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NEWSCONの気になるNEWS(2024年10月第1週)

米国で大型の銅鉱山の開発が進行しそうです。大手鉱山企業のRio Tintoは2020年代の終わりまでに、米国アリゾナ州の銅鉱山プロジェクトを開始し、銅の採掘を行う計画がある事を認めています。鉱山が完成すれば、今後数十年間、米国の銅需要の1/4以上を供給することになります。しかしプロジェクトは部族の聖地を破壊することを懸念するネイティブアメリカンの団体が強く反対しており、許可の手続きに12年以上も費やしてきました。銅は今年、米国でも「重要な鉱物」に初めて指定されたばかりです。鉱山の規模と生産地が米国になる事で中国依存からの脱却にも繋がり、地政学的な影響も出そうです。
https://www.miningweekly.com/article/rio-tinto-aims-to-produce-copper-in-arizona-by-end-of-decade-2024-09-26

中国政府は最近発表した金融緩和措置に続き、更なる景気刺激の為に2,840億ドル(約35兆円)規模の特別債を発行する計画です。この措置は蔓延するデフレ圧力と経済成長の鈍化に対処する一連の景気刺激策の1つです。現在の中国の家計支出はGDPの40%未満に留まり、この家計支出の対GDP比は世界平均を約20%も下回っています。それだけ可処分所得の減少によるデフレ圧力があるという事です。今回の資金の一部は第1子を除く2人以上の子どもがいる全世帯に、子ども1人につき月額約800元(114ドル)の手当を支給する為にも使われる見込みです。中国の景気刺激策が出る度にコモディティーが反応する為、こうした政府の一連の措置の規模には注視する必要があります。既に地方政府は13兆ドルという巨額の負債を抱えており、根本的な問題解決には、まだ時間が相当掛かりそうです。
https://www.fxstreet.com/news/china-to-issue-284-bn-of-special-sovereign-bonds-this-year-reuters-202409260947

世界でも唯一鉄鋼業が大きな成長を見せているインドでは、鉄鋼公社(SAIL)が年次総会を開催し、粗鋼生産量が5.2%、鉄鋼販売量は6.9%の伸び、売上高は過去最高を記録した事を発表しています。中国や欧米の鉄鋼生産者が伸び悩む中、唯一の成長市場として注目され続けています。インドでは政府が「ビクシット・バーラト」ビジョンを掲げて、2047年迄に社会、デジタル、その他のインフラの変革を継続的に推進しています。その為、国内のあらゆる分野で鉄鋼需要が刺激され続けています。
https://indianpsu.com/steel-authority-of-india-limited-conducts-52nd-annual-general-meeting/

ドイツの大手メディアDWは「VWの危機:欧州の自動車産業はいかに生き残れるか?」という記事を掲載しました。今週、ステランティスのCEOは既に同社が「生き残りモード」に突入している旨の発言をし、話題となっていました。欧州自動車業界ですが、最大の生産大国であるドイツでは、経済相が急遽、自動車メーカーを支援する方法を探る為に自動車産業の代表と「バーチャル自動車サミット」を開催しました。欧州最大のVWはドイツ国内の工場だけでなく、傘下のアウディーのベルギー工場でも大型の人員削減を計画し、ベルギーの工場は「閉鎖の危機」にも直面している状況です。ステランティスのイタリア工場でも10月18日にストライキが予定されており、数年前からEVへの投資と生産増にシフトした失敗が、ここに来て明るみに出ています。欧州の自動車業界がどのように立ち直る事ができるのかについては、専門家でも意見が割れています。しかし一部のアナリストは「業界がこの危機を乗り切れるかどうか確信が持てない。VWは「最初の被害者」に過ぎず、「これからさらに被害者が出てくる」と見ています。
https://www.dw.com/en/volkswagens-crisis-how-can-europes-car-industry-survive/a-70231806

チリの銅生産会社のCEOが銅供給に関して警告を発しています。銅は歴史的に「偶発的な」短期マクロイベントに非常に敏感な金属です。チリでは今後数十年に渡り世界で需要が伸びる銅に関して、政府が新規鉱山の許可を遅らせています。CEOの発言は、先週行われたFT主催の鉱業サミットで行われたもので、現在の鉱山許可のペースを考慮すれば、銅の不足は確実に起こり、価格は「時折、急激に」変動すると付け加えています。同サミットではアングロアメリカンのCEOも銅への投資に当面集中する旨を明確にする等、中国の影響で下火となった銅への期待は、鉱山セクターで、又、復活しつつあります。
https://www.ft.com/content/99c49b70-38e0-4c77-82d3-fde1a4b1c61b

インドの鉄鋼省は特殊鋼向けのPLI制度(特殊製品向け生産連動インセンティブ)の第2弾を実施する予定です。高品質の特殊鋼の生産をインド国内で増加させ、日本や韓国のような先進的鉄鋼生産国になる事を目論んでの事です。インド政府は2026~27年迄に特殊鋼の輸出を550万トン/年に拡大したい意向を持っています。特殊鋼については、中国とベトナムからの輸入の増加、原料価格の高騰、コークス炭の90%輸入依存などが要因で、政府による補助金での活性が必要となっています。
https://www.business-standard.com/industry/news/govt-to-launch-another-pli-scheme-for-speciality-steel-says-steel-secy-124092700398_1.html

EUは10月4日に中国製EVに関する最大45%の関税を導入するかどうかの採決を行う予定です。課税反対が成立する為にはEU人口の65%を占める15カ国の特別多数が必要で、意見が2つに割れている状況では、課税反対が勝つ見込みの方が少ないと見られています。採決はもっと早く行われる予定でしたが、中国側の強い意向により、土壇場の交渉が続いている為、若干遅れました。中国本土以外では最もEV市場が大きな欧州で中国メーカーのEVが追加関税の対象になると当事者にとっては大きな痛手です。
https://www.reuters.com/business/autos-transportation/eu-vote-oct-4-finalize-tariffs-china-made-evs-bloomberg-news-reports-2024-09-28/

Northvoltは1,600 名の従業員の削減を発表しました。更に計画していたバッテリー生産の能増を延期し、事業の見直しを図ります。電池は「練り製品」と言われる程、歩留まりを上げ、高い品質管理を維持しながら生産効率を維持する事が難しい製品です。当初から専門家の間ではLIBバッテリーの生産は新興企業が資金と人員を投入するだけでは難しいと指摘され続けてきましたが、そうした声は全てNorthvoltの華々しい宣伝の影で日の目を見る事はありませんでした。Spotifyを含むスウェーデンの大企業や欧州の投資家が巨額のマネーを投じた一大プロジェクトは、立ち直る事が難しい程の競争に晒されています。Northvoltの事例は先進国でEV用LIBを製造する事が如何に商業的に困難かを端的に示す結果となってしまいました。
https://innovationorigins.com/en/northvolts-crunch-is-europes-battery-industry-crisis/

今年からEUの上場企業に非財務開示情報の提示を義務つける「EUサステナビリティ報告指令(CSRD)」は、企業に多大な事務負担をもたらすとの懸念が早くからありました。世界で最も厳しい環境関連報告として、非常に野心的な規制です。こうした状況の中、ドイツのブシュマン法務大臣はCSRDに関する(実施遅延)「交渉」を欧州政府と再開したい意向を公にしました。現在EUでは「持続可能性規則の強化がEUの国際経済競争力を阻害している」という批判が多数を占めるようになってきました。CSRDは「指令」の為、各国で法律に組込む必要があります。しかしドイツ、スペイン、オランダ、オーストリアを含むEU17ヵ国は、期限までにCSRD立法を完了していません。現在の欧州の主要国の一部では、選挙の度にこうした「競争力を阻害するグリーン批判」をしないと票が集まらない傾向となっています。数年前と真逆です。
https://www.euractiv.com/section/economy-jobs/news/germanys-buschmann-wants-to-re-open-eu-sustainability-reporting-rules-negotiations/

今年上半期のEUからの鉄スクラップの輸出は前年同期比5%減少しました。特徴的なのは主要な輸出先であるトルコとインドへの輸出が、それぞれ8%と35%も減った事です。対照的にEUへのスクラップ輸入は増加しました。Eurostatの暫定値によると1-6月の鉄スクラップ輸出量は860万トン、金額は32億6000万ユーロでした。2023年上半期は910万トン、金額は36億ユーロでした。トン当たりの平均価格は€397から€380に減少しました。主要2ヵ国への減少の主要因は中国、ロシア産のビレット等の中間製品の価格ダンピングとトルコの上半期の景気低迷です。特にロシアとインドはルーブルとルピーでの貿易でお互いに通貨プールが多い為、全体の貿易量が倍増しているという背景があります。
https://www.euwid-recycling.com/news/markets/eus-ferrous-scrap-exports-to-turkey-and-india-down-sharply-in-first-half-year-240924/

Benchmark Mineral IntelligenceはEVの銅の使用量に関する経過推移を掲載しました。2015年には車両1台当りの銅使用量が99kgでしたが、アルミを主体とする代替材料の利用増加や様々な技術開発により、2030年迄には62kgになると予測しています。38kgも銅の使用量を減らす事が可能と見ています。特に減少するのはバッテリーに使われる銅箔で、軽薄化が進み、41Kgから26Kgにまで減る見込みです。それ以外でも配線類、モーター、ケーブル類が大幅に進化する事で銅の使用量を減らします。
https://elements.visualcapitalist.com/visualizing-the-decline-of-copper-usage-in-evs/

鉄鋼・鉱業大手のMetinvest社のCEOは、イタリアで開催されたSiderweb 2024の席上で「世界の鉄鋼市場は過去20年間で最長の低迷期を経験している」と懸念を発しています。鉄鋼不況は2000年初頭に起き、その時点では1年半未満で反転、2008年から2009年のリーマンショック時には、数ヶ月後に中国による大型景気刺激策で反転しました。国際的に鉄鋼市場は景気を先行する循環性を持ち、最近のピークは2021年後半から2022年初頭でした。その後、ウクライナ戦争、エネルギー危機、サプライチェーンの混乱、中東安全保障の懸念、更に経済の不確実性により市場は下落しました。現在、過去20年間で最も長い鉄鋼の低迷期間を経験していると見られています。低迷は3年以上続いており、循環的には来年は反転が予想されています。特に米国政府の利下げと中国政府による景気刺激策が追い風となると見られています。しかし中国の余りにも行き過ぎた過剰生産能力の問題解決無くして、鉄鋼市場の回復は無さそうです。
https://gmk.center/en/news/steel-market-is-experiencing-the-longest-downturn-in-20-years-metinvest-ceo/

中国が先週発表した2兆元(2840億ドル)相当の国債発行による景気刺激策は問題の根本解決にならないとの評価が出ています。今回の政策は2024年のGDP成長を5%に戻すのに十分である可能性が高いが、長期的な見通しには殆ど変化がないと考えられています。対策が家計消費を対象としている点で中国にとっては画期的ですが、中国はあまりにも長い間、1980年代の成長モデルに固執してきた為、積みあがった債務を減らす効果が殆ど無いと見られています。80年代に始まったインフラや産業への積極的な補助政策は社会と経済構造そのものを消費ではなく「投資」を支える為に構築されている為です。Fathom Consultingの中国経済学者は「製造業への補助金支給をやめるべきだ」と発しています。補助金により膨れ上がった過剰生産能力がデフレを生み、経済基盤を歪めている根本原因の1つである為です。中国の経済構造改革には相当な時間がかかりそうです。
https://www.reuters.com/markets/asia/painful-policy-choices-loom-after-chinas-monumental-consumer-stimulus-plan-2024-09-30/

オーストリアで(極)右政党が下院議会総選挙でトップの得票率を得る見込みです。最終結果は木曜日に発表されます。勝利が見込まれる自由党(FP?)は元々1950年代に旧ナチスによって設立された政党である為、非常に象徴的な出来事です。その為、他の政党は連立を組む事を否定しており、どのようなグループが形成されるか未定です。同党はトップの28.9%の票を獲得し、2位の国民党(保守系)は26.3%でした。今回の選挙は投票率が77.3%と高く、争点となった話題は、移民、経済、ウクライナ戦争です。自由党を支持した年齢層は、35~59歳で、女性の方が男性より僅かに多いという、世界的にも過去に例が無い特徴的な結果となりました。90年代のグローバリズム以降、特に社会民主主義が勢力を維持してきた欧州で、画期的な出来事と言えます。メローニやルペン等、極右の女性党首が勝利する欧州はある意味で社会リバースの先陣を切っていると言えます。
https://www.bbc.com/news/articles/c8rdygy5888o

2024年第4四半期のステンレス鋼の価格は明るい見通しです。予想以上のニッケル鉱石の不足は業界全体の需給バランスを崩し始めています。特にインドネシアからのニッケル鉱石が不足している為、中国最大のニッケル生産者の青山はニッケル銑鉄及びフェロニッケルの生産を削減すると発表しました。ニッケル鉱石は価格が急騰しています。フィリピン産鉱石の価格は昨年から約30%上昇しました。インドネシア産NPI(ニッケル含有量10~16%)の価格は8.4%以上上昇しました。またステンレススクラップはヨーロッパだけでなく世界中で不足の兆しを見せています。EUのステンレス鋼メーカーはリサイクル材利用の割合を90%以上に増やした為、ステンレススクラップの不足は2021年以来の最大200万トンと記録的なレベルに達する可能性があります。EUではニッケル銑鉄とステンレス鋼スラブの輸入が増加しています。
https://steelnews.biz/nickel-shortage-largest-producer-cuts-production/

通貨ユーロを利用する「ユーロ圏」のインフレ率は9月に1.8%まで低下しました。速報データでは消費者物価指数は前年比1.8%の上昇となり、8月の2.2%上昇から低下しました。下落の主な原因はエネルギー価格の下落ですが、コアインフレとサービスインフレも緩和の兆しを見せています。2021年6月以来、初めてインフレがECBの目標である2%を下回った事からECBの利下げ観測が浮上しています。アナリストはECBが10月に金利を0.25%引き下げて3.25%にすると予想し始めました。ECBは今年6月と9月にそれぞれ0.25%ずつ金利を下げています。
https://www.rttnews.com/3478694/euro-slides-as-eurozone-inflation-dips-below-2-target-signaling-ecb-rate-cut.aspx?type=cn

インドの鉄鋼生産能力は2030年迄に3億トンに達する見込みです。現在の生産能力は1億7,800万トンで、生産量は1億4,400万トンです。インドは既に世界第2位の鉄鋼生産国です。インドの鉄鋼・重工業担当国務大臣は、つい最近、同国の鉄鋼生産能力が2030年までに3億トンに達し、更に伸びるとの見解を示しました。同大臣は「インドの鉄鋼業界はライフサイクルの極めて重要な時期を迎えている。将来の方向性は、デジタル化、及び炭素排出量と環境への影響を減らす為の持続可能な鉄鋼生産へとシフトしており、 国の重点政策目標である」と述べています。インドの鉄鋼業への投資と成長は他国を遥かに凌ぐペースとなっています。
https://www.constructionworld.in/steel-news/indias-steel-sector-at-a-turning-point-set-to-hit-300-mt-by-2030/63125

国際港湾労働組合(ILA)の賃金交渉に伴う4万5000人以上の港湾労働者のストライキは、米国東海岸全域の 36 港で影響が出ています。問題はこのストライキによるインフレです。GSはILAのストライキにより1日当たり50億ドルの貿易に影響が出る恐れがあり、JPモルガンは38~45億ドルと推定しています。特定の商品の不足が米国東部全域で生ずる事で新たなインフレの懸念が生れています。このストライキでの問題は組合トップが米国経済に対して持つ影響力を強調している事で、米経済を無力化する能力を持つという意味の投稿をXでしています。また関係者は政権の介入防止を示唆する等、既に選挙を前に政治問題化し始めています。米南部を襲った大雨や災害を含め、この時期は全てが大統領選挙に向け政治問題化する為、解決が複雑で意外な結果になる可能性があります。
https://container-mag.com/2024/10/02/ila-strike-action-closes-us-east-and-gulf-coast-ports/

米カリフォルニア州で州の全てのEVバッテリーを再利用、修理、転用、再製造し、最終的に寿命が尽きた時点でリサイクルすることを義務付けるEPR法案は最終的に知事の承認を得ず、州の上院に差し戻されました。同法案SB 615はEV バッテリーのサプライヤー、二次ユーザー、認定施設が EV バッテリーの取引を報告する方法を確立する責任を負う事も含まれ、利害関係者の負担の大きなものでした。カリフォルニア州は2035年迄に州内で販売される全ての新車をゼロエミッションにすることを義務付けています。これに伴い、車両バッテリーの販売、使用、再利用は、生産者とサプライヤーが責任を持って追跡する事が不可欠との意見が多数を占めるようになり、今回、バッテリーの厳格なEPR法案が提出されていました。しかし負担の大きさもあり、最終的には採用となりませんでした。
https://leginfo.legislature.ca.gov/faces/billStatusClient.xhtml?bill_id=202320240SB615



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