NEWS
NEWSCONの気になるNEWS(2023年3月第1週)
先月倒産した英国の新興LIB製造大手メーカーのBritishvoltが豪州のエネルギー貯蔵技術開発企業であるRecharge Energyに買収されました。Recharge Energyは、ニューヨークの投資ファンドが所有している新興企業です。所有者が変わった後もBritishvoltのブランド名は維持されますが事業の方向は大きく変換します。Recharge Energy社は豪州でエネルギー貯蔵用バッテリー技術を開発しており、新生Britishvoltもエネルギー貯蔵用のバッテリーの開発と製造に焦点を当て再スタートする計画です。Britishvoltは英国北東部のブライス地区にあり、ノルウェーから再生可能エネルギーを受けるグレート・ノース・シー・リンクの接続点で、更に英国最大の風力発電ファームであるドガ―・ファームに隣接しており、再生可能エネルギーの入手性が高いという利点があります。欧州で中韓以外のEV用LIB企業が相次いて製造開始を延期している中での方向転換となります。
▶ https://www.bbc.co.uk/news/business-64754879
欧州環境庁(EEA)がブリーフィングペーパーを発行し、EU からの古着の輸出が2000年の55万トン強から 2019年に約170万トンへ 3倍になった事が報告されています。2019年の輸出量は1人当たり3.8KgでEUの1人が消費する繊維の25%に相当します。EUの古布(着)の46%が「最終的に」アフリカに辿り着いて中古で販売されるか最終処分されています。41%がアジアに輸出され、専用の経済特区で選別・加工され工業用のウエスや詰め物にダウンサイクルされるか、他国に再輸出されます。EEAは別レポートにより「この状況には注意が必要な事」を伝えています。繊維産業への規制が近い事もありこうした公式データが相次いで出るようになりました。
▶ https://www.eea.europa.eu/highlights/used-textiles-are-an-increasing
米国のNY州で「パッケージ削減、及びリサイクルインフラストラクチャ法」と呼ばれる法案が提出されています。この法案では対象の包装材や製品を販売、配布する企業に対し、包装材の削減、再利用可能な包装の推進、及びリサイクルインフラの改善を要求します。包装材を製造販売する企業は、地方自治体のリサイクルを財政的に支援し、生産者自身が廃棄物管理に責任を負う事を求めます。法案は包装材料の生産者に対し、3 年以内に包装重量を10%、5年後に20%、8年後に30%、10年後に40%、12年後に 50%削減するよう求め、リサイクル材料を新製品に利用(含有)する比率も規定しています。
▶ https://www.nysenate.gov/newsroom/press-releases/pete-harckham/harckham-local-elected-officials-announce-support-packaging
リサイクルが困難で殆どが埋立てられている複合素材の風力発電ブレードに関して、欧州複合材産業協会(EuCIA)が、風力タービンブレードのガラス繊維複合材のリサイクルシステム開発を目指すEUプロジェクト「REFRESH」への参加を発表しています。REFRESHプロジェクトは欧州政府が資金を提供しており、廃棄されたタービンブレードを機械的にリサイクル処理した後、熱処理よって再生する事を目指しています。風力発電と太陽光発電は廃棄された後の使用済み製品の多くの部分でリサイクルが困難であり、今後10-20年後に新たに発生する大量の廃棄物問題は大きな課題となっています。
▶ https://eucia.eu/news/eu-funded-refresh-wind-blade-recycling-project/
中国の政府系メディアである新華社が公式データを発表し、2022年の中国のリチウムイオン電池産業が急拡大した事を伝えています。中国の新エネルギー車(NEV)用動力電池の昨年の設置容量は、何と約295GWhに達しているという事です。リチウムイオン電池関連の輸出は、前年比86.7%増の3,426.5億元でした。中国のリチウムイオン電池の総出力(生産能力)は 2022年に750GWh を超え、対前年比でも130%増加しています。この話とは直接関係ありませんが、同じ新華社が本日興味深いビデオリンクを掲載しています。「増大する貿易の流れによって押しつぶされたデカップリング理論」というタイトルで、中国と欧米を含む世界との貿易量は増え続けており、米国の政治家が宣伝する「デカップリング論」とは反対の方向に実際には動いている、という主張です。電池やグリーンテックの製品輸出は急増しており、戦争を機に欧米で中国警戒論が高まる中、今後どのような影響があるかは慎重に判断する必要がありそうです。特にグリーンテック製品の現在の需要家である西側先進国が中国製品の排除を進める中、どのような方向になるのかは慎重に見定める必要がありそうです。
▶ https://english.news.cn/20230226/7b157ed4d3204f7e9a33dfab028b27a9/c.html
▶ https://english.news.cn/20230227/11bcc0f4390947ef83485ac0e85fc8c7/c.html
2月24日、米国政府は正式に3月10日からロシアからのアルミニウム及びその派生品の輸入に200%の関税を適用すると発表しました。また4月10日からは、ロシアで製錬または鋳造された一次アルミニウムを原料として含んでいるアルミニウムに200%の関税を課します。中国製、ベトナム製などの製品には影響が出そうです。米国のアルミニウム総輸入量に占めるロシアからの直接輸入は約3%しかなく、大幅な市場への影響は無いと市場は見込んでいないようです。その他では多種類の鉄鋼製品、銅、鉛、チタンも、2023年4月1 日から70%の輸入税の対象となる予定です。米国政府は幾つかのニッケル製品にも関税を課しています。ただし米国の総輸入量の35%をロシア産で占めるパラジウムに関しては、まだ制裁対象の動きは無いようです。
▶ https://www.inventiva.co.in/trends/tariff-on-aluminum/
▶ https://steelnews.biz/tariffs-on-nickel-aluminium-other-metals-doubled/
米国で鉄スクラップの価格上昇圧力が強まりつつある事をRecycling Todayが伝えています。上昇圧力の要因はトルコ地震の再建による膨大な鉄スクラップ需要と米国内での発生の減少の両方によるものと分析しています。これにより米国の鉄鋼メーカーであるCleveland Cliffは27日に熱間圧延炭素鋼、冷間圧延鋼、メッキ鋼板のスポット価格をトン当たり最低100ドル引き上げました。今月に入って既に3回目の値上げで、6日前にも100ドル値上げしたばかりでした。短期間で製品の大幅な値上げとなっています。トルコの倒壊/半倒壊家屋はある程度調査ができる範囲で最大68万棟と云われており、再建時には耐震補強建築による鉄筋・セメントの大幅需要が数年続くと見られています。世銀の試算では直接被害だけで4兆5,000億円以上、独裁色の強いエルドアン大統領の復興支援への遅れに批判も高まっています。
▶ https://www.recyclingtoday.com/news/steel-usa-turkey-output-recycling-demand-pricing-february-2023/
▶ https://www.clevelandcliffs.com/news/news-releases/detail/574/cleveland-cliffs-announces-price-increase-for-hot-rolled
インドの大手自動車メーカーであるTataがパートナーを通じて自動車解体業に進出します。解体事業は協業するGanganagar Vaahan Udyog Pvtで行われ、処理台数は乗用車と商用車を合わせて年間15,000台です。Tataはインドを南アジア地域の「車両廃棄ハブ」とする事に取り組んでおり、最先端のリサイクル工場を目指しています。工場は完全なデジタル&ペーパーレスでタイヤ、バッテリー、ガソリン、オイル、液体、ガス等、要素部品毎に分解するピットで解体されます。2月初頭に開催された第10回国際インド材料リサイクル会議ではインドの連邦大臣がスクラップの重要性と囲い込みを言及したばかりで、インド国内でのスクラップ生産は今後近代化されると言われています。
▶ https://www.businesstoday.in/auto/story/tata-motors-unveils-its-first-vehicle-scrapping-facility-in-india-check-details-here-371735-2023-02-28
カナダのLIBリサイクル大手企業 Li-Cycle社が米国のエネルギー省からUS$3億7,500万(約490億円)の条件付き融資を得た事を発表しています。この資金はニューヨーク州にLIBのリサイクル工場を建設する為に使用する計画です。同社によると工場がフル稼働すれば、年間20万台分のEVのバッテリーを処理する能力を持つ予定です。同社はグレンコア、投資会社のKoch Strategic Platforms、韓国のLG Chem からも戦略的投資を受けています。
▶ https://www.cnbc.com/2023/02/27/lithium-battery-recycler-li-cycle-gets-375-million-loan-from-doe.html
ただしLi-Cycleについては事業実態に疑問の声も多々ありました。2022年3月に投資会社のBlue Orca CapitalがLi-Cycleに関するレポートを発行し、Li-Cycle社は同社がプレスリリースで示すほど財務状況が安定していないことを指摘していました。独自の収益を設定して販売在庫の価値をマークアップし、売上から得た利益を「運用」していると思われる旨を指摘していました。その後Hagens BermanとJohnson Fistelの2つの法律事務所はLi-Cycle に関連して損失を被った投資家を救済するよう求めています。Blue Orca は当時Li-Cycleが50万ドルの投資家資金を家族に流用したと主張していました。更にLi-Cycle社が短期的に10億ドルの資本を必要としており、マイナスの粗利益を隠匿し、環境、社会、ガバナンス(ESG)への取り組みにも疑問を呈していました。理由はLi-Cycleの顧問、大株主、及び企業コンサルタントが人権問題で告発されていたタンザニアのダイヤモンド鉱山を所有していたからです。ただし米国の証券取引委員会(SEC)は本件の調査を行っていません。現状の欧米LIBリサイクル企業の実態は宣伝される程良いものではないという典型的な例でした。
▶ https://www.silverlaw.com/blog/li-cycle-holdings-licy-alleged-to-have-broken-business-model/
▶ https://resource-recycling.com/e-scrap/2022/03/31/li-cycle-investigated-by-law-firms-for-accounting-methods/#:~:text=Blue%20Orca%20said%20that%20Li,Texas%20energy%20company%20Enron%20Corporation.
自動車販売台数で世界5位の大手自動車メーカー連合であるフィアット/クライスラー(FCA)とフランスのプジョー/シトロエン(PSA)の合弁会社ステランティス(Stellantis NV)が、アルゼンチンのサンファン州にある世界最大級の未開発の「銅鉱床」への投資を行う事が報じられています。投資は鉱業起業家Rob McEwenが経営する会社McEwen Copperの株式を取得する事で行われ、投資額は1億5000万ドル強です。現在、米ゼネラルモーターズが鉱業大手のVale SA のベースメタル部門の株式取得を検討し、テスラがカナダのリチウム企業Sigma Lithium Corpの買収を検討していると噂される中で行われたこの投資は、自動車メーカーが本格的に金属鉱脈まで投資を広げ、主要な金属権益を抑えなければEV戦争に勝てないという雰囲気の現れと言えます。
▶ https://www.mining.com/web/stellantis-buys-into-argentina-copper-in-race-for-battery-metals/
ドイツが欧州政府に対し、2035年以降もカーボンニュートラル燃料の内燃エンジン車を欧州で販売可能とするよう要請しました。これはEUの運輸・エネルギー大臣会合に出席したドイツの運輸大臣が発したもので、E燃料や再生可能燃料をエンジン車で利用できる案を提出する必要がある、と述べています。EUの運輸委員は運輸産業の多くがドイツの懸念を共有しており今後も議論は続くとの見解を示しています。この2日前には、自動車産業を持つイタリアの産業大臣が同じく自動車産業を持つドイツ、フランスと協力して、排出ガス削減に関する欧州連合の法律に「影響を与え」そのペースを遅らせる意向を示しました。自動車産業が盛んなチェコの業界団体も早急な規制強化には反対しています。2024年に次のEU議会選挙ありますが、現在の議員の多くは欧州がグリーン化で「イケイケ」だった2019年の選挙で選出された議員で、その当時はエネルギー危機や移民問題等の国内問題が山積した状況ではありませんでした。2024年の欧州議会選挙で流れが若干変わる可能性があります。2020年以降のフランス、スウェーデン、イタリアの選挙では保守・右派が躍進し、ドイツの地方選でも政権党が相次いで負けてきました。国別の欧州議会の議員数割当ではドイツ、フランス、イタリアがトップ3でイタリアの産業大臣は「2024年の次のEU議会選挙が終わるまでEURO排ガス案と2035年の内燃機関車販売停止の2つの法案の承認を遅らせる」としています。
▶ https://europe.autonews.com/environmentemissions/germany-asks-eu-green-fuel-exemption-after-2035-engine-ban
欧州委員会が繊維ファッション産業向けの規制案を3月末に発表する予定です。欧州委員会の環境委員Virginijus Sinkevičius氏が述べたもので「企業が必要な数の製品のみを製造できるようにしたいと考えている。製造量の制限を課すことはせず、代わりに企業が持続可能であると見なされるように自らを監視するよう求めるだろう。衣類、織物、靴を市場に出すと、それを回収しなければならない」と述べています。この発言は拡大生産者責任が適用される可能性が高い事を示唆しています。この流れに合わせ、欧州環境庁(EEA)が、使用済み繊維製品の輸出に関するEUの傾向と題した調査報告を発表しています。現在、繊維廃棄物は中古品との区別なく輸出されている実態があります。
▶ https://www.reuters.com/business/retail-consumer/home-zara-fast-slow-fashion-collide-2023-02-28/
▶ https://www.eea.europa.eu/highlights/used-textiles-are-an-increasing
英国政府が2024年から包装廃棄物に拡大生産者責任を課す為、売上高が200万ポンド/年を超え、毎年50トン以上を生産する事業者は、2023年10月1日に生産量に関する報告書を事前に英国環境庁に提出する必要があります。2023年2月28日は、その量を計算する開始日として英国政府が注意喚起を行っています。英国はこの制改革により、包装材製造企業はリサイクル可能な材料の使用を増やさなければなりません。それにより一般廃棄物の量を減らし納税者からコストを削減します。これは現在懸案になっている欧州の包装及び包装廃棄物指令案に先んじるもので、特にリサイクル出来ないプラスチック廃棄物の削減に向け、大きな制度改革が進められています。
▶ https://www.gov.uk/government/news/businesses-urged-to-get-ready-for-reforms-to-cut-packaging-waste
国際会計士連盟(IFAC)と国際公認会計士協会によるESG開示と保証慣行(assurance practices)に関するレポートによると、多国籍企業の95%(2021年)がESGに関する事項を開示しており、その割合は急速に高まっています。現在、国際持続可能性基準委員会(ISSB)の一部である持続可能性会計基準委員会(SASB)が設定している基準を使用している割合は、2020年に比べて2021年に29%増加し、TCFDも30%増加しています。この調査では対象となった企業の86%が複数の基準とフレームワークを使用して持続可能性に関する情報を提示していることがわかりました。ただしESGデータに対して誰が保証を提供できるかについての制限が無い場合もあり、57% が監査法人によって実施されたことがわかりました。
▶ https://tax.thomsonreuters.com/news/nearly-all-large-global-companies-disclose-esg-information/
世界銀行グループ(WBG)はアメリカが率いており、そのトップはアメリカが決め、国際通貨基金(IMF)は基本的に欧州が率いてトップも欧州が決める、というのは歴史的慣行です。先月中旬にWBGで「事件」がありました。現在の世界銀行の総裁はデビッド・マルパスで、彼は、2019年にトランプ政権の後押しで総裁に就任しています。その流れですので、当然「気候変動」や「脱炭素」という取組にはあまり積極的でなく、例のNRDC(天然資源防衛評議会:事実上米国の環境政策を仕切るNGO)によって猛バッシングを受けてきました。そのデビッド・マルパスが、任期を1年残し辞任すると発表しました。即座にNRDCがHP上で「気候変動に対処するコミットメントが不十分の為、NRDCなどによって求めた動きでデビッド・マルパスが辞任します」とコメントを掲載しました。NRDCは米国で屈指のロビー力を持つリベラル系のNGOで自らこのようなコメントを掲載する事自体、マルパスに対する嫌悪感が露わになっています。去年「デビッド・マルパスは気候と開発の失敗です」というブログをHPで掲載していました。マルパスは気候変動の否定者というレッテルを貼られ、米国の左派から事ある毎に批判を浴びてきましたが、右派には協力者が多数いました。現在「気候変動」というのは投資の動機になっており、リベラル系の投資機関の目の上のたんこぶであったマルパスを次期米大統領選前に交代させるという事は、気候変動を軸に投資している金融大手をバックに持つ米左派の勝利でもあります。この辺りの動きを見ると一層、気候変動の投資動機が盛り上がると思われます。
▶ https://www.reuters.com/business/who-could-replace-world-bank-president-david-malpass-2023-02-23/
▶ https://www.nrdc.org/media/2023/230215-1
EV用ナトリウムイオン電池の利用が加速しています。数日前に中国のHina BatteryはJACとVolkswagen Anhuiの合弁会社Sehol社向けにナトリウムイオン電池セルのテスト生産を開始しました。中国のバッテリーメーカーであるFarasis Energyは江西省で計画している新工場の三元系LIBの生産ラインの一部をナトリウムイオン電池の生産ラインに転換し、ルノーが過半数を所有するJiangling Motors Electric Vehicle (JMEV)にEV用電池の供給を行います。電動スクーター会社のNiuはナトリウムイオン電池を搭載したモデルを発表しています。スウェーデンではAltrisが工業用ナトリウムイオン電池のカソード材料の生産計画を発表し、米国ではナトロン・エナジーとクラリオスの協力により、ナトリウムイオン電池の生産プロジェクトも具体化しています。ナトリウムイオン電池はLIBよりも安価ですが、エネルギー密度が低く、定置型蓄電池やマイクロモビリティで使用されています。今後もこの分野での普及が見込まれています。
▶ https://www.electrive.com/2023/03/01/sodium-ion-batteries-deployed-in-china-with-renault-partner/
日本が最も多く発電用の木質ペレットを買う米国のEnvivaが決算を発表しています。2022年通期の純損失はUS$▲168.4 mil、繰延粗利益を含めた純利益はUS$107.9 mil、調整後EBITDA はUS$155.2、繰延粗利益を含めたEBITDAはUS$88.9、2023年の予測は純損失がUS$▲48.0~US$▲18.0 mil, 調整後EBITDAはUS$305–335 milとしています。会社形態が株主納税優遇措置があるマスター リミテッドパートナーシップから通常の株式会社に変更した最初の年となります。決算発表後の3月1日は株価が13.4%下落、MarketScreenerによる投資判断は5つ星中1.5、ESG RefinitvはD+の評価となっています。木質ペレットは材料である森林木材の規制とロシア産の流通量が欧州で低下している事もあり、高値が続いています。
▶ https://www.marketscreener.com/quote/stock/ENVIVA-INC-22033571/ratings/
廃棄物から有害物質を取り除き作られる固形回収燃料(SRF: Solid Recovered Fuel)や廃棄物個体燃料(RDF: Refuse Derived Fuel)の需要が2030年まで年率3.4%で増加し60 億㌦に達する事が予測されています。多くは今後アジア太平洋地域で市場が形成していく予定です。一般的にSRFは化石燃料に代わる高品質の回収燃料で主に紙、木材、繊維、プラスチック等の商業廃棄物(建築廃棄物含む)から生成されます。RDFは日本のRPFと類似しており、選別、破砕、脱水工程後に固形化されるごみ由来の固形燃料です。 現在は欧州が最大の市場シェアを持ち、アジア太平洋がそれに続きます。ドイツ、英国、フランス、それらの近隣諸国では SRFの 生産者が多く存在し、二次燃料を使用してエネルギーを生成する方向(ごみ発電)へのシフトが進んでいます。今後、北米、ラテンアメリカ、中東でも廃棄物の埋め立てを減らし環境負荷を低減する動きから、投資が伸びる可能性があります。化石燃料の削減から廃棄物由来の固形燃料への需要が増加しています。最も大きな需要家はセメント製造企業となります。
▶ https://www.globenewswire.com/news-release/2023/02/27/2616443/0/en/Solid-Recovered-Fuel-Market-Is-Expected-To-Reach-around-USD-6-00-Billion-by-2030-Grow-at-a-CAGR-Of-3-4-during-Forecast-Period-2023-To-2030-Data-By-Contrive-Datum-Insights-Pvt-Ltd.html
オーストラリア戦略政策研究所(ASPI)が興味深い調査結果を発表しています。中国は重要な新技術分野で驚くほど他国をリードしており、欧米民主主義国家は更に協力する必要があると警告しています。防衛、宇宙、エネルギー、バイオテクノロジーを調査したASPIによると、対象44の新技術の37の内、中国がリードしており、幾つか分野では世界トップ10の研究機関が中国に拠点を置いている事が明らかになっています。米国は高性能コンピュータ、量子コンピュータ、小型衛星、ワクチンで世界的な研究をリードしているものの、多くの場合2番目にランクされていることが判明しました。ASPIの調査では特許取得の可能性が高い引用科学論文を追跡しています。中国は合成生物学、電池、5G、ナノ製造などの10分野で独占的に台頭する可能性が高い事を示しています。中国は海外で得た知識で研究を強化しており、データでは中国のトップ研究者の5分の1が「ファイブアイズ」で学習・訓練を受けていることを示しています。この調査では、違法な技術移転を制限し安全保障同盟国との国際協力を促進するために、ビザ審査プログラムを推奨しています。
▶ https://www.aspi.org.au/report/critical-technology-tracker
ステランティスのCEOやドイツの運輸大臣、イタリアの閣僚等が「再生可能燃料の使用」を要求している欧州の「2035年内燃機関車販売終了」の方針について、Forbsがレポートを掲載しています。この規則は中国のEVが大衆車市場で欧州の製品を凌駕する為、欧州の自動車産業は経済と雇用で大きな打撃を受ける可能性がある、と警告しています。ガソリン車排除規制は環境保護団体から称賛を受けていますが、欧州メーカーは高級ブランド車以外で競争力が無く、大衆車では中国製EVに敵わない為に、結局EU自らが作り出した規制で危機に直面する事になります。批評家はEV化はグリーン経済を促進するという考えを宣伝していますが、それを達成するまでの長い過程で自国の自動車産業を荒廃させ、国内市場の大きなシェアを中国企業やテスラに引き渡すことになると分析しています。中国は既に世界クラスのバッテリー技術と重要な材料のサプライチェーンを持ちEV製造で大きなリードを持っている為です。ドイツの調査機関シュミット・オートモーティブ・リサーチも同様に欧州市場への中国メーカーの侵入の可能性が非常に大きいことを指摘しています。
▶ https://www.forbes.com/sites/neilwinton/2023/03/01/eu-electric-car-insistence-exposes-auto-industry-to-existential-threat/?sh=5280baf5154f