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NEWSCONの気になるNEWS(2024年1月第3週)
FTは英国でグリーン鉄鋼の為に「鉄スクラップブーム」が起きる、という旨の記事を掲載しX等で拡散され始めています。英国の鉄鋼生産者の団体UKスチールは鉄スクラップの輸出規制を求める声明を発行し、リサイクル業の団体と真っ向から対立しています。数ヵ月前にはINGが「鉄スクラップ」に対する研究記事を上げています。英国は単一国としては世界2位の鉄スクラップ輸出国の為、規制が行われた場合は国際市場に影響を与えます。大手経済紙が取り上げるところまできました。
▶ https://bnnbreaking.com/breaking-news/climate-environment/uks-steel-industry-a-shift-towards-green-production-methods/
欧州で中古EVが売れないという状況が続いています。ドイツでは2023年1~11月までの中古車の新規所有者登録に占めるEVの割合は僅か1.58%で、スペインでは1%未満に留まりました。幾つかの要因が重なっていますが、最大の要因は手頃な低価格EVが中古車市場にない事と維持費が想定よりも掛かるという事です。これは現在中古車として出回り始めた初期のEVが高価なプレミア車である事も1つの理由となっています。欧州政府が掲げる2030年までに3000万台のEVを市場に流通させるという目論見は中古EV市場の成功に掛かっており、政策担当者の思惑通りに進む為には幾つかの難題に直面する可能性があります。11日にはレンタカー会社の世界大手ハーツ・グローバル・ホールディングス(HTZ.O)は、メーカーとのEVレンタル契約の2年を満了した事を理由に米国で保有するEV車両約2万台を販売し、ガソリン車に変更する事を発表したばかりでした。ハーツは2024年末迄に保有車両の25%をEVにする事を目標としていましたが、達成する事は不可能のようです。
▶ https://www.euractiv.com/section/road-transport/news/eu-targets-to-suffer-as-consumers-shun-used-electric-vehicles/
紅海のフーシ派による海上攻撃の影響で、現在コンテナ価格が上昇しているだけでなく、航路変更によるサプライチェーンの混乱が起き始めています。英米はフーシ派の船舶攻撃への報復として、イエメン全土で空爆を実施しました。イランやロシアは反発し、シーア派も船舶への攻撃を止めないとの反応を示しています。この英米の攻撃にイタリアは参加する事を否定しています。中東地域の紛争が益々エスカレートする懸念が湧いています。特に欧州とアジアを結ぶ国際航路と石油輸送に影響が出る可能性があります。既に欧州の大手企業は紅海での問題に対応した動きを見せています。
▶ https://www.reuters.com/world/middle-east/reactions-us-british-strikes-against-houthis-yemen-2024-01-12/
既に実質的には中国の権益となっていましたが、正式に世界最大級の油田であるイラクのウェスト・クルナ第1油田が米国のエクソンモービル社から中国のペトロチャイナ社へ引き継がれました。この超巨大油田に関してはロシアと中国の権益拡大による西側の中東へのプレゼンス低下を懸念する声が過去数年高まっていました。イラクは今後日量900万バレルを産出する世界第2位の産油国になる可能性が高く、中東における米国と中国の力関係の変化の象徴とも言える出来事となりました。
▶ https://oilprice.com/Energy/Crude-Oil/China-Replaces-Western-Energy-Firms-in-Iraqs-Supergiant-Oil-Field.html
中国税関のデータによると、2023年の中国とロシアのドル建て貿易は前年比26.3%増の2401億ドルに達しています。税関データによると2023年に中国からロシアへの輸出量は前年比46.9%増加し、ウクライナ戦争前と比較すると64.2%と急増しました。また2023年に中国がロシアから輸入した財の合計金額は年比で13%増加した事が示されています。ただし、これらはドル建ての取引の為、正確な数字では無いと見られています。両国は人民元建ての取引を進めている為、実際にはこれ以上と推定されています。また2023年のロシアの石油と石油輸出の半分は中国に出荷されたと推定されています。ロシアは欧州や米国企業がロシア市場から撤退した後、自動車、家電、電子機器に至るまで、中国製品の購入を強化しています。逆に米国と中国間の貿易は2019年以来の減少となり、前年比11.6%減の6,640億ドルとなりました。
▶ https://www.wionews.com/business-economy/china-russia-trade-hits-record-high-in-2023-amid-decline-in-us-commerce-679230
WEEEに関して大手メーカー数社が取組強化のイニシアチブを開始しました。先週ラスベガスで開催された家電カンファレンスCES 2024にて米国のテクノロジー産業の業界団体であるConsumer Technology Association(CTA)が発表したもので、この取組はConsumer Technology Circularity Initiative(CTCI)と名付けられています。創設メンバー企業はLenovo、LG Electronics、Panasonic、Samsung、Sony Electronicsです。WEEEの削減、機器の再利用の促進、リサイクルの強化、気候への影響の軽減を含む家庭用電化製品の廃棄削減活動を強化する事を目的としています。今後、WEEEに対するEPRは各国で法制度化が進められており、それに先行する動きです。
▶ https://www.cta.tech/Resources/Newsroom/Media-Releases/2024/January/Consumer-Technology-Association-Launches-Consumer
デフレ圧力の為、中国ではアルミニウムの価格に影響が出始めています。中国人民銀行は流動性を増やし金利を引き下げると予想されています。輸出は微増ですが、国内経済は低迷、早期回復は喫緊の課題となっています。先週末にアルミニウムは価格が▲0.74%下落し、201.6で落ち着きました。テクニカル分析では売り圧力が強く、サポートラインは200.7で、これを下抜けた場合は199.9レベルをテストする可能性があります。上値抵抗線は202.8付近で、これを超えた場合は価格は204.1を試す可能性があります。中国の国家統計局が12日に発表したデータでは2023年12月のCPIは前年比で低下、更に2023年通年のCPIは政府目標の3%に対し0.2%と大幅に悪化、広範囲に渡る需要低迷と価格の下落が明確になっています。逆に12月にはPPIが上昇となっており、企業業績を苦しめる環境になっています。特に競争に伴う価格下落が続く中国のEV業界は成長鈍化で打撃を受けており、BYD、Xpeng Inc、Li Auto等の中国EV企業は過去数ヵ月で時価総額を数十億ドル減らしています。
▶ https://in.investing.com/news/aluminium-dropped-as-chinas-economy-is-shaky-with-deflationary-pressures-3973061
米国で鉄スクラップ価格が一時的な下げの気配を見せています。鉄鋼メーカーは昨年12月の価格から最大50ドル/トン引き下げる意向がある事が伝わっています。1月第1~2週は活発な輸出相場に価格は横這いでしたが、Davis Indexによれば一部のスクラップ品種は米国での落札価格が12月に比べ約30ドル/トン下げているという事です。ただし、鉄鋼需要は比較的堅調である為、下げ続ける見込みは少ないと考えられています。
▶ https://www.recyclingtoday.com/news/steel-ferrous-scrap-january-2024-prices-export-demand/
欧州の石炭大国で最後まで石炭発電の終了年度を設定していなかったポーランドは、政権の交代もあり石炭利用の終了年度を策定する事を発表しています。ポーランドでは前政権時代、EUの2035年内燃機関自動車の販売禁止を含む、一部の気候政策の取り消しを求めてEUを提訴していました。EUは現在2040年迄にGHG排出量を90%削減するという目標を策定中であり、ポーランドはこの目標を受け入れる用意がある事を伝えています。石炭に関して言えば、国連はOECD加盟国に対し2030年までに段階的廃止を呼び掛けていました。石炭について決して一枚岩でなかったEUでは、特に石炭大国であるポーランドの方針変更は大きな意味を持ちます。今後EUを主導とするG7への石炭廃止への圧力が一層強まると思われます。
▶ https://in-cyprus.philenews.com/international/poland-plans-to-set-end-date-for-coal-power/
先週末よりESG投資に関する情報が欧米を駆け巡っています。FTが週末に掲載した特別記事「株主の積極的な支持の「壊滅的な」低下」をキッカケとしてWSJも「アメリカ企業における最新の汚い言葉: ESG」と題する記事を上げています。元々ESGには何ら問題は無いのですが企業がESGを本来の意味とは違う「宣伝」として利用した事でリターンの少ないESG投資に投資家の信頼を喪失した事が原因となっています。ESGファンドは閉鎖が続いており、2023年末にはGSがアクティブベータ・パリ協定気候米国大型株ETFを閉鎖したばかりです。米国では大企業が企業報告書や委員会の名称からESGを外し、経営陣の決算会見でもESGの利用を控え始めています。元々、投資資金の流れを変える為に欧米政府と金融当局が始めたESG投資は大きな巻き戻しに直面しています。
▶ https://oilprice.com/Energy/Energy-General/ESG-Becomes-Corporate-Americas-New-Taboo.html
紅海とホルムズ海峡は2024年の世界経済の足枷になる懸念が広がっています。紅海での商船への攻撃件数の増加によりイスラエル・ハマス紛争勃発以来、一部の航路では輸送コストが最大で600%以上に急騰しています。これはインフレ抑制が成功し金利引き下げを模索する世界の中央銀行の取り組みに影響を与えています。1月初頭、JPモルガンは顧客向けメモの中で輸送コストがコモディティ価格を押し上げた場合、インフレとの戦いは今後数ヵ月間停滞する可能性があると言及しています。1月11日には世界の石油とガスの25%が通過するホルムズ海峡の南東で商船セント・ニコラス号が武装隊員に乗り込まれました。一連の動きの後、英米軍がイエメンのフーシ派の拠点を空爆し、状況はエスカレートしています。この状況が第1四半期末までに解決されなければ、特に紅海の混乱はサプライチェーンにさらに広範なドミノ効果をもたらすと警告され始めています。これは商品(コモディティ)全体の逼迫と価格を押し上げる要因となり得ますが、産出国では輸送の混乱から供給過剰が起きる可能性があります。それ以前に中国製のプラスチック原料が生産過剰でダブついている事から欧州向けが減る事でアジアへの影響も指摘され始めています。欧州ではこの海域の混乱でインド向けの古紙の輸出が急減し始め、英国では価格がダブつき始めています。
▶ https://theconversation.com/red-sea-crisis-suez-canal-is-not-the-only-choke-point-that-threatens-to-disrupt-global-supply-chains-221144
JPモルガンは中国人民元に対する米ドルの将来を予測しました。今後10年は米ドルの地位に大きな変化が無いものの、その後はBRICS間での取引にドルの利用が減る可能性が指摘されています。BRICS諸国によって設立された新開発銀行(NDB)がこの変化の先頭に立っています。NDBは今後5年間で米ドルではなく現地通貨で30億ドルを調達すると発表しています。これは単なる意思表示ではなく、国際金融分野における戦略的な動きと考えられています。この取組は米ドルへの依存を減らす事を目的としており、牽引しているのは中国です。この動きにより中長期的にドル安傾向が進む可能性があります。
▶ https://www.cryptopolitan.com/brics-banks-ramps-up-effort-to-ditch-dollar/
LMEでロシア産のアルミニウムの問題が顕著化しています。LMEの倉庫に保管されているロシアのアルミニウムの量は12月中に2倍以上に増加し在庫の90%を占めています。LMEはロシア産アルミニウム取引の停止を求める西側諸外国の要求を拒否してきましたが大きなジレンマに陥っています。昨年5月後半から6月初旬に掛けてはロシア産のアルミニウムが大量にキャンセルされ、それらの大半は未だマレーシアのポートクランに存在していると見られています。15万6,025トンがキャンセルされる為、相応な量が存在している可能性があります。ロシア産の金属の取引を止める事でLMEの国際価格指標としての信頼性が失われる可能性があります。その為、LMEは取引を続けていますが、買い手が減っており、今後LMEのジレンマは当面続きそうです。
▶ https://www.reuters.com/markets/commodities/london-metal-exchanges-growing-russian-aluminium-problem-2024-01-15/
木質ペレット発電を巡り英国で論争が起きています。世界最大の木質ペレット発電兼世界第2位の木質ペレット生産企業である英国のエネルギー企業DRAXは、2027年に終了する電力への補助金に代わる、二酸化炭素回収貯蔵装置の為の補助金を受ける事が決まりました。この政府の措置を巡り英国では論争となっています。DRAXは補助金が無ければ事業が継続できないエネルギー会社です。同社は欧米の資産管理会社と投資会社が株を保有し、補助金を配当に転換させるスキームを世界で初めて木質ペレット発電事業に採用した「悪名高い企業」として、環境保護団体から常にターゲットにされてきました。DRAXは2014年に英国保守党の大物政治家(貴族院)のグレゴリー・バーカー(元気候変動大臣)とBack Biomassというバイオマス発電の大キャンペーンを実施し、木質ペレット発電のグリーンプロパガンダを推進、最近では英国産業連盟会長であったマイケル・ドブソンを取締役に入れる等、政財界を巻き込んだロビー活動で多額の補助金を獲得するスキームを作り上げてきました。2027年の電力買取への補助金が終了する事で事業が行き詰まると見られていましたが、二酸化炭素回収貯蔵装置を設置する事で炭素削減による補助金を得るという戦略に出てきました。この事態に賛成と反対を明確にしているメディアがあり、それぞれの立場が分かります。一般市民は二酸化炭素回収貯蔵装置の為に電気料金が上乗せされる可能性が高く、毎回の事ながらプロパガンダに飲み込まれています。
▶ https://ember-climate.org/insights/in-brief/draxs-beccs-project-climbs-in-cost-to-the-uk-public/
中国のリチウム電池材料の生産は2024年1月に大幅に減少する見込みです。特に落ち込みが激しいのは、三元系前駆体とLiPF6です。三元系前駆体は前月比 14.2%、前年比で15.33%の減少が予測されています。一方でコバルト系の材料については、生産が増加する見込みとなっています。
▶ https://www.mysteel.net/news/all/5047027-china-lithium-battery-materials-production-to-fall-extensively-in-jan-2024
世界最大のEVメーカーであるBYDはパウチ型のLIBの生産を終了する見込みです。理由は液漏れによる火災の危険によるもので今後は角形電池に生産を切り替える模様です。パウチ型は2025年に生産を終了する計画と伝わっています。2022年にBYDはパウチ型バッテリーを使用したTang DM-iハイブリッド車を6万台以上リコールしています。当局への報告では「熱暴走」を引き起こすバッテリーパックの欠陥を挙げていました。BYDは全てのPHEVにパウチ型電池を使用しています。PHEVはBYDの2023年の自動車総販売台数300万台の48%を占め、少量をブラジルに輸出した以外、ほぼ全てが中国国内で販売されました。BYDはバッテリーを内製しており、外部から殆ど調達していません。今後パウチ型LIBを製造している他メーカーにも影響が出そうです。
▶ https://www.reuters.com/business/autos-transportation/byd-stop-making-pouch-batteries-its-hybrid-evs-leakage-concerns-sources-2024-01-17/
EUでは、冷蔵庫やエアコン等に使用されるハイドロフルオロカーボンやパーフルオロカーボン等の、いわいる「Fガス」に対する、更なる規制強化案が投票の結果、議会の支持を得ています。Fガスはオゾン層の破壊を引き起こす事から既にEUを含め世界で規制が採用されています。EUの新しい規制は2024年~2049年迄のEUの消費割り当てを削減するもので、更に2050年迄にハイドロフルオロカーボンを段階的に廃止する事が含まれています。単にFガスの規制に留まらず、Fガスを含む製品のEU市場への投入を禁止する厳しい内容となっています。
▶ https://www.europarl.europa.eu/news/en/press-room/20240112IPR16757/reducing-emissions-from-fluorinated-gases-and-ozone-depleting-substances
世界のコンテナ海運大手のHapag-Lloyd AGとMaersk A/S(マースク)は海運ネットワークを相互接続する事を発表しました。コンテナ数にして合計340万個の輸送能力を持つ新たな長期協定となります。この協定は2025年2月に開始され「ジェミニ協定」と名付けられています。業界をリードする両社は柔軟で信頼性のあるスケジュールを顧客に提供する事が目的と述べています。それぞれ世界第5位と第2位のコンテナ船運航会社であり、共有するネットワークは290隻で構成され、マースクが60%、ハパック・ロイドが40%を配備する計画です。マースクは1年前にライバル企業のMSCとの提携を解消すると発表していました。今回協定する両社は脱炭素化戦略を発表しており、マースクは2040年にネットゼロを運用、ハパック・ロイドは2045年にネットゼロ運用を目標としています。
▶ https://www.hapag-lloyd.com/en/company/press/releases/2024/01/maersk-and-hapag-lloyd-are-entering-into-an-operational-cooperat.html
現在、世界経済フォーラムの年次会議がスイスのダボスで開催されています。基調講演や出席する要人に大きな変化は無く、毎度のメンバーで構成されています。むしろ多様性が減り、新たな大物政治家の登場も無く、いつものコアメンバーとビジネスマンのネットワークの為の集まりと化しているようです。話題はOpenAI、戦争、選挙です。G7のリーダーで唯一出席するのはドイツのシュルツ首相だけで、欧州からはトップのウルズラ・フォン・デア・ライエン欧州委員長が出席しています。米中ともに代表団を送っていますが、国際的に影響力のある目立った閣僚や宰相の参加は多くありません。「WEFによる世界の政治的訴求力の衰退の始まり」が垣間見える年次総会のようです。
▶ https://www.politico.eu/article/bill-gates-volodymyr-zelenskyy-jane-goodall-al-gore-the-davos-do-gooders/
新華社通信は中国で巨大なリチウム鉱床が発見されたと報じています。推定埋蔵量は約100万トンで、場所は四川省雅江県です。現在中国には世界で6番目に多いリチウム資源があり世界シェアは7%ですが、精製リチウムの生産量は世界で50%超のシェアがあります。この発見により中国でのリチウム関連の投資が増すと同時に韓国や日本に対してバッテリー生産で優位に立つと見込んでいます。SQMは世界最大級のチリのアタカマ塩湖での操業を一時停止したと発表し、供給懸念と今後の見通しに懸念が生じたばかりでした。タイミング的にも中国政府の思惑があるのかも知れません。
▶ https://www.scmp.com/economy/china-economy/article/3248961/china-unearths-million-tonne-lithium-deposit-heating-global-resource-race-thailand-also-boasts-big
欧州のEV販売台数は2020年以来初めて減少しました。12月のEV販売は前年比で16.9%減少し、16万700台でした。これは政府による補助金の減少と景気悪化による新車販売の全体的な減少の2つが理由となっています。12月の総新車販売台数は86万7,052台で前年比3.3%減少しました。新車販売台数に占めるEVの比率は2022年12月には20%だったものが、2023年12月には18.5%に低下しています。ガソリン車の販売は全体数の約3分の1、ハイブリッド車は4分の1強を占めました。最近の調査では英国で販売したEVは3年後に価値が半分になるという事で中古市場が低迷しています。先週、大手レンタカー会社のハーツが米国で2万台のEVを放出した事から米国でもドミノ現象で中古EV価格の低迷が進んでいます。
▶ https://www.telegraph.co.uk/business/2024/01/18/european-electric-car-sales-fall-first-time-since-2020/
EVや半導体等の先端産業を最重要投資として積極的な誘致活動を行っているインドのグジャラート州は電子廃棄物(WEEE)を管理する為の包括的な政策を計画しています。草案ではWEEEの処理を促進する為、直接回収に関する義務化規則も設ける予定です。グジャラート州はインド有数のWEEE発生の州であり、2022 年に回収された量は30,569 トンでした。回収されず投棄されるものが多い事から新たな政策ではWEEEを登録業者が処分する事を義務化する予定です。グジャラートはインド洋の主要港があるのと同時に先端産業化を進める州です。今後、WEEEの1つの行先となる可能性があります。
▶ https://www.vibesofindia.com/gujarat-govt-readies-new-policy-for-e-waste-management/
EUのグリーンウォッシング禁止法が欧州議会で採択されています。今後、承認された認証スキームに基づくか、公的機関によって確立された持続可能性のみが、製品にラベルとして貼る事ができます。新規則では公的機関による認証されていない「環境に優しい」、「天然」、「生分解性」、「気候中立」、「エコ」等の用語の使用を禁止します。また、この法律では製品の耐久性を重視する項目も含まれており、根拠のない耐久性の主張は禁止されます。同時にプリンターの消耗品のように消耗品の部品交換を現実的でない短期にするよう促す行為も禁止されます。
▶ https://www.europarl.europa.eu/news/en/press-room/20240112IPR16772/meps-adopt-new-law-banning-greenwashing-and-misleading-product-information
パキスタン軍がイラン領土内に攻撃を仕掛けた事で、中東の情勢が一層悪化する懸念が広がり始めています。今回のパキスタン軍の攻撃は2日前にイランからパキスタン領土へのドローン攻撃の報復として、イラン領土内にある容疑者施設を空爆したものです。標的はパキスタンの州の1つであるバローチスタン州の独立を求める過激派組織バローチ解放戦線のイラン領内の潜伏場所でした。この攻撃により両国の緊張関係が更に高まるとは見られていませんが、既にこの地域では国境を越えたテロや紅海での船舶への攻撃等、ガザ戦争の余波が続いている事から懸念が生じています。影響が出始めている世界のサプライチェーンと海運運賃ですが、状況により長期化する可能性が指摘され始めています。
▶ https://www.bbc.co.uk/news/live/world-middle-east-68015978
▶ https://bnnbreaking.com/breaking-news/climate-environment/uks-steel-industry-a-shift-towards-green-production-methods/
欧州で中古EVが売れないという状況が続いています。ドイツでは2023年1~11月までの中古車の新規所有者登録に占めるEVの割合は僅か1.58%で、スペインでは1%未満に留まりました。幾つかの要因が重なっていますが、最大の要因は手頃な低価格EVが中古車市場にない事と維持費が想定よりも掛かるという事です。これは現在中古車として出回り始めた初期のEVが高価なプレミア車である事も1つの理由となっています。欧州政府が掲げる2030年までに3000万台のEVを市場に流通させるという目論見は中古EV市場の成功に掛かっており、政策担当者の思惑通りに進む為には幾つかの難題に直面する可能性があります。11日にはレンタカー会社の世界大手ハーツ・グローバル・ホールディングス(HTZ.O)は、メーカーとのEVレンタル契約の2年を満了した事を理由に米国で保有するEV車両約2万台を販売し、ガソリン車に変更する事を発表したばかりでした。ハーツは2024年末迄に保有車両の25%をEVにする事を目標としていましたが、達成する事は不可能のようです。
▶ https://www.euractiv.com/section/road-transport/news/eu-targets-to-suffer-as-consumers-shun-used-electric-vehicles/
紅海のフーシ派による海上攻撃の影響で、現在コンテナ価格が上昇しているだけでなく、航路変更によるサプライチェーンの混乱が起き始めています。英米はフーシ派の船舶攻撃への報復として、イエメン全土で空爆を実施しました。イランやロシアは反発し、シーア派も船舶への攻撃を止めないとの反応を示しています。この英米の攻撃にイタリアは参加する事を否定しています。中東地域の紛争が益々エスカレートする懸念が湧いています。特に欧州とアジアを結ぶ国際航路と石油輸送に影響が出る可能性があります。既に欧州の大手企業は紅海での問題に対応した動きを見せています。
▶ https://www.reuters.com/world/middle-east/reactions-us-british-strikes-against-houthis-yemen-2024-01-12/
既に実質的には中国の権益となっていましたが、正式に世界最大級の油田であるイラクのウェスト・クルナ第1油田が米国のエクソンモービル社から中国のペトロチャイナ社へ引き継がれました。この超巨大油田に関してはロシアと中国の権益拡大による西側の中東へのプレゼンス低下を懸念する声が過去数年高まっていました。イラクは今後日量900万バレルを産出する世界第2位の産油国になる可能性が高く、中東における米国と中国の力関係の変化の象徴とも言える出来事となりました。
▶ https://oilprice.com/Energy/Crude-Oil/China-Replaces-Western-Energy-Firms-in-Iraqs-Supergiant-Oil-Field.html
中国税関のデータによると、2023年の中国とロシアのドル建て貿易は前年比26.3%増の2401億ドルに達しています。税関データによると2023年に中国からロシアへの輸出量は前年比46.9%増加し、ウクライナ戦争前と比較すると64.2%と急増しました。また2023年に中国がロシアから輸入した財の合計金額は年比で13%増加した事が示されています。ただし、これらはドル建ての取引の為、正確な数字では無いと見られています。両国は人民元建ての取引を進めている為、実際にはこれ以上と推定されています。また2023年のロシアの石油と石油輸出の半分は中国に出荷されたと推定されています。ロシアは欧州や米国企業がロシア市場から撤退した後、自動車、家電、電子機器に至るまで、中国製品の購入を強化しています。逆に米国と中国間の貿易は2019年以来の減少となり、前年比11.6%減の6,640億ドルとなりました。
▶ https://www.wionews.com/business-economy/china-russia-trade-hits-record-high-in-2023-amid-decline-in-us-commerce-679230
WEEEに関して大手メーカー数社が取組強化のイニシアチブを開始しました。先週ラスベガスで開催された家電カンファレンスCES 2024にて米国のテクノロジー産業の業界団体であるConsumer Technology Association(CTA)が発表したもので、この取組はConsumer Technology Circularity Initiative(CTCI)と名付けられています。創設メンバー企業はLenovo、LG Electronics、Panasonic、Samsung、Sony Electronicsです。WEEEの削減、機器の再利用の促進、リサイクルの強化、気候への影響の軽減を含む家庭用電化製品の廃棄削減活動を強化する事を目的としています。今後、WEEEに対するEPRは各国で法制度化が進められており、それに先行する動きです。
▶ https://www.cta.tech/Resources/Newsroom/Media-Releases/2024/January/Consumer-Technology-Association-Launches-Consumer
デフレ圧力の為、中国ではアルミニウムの価格に影響が出始めています。中国人民銀行は流動性を増やし金利を引き下げると予想されています。輸出は微増ですが、国内経済は低迷、早期回復は喫緊の課題となっています。先週末にアルミニウムは価格が▲0.74%下落し、201.6で落ち着きました。テクニカル分析では売り圧力が強く、サポートラインは200.7で、これを下抜けた場合は199.9レベルをテストする可能性があります。上値抵抗線は202.8付近で、これを超えた場合は価格は204.1を試す可能性があります。中国の国家統計局が12日に発表したデータでは2023年12月のCPIは前年比で低下、更に2023年通年のCPIは政府目標の3%に対し0.2%と大幅に悪化、広範囲に渡る需要低迷と価格の下落が明確になっています。逆に12月にはPPIが上昇となっており、企業業績を苦しめる環境になっています。特に競争に伴う価格下落が続く中国のEV業界は成長鈍化で打撃を受けており、BYD、Xpeng Inc、Li Auto等の中国EV企業は過去数ヵ月で時価総額を数十億ドル減らしています。
▶ https://in.investing.com/news/aluminium-dropped-as-chinas-economy-is-shaky-with-deflationary-pressures-3973061
米国で鉄スクラップ価格が一時的な下げの気配を見せています。鉄鋼メーカーは昨年12月の価格から最大50ドル/トン引き下げる意向がある事が伝わっています。1月第1~2週は活発な輸出相場に価格は横這いでしたが、Davis Indexによれば一部のスクラップ品種は米国での落札価格が12月に比べ約30ドル/トン下げているという事です。ただし、鉄鋼需要は比較的堅調である為、下げ続ける見込みは少ないと考えられています。
▶ https://www.recyclingtoday.com/news/steel-ferrous-scrap-january-2024-prices-export-demand/
欧州の石炭大国で最後まで石炭発電の終了年度を設定していなかったポーランドは、政権の交代もあり石炭利用の終了年度を策定する事を発表しています。ポーランドでは前政権時代、EUの2035年内燃機関自動車の販売禁止を含む、一部の気候政策の取り消しを求めてEUを提訴していました。EUは現在2040年迄にGHG排出量を90%削減するという目標を策定中であり、ポーランドはこの目標を受け入れる用意がある事を伝えています。石炭に関して言えば、国連はOECD加盟国に対し2030年までに段階的廃止を呼び掛けていました。石炭について決して一枚岩でなかったEUでは、特に石炭大国であるポーランドの方針変更は大きな意味を持ちます。今後EUを主導とするG7への石炭廃止への圧力が一層強まると思われます。
▶ https://in-cyprus.philenews.com/international/poland-plans-to-set-end-date-for-coal-power/
先週末よりESG投資に関する情報が欧米を駆け巡っています。FTが週末に掲載した特別記事「株主の積極的な支持の「壊滅的な」低下」をキッカケとしてWSJも「アメリカ企業における最新の汚い言葉: ESG」と題する記事を上げています。元々ESGには何ら問題は無いのですが企業がESGを本来の意味とは違う「宣伝」として利用した事でリターンの少ないESG投資に投資家の信頼を喪失した事が原因となっています。ESGファンドは閉鎖が続いており、2023年末にはGSがアクティブベータ・パリ協定気候米国大型株ETFを閉鎖したばかりです。米国では大企業が企業報告書や委員会の名称からESGを外し、経営陣の決算会見でもESGの利用を控え始めています。元々、投資資金の流れを変える為に欧米政府と金融当局が始めたESG投資は大きな巻き戻しに直面しています。
▶ https://oilprice.com/Energy/Energy-General/ESG-Becomes-Corporate-Americas-New-Taboo.html
紅海とホルムズ海峡は2024年の世界経済の足枷になる懸念が広がっています。紅海での商船への攻撃件数の増加によりイスラエル・ハマス紛争勃発以来、一部の航路では輸送コストが最大で600%以上に急騰しています。これはインフレ抑制が成功し金利引き下げを模索する世界の中央銀行の取り組みに影響を与えています。1月初頭、JPモルガンは顧客向けメモの中で輸送コストがコモディティ価格を押し上げた場合、インフレとの戦いは今後数ヵ月間停滞する可能性があると言及しています。1月11日には世界の石油とガスの25%が通過するホルムズ海峡の南東で商船セント・ニコラス号が武装隊員に乗り込まれました。一連の動きの後、英米軍がイエメンのフーシ派の拠点を空爆し、状況はエスカレートしています。この状況が第1四半期末までに解決されなければ、特に紅海の混乱はサプライチェーンにさらに広範なドミノ効果をもたらすと警告され始めています。これは商品(コモディティ)全体の逼迫と価格を押し上げる要因となり得ますが、産出国では輸送の混乱から供給過剰が起きる可能性があります。それ以前に中国製のプラスチック原料が生産過剰でダブついている事から欧州向けが減る事でアジアへの影響も指摘され始めています。欧州ではこの海域の混乱でインド向けの古紙の輸出が急減し始め、英国では価格がダブつき始めています。
▶ https://theconversation.com/red-sea-crisis-suez-canal-is-not-the-only-choke-point-that-threatens-to-disrupt-global-supply-chains-221144
JPモルガンは中国人民元に対する米ドルの将来を予測しました。今後10年は米ドルの地位に大きな変化が無いものの、その後はBRICS間での取引にドルの利用が減る可能性が指摘されています。BRICS諸国によって設立された新開発銀行(NDB)がこの変化の先頭に立っています。NDBは今後5年間で米ドルではなく現地通貨で30億ドルを調達すると発表しています。これは単なる意思表示ではなく、国際金融分野における戦略的な動きと考えられています。この取組は米ドルへの依存を減らす事を目的としており、牽引しているのは中国です。この動きにより中長期的にドル安傾向が進む可能性があります。
▶ https://www.cryptopolitan.com/brics-banks-ramps-up-effort-to-ditch-dollar/
LMEでロシア産のアルミニウムの問題が顕著化しています。LMEの倉庫に保管されているロシアのアルミニウムの量は12月中に2倍以上に増加し在庫の90%を占めています。LMEはロシア産アルミニウム取引の停止を求める西側諸外国の要求を拒否してきましたが大きなジレンマに陥っています。昨年5月後半から6月初旬に掛けてはロシア産のアルミニウムが大量にキャンセルされ、それらの大半は未だマレーシアのポートクランに存在していると見られています。15万6,025トンがキャンセルされる為、相応な量が存在している可能性があります。ロシア産の金属の取引を止める事でLMEの国際価格指標としての信頼性が失われる可能性があります。その為、LMEは取引を続けていますが、買い手が減っており、今後LMEのジレンマは当面続きそうです。
▶ https://www.reuters.com/markets/commodities/london-metal-exchanges-growing-russian-aluminium-problem-2024-01-15/
木質ペレット発電を巡り英国で論争が起きています。世界最大の木質ペレット発電兼世界第2位の木質ペレット生産企業である英国のエネルギー企業DRAXは、2027年に終了する電力への補助金に代わる、二酸化炭素回収貯蔵装置の為の補助金を受ける事が決まりました。この政府の措置を巡り英国では論争となっています。DRAXは補助金が無ければ事業が継続できないエネルギー会社です。同社は欧米の資産管理会社と投資会社が株を保有し、補助金を配当に転換させるスキームを世界で初めて木質ペレット発電事業に採用した「悪名高い企業」として、環境保護団体から常にターゲットにされてきました。DRAXは2014年に英国保守党の大物政治家(貴族院)のグレゴリー・バーカー(元気候変動大臣)とBack Biomassというバイオマス発電の大キャンペーンを実施し、木質ペレット発電のグリーンプロパガンダを推進、最近では英国産業連盟会長であったマイケル・ドブソンを取締役に入れる等、政財界を巻き込んだロビー活動で多額の補助金を獲得するスキームを作り上げてきました。2027年の電力買取への補助金が終了する事で事業が行き詰まると見られていましたが、二酸化炭素回収貯蔵装置を設置する事で炭素削減による補助金を得るという戦略に出てきました。この事態に賛成と反対を明確にしているメディアがあり、それぞれの立場が分かります。一般市民は二酸化炭素回収貯蔵装置の為に電気料金が上乗せされる可能性が高く、毎回の事ながらプロパガンダに飲み込まれています。
▶ https://ember-climate.org/insights/in-brief/draxs-beccs-project-climbs-in-cost-to-the-uk-public/
中国のリチウム電池材料の生産は2024年1月に大幅に減少する見込みです。特に落ち込みが激しいのは、三元系前駆体とLiPF6です。三元系前駆体は前月比 14.2%、前年比で15.33%の減少が予測されています。一方でコバルト系の材料については、生産が増加する見込みとなっています。
▶ https://www.mysteel.net/news/all/5047027-china-lithium-battery-materials-production-to-fall-extensively-in-jan-2024
世界最大のEVメーカーであるBYDはパウチ型のLIBの生産を終了する見込みです。理由は液漏れによる火災の危険によるもので今後は角形電池に生産を切り替える模様です。パウチ型は2025年に生産を終了する計画と伝わっています。2022年にBYDはパウチ型バッテリーを使用したTang DM-iハイブリッド車を6万台以上リコールしています。当局への報告では「熱暴走」を引き起こすバッテリーパックの欠陥を挙げていました。BYDは全てのPHEVにパウチ型電池を使用しています。PHEVはBYDの2023年の自動車総販売台数300万台の48%を占め、少量をブラジルに輸出した以外、ほぼ全てが中国国内で販売されました。BYDはバッテリーを内製しており、外部から殆ど調達していません。今後パウチ型LIBを製造している他メーカーにも影響が出そうです。
▶ https://www.reuters.com/business/autos-transportation/byd-stop-making-pouch-batteries-its-hybrid-evs-leakage-concerns-sources-2024-01-17/
EUでは、冷蔵庫やエアコン等に使用されるハイドロフルオロカーボンやパーフルオロカーボン等の、いわいる「Fガス」に対する、更なる規制強化案が投票の結果、議会の支持を得ています。Fガスはオゾン層の破壊を引き起こす事から既にEUを含め世界で規制が採用されています。EUの新しい規制は2024年~2049年迄のEUの消費割り当てを削減するもので、更に2050年迄にハイドロフルオロカーボンを段階的に廃止する事が含まれています。単にFガスの規制に留まらず、Fガスを含む製品のEU市場への投入を禁止する厳しい内容となっています。
▶ https://www.europarl.europa.eu/news/en/press-room/20240112IPR16757/reducing-emissions-from-fluorinated-gases-and-ozone-depleting-substances
世界のコンテナ海運大手のHapag-Lloyd AGとMaersk A/S(マースク)は海運ネットワークを相互接続する事を発表しました。コンテナ数にして合計340万個の輸送能力を持つ新たな長期協定となります。この協定は2025年2月に開始され「ジェミニ協定」と名付けられています。業界をリードする両社は柔軟で信頼性のあるスケジュールを顧客に提供する事が目的と述べています。それぞれ世界第5位と第2位のコンテナ船運航会社であり、共有するネットワークは290隻で構成され、マースクが60%、ハパック・ロイドが40%を配備する計画です。マースクは1年前にライバル企業のMSCとの提携を解消すると発表していました。今回協定する両社は脱炭素化戦略を発表しており、マースクは2040年にネットゼロを運用、ハパック・ロイドは2045年にネットゼロ運用を目標としています。
▶ https://www.hapag-lloyd.com/en/company/press/releases/2024/01/maersk-and-hapag-lloyd-are-entering-into-an-operational-cooperat.html
現在、世界経済フォーラムの年次会議がスイスのダボスで開催されています。基調講演や出席する要人に大きな変化は無く、毎度のメンバーで構成されています。むしろ多様性が減り、新たな大物政治家の登場も無く、いつものコアメンバーとビジネスマンのネットワークの為の集まりと化しているようです。話題はOpenAI、戦争、選挙です。G7のリーダーで唯一出席するのはドイツのシュルツ首相だけで、欧州からはトップのウルズラ・フォン・デア・ライエン欧州委員長が出席しています。米中ともに代表団を送っていますが、国際的に影響力のある目立った閣僚や宰相の参加は多くありません。「WEFによる世界の政治的訴求力の衰退の始まり」が垣間見える年次総会のようです。
▶ https://www.politico.eu/article/bill-gates-volodymyr-zelenskyy-jane-goodall-al-gore-the-davos-do-gooders/
新華社通信は中国で巨大なリチウム鉱床が発見されたと報じています。推定埋蔵量は約100万トンで、場所は四川省雅江県です。現在中国には世界で6番目に多いリチウム資源があり世界シェアは7%ですが、精製リチウムの生産量は世界で50%超のシェアがあります。この発見により中国でのリチウム関連の投資が増すと同時に韓国や日本に対してバッテリー生産で優位に立つと見込んでいます。SQMは世界最大級のチリのアタカマ塩湖での操業を一時停止したと発表し、供給懸念と今後の見通しに懸念が生じたばかりでした。タイミング的にも中国政府の思惑があるのかも知れません。
▶ https://www.scmp.com/economy/china-economy/article/3248961/china-unearths-million-tonne-lithium-deposit-heating-global-resource-race-thailand-also-boasts-big
欧州のEV販売台数は2020年以来初めて減少しました。12月のEV販売は前年比で16.9%減少し、16万700台でした。これは政府による補助金の減少と景気悪化による新車販売の全体的な減少の2つが理由となっています。12月の総新車販売台数は86万7,052台で前年比3.3%減少しました。新車販売台数に占めるEVの比率は2022年12月には20%だったものが、2023年12月には18.5%に低下しています。ガソリン車の販売は全体数の約3分の1、ハイブリッド車は4分の1強を占めました。最近の調査では英国で販売したEVは3年後に価値が半分になるという事で中古市場が低迷しています。先週、大手レンタカー会社のハーツが米国で2万台のEVを放出した事から米国でもドミノ現象で中古EV価格の低迷が進んでいます。
▶ https://www.telegraph.co.uk/business/2024/01/18/european-electric-car-sales-fall-first-time-since-2020/
EVや半導体等の先端産業を最重要投資として積極的な誘致活動を行っているインドのグジャラート州は電子廃棄物(WEEE)を管理する為の包括的な政策を計画しています。草案ではWEEEの処理を促進する為、直接回収に関する義務化規則も設ける予定です。グジャラート州はインド有数のWEEE発生の州であり、2022 年に回収された量は30,569 トンでした。回収されず投棄されるものが多い事から新たな政策ではWEEEを登録業者が処分する事を義務化する予定です。グジャラートはインド洋の主要港があるのと同時に先端産業化を進める州です。今後、WEEEの1つの行先となる可能性があります。
▶ https://www.vibesofindia.com/gujarat-govt-readies-new-policy-for-e-waste-management/
EUのグリーンウォッシング禁止法が欧州議会で採択されています。今後、承認された認証スキームに基づくか、公的機関によって確立された持続可能性のみが、製品にラベルとして貼る事ができます。新規則では公的機関による認証されていない「環境に優しい」、「天然」、「生分解性」、「気候中立」、「エコ」等の用語の使用を禁止します。また、この法律では製品の耐久性を重視する項目も含まれており、根拠のない耐久性の主張は禁止されます。同時にプリンターの消耗品のように消耗品の部品交換を現実的でない短期にするよう促す行為も禁止されます。
▶ https://www.europarl.europa.eu/news/en/press-room/20240112IPR16772/meps-adopt-new-law-banning-greenwashing-and-misleading-product-information
パキスタン軍がイラン領土内に攻撃を仕掛けた事で、中東の情勢が一層悪化する懸念が広がり始めています。今回のパキスタン軍の攻撃は2日前にイランからパキスタン領土へのドローン攻撃の報復として、イラン領土内にある容疑者施設を空爆したものです。標的はパキスタンの州の1つであるバローチスタン州の独立を求める過激派組織バローチ解放戦線のイラン領内の潜伏場所でした。この攻撃により両国の緊張関係が更に高まるとは見られていませんが、既にこの地域では国境を越えたテロや紅海での船舶への攻撃等、ガザ戦争の余波が続いている事から懸念が生じています。影響が出始めている世界のサプライチェーンと海運運賃ですが、状況により長期化する可能性が指摘され始めています。
▶ https://www.bbc.co.uk/news/live/world-middle-east-68015978