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NEWSCONの気になるNEWS(2023年12月第1週)

COP28の期間中にG7や韓国等、28ヶ国が参加する「気候クラブ」が立ち上がりました。気候クラブはグリーンスチール、産業の脱炭素化、国際パートナーシップという3つを主要なテーマにする予定で「グリーンスチール」の世界的な定義を確立したいと考えています。クラブに参加した国は、グリーンスチールに向けた投資を加速する為、鉄スクラップにも確実に影響が出ると思われます。また同クラブではクリーンな工業生産品の需要を高めるための「リード市場」の創設や、気候政策がそれほど厳しくない国への企業の移転を避ける為の「炭素リーケージ」に関する対話を行う予定です。「気候クラブ」はドイツ政権が2022年1月のG7首脳会談で提案したもので、パリ協定を加速する為に昨年12月に発足していました。しかし世界最大の鉄鋼生産国である中国とインドは、このクラブに参加していません。気候クラブに参加しない一部の国は、気候クラブは、自称「野心的な」気候政策を掲げる国々のためのフォーラムに過ぎないという評価をしています。
https://www.miragenews.com/president-von-der-leyen-launches-climate-club-1135481/

米国財務省はIRAによるEV税控除対象から除外する「外国懸念対象事業体(FEOC)」の規則を発表しました。外国懸念対象事業体(FEOC)として分類される所有権の基準は25%となっています。例えば中国の対象企業が25%以上の出資比率がある場合は、その企業は対象となります。この規制は来年からバッテリー部品に適用され、2025年にはバッテリー原材料のサプライヤーにも適用される予定です。2024年以降、FEOCによって製造または組み立てされたバッテリー部品を搭載した車両は税額控除の対象から外されます。その為、この規則は業界に大きな影響を及ぼします。ただし購入ではなくリースされるEVとハイブリッド車は対象になりません。財務省は追跡システムの開発等、自動車メーカーが規則を遵守する為の時間を与える調整も行いました。この規則により短期的には7,500ドルのIRA税額控除の対象となる車種が減少すると予想されています。
https://home.treasury.gov/news/press-releases/jy1939
https://www.bloomberg.com/news/articles/2023-12-01/us-sets-stringent-limits-on-chinese-content-for-ev-tax-credit

超高圧水破砕によるタイヤリサイクル技術が注目を集め出しています。ウォータージェットを使用してウォータージェットクラム(水破砕ゴム粉)を生成するEoLタイヤの造粒は比較的新しい技術です。この方法は20年以上前に提案されましたが、水を適切な圧力(2000 bar以上)まで加圧するエネルギーが必要な為、商業利用に向かず、現在はTBタイヤにのみ一部使用されています。この水圧破砕方式を商業利用に向けて開発・テストを行う新興企業Re-Tyre社は、最近業界から注目され始めています。同社の特徴は、特WO2014013233A1に基づく技術と装置の小型化(20Fコンテナサイズ)及び効率化にあります。同社は同技術のライセンス先を募集しています。
https://patents.google.com/patent/WO2014013233A1/en
https://www.tyreandrubberrecycling.com/articles/news/retyre-brings-a-technology-that-could-change-the-recycling-model/

苦しい状況にある欧州の鉄鋼業界は、共同声明を発行しています。欧州産業連合と欧州鉄鋼生産者協会(EUROFER)は、高いエネルギーコストと輸入材との競争の中、グリーン化を推進する為に政府の協力を求める声明文を発行しました。声明ではグリーン化の為に法的支援、資金へのアクセス、公正なエネルギー価格設定を求めています。それらを政府が実施する事で鉄鋼労働者の生活を守り、業界の競争力を確保しながら、グリーン及びデジタルへの移行を成功させることが出来ると訴えています。
https://www.eurofer.eu/news/joint-statement-european-social-partners-commit-to-working-towards-a-competitive-transition-of-the-european-steel-sector

COP28で「鉄鋼規格原則」が発表されました。この原則は、鉄鋼産業におけるGHG排出の測定方法を規定する事が目的で作られました。この規格を主導するのは、Responsible Steel(責任ある鉄鋼:規格及び認証)で、業界の脱炭素化を世界的に推進する為に必要な共通基盤を確立する為に生まれた組織です。今まで鉄鋼部門内のGHG排出量の測定に関する世界共通の方法論を確立する事が求められてきました。WTOと35を超える世界の鉄鋼業界団体はこの原則を支持しています。正式な原則の発表は12月5日を予定しています。炭素を軸とした鉄鋼の保護貿易化の1つとも言えます。鉄スクラップの価値を上げる事に繋がります。
https://www.responsiblesteel.org/news/steel-standard-principles-launch-at-cop28/

米国政府によるEV関連の「懸念国企業規制」は韓国企業に影響を与えています。韓国EV電池関連企業は今年相次いで中国企業との合弁計画を発表してきました。LGエネはコバルト生産世界1位の中国華友コバルトと8月に廃バッテリーのリサイクル合弁法人を設立、SK Onはエコプロマテリアルズと共同で中国の格林美(GEM)と総額1兆2100億ウォンの(GEM50%)の合弁企業を計画、PoscoフューチャーMは中国CNGRと前駆体の合弁会社を推進(CNGR80%)、PoscoホーディングスはCNGRとニッケル精製工場を計画(CNGR40 %)で、何れも米国の規制上限である中国企業の出資比率25%を上回っています。米国の規則に対応する為には韓国企業による株式買い入れや追加出資が必要となり、数千億ウォンが必要と予想されています。韓国バッテリー産業協会の関係者は「韓国企業は米国の自動車メーカーと中長期契約を結んでおり、今回の規制で韓国の立地が揺らぐ可能性は小さいが、鉱物別に対応戦略を推進する必要がある」との見解を示しています。
https://s.japanese.joins.com/jarticle/312228

スウェーデンのノースボルト社は、ドイツ政府から計7億ユーロの資金提供を受けて、ドイツのハイデにEV用電池の工場を建設する計画です。2026年の開始を予定しており、プロジェクトの総投資額は45億ユーロ(7200億円)で既に約1億ユーロの自己資金をハイデの建設プロジェクトに投資しています。ドイツ政府はプライマリーバランスの問題から既に政治予算を凍結していますが、例外的な免除を申請して行われる予定です。資金は数回に分けて提供され、国家援助法に基づいて、欧州委員会の承認手続きが必要となります。
https://www.electrive.com/2023/12/04/northvolt-receives-funding-approval-for-battery-plant-in-heide/

投資市場の資金の流れが秋より大きく変化しています。GSは4ヵ月連続で中国株を売り越し、9ヵ月連続で中国から資金を純流出させています。また新興アジア諸国からも資金を引き上げています。台湾も11月は純流出です。ヘッジファンドは資金投入を新興アジア諸国から香港、シンガポール、日本等の先進国市場に変えており、11月に資金の純流入額が最も大きかったのは韓国でした。今年、中国はIPO件数が前年比で2桁減少、上海証券取引所は36%減少、深セン証券取引所は33%減少、香港証券取引所は19%減少しました。それに対してインドはムンバイ国立証券取引所とボンベイ証券取引所の2ヶ所合計のIPO件数が前年比で45%増加する見通しです。中国の取引所でのIPO件数の減少は地政学だけで無く、上場に対する規制構造の強化も原因となっているようです。ほんの少し前まではチャイナプラスワンでアジア新興市場への資金流入が注目されていましたが、こうした投資資金の流れの急激な変化はリスク回避と同時に先を見越している為、注視する必要があります。
https://www.asiafinancial.com/india-to-overtake-china-to-become-global-ipo-leader

何度か取り上げているESGに特化した投資ファンドIn-Cap(インクルーシブ・キャピタル・パートナーズ)は、先週末にポートフォリオの売却と投資資金の返還を顧客に通知しました。事実上のファンド閉鎖です。HPも先週末よりほぼ内容が削除されています。In-Capは何度か紹介しているリン・フォレスター・ロスチャイルドと20年間ヘッジファンドValueAct Capitalを率いたジェフリー・ウッベン(Jefry Ubben)によって2020年に設立しました。In-Capの資産は2022年末の時点で26億ドルでした。今年、借り入れコスト上昇とサプライチェーンの問題がグリーン企業を直撃し、気候関連の投資は利回りが大きく低下しています。昨年から今年に掛けて欧米政府は「記録的な額の補助金」を気候関連テクノロジー企業に投下しましたが、S&Pグローバル・クリーン・エネルギー指数は年初から約30%下落し、回復の傾向がありません。一方で段階的な削減が叫ばれる化石燃料の代表指標であるS&Pグローバル・“石油指数”は年初来変わっていません。ウォール街でも最も有名なアクティビスト投資家であるウッベンとリン・フォレスター・ロスチャイルドが設立した野心的なESG投資ファンドは僅か3年で終焉となりました。世界最大のヘッジファンド、ブリッジウォーター・アソシエイツの創設者レイ・ダリオは先週末にアメリカの国家債務が33兆7,400億ドルという驚異的な額に近づいている事を警告しました。高金利もあり、ファンドはポートフォリオの組み換えを推進しています。ジャネット・イエレンは9月末に「米ドルの下落を予想すべきだ」と述べて市場を警戒させました。明らかなのは欧米のESG投資には強烈な逆風が吹いているという事の様です。
https://www.thestar.com.my/business/business-news/2023/12/01/activist-investor-ubben-shutting-down-inclusive-capital
https://inclusivecapitalpartners.com/our-approach/

英国鉄鋼業界団体であるUK Steelは英国で発生する鉄スクラップを国内消費に向けるよう求める報告書を発行しました。報告書では金属業界のグリーントランスフォーメーションを損なう恐れがあるとして、スクラップ金属を海外に輸出しないよう求めています。報告書の主旨は以下となります。英国の鉄鋼産業がネットゼロの目標を達成する為には今後3倍の鉄スクラップが必要です。しかし現在発生する80%を輸出しています。輸出先は殆どが非OECD諸国です。世界のスクラップ需要は急増しており、既に43ヶ国が輸出規制を導入しています。今後EUもこれに追随する可能性が高いと見られています。
https://www.uksteel.org/steel-news-2023/scrap

INGが銅とアルミのそれぞれについてレポートを上げています。
銅は中国の景気回復が不透明で短期的には下振れリスクがありますが、今後FRBが緩和路線に切り替えが進めば価格は底堅い見込みです。2024年の需給バランスは銅生産能力が増す中、鉱山で相次ぐ政治的問題が発生している事から「バランス」すると見ています。その為、供給逼迫や余剰は以前よりも少ないと見られています。
アルミは期待された需要は増えずLMEの倉庫在庫が増しています。中国のアルミニウム流入が増加し、中国の生産量も記録を更新していますが、需要が伸びず生産過多で余剰感が増しています。中国政府は内需を促進する為に中国のグリーン推進を進めており、その量がポイントになります。2024年には価格は徐々に回復へ向かう可能性があります。
https://think.ing.com/articles/uncertain-global-economic-recovery-looms-over-copper/
https://think.ing.com/articles/aluminium-surplus-to-persist-as-demand-disappoints/

欧州の自動車メーカーの団体ACEAは欧州各機関向けに今後5年間の政策提言(マニフェスト)を発表しました。このマニフェストの発表は来年6月の欧州選挙後に向けられた業界の要望を表明する機会となりました。マニフェストでは、自動車業界に関連する鉱業、エネルギー生産、充電インフラ等へ一貫した法的アプローチを提供する「産業戦略」を欧州当局に求めています。また欧州中央政府に対して自動車関連規則の軽減も求めています。欧州の自動車産業はEUグリーンディール以降、規則の「津波」を経験しており、このままでは産業の競争力が損なわれると警告を発しています。中国についても国家の資金援助により成長させたEV産業であり、コストと品質面で公平性の無い脅威となっている事を強調しています。
https://www.acea.auto/news/de-meo-a-turning-point-for-the-european-auto-industry/

米商務長官は、米国企業がビジネス上で不利益を伴う懸念があっても、テクノロジー製品の中国への輸出に対する規制が更に強化する見通しを示しています。バイオテクノロジーや量子コンピューティングだけでなく、AIとAIに派生するすべての製品に対しての規制を検討している事を明らかにしました。米国の対中国規制が重要ではなく、米国の過去の一連の制限措置で中国側が対抗措置としてガリウム、ゲルマニウム、黒鉛の輸出規制を実施した事です。米国の規制が増すと、レアアースや磁性体材料にまで中国の対抗措置が及ぶのではないかとの懸念が上がっています。米商務長官のこの発言は中国政府から怒りを買っているという事です。
https://www.cnbc.com/amp/2023/12/05/commerce-sec-raimondo-us-export-controls-need-to-change-constantly.html

世界の大手海運会社であるMSC、マースク、CMA CGM、ハパック・ロイド、ワレニアス・ウィルヘルムセンの4社はCOP 28で共同宣言を発表しました。宣言の内容は化石燃料のみを動力源とする「新造船を止める日」を求め、国際海事機関(IMO)にそれを要請しています。またグリーン燃料への移行を加速する為の規制を整備するよう求めました。IMOがこの要請を受け入れるかは不明です。車と同じ様に化石燃料を利用した動力源で船を建造する事を止める日を定めるとしたこの声明は過去の事例の様に技術やバリューチェーンが整わない中で行われた、大手による宣伝の要素が大きいと思われます。
https://splash247.com/msc-maersk-cma-cgm-hapag-lloyd-and-wallenius-wilhelmsen-call-for-an-end-date-of-fossil-only-powered-newbuilds/

米国が制定したIRAの補助金対象外となる「懸念外国企業規則」は、バッテリーサプライチェーンで大きな波及効果を及ぼすと分析されています。中国は現在、世界のリチウム処理能力のほぼ3分の2、コバルト能力の75%、マンガン能力の95%、そして黒鉛能力のほぼ全てを占めています。インドネシアは今年に入って世界最大のニッケル生産国となりました。しかし同国のニッケル業界は中国企業が寡占しており、比較的低品位のニッケル鉱床を硫酸ニッケル等の高純度バッテリー原料に加工する事業を主体に投資が進められてきました。インドネシアは米国とFTAを締結していません。フォード社はインドネシアのPTヴァーレ・インドネシアと中国の浙江華友コバルトと合弁でニッケル精製工場を2026年に開始する予定ですが、中国企業が25%以上の出資比率ではIRAの税控除を受けられません。このプロジェクトの総投資額は45億ドルと巨額なものとなります。
リチウムも同様です。世界最大のリチウム精鉱生産会社グリーンブッシュ鉱山は中国資本の天斉リチウムが26%所有し、マウントマリオンリチウム鉱山は、中国の甘峰リチウムが50%所有しています。これら全てのサプライチェーンを経由した原材料で生産された電池のEV車輛は、IRAの最大税控除を受ける事ができません。
「懸念外国企業規則」は電池サプライチェーン企業の大幅な再編と中国に無関係な西側同盟国への多額の投資をもたらす可能性が高いと分析されています。
https://www.reuters.com/markets/commodities/us-looks-shut-china-out-its-battery-supply-chain-2023-12-05/

欧州のTransport and Environment(T&E)の調査によると、欧州の自動車メーカーは2030年迄に必要となるEVバッテリー用の金属の16%未満しか確保できていない現実を伝えています。また2030年の販売目標を達成する為にコバルト、リチウム、ニッケルの供給を確保する十分な取り組みを行っているのは、テスラと中国BYDだけであることが判明しました。更に主要3金属(コバルト、リチウム、ニッケル)の長期契約を持っているのは、テスラ、BYD、フォルクスワーゲン、フォード、ルノー、ステランティスの6社のみという事が判明しています。
https://www.transportenvironment.org/discover/le-case-automobilistiche-si-sono-assicurate-meno-di-un-quinto-dei-metalli-necessari-per-la-produzione-di-batterie/

COP28でここまで何が行われてきたかを纏めます。
・自然災害に対して貧しい国々を補償する「損失と損害」基金を立ち上げ、UAEは1億ドルを約束し、英国は4,000万ポンド、米国は1,750万ドル、日本は1,000万ドルを約束しました。
・2030年迄に再生可能エネルギーを3倍にし、エネルギー効率を2倍にするという誓約に100カ国以上が参加しています。ただし中国とインドは署名しませんでした。
・原子力についても同様の誓約があり、フランスを含む22カ国は、「原子力エネルギー容量を2050年までに2020年から3倍にする」と誓約しました。しかし中国とインドは、今回、この誓約を見送りました。
・「気候クラブ」が立ち上げられました。G7諸国とチリやモザンビーク等の国々を含む33のメンバーが参加しました。ただし罰則や国境炭素税に対する免除規定もなく、単なる「おしゃべりクラブ」と揶揄されています。
・世界の国々がメタン漏洩の問題に取り組むことを自発的に約束しました。しかし中国、インド、ロシアはCOP26でEUと米国が主導した世界メタン宣言には参加していません。
・今後の話題は化石燃料からの「撤退」か「段階的廃止」か「段階的削減」かを宣言として採択するか?です。サウジアラビアのエネルギー大臣は既に化石燃料の「段階的削減」に言及した文書には同意しない事を明確にしています。また欧州でもこの問題に関する見解は一致していません。
ドイツの議員によると、中国政府は自らを発展途上国として描くのを止め「超大国」の様に世界の気候変動金融に貢献し始めなければならず、そうでなければ交渉失敗の責任を負わなければならないと主張しています。

ここ数ヵ月で地政学と脱炭素が重なり、鉄スクラップが注目されています。イタリアでも鉄スクラップが政治の話題に上がっています。
イタリアの国会議員は「国家のスクラップ危機」について経済大臣に懸念を表明しました。イタリアの鉄鋼業界にとってスクラップの重要性が増しており、輸出が続けばイタリアの鉄鋼メーカーへの供給問題が生じるリスクを強調しています。しかし、この主張はデータに基づいておらず、スクラップ業界の代表はプレスリリースを発表して反対しています。問題は根拠に乏しい中でも鉄スクラップ輸出が政治的な問題になるまで重要性なテーマになっているという現実です。
https://www.steelguru.com/steel/italian-steel-dilemma-national-scrap-quandary-unveiled

アラブ首長国連邦(UAE)は数年後には鉄スクラップの純輸入国になる見込みです。UAEの鉄スクラップ消費量は月間約12万トンですが生産能力の増強と更なる投資から2024年Q2以降は月間15万トン以上になる見込みです。特に同国の鉄鋼メーカーであるアラビアン・ガルフ・スチール・インダストリーズ(AGSI)がスクラップ消費を2025年初頭から倍増する計画の為、国内消費量は更に増加します。UAEの国内発生量は200万トン/年超の為、2025年以降はスクラップの純輸入国になる可能性が出てきています。
https://www.fastmarkets.com/insights/uae-jump-in-steel-scrap-intake-with-agsi-capacity-boost/

EU27ヶ国の産業担当閣僚が「EUネットゼロ産業法」について協議し、合意の方向で動いています。この法案が成立すると中国製の「ネットゼロ(環境)」技術に対して最大50%の制限が課されます。例えばEUのプロジェクトで利用する太陽光パネルは中国製が50%までに制限されます。これに対してEUの太陽光発電企業と団体433社は反対の声明を出しています。既に2010年にはEUの太陽光パネルメーカーは中国製の影響で撤退しており、今後、入札で中国製の太陽光パネルが使えない場合はプロジェクトが行えないという背景があります。欧州政府は環境技術分野で貿易保護措置を推進していますが、既に中国製の太陽光パネルで成り立っている業界は対応出来ないという実態を反映した結果となっています。
https://www.europarl.europa.eu/news/en/press-room/20231117IPR12205/meps-back-plans-to-boost-europe-s-net-zero-technology-production
https://www.solarpowereurope.org/press-releases/over-420-european-organisations-warn-of-irresponsible-trade-defence-measures-on-solar-products

欧州のプラスチックリサイクル協会団体であるPlastic Recyclers Europeがマニフェストを発行しています。マニフェストは5つの優先事項を挙げています。それらは収集システムの強化、リサイクル目標とリサイクル内容の確立、グリーンウォッシングの撲滅、未承認再生プラスチック輸入の撲滅とトレーサビリティ検証システムの導入となっています。欧州では安価なPET材料の輸入が続いており、この点を強く警告しています。現在、欧州にある約200ヶ所のプラスチックリサイクル工場では、軟質ポリオレフィンのリサイクル能力が過去4年余りで270万トンを超える量に達したことも言及されています。欧州のリサイクル業界団体がロビー力を持つのは、この様なマニフェストやポジションペーパーを発行し、積極的にデータを活用して業界の意見を広く政策担当者に伝える事にあると思われます。
https://www.plasticsrecyclers.eu/news/plastics-recyclers-europes-manifesto-calls-upon-the-eu-for-a-genuine-circularity-for-plastics/


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