撃をエスカレートさせた場合の為に後回しにされた」という事です。イスラエルがイランの地下(核)施設に損害を与えるには、米国の「バンカーバスター爆弾」が必要ですが、ワシントンは武器供与を承認しないと見られています。石油施設への攻撃があれば、コモディティーは敏感に反応しそうです。
https://www.wsj.com/world/middle-east/u-s-frustrated-by-israels-reluctance-to-share-iran-retaliation-plans-f132ebc7

Natureが1.5℃度を超える「オーバーシュート経路の探究」を掲載しました。現在の世界の排出削減努力ではパリ協定の1.5℃目標を達成するには不十分である事実に基づく研究です。「オーバーシュート経路」とは、目標とする地球温暖化の限界を一時的に超えてから気温をより安全なレベルまで「引き下げる」もので、既にこの探求が必要な段階に来ていると述べています。オーバーシュート後の気温の低下措置は、実際には地球システムの「フィードバック」によって妨げられ、短期的な高温と長期的かつ継続的な温暖化につながる可能性が懸念されています。オーバーシュート後の気温低下措置による気候変動とそれに伴うリスクは、それを回避する世界とは全く異なるものである事が強調されています。論文では数百ギガトンの「予防的」な二酸化炭素除去能力が地球物理学的に必要であると特定していますが、現実は不可能に近いようです。フロリダを現在襲っている巨大ハリケーンは、温暖化によるメキシコ湾の温度上昇で、大型化するリスクが既に500倍も高まっていると別データで公開されていました。
https://www.nature.com/articles/s41586-024-08020-9


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