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NEWSCONの気になるNEWS(2023年6月第3週)
欧州最大の鉄鋼メーカーであるアルセロールミッタルが、更に電炉に投資する事を発表しています。場所はルクセンブルクのベルヴァルの施設内で、投資額は6,700万ユーロ、年間鉄鋼生産量は250万トンです。欧米では大手を中心に電炉への投資が継続しており、域内スクラップ需要が数年後に急増すると予測されています。
▶ https://corporate.arcelormittal.com/media/news-articles/arcelormittal-invests-67-million-euros-in-a-new-electric-arc-furnace-at-its-belval-site-with-the-support-of-the-ministry-of-economy
ポリスチレン(PS)はリサイクルが難しいプラスチックです(PSの一部は良く知られた発泡スチロールです)。EUの援助を受けスタートしたPS LOOPプロジェクトを起源とするPSのリサイクル最新技術は、オランダでPSLoop社として活動を始めました。しかし昨年、同社は一旦倒産、その後ドイツの企業コンソーシアムが買収し、今夏に工場を稼働します。EUではHBCDと呼ばれる発泡断熱ボードが196年代から建物等の難燃剤として使用されており、火災安全規制をクリアする最良の素材として長年使用され続けてきました。しかし2016年にHBCDが禁止されたため、現在は代替の難燃剤が使用されています。この禁止措置によりHBCDを含む数万トンのポリスチレン(PS)発泡廃棄物は、それまでの処理方法が適用できなくなりました。PS Loopが開発した新しいリサイクル方法により、HBCDを含むPSフォームを工業規模でリサイクルできるようになりました。リサイクルされたPS原料は新しいEPS断熱製品の製造に原料の一部として使用されています。
▶ https://polystyreneloop.eu/news/operation/
欧州リサイクル産業協会(EuRIC)、欧州廃棄物管理協会(FEAD)、IKEAの子会社INGKA GROUPは、欧州政府に対する共同ステートメントを発行しています。今年3月に欧州政府はグリーン産業を強化する目的の為に「ネットゼロ産業法」案を公表しました。主にグリーン産業に対する補助金と政策的な援助が含まれています。今回発行された共同ステートメントでは、リサイクル産業をネットゼロ産業法の適用となる産業に指定するよう求めています。ステートメントにはメカニカル・リサイクルが法案の目的に貢献できる技術であり、バージン材料の製造よりもエネルギー消費が少ない為、エネルギーの節約と炭素排出削減に貢献する事を強調しています。何故か「クリーンテック」「グリーンテック」には、リサイクル産業が含まれていません。間接的には関わりが深いのですが。
▶ https://euric-aisbl.eu/resource-hub/press-releases-statements/joint-statement-the-need-for-inclusion-of-preparation-for-re-use-and-recycling-technologies-in-the-net-zero-industry-act-proposal
11月末から12月初旬に掛けてドバイで開催されるCOP28の準備の為、ドイツのボンで2週間にわたり行われていた気候変動交渉が15日に終了しました。終了前日までにCOP28で交渉担当者が協議する議題ですら合意できない状態が続き、緊張が高まっていました。今回のCOP28では、2015年のパリ協定以来初めて国連が気候緊急事態への取り組みに関する世界規模の総括を発表する予定です。しかし、今週まで行われた事前協議では低所得国が不満を表し、交渉が停滞しました。これは以前のCOPで先進国が気候変動計画を実行する為に低所得国に約束した資金が未だに支払われていない事に起因しています。1,500以上の市民団体が参加する「気候行動ネットワーク」の世界政治戦略責任者は「ボンでの気候会議は富裕国の明らかな偽善を暴露し、発展途上国の苦闘に対する驚くべき無関心を露呈した」と述べ、Twitterに「はっきり言っておきたいが、歴史的に気候危機を引き起こした直接原因は現在の裕福な国々であり、約束した財政上の支援を守らなければ、裕福な国々は貧しい国に圧力をかける道徳的権限を持ちえない」と辛辣な意見を載せています。COP28は高所得国と低所得国の間での「大きな戦い」になると予想されています。また長年COPでは化石燃料の利害関係者によるロビー活動が指摘されており、前回のCOP27では総勢600人以上となりました。パリ協定6条をめぐる炭素クレジットの問題、未解決な資金提供、ロビイストによる活動等、COPで必ず話題となりますが、過去、有効的な解決策と合意が得られ実行されないままここまで来ています。
▶ https://www.carbonbrief.org/bonn-climate-talks-key-outcomes-from-the-june-2023-un-climate-conference/
6月16日に欧州委員会はスマートフォンとタブレットに関する新しい規則案を公表しました。規則案にはラベリング規則が盛り込まれており、EUで販売されるスマートフォンとタブレットにはエネルギー効率、バッテリー寿命、塵や水からの保護、意図せず落とした場合の耐性に関する情報を表示する必要があります。また、製品に「修理スコア」の表示が義務付けられます。更にエコデザイン規制により、以下が義務化されます。
バッテリーは初期容量の80%を維持し、少なくとも800回の充放電に耐える。
分解と修理に関する規則:製品モデルの販売終了後5~10営業日以内、及び7年以内に重要なスペアパーツを修理業者に提供するという生産者責任。
製品の発売後、少なくとも5年間はオペレーティングシステムのアップグレードが利用可能。
専門の修理業者は、交換に必要なソフトウェアまたはファームウェアに無差別にアクセス可能。
この規制は単に「スマホの事」という訳ではなく非常に重要です。欧州ではラベリング規制やエコデザイン規制が今後も様々な製品に広がります。それらの規制により耐久性の向上、修理及びリユースが促進され、製品サイクルが伸びる事になります。
▶ https://ec.europa.eu/commission/presscorner/detail/en/ip_23_3315
タイヤのリサイクルに一部関連する事で、メーカーが主導する2つの動きがありました。
1つ目は、世界第2位の自動車部品メーカーでありタイヤ製造業者でもあるコンチネンタルが、再生可能材料を最大32%、リサイクル材料を最大5%含有するタイヤシリーズのUltraContact NXTを発表しています。UltraContact NXTは持続可能な素材とリサイクル材の含有率が高く、かつEU基準での最高の安全性とパフォーマンスを備えた初の量産タイヤです。このシリーズは今年7月から欧州で発売される予定です。再生可能材料には農業廃棄物から作られたバイオベースのシリカが含まれます。リサイクル材については、機械的に処理された使用済みタイヤから得られるリサイクルゴム材料と、スチール素材が含まれています。コンチネンタルは2030年迄にタイヤに再生可能及びリサイクルされた成分を40%以上配合する事を目指しています。
▶ https://www.continental.com/en/press/press-releases/20230614-ultracontact-nxt/
2つ目はアウディと、ハンガリーでは初となるタイヤの熱分解処理企業New Energy社が、ハンガリー国内のアウディの製造工場から出る廃タイヤを熱分解リサイクルし、1部の原料に戻す事を発表しています。熱分解によって得られたオイルは、別の用途に利用しますが、回収されたカーボンブラックは新しいタイヤの製造に使用される予定です。
▶ https://www.just-auto.com/news/audi-hungary-tyre-waste-to-be-recycled/
欧州委員会は、電気・電子機器廃棄物指令(WEEE指令)に関するオンライン公開協議を開始しました。2023年9月22日まで実施します。欧州委員会は2023年2月7日にWEEE 指令の一部修正を含む提案を採択しています。修正WEEE指令では、厳格な収集及び回収/リサイクル目標を設定しています。加盟国は分別されていない都市廃棄物からWEEEを分別収集する必要がありますが、ほとんどの加盟国では大きな課題となっています。このオンライン公開協議を通じてWEEEの実施における評価を行う事になります。特に有害WEEE、バーゼルの改定、重要な原材料を含むWEEEの回収との調和を強調しており、今後公開協議の内容を評価して修正が行われる可能性があります。現在の指令の方針案としては拡大生産者責任、EU域外への輸出の規制強化、域内での移動の緩和、分別収集率の向上、重要な原材料の含まれたWEEEのリサイクルの義務化等が掲げられています。
▶ https://environment.ec.europa.eu/news/commission-consults-citizens-and-stakeholders-directive-waste-electrical-and-electronic-equipment-2023-06-16_en
トルコリラの下げが止まりません。政府と業界の関係者は、政府が既にリラの下落が続く事を見越した2023年の予算作成を行っていると言及しています。1ドル=25リラの為替レートに備え、更に25~28の間で推移する事も視野に入れています。現在の超高インフレ状態とリラ安を解消する為には、少なくとも今後18ヶ月は掛かると予想しています。対策として金利を引き上げ、合理的な経済施策を行う事ですが詳細は明確になっていません。6月22日に行われる次回の金利発表では、利上げが行われるとの期待があり、政府利率を17%にまで引き上げるという「噂」も囁かれ始めています。当面、リラ安に起因する困難なドル調達と国内のインフレから鉄スクラップ輸入需要も影響を受け続けるものと考えられます。
▶ https://www.aljazeera.com/news/2023/6/18/why-is-the-turkish-lira-still-falling-in-value
世界需要が2025年迄に150万トン、2030年迄に300万トンに急増すると言われるリチウム(炭酸リチウム換算)のニュースが毎日のように報じられています。2021年の世界の炭酸リチウム換算 (LCE)の生産量は僅か54万トンですので、10年で6倍以上の供給を増やす必要があります。話題の多くは、国有化による戦略が注目されるチリの企業コデルコ、直接抽出技術DLE、そして代替材料です。現在、オーストラリアとチリで世界生産の77%を占めていますが、オーストラリアの生産は、主にスポジュメンと呼ばれるリチウムアルミニウムケイ酸塩鉱物(LiAlSi2O6)を抽出・精製する事に対し、チリは巨大な塩原(塩水湖)から時間を掛けて水を蒸発し、その後精製する方法となり方式が異なります。直接抽出技術DLEの発展は今後リチウム市場そのものの構造を変える可能性があると言われており、注目されています。DLEは、塩湖や地層の塩水(かん水)から直接的にリチウムを抽出する技術で、短時間かつ地域の限定が有りません。リチウムを含む地質層がある場所であれば、どこでも生産することができます。DLEにより生産時間の短縮と生産場所の拡大が可能となり、より多くの商用化が可能になります。またDLEではリチウムの回収率が従来法に比べて最大2倍以上になる為、供給不足解消の切り札の1つとして期待されています。ただし開発されているDLE技術は大量の水と電力が必要な事がネックとなっています。その為、低エネルギー化の開発が求められています。DLEの進捗は要注視する事案です。
▶ https://www.reuters.com/markets/commodities/chiles-codelco-must-kick-start-lithium-industry-while-reviving-copper-output-2023-06-19/
▶ https://www.reuters.com/markets/commodities/inside-race-remake-lithium-extraction-ev-batteries-2023-06-16/
▶ https://news.yahoo.com/scientists-discover-lithium-replacement-may-111500394.html
太陽光パネルのリサイクルが数年後に急増する可能性のあるニュースです。海外では大きく報じられていますが、南京大学からスピンオフした中国の新興企業Renshine Solarが「奇跡の素材」と呼ばれている「ペロブスカイト」で作られた超効率の太陽電池パネルの量産を開始する計画が伝わっています。元々は下記のサウス・チャイナ・モーニング・ポスト紙に掲載された内容が世界で拡散されたものです。ペロブスカイト太陽電池は日・中・韓が激しい開発競争を行ってきた革新的な太陽光電池です。Renshine Solar社は江蘇省常熟市政府と産業プロジェクト協定を締結し、9月までに150メガワットの生産能力のあるラインを建設開始予定です。ペロブスカイト太陽電池はコストが従来のシリコン電池の半分、効率は最大50%向上するという、革新的な太陽光電池と認識されています。開発者は将来、製造コストを最大20分の1にまで下げられると発言しています。昨年Renshine Solar社の研究は中国科学技術省によって中国の科学的進歩のトップ10の1つとして認められました。EVの航続距離を延ばす為に屋根に設置する事も検討されてきました。研究者らはペロブスカイト太陽電池が600時間の連続運転後も初期性能の90%以上を維持する事が出来、商業利用に適している事を強調しています。韓国はペロブスカイト太陽電池を計画しているQcells社のパイロット生産ラインの為に1億ドルを投資し、タンデム型ペロブスカイト太陽電池の商業化を目指すと最近発表したばかりでした。この太陽光パネルが市販され、低価格で高効率の場合、現在の太陽光パネルよりも効率よく発電できる事から、既存の太陽光パネルの耐久年数よりも早く切替が進む事が予測されてきました。
▶ https://www.scmp.com/news/china/science/article/3224393/chinese-scientists-boost-perovskite-solar-cell-efficiency
アルミ二ウムを欧州の原材料に含めるロビー活動が続いています。これはEIT Raw Materialsトップのベルント・シェーファーがEuractiveに寄稿したもので、アルミを欧州の重要な原材料リストに入れる必要がある根拠を述べ、その重要性を強調しています。EIT Raw Materialsは2015年に欧州委員会と共同で設立された欧州の主要な原材料のバリューチェーンのイノベーションを推進する半民半官の組織です。エネルギー転換により世界のアルミ需要が急増すると予測される中、現状の生産量の3分の2以上が非市場経済(資本主義国以外)で行われており、安価な輸入アルミニウムが欧州の産業及びエコシステムに深刻なリスクをもたらしています。欧州のエネルギー危機後はEUの一次アルミニウム生産能力が50%近く減少しています。アルミニウムのリサイクルに必要なエネルギーはバージンメタルの製造に必要なエネルギーの5%のみです。寄稿文の結論としては、欧州でのアルミニウム需要が急増する中、持続可能な域内供給を確保する事は不可欠であり、戦略的、経済的、環境的な利点を述べています。その為、アルミニウムを重要な原材料法の「戦略的原材料」リストに組み込む事が必要です。既に欧州鉄鋼製造者協会(EUROFER)は「鉄スクラップ」を重要な原材料に含め輸出禁止を強調していますが、メーカーでは無く欧州の政策立案組織に最も近い団体のトップから出た内容としてインパクトがあります。景気やその時点での中国との関係にも左右されますが、将来アルミが重要な原材料に含まれる可能性は高いと予測されています。
▶ https://www.euractiv.com/section/economy-jobs/opinion/aluminium-the-critical-raw-material-acts-blind-spot/
レアアース磁石のリサイクル企業が実証プラントを稼働しています。元々アイルランドのクイーンズ大学で技術開発され、その後スピンアウトしたIonic Technologiesは最近レアアースの永久磁石のリサイクル実証プラントを稼働しました。同社の技術は特許取得済みのもので湿式冶金法により希土類元素(REE)を抽出し、内部の個々の磁石REE(ネオジウム(Nd)、プラセオジム(Pr)、ジスプロシウム(Dy)、テルビウム(Tb))の元素を分離、その後、高純度に精製します。生成物は磁石希土類酸化物(REO)となります。精製されたREOは純度が99.9%以上です。同社は昨年オーストラリアの多国籍企業Ionic Rare Earths Ltdによって買収されており、レアアース磁石のリサイクルは世界的に非常に注目されています。
▶ https://www.irishnews.com/business/2023/06/20/news/ionic_s_innovative_magnet_recycling_technology_moves_uk_s_energy_transition_closer-3363015/
中国のEV関連と電池メーカーの対外投資が継続しています。中国EVメーカーのSkywellはトルコに合弁で電池工場を建設する事を発表しています。合弁はトルコのディーラーでもあるUlubaşlar Groupで、投資額は総額5000万ドルです。場所は特定されていませんが、将来電池工場に車輌組立工場を併設する可能性に言及しています。また、中国の電池大手CATLはボリビアでのリチウム開発の為、ボリビアに14億ドル(約2,000億円)を投資する事を発表しています。CATLは現在、直接リチウムを生産していませんが、多くの中国によるリチウム・プロジェクトに投資しています。政府ロビーと一体となった原料確保の流れは、当面続くものと見られています。こうした流れもあり、英国では電池やグリーンテックに関して中国に過度に依存する事を警戒する動きが出ています。
▶ https://www.dailysabah.com/business/automotive/chinese-ev-skywell-maker-agrees-deal-to-build-turkiye-battery-plant
▶ https://www.reuters.com/markets/commodities/chinese-battery-giant-catl-seals-14-billion-deal-develop-bolivia-lithium-2023-06-19/
インドでは鉄スクラップに対し、常に安価なDRIとの競合が続いており、スクラップ需要がDRIとの価格差による構造である事が伝えられています。
▶ https://www.fastmarkets.com/insights/cheap-dri-hindering-steel-scrap-in-india-low-carbon-push
英国でスーパーマーケットや大手飲料会社がプラスチック包装の追跡を行い、リサイクルに活用する取り組みを本格的に7月より開始します。この技術は英国のPolytagがシェフィールド大学の先進製造技術研究センターと協力して開発したもので、通常では目に見えない2DのUVタグをボトルに印刷し、リサイクル工程でこのタグを読み取ります。今回は水や乳製品のボトルを中心に行われており、リサイクルを担当しているのは、英国の大手リサイクラーであるBiffaです。この取組には複数の大手のスーパーや食品業者が含まれています。現在、容器のトレサビ技術として本格的に運用が期待されているものは、「電子透かし」を利用するもの、画像のデータを蓄積しAIが学習機能を利用して選別するもの、そしてこのUVタグの3つがあります。AIとデータセットを組み合わせたものだけが、事前の印刷や読み取り装置が必要なく、欧州では非常に注目されています。
▶ https://www.polytag.co.uk/aldi-teams-up-with-polytag-to-gain-more-recycling-information/
論争となっているEU自然再生法はEU加盟国によって承認され、今後議会に送られる予定です。20日に法案推進の可否がEU加盟国の環境大臣らによって投票に掛けられ、何とか賛成票多数で進める事になりました。この法案は欧州域内の荒廃した土地と海域を修復する事で生物多様性損失をリカバリーさせる事を目的としています。法律は農地、森林、海洋、淡水域、都市生態系を含む特定の地域における自然回復の法的義務を定めています。今回の合意文書によるとEU各国は2030年迄に陸域、沿岸域、淡水域、海洋生態系における絶滅の危機に瀕している生息地の、少なくとも30%に対して回復措置を講じる必要があります。これは欧州委員会が提案している全てのエリアではなく、修復が必要となる総面積の30%に適用され、2040年までに60%、2050年までに90%にその割合が増加します。この法案は経済活動との両立の議論が続き、多くの修正が加えられており、当初の目的からはだいぶ緩和されたものとなっています。
▶ https://www.consilium.europa.eu/en/press/press-releases/2023/06/20/council-reaches-agreement-on-the-nature-restoration-law/
カード決済の国際的な大手であるマスターカードは、流通している数10億枚のクレジットカードとデビットカードをリサイクルする世界的なプロジェクトを立ち上げました。マスターカードによると現在約31億枚のマスターカードが流通しており、カード業界全体では毎年約6億枚のカードが発行され、その平均寿命は約5年と推定されています。世界で2022年に流通したカードの総枚数は約260億枚に達し、2027年までに284億枚に増加する可能性があると予測しています。プロジェクトは英国のHSBCで開始され、世界中のパートナーネットワークにこれを導入するよう要請しています。
▶ https://www.mastercard.com/news/perspectives/2023/shredding-a-myth-about-recycling-it-s-time-to-tackle-first-use-plastic-cards/
スイスのジュネーブで国際自動車リサイクル会議が開催されています。基調講演とプログラムは下記のリンクで確認できますが、内容はこれからウェブサイトとYouTubeにあげられる予定です。今年のプログラムでも炭素排出、循環経済性、材料の3つがプログラムに入っています。少し残念なのはパネラーに韓国、中国の方が居るのですが、自動車生産大国である日本からは1人も出ていないという事です。
▶ https://events.icm.ch/event/e2e5c27c-ff22-4918-b685-0b07aa604ddf/websitePage:80b50054-5359-4e0a-8382-2b5598a6f0a7?gclid=CjwKCAjwv8qkBhAnEiwAkY-ahoAc0UPHv4xDkTlUz-X9Kf8vZIevy6ZcZ8t68Jb7Sm7LMgCP8-NUcBoCRHoQAvD_BwE
▶ https://www.youtube.com/@ICMRecycling/videos
今年初めてEVが天然黒鉛(天然グラファイト)市場の50%以上を占めると予想されているなか、欧米の自動車メーカーは中国以外からの黒鉛のサプライチェーン確立に動いています。現在マダガスカルやモザンビーク等の新規生産国との関係強化を図る事で、供給ルートの多様化を目指しています。欧米での天然黒鉛向けの投資は殆どなく、自動車メーカーは供給に大きな支障をきたす事が予測されています。EVには平均してバッテリーパックに50~100kgのグラファイトを必要とし、その量はリチウムの約2倍となります。現在まで黒鉛の主な用途は鉄鋼生産です。2030年までにEVの販売台数は現在の3倍以上になる為、原料の不足は更に深刻化する可能性があります。鉄鋼原料の価格にも影響する可能性があります。
▶ https://www.reuters.com/business/autos-transportation/auto-firms-race-secure-non-chinese-graphite-evs-shortages-loom-2023-06-21/
世界第3位のポリオレフィンのメーカーであり化学グループのLyondellBasellはプラスチックのリサイクルに投資を加速している Mensing Groupと共同で、使用済みPE包装フィルムをリサイクルしペレットを製造する合弁会社を設立しました。軟質包装の廃棄物はリサイクルが困難で法律での規制が大きな議論を呼んでいます。今回両社が設立するリサイクル合弁会社(LMF Nord GmbH)はドイツで事業を行い、投資額は3,000万ユーロ、ペレット生産量は年間26,000トン、生産開始は2025年初頭を計画しています。LyondellBasellは既に機械的にリサイクルされた材料であるCirculen Recover製品群を持っています。Circulen Recover製品は電気製品から洗剤のボトルやスーツケースに至るまで、様々な製品の原料として使用されています。
▶ https://www.lyondellbasell.com/en/news-events/corporate–financial-news/new-joint-venture-to-boost-circularity-of-secondary-plastic-packaging/
産業向けに木材とバイオマスをベースとしたソリューションの開発、製造を行うフィンランド/スウェーデンのStora Enso社は飲料用包装の大手Tetra Pack(テトラパック)社と共同で飲料用紙パックの大規模なリサイクルをポーランドで行います。投資額は3,200万ドル、年間処理能力は50,000トンです。最先端のラインはプラスチックやアルミニウムから紙を分離し、飲料用紙パックの紙のみを処理します。回収された紙(繊維)は段ボールの材料にリサイクルされ、新しい紙パッケージ用の材料として利用します。使用済みの紙飲料パックは、ポーランドだけではなく、近隣諸国であるチェコ、ハンガリー、スロバキア、ラトビア、エストニア、リトアニアからも収集されます。欧州の「飲料紙パックと環境の為の同盟(ACE)」は、2030年迄にEUの飲料紙パックの回収率を90%、リサイクル率を70%に高めるという目標を掲げており、両社の投資はこれを達成する為の取組の1つです。また現在改訂案が提示されている「EU包装及び包装廃棄物指令」の拡大生産者責任に対応するものです。
▶ https://www.storaenso.com/en/newsroom/press-releases/2023/6/one-of-europes-main-recycling-hubs-for-beverage-cartons-starts-operations-backed-by-stora-enso-and-tetra-pak
Asia Financialが「LFP が電気自動車に最適なバッテリーになる」と題する短い記事を上げています。現在ノルウェー、イスラエル、韓国、及び中国の電池メーカーはLFP向けの材料、部品、電池の生産工場を米国に建設する計画を持ち、一部はエネルギー貯蔵システム用として利用される予定です。技術的な進歩によりLFPのEV向けへ仕様が確立されつつあり、低価格EVの製造に対する自動車メーカーの関心が高まっています。またリン酸鉄リチウム(LiFePO4またはLFP)バッテリーが人気を得ている理由には鉱石採掘時の環境問題やコバルトを取り巻く地政学的な懸念が上げられています。
▶ https://www.asiafinancial.com/lfp-becoming-the-battery-of-choice-for-electric-vehicles
欧州委員会はアルセロール・ミタルに提供する巨額の援助を承認する事を決めています。援助は2億8000万ユーロで、目的は鉄鋼生産の部分的脱炭素化です。援助は直接の補助金とローンの形で行われ、直接還元鉄(DRI)工場の建設を支援するものとなります。DRI工場は、新しい電気炉との組み合わせで、現在ある2つの高炉の内の1つを置き換わる事になります。天然ガスは鉄鋼生産プロセスから段階的に廃止されます。最終的には新設工場は再生可能水素(グリーン水素)を利用する事を目標とし、グリーン水素が十分にない場合には「低炭素水素」を補完的に利用します。この水素DRIプラントは2026年に稼働開始予定で、年間230万トンの低炭素直接還元鉄を生産することが見込まれています。
▶ https://ec.europa.eu/commission/presscorner/detail/en/ip_23_3404
欧州の大手企業6社が、韓国の電池関連産業に9億4000万ドル規模の大規模な投資を行う事が伝えられています。この投資の発表はフランスを訪問中のユン大統領が出席する式典で行われています。投資する企業はフランスの工業用鉱物加工会社のイメリス、ベルギーの材料技術会社のユミコア、ドイツの自動車部品製造会社のコンチネンタル、英国の先端材料会社のナイラキャスト、デンマークとノルウェーの再生可能エネルギー会社コペンハーゲン・インフラストラクチャー・パートナーズ(CIP)及びエクイノールです。イメリスは二次電池向けのカーボンブラックの生産ラインを建設し、ユミコアは正極材生産施設を立ち上げる計画です。またコンチネンタルは韓国に自動車部品生産施設を建設する事を目指しています。ナイラキャストはポリマーの生産施設を立ち上げ、エクイノールとCIPは風力発電施設を建設する予定です。
▶ https://www.kedglobal.com/business-politics/newsView/ked202306220012