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NEWSCONの気になるNEWS(2023年8月第1週)

世界第2位の鉄鋼メーカーであるアルセロールミタルが第2四半期の財務結果を発表しています。親会社株主に帰属する当期純利益は、2023年第1四半期の10億9,600万ドルから2023年第2四半期には18億6,000万ドルに増加しました。しかし2022年第2四半期の純利益39億2,300万ドルに比較して大幅に減少しています。その結果、上半期の純利益は29億ドルで、前年同期80億ドルから大幅に減少しています。南アの事業や欧州でのコスト増が原因として報道されています。インドにおけるアルセロールミタルの合弁会社であるアルセロールミタル新日鉄インドは、鉄鋼出荷量の増加とコスト低下により第2四半期のEBITDAが5億6,300万ドルと、前年同期の3億6,500万ドルと比較して増加しました。インドの鉄鋼需要の堅調さが伺えます。同グループの発表では、中国を除く世界の鉄鋼需要は、今年、米国の金利上昇と欧州の建設活動の低迷により、従来予想の2-3%増加から1-2%増加に予測を下方修正しています。
https://corporate.arcelormittal.com/media/press-releases/arcelormittal-reports-second-quarter-2023-and-half-year-2023-results

サウジアラビアが銅とニッケルの採掘に参入する事が伝えられています。サウジアラビアは、鉱業大手のヴァーレの卑金属事業の株式を取得する事で銅とニッケルの採掘に進出する事になりました。サウジアラビア鉱山会社とサウジ公共投資基金はブラジルにあるヴァーレの鉱山会社の銅とニッケル事業の株式を34億ドルで13%購入する計画です。FTによると、この取引から算出されるブラジルでのヴァーレの事業価値は260億ドルに上ると見られています。サウジの参入は既に数ヵ月前から一部で噂されていましたが、正式な計画が明らかになったのは初めてです。銅とニッケルはグリーン化に不可欠な金属として、遂にサウジのオイルマネーまでが参入する事態となっています。インドネシアでは、あまりのニッケルブームで環境問題がクローズアップされ始めています。
https://oilprice.com/Latest-Energy-News/World-News/Saudi-Arabia-Ventures-Into-Copper-And-Nickel-Mining.html

環境ネットワーク「ゼロ・ウェイスト・ヨーロッパ」は、EUの衣料品に関する論文を発表しています。EUは世界で最も衣料品の購入が多い地域にも関わらず、繊維廃棄物の削減に関する具体的な措置を未だ打ち出しておらず、それによって持続可能なファッション産業に向けた、あらゆる進歩も台無しにしていると指摘しています。欧州では廃棄物規則の最上位概念である「EU廃棄物枠組み指令」によって、再利用、リサイクル、回収を優先するよう促し、各国に廃棄物対策の義務を課しています。しかし最近発表されたこの指令の改正案には繊維製品に関する数値目標が盛り込まれておらず、そもそもこの指令が目指す「廃棄物防止の原則」が損なわれています。繊維製品に関しては拡大生産者責任を課すという画期的な方針を打ち出しましたが、それらは再利用、リサイクル、回収の義務を課すだけで、廃棄物を防止する為の具体的な数値目標は入っていません。現在日常的に行われている過剰生産を防ぐ為の措置というものが含まれていませんでした。過剰生産と大量に廃棄された繊維製品のリサイクルは、炭素排出を増加させる要因であると警告しています。
https://zerowasteeurope.eu/press-release/zero-waste-europe-paper-sounds-the-alarm-for-eu-failing-to-rein-in-emissions-in-the-textiles-sector/

今月提案された使用済み自動車規則(ELV規則)」の改定案に対し、リサイクルプラスチックの含有量計算にマスバランス方式を取るよう求める議論が再度活発化しています。マスバランス方式とは、製品そのものの含有量ではなく、製品を作る段階での投入量によって含有量を計算する事です。マスバランス方式の採用は今年3月にも、プラスチックのケミカルリサイクルの業界団体を中心に欧州で30の廃棄物産業関連事業者や団体が欧州委員会に対し、マスバランス方式を規則で採用するよう求めていました。業界団体であるPlastic Europeは「自動車産業で使用されるプラスチックの多くは最高品質のポリマーを必要とする高性能製品であり、リサイクルが非常に困難な場合がある。従って欧州委員会が提案するリサイクル含有量25%という野心的な目標は、メカニカルリサイクルとケミカルリサイクル技術の組み合わせによってのみ達成できる」として、規則でのマスバランス方式の採用を明確化する事を求めています。
https://plasticseurope.org/media/end-of-life-vehicles-proposal/

7月に入ってから欧米の様々なニュースソースが特集を組んで伝えている中国のデフレ問題について、CNAが伝えています。中国の場合、輸出主導の経済の為、内需が増加しても生産増に直接反映されず、特に可処分所得の多いホワイトカラーの賃金上昇の鈍化により、需要不足が生れやすいため、デフレ懸念が台頭しています。
https://www.channelnewsasia.com/business/white-collar-wage-cuts-china-fuel-deflation-risks-hurt-consumption-say-analysts-3660276

7月27日は、環境団体である「アース・アクション」が定めた国際プラスチック・オーバーシュート・デーです。これはプラスチック管理の進捗状況を把握するもので、「廃棄」されるプラスチック量が、リユースやリサイクル等で管理できる量を、いつオーバーシュートするか、というものです。世界的には7月27日がその日であるという事です。飽くまで教育目的の側面がある日付ですが、実際は既に昨年末に過ぎているとも言われています。Earth Actionによると現在、発生するプラスチック廃棄物全体の43%が不適切に管理されています。今年だけで、それら不適切な管理の総量は、6,850万トン以上となります。この量には水路に廃棄放出された化学添加物420,000トンが含まれています。プラスチック廃棄物の汚染はグローバルサウスという用語でも語られる問題で廃棄物が不法に途上国に輸出され廃棄されるという習慣は未だに続いています。
https://www.euronews.com/green/2023/07/28/international-plastic-overshoot-day-which-countries-are-best-at-recycling-the-polluting-ma

「自分の庭で中国企業と戦う」という流れが益々加速しています。米国のIRA(インフレ削減法)や地政学問題を回避する為に、過去4ヵ月に亘り、中国企業は韓国の電池関連工場に40億ドル以上(約6000億円規模)の投資を発表してきました。先週、韓国政府は中国のNingbo Ronbay New Energy Technology(寧波要容百科技)の韓国での正極材の生産能力を5倍にする計画を承認しています(現在年間2万トンの生産能力に8万トン追加)。中国の浙江華友コバルトは、ポスコ・フューチャーM及びLGエネルギーソリューションを所有するLG化学と契約をし、SK Onは中国のGreen Eco Manufactureと韓国で電池前駆体を製造する合弁事業を行う事を発表しています。またポスコホールディングスは先月、韓国でのニッケル精製と前駆体生産に関して中国のCNGR先進材料と協力すると発表しました。
一方、CATLはフォードとの提携によるミシガン州での大規模なLIB工場を進行中で、これは米議会でも論議を呼んでいます。欧州でも同じ動きが加速しており、欧米では自国内やFATを結ぶ国を介して中国企業と戦う動きが加速しています。日本でもスクラップ企業が中華系に買収されるなど日常化してきましたが、国際的な政治分断と共に自国内で中国系企業と戦うという構図は、保護貿易化する流れで益々加速しています。
http://www.ronbaymat.com/
https://www.asiafinancial.com/china-battery-firms-pump-4-4bn-into-korea-for-us-ev-credits

今後バイオメタノール需要が急増すると予測されています。独自の技術により固形廃棄物からメタノール、エタノール、ガスを生成する技術開発に取り組むEnerkem社は廃棄物からカーボンジメチルエーテル(DME)に変換する大規模プロジェクトの開発に向けたFSを開始する事を発表しています。Enerkemは実証実験施設を所有しており、既にカナダと欧州の両方で新しい商業規模の廃棄物メタノール変換プラントの建設を計画しています。混合廃棄物からバイオメタノールを商業規模で生産する計画は世界初のもので、DMEの生成も同様です。DMEのプロジェクトは欧州の北西部と米国メキシコ湾岸部の都市で行う模様で、各プロジェクトでは混合残留廃棄物から年間約165,000トンのDMEが生産される予定です。それぞれバイオ生成品という事で大幅な炭素排出削減効果が期待されています。
https://enerkem.com/news-release/dimeta-and-enerkem-collaborate-on-large-scale-waste-to-dme-projects-in-europe-and-the-usa/

韓国の発電関連エンジニアリング企業である斗山エナビリティは、LIBのリサイクル事業を新に立ち上げる計画を発表しています。同社は廃LIBからリチウム、ニッケル、コバルト、グラファイト等の鉱物を回収する子会社、斗山リサイクルソリューションを設立します。同社は2021年に正極材の製造工程で発生する廃棄粉末からリチウムを抽出する技術を開発し発表しました。この技術は斗山独自の特許技術で、廃棄粉末を熱処理し蒸留水を使用してリチウムを分離、その後電気吸着結晶化技術を利用して炭酸リチウムを抽出します。この方法は従来の抽出方法に比べて経済的で、化学物質を使用しない為、環境に優しいという利点があります。リサイクル工場は2025年下半期に完成予定で、処理能力は年間3,000トンです。
https://www.energyportal.eu/news/doosan-enerbility-starts-recycling-ev-batteries/109685/
https://www.doosan.com/en/media-center/press-release_view/?id=20172440&page=0&

先週、中国政府が大手鉄鋼メーカー5社に対し生産量を2022年と同等に抑えるよう命令を出した事が一部で伝わりました。この件について、まだ正式な発表がありませんが、生産抑制がプラスの方向に作用すると中国鉄鋼協会(CISA)は見ているようです。この鉄鋼削減政策により過剰生産が抑えられ、価格や需給バランスがある程度良い方向に向かうと見られています。鉄鋼のアジア市場への影響もありますので、スクラップ価格への一定の効果はありそうです。
https://www.mysteel.net/news/all/5041492-cisa-official-sees-steel-output-control-policy-beneficial

イランとアフガニスタンが水を巡り紛争になる可能性があり、中東に新たな火種の可能性を生み出しています。数年前よりイランは深刻な砂漠化と水不足に悩まされており、居住不可能な領域が拡大、国内の移住が促進しています。砂漠化は驚異的なペースで進んでおり、政府は毎年100万ヘクタール以上が実質的に居住不可能になりつつあると警告を出しています。首都テヘランの水不足緩和の為にダム建設や灌漑プロジェクトを行った為、河川や地下貯水池の枯渇を招き、砂漠化問題を余計に悪化させています。近隣諸国であるアフガニスタンとの間でも、水不足による潜在的な紛争に直面しており、政治的課題が更に増大しています。今年初めにイランとアフガニスタンは小規模な軍事行動を行いました。これはイラン政府が南東部の湿地に水を供給する為に上流の水を更に放出するよう、隣国に要求した後に起こりました。
https://oilprice.com/The-Environment/Global-Warming/How-Desertification-Could-Rewrite-Irans-Future.html

リオティントは北米のリサイクルアルミ二ウム製造企業に出資し、リサイクル事業を強化し始めています。昨年、同社はカナダのアルビダ製錬所でアルミのリサイクル事業を強化し、既に北米のアルミニウムリサイクル分野で存在感を示しています。今回出資するのはリサイクルアルミニウム製造大手のMatalco社で、株式の50%を取得します。Matalcoは、リサイクルアルミニウムビレットとスラブ製品の大手メーカーで、米国に6ヵ所、カナダに1ヵ所の工場を持ち、年間約900,000トンのリサイクルアルミニウムを生産する能力があります。アルミニウムとそのリサイクル材は既に地政学による資源ナショナリズムの対象になっており、大手の参入が今後も続くと思われます。
https://www.riotinto.com/en/news/releases/2023/rio-tinto-et-giampaolo-group-forment-la-coentreprise-matalco-pour-le-recyclage-de-laluminium

欧州委員会は7月31日に持続可能性報告基準(ESRS)を採用しました。2024年から発効が予定されているEUの次期企業持続可能報告指令(CSRD)の実施に向けた動きで、CSRDの対象となる全ての企業が基準を満たす必要が生じます。ESRSは気候変動、生物多様性、人権を含む幅広いESG問題をカバーしています。委員会はESRSの採用に対し、国際持続可能性基準審議会(ISSB)及びグローバル・レポーティング・イニシアチブ(GRI)による持続可能性報告基準との相互の運用性がある事を強調しています。今後ESRSに基づいて気候変動に関する報告を義務付けられている企業は、気候関連の開示に関してISSB標準を使用している企業とほぼ同じ情報を報告することになります。ESRS導入後はこれまでNFRDの対象となっていた企業及び従業員500人を超える非上場企業は、2024会計年度にESRSに基づく報告を開始する必要があり、最初の報告書は2025年に発行する事になります。色々と二重基準の問題が懸念されていましたが漸くESRSが前進しました。日系企業でも欧州に拠点がある所からの問合せが増えると思います。
https://ec.europa.eu/commission/presscorner/detail/en/qanda_23_4043

ドイツの高級自動車メーカーがEV開発と製造コストによる収益圧迫で苦しんでいる実態が伝えられています。BMWはEV開発コスト上昇に悩まされており、6月末迄の3ヵ月間の利益率が低下したと報告し株価が6%以上下落、投資家を失望させました。メルセデスは利益率の低い中型車を選ぶ顧客が増えている為、収益性の高い最高級モデルのブームが冷めつつある事を示唆しています。この傾向はBMWにも打撃を与える可能性があります。高級車のベントレーは先週、コロナ後の全盛期は終わったかもしれないと警告しました。ベントレーの今年上半期の出荷台数は4%減の7,096台に留まっています。先週北米のフォードやGMでも全体の利益が大幅に増加しましたが、ガソリン車のピックアップトラックやSUVの販売増によるもので、EV部門は採算性が悪く問題視されていました。一方でトヨタは、高い需要に支えられ価格の引き上げを可能にし、会計年度のQ1で売上高がほぼ25%増加したと発表しています。営業利益は過去最高の1.1兆円に達し、株価は過去最高値レベルになっており、企業価値も39.9兆円と40兆円に迫る勢いとなっています。EVで儲けているのはテスラだけ、と言われる事が多い昨今、膨大な補助金と厳格な排ガス規制で政治的にEV化を早期に推し進めすぎる事が正解かは暫く様子を見ないと分からない状況のようです。少なくとも欧米ではあまり成功はしていないという事のようです。
https://uk.finance.yahoo.com/news/electric-cars-cost-more-bmw-155849574.html

中国の製造業活動は7月に4ヵ月連続で縮小し、非製造業活動は今年最低水準に減速しています。国家統計局のデータによると、7月の製造業購買担当者指数(PMI)は49.3、非製造業PMIは51.5でした。PMIは50を上回れば活動が拡大、下回れば活動が縮小している事を示します。製造業PMIは4ヶ月連続で50を下回り、非製造業PMIは50を上回るものの、4ヵ月連続で下落しています。製造業に関しては、海外からの受注が減少しており、製造企業が需要不足に直面している事が報告されています。
https://think.ing.com/snaps/china-pmis-show-non-manufacturing-growth-slowing-further/

ヒューストン大学の研究者グループは、伸縮可能なリチウムイオン電池のプロトタイプの開発に成功しました。この技術はリチウムイオン電池の電極を「布地ベース」の柔軟で伸縮性のある電極に変更する事で達成したものです。今後ウェアラブル・デバイスや埋め込み型バイオセンサーに安定した性能とより安全な特性を提供することで、用途の可能性を広げる事ができると期待されています。ただし商業的に実現する為には、製造方法の確立、コスト削減など、様々な課題が多く、まだまだ研究段階のものと言えます。ただしウェアラブルなバッテリーの研究は各方面で進められており、開発の1つのテーマとなっています。
https://www.sciencedirect.com/science/article/abs/pii/S235243162300072X?via%3Dihub

サウジアラビアの公共投資基金の子会社Saudi Investment Recycling Co.の姉妹会社である環境サービス企業Revivaは同じくサウジアラビアのHAMA・ホールディングスと台湾のリサイクル会社ENRESTECと提携し、タイヤのリサイクル事業を展開する事を発表しています。今回の協力は熱分解技術を利用した廃タイヤのリサイクルでオイル、カーボンブラック、鉄鋼原料等を生成します。BIRによると毎年サウジでは572,000トンの使用済みタイヤが生成されており、その内58%が自家用車、15%が小型商用車、27%が大型車から発生しています。殆どのタイヤは埋め立て地に送られるか、廃棄されています。2050年迄にその量は200万トンに達すると予想されています。昨年ドバイで開催されたBIR世界リサイクル会議でも、湾岸地域での廃タイヤのリサイクル強化が打ち出されていました。タイヤリサイクルにもサウジのオイルマネーが入ってきました。
https://www.arabnews.com/node/2346641/business-economy

ドイツの電子機器廃棄物(WEEE)処理業者が苦しんでいる実態の一部が報告されています。エネルギー高での処理費の増加に加え、インフレで製品需要が低迷している為、発生減で入札価格が下がらず苦しんでいます。これはWEEE業者に留まらずリサイクル企業全体に当てはまる状況になっています。
https://www.euwid-recycling.com/news/markets/weee-treatment-becomes-more-expensive-in-germany-amid-higher-costs-and-lower-commodity-prices-010823/

ドイツの多国籍金融サービス会社Allianz(アリアンツ)は、8月1日、社会経済のグリーン移行化に必要な金属(銅、リチウム、コバルト、ニッケル等)に関する24ページの特別レポートを発行しています。2022年にはグリーン移行可に必要な金属や鉱物の市場は3,200億ドル規模に急上昇し、2040年迄に「少なくとも2倍に拡大する」と予測しています。需要増による競争激化が発生しており、強い警告を述べています。その理由の1つが、これらの貴重な原材料の供給がわずか数ヶ国(特に中国)に集中しているという事です。価格カルテル化を含む地政学的リスクを特に強調しており、データがそれを示しています。世界の重希土類元素のほぼ全て、マグネシウムの91%、金属シリコンの76%は中国1ヵ国が支配しており、同様にコンゴ民主共和国は世界のコバルトの60%以上、プラチナでは南アフリカが71%、パラジウムではロシアが40%のシェアを握っています。今年の春、KPMGは将来「石油輸出国機構(OPEC)」に似た「鉱物輸出国機構(OMEC)」がそれらの産出国間で設立される余地があると示唆しました。
https://www.allianz.com/en/press/news/studies/230801_Allianz-Europes-raw-material-challenge-Metals-minerals-and-the-green-transition.html

本日、毎年発表されるFortune Global 500 listが掲載され、サウジアラムコがWalmartに続く僅差の2位になった事が大きなニュースとして報じられています。フォーチュン・グローバル500リストは直近会計年度の「売上高」による世界の企業のランキングです。ウォルマート(グループ)は10年連続で売上高最大の企業としてトップの座を維持しており、直近会計年度の売上高は6,113億ドルとなっています。2位はサウジアラムコで、昨年の原油価格高騰とロシアのウクライナ侵攻による石油供給逼迫により、2022年の売上高は2021年比51%増の6,037億ドルとなりました。サウジアラムコは昨年の6位から4つ順位を上げています。世界では化石燃料からの転換が進められていますが、サウジアラムコ以外にも、石油・ガス大手のエクソンとシェルが、フォーチュン・リストのトップ10に返り咲いています。
https://fortune.com/ranking/global500/2023/search/

世界鉄鋼気候評議会(GSCC:Global Steel Climate Council)は、鉄鋼の炭素排出量の測定と報告に関する世界標準である「鉄鋼気候基準」を発表しました。この基準は既存で一般的に利用される製造プロセスに依存する「鉄スクラップ使用量スライドスケール」基準と異なり、製造プロセスに依存しない単一の製品基準を確立し、鉄鋼メーカーに科学に基づいた排出目標を設定する事を要求するものです。この新しい基準により全ての鉄鋼製品を購入・利用する顧客は、自身が購入する鉄鋼製品に関連する炭素排出量を統一した基準で把握出来る事になります。製品に直接「排出量」が示される為、鉄鋼メーカーにとってこの基準の採用は、結構大きな話になって来ると思います。
https://globalsteelclimatecouncil.org/press-release/

インド政府は、Laptop、タブレット、PCの輸入にライセンス(許可)を設ける事を発表しています。インド政府は5月末にProduction Linked Incentive Scheme 2.0 for IT Hardware(ITハードウェアーPLIスキーム2.0)を官報で通知し、IT産業を国内に誘致する事を政策として示しました。この政策転換は海外市場への依存を減らし、自動車からテクノロジーまで様々な分野にわたる国内の製造能力を促進するというインド政府の取り組みの1つです。インドのエレクトロニクス産業は大幅な成長を遂げており、ラップトップ、タブレット、パーソナルコンピュータを含むコンシューマーIT機器の輸入額は、前四半期(4~6月)で197億ドルに達し、前年比で6.25%増加しています。インド政府は先月中国の大手LIBメーカーBYDがインドのパートナー企業と10億ドルの巨額な投資で電池工場を建設する計画を拒否していました。インドの税務当局は今週、輸入部品に支払う税金が少な過ぎる疑いでインドのBYDに調査に入っています。あまり報道されませんが、インドは世界の工場としての投資先として対中戦略を加速させており、欧米からの投資も増加しています。これは現在インドを親西側の中国への対抗勢力として期待している米国の外交政策から来ています。色々な意味で、大きく世界地図が変化しています。
https://www.indiatvnews.com/technology/news/icea-import-restrictions-on-pcs-and-laptops-to-improve-business-operations-2023-08-03-884630

BMO Capital Marketsによる「銅市場の深層分析レポート」が話題となっています。社会経済のグリーン化に必要不可欠な銅を巡っては、供給懸念から強気な将来価格が様々な研究レポートで発表されています。しかしBMOのレポートでは現在様々な産業で銅の利用量を削減し、代替品を利用する動きが活発になっており、既に取組が導入され始めている事から、単なる使用量の右肩上がりでは無い事を示している事が斬新です。BMOの基本シナリオでは2030年迄に1,000万トン弱の銅の累積需要が削減、最大では2,000万トン以上の銅需要が今の右肩上がりの予測よりも削減される可能性がある事を示しています。銅は依然強気なコモディティである事には変わりませんが、多くある強気の予測値にはなり得ないと警告しています。
https://www.mining.com/over-20m-tonnes-of-copper-demand-could-be-destroyed-through-2030/

台湾資本で、ベトナムのVinFastとメルセデスが一部資本参加した全個体電池の開発製造企業で、既にフランスに工場設立を計画している「輝能科技」社(英語名:ProLogium Technology)は、フランス政府から15億ユーロ(2300億円)という膨大な金額の支援を受ける事が決まりました。この支援は、全個体電池の研究と製造に関わるもので、欧州委員会の承認が必要となり、8/4に承認されています。元々ProLogiumは仏マクロン大統領が自ら誘致に力を入れ、原子力発電を利用する事で低価格で電力を供給する事、更にProLogiumが提示したその他の誘致条件を全てフランス側が飲み込む形で、同じ誘致合戦に参加していたドイツとオランダを破った経緯があります。フランスでの工場建設は2024年後半に計画されています。台湾では桃園に同社最初のギガファクトリーを建設中で2023年末に稼働を開始する予定です。英国では2030年までにガソリンオンリーの車の販売が法律で禁止される為、少なくともEVが2030年迄に4倍以上になると予測されています。しかし発電量と送電グリッドが追い付かず、より多くのインフラ投資が必要になる事が報じられています。既に英国でも原子力の話は出ていますが、どこかの段階で再び原子力がより実装されそうです。
https://prologium.com/13581/

英国の中央銀行は金利を14回連続で上げ、5.25%としました。また、少なくとも今後2年間は金利の上昇による借り入れコストが高止まりする、と企業や家計に警告しました。これは金利を少なくとも2年間は大幅に下げないという意思表示でもあります。今年6月の消費者物価指数は5月の8.7%から7.9%に低下しましたが、労働市場の逼迫から平均賃金上昇率が7.7%となり、賃金インフレが加速している事も利上げの1つの要因としています。欧州も英国もインフレが止まらず、中央銀行が金利引き上げを続けています。
https://uk.finance.yahoo.com/news/bank-england-warns-interest-rates-111910673.html

格付会社のFitch Ratingが米国債の格付けをAAAから1段階引き下げAA+にした事が、様々な波紋を呼んでいます。ホワイトハウスは怒りの反応を示し、世界の投資家は驚きました。2011年にも格付け会社スタンダード・アンド・プアーズが同様の理由(米政治の二極化と国の財政見通し悪化)で米国債の格付けをAAAから1段階下げた後、米国株は急落し、格下げの影響は世界の株式市場全体に波及しました。当時、欧州はユーロ危機でしたが、株からの安全資産への資金逃避により、逆に米国債の価格を押し上げました。今回、東京市場では、昨日2日に株・為替・債券の「トリプル安」が発生しています。
https://recyclico.com/recyclico-and-nanoramic-laboratories-enter-strategic-collaboration-for-lithium-ion-battery-recycling/



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