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NEWSCONの気になるNEWS(2023年11月第5週)
22日に行われたオランダの総選挙は衝撃的な結果となりEUで大きな波紋を投げかけています。メディアが反イスラムのポピュリストで(極)右派と呼ぶヘルト・ウィルダース氏が率いるPVV党が2倍以上の議席を伸ばし、議席数トップとなりました。ほぼ全ての開票が終わり、議席数150の内、PVV党は37議席を獲得する見込みです。過半数の76議席を得る為には連立を組む必要があり、今後の展開が注目されています。オランダでは10年以上中道政治が続きましたが、この結果を受けて、改めてEUで右傾化が続いている事が確認されました。つい最近まで欧州委員会の副委員長で長年欧州の気候変動政策のトップに君臨していたフランス・ティメルマンス氏率いる左派連合は大きく引き離された25議席で2位に終わっています。ウィルダースは嘗てオランダのEU離脱である「ネグジット」を訴えた事もあり、この選挙結果は来年のEU議会選挙に向けて不安な結果となりました。
スウェーデンの民主党大会にて、EU議員で欧州保守改革派副会長のチャーリー・ワイマーズ氏が、欧州の中央政府の権力が「行き過ぎた」場合、スウェーデンはEU離脱を検討すべきだと発言し、こちらも波紋を呼んでいます。
▶ https://www.bbc.co.uk/news/world-europe-67504272
欧州議会は「修理する権利」の規則案を採択しています。投票は圧倒的多数で可決され、今後、生産者への負担が増加する事になります。この規則では法的な保証期限が切れた後でも生産者は消費者の依頼があれば、基本的に製品を修理する義務が生じます。更に消費者が修理をしやすいように、欧州議会ではメーカーに対して、修理期間中に消費者に交換用の機器の貸し出しを求めています。
▶ https://www.europarl.europa.eu/news/en/press-room/20231117IPR12211/new-eu-rules-encouraging-consumers-to-repair-devices-over-replacing-them
2021年のCOP26で国際社会は地球温暖化対策として化石燃料などの炭素削減に繋がらない「非効率な補助金」を段階的に廃止すると約束しました。しかし化石燃料への補助金は2022年に世界全体で7兆ドルになり、2020年から2兆ドルも増加しました。各国の政府は戦争とサプライチェーンの混乱による化石燃料の高騰から補助金を増やし続けるという皮肉な政策を続けています。化石燃料の廃止を一番訴えたEUは化石燃料への補助金を2022年に2倍以上の3100億ドルに増額しました。正義を全面にかざし実態はこの逆を行く、こうした欧州の政治が右傾化の根本原因と言えるかも知れません。
▶ https://www.imf.org/en/Topics/climate-change/energy-subsidies
UAEのエミレーツ・グローバル・アルミニウム(EGA)は、UAE最大となる大型アルミニウム・リサイクル工場の建設を開始しています。新工場はEGAの既存製錬所の隣に設立され、年間生産能力は17万トン、アルミスクラップの処理能力は年間18万7000トンです。押出材スクラップを中心に集荷を強める予定です。工場の完成は3年以内で、製品は国内での消費を中心とする予定です。グリーン化の動きの中でリサイクルアルミニウムの世界需要は2022年の2,700万トンから2040年までに5,700万トンへと急激に増加すると予測されています。特に脱炭素に大きく貢献するアルミスクラップの利用は各国で投資が進んでおり、中東で巨大なスクラップ工場が稼働する事により周辺での流通にも変化が出そうです。
先週アルミニウム大手のハイドロ社は米国ミシガン州に年間生産量12万トンの新しい大型アルミニウム・リサイクル工場を開設したばかりでした。アルミニウムはEUでも戦略的原材料に追加されたばかりです。
▶ https://media.ega.ae/ega-begins-construction-of-uaes-largest-aluminium-recycling-plant/
中国によるゲルマニウムとガリウム、及びそれらの化合物の輸出規制が8月に発動されてから過去2カ月間に輸出された量が公になっています。8月、9月は両方の原材料ともにほぼ輸出はゼロ、10月のゲルマニウム輸出量は0.65トン(規制前の7月は駆け込み需要もあり8.78トン)、10月のガリウムの輸出量は0.25トン(7月は7.58トン)となっています。2022年の輸出量はゲルマニウムが44トン、ガリウムは94トンでした。事実上輸出が停止したような状態が続いています。12月1日からはEV用バッテリーの主要素材である黒鉛も輸出規制の対象となります。ゲルマニウムとガリウムの輸出を行う中国の貿易業者は、政府に許可を申請する時に顧客の身元や鉱物の使用方法に関する情報の提供も求められています。この傾向が続くと中国以外での半導体やバッテリーの製造に影響が出てくると思われます。
▶ https://oilprice.com/Energy/Energy-General/China-Allows-Export-Of-Small-Amounts-Of-Critical-Minerals.amp.html
北京証券取引所で大企業の大株主に対する株式売却禁止措置が導入されているようです。Reutersがスクープとして取り上げています。北京市場は革新的な中小企業への資金調達を促進する為に設立されました。最近の傾向として、投資家の関心が薄れており、市場は低迷していました。そのような中で当局によるこの措置のお陰で市場の指標となる「指数50」は今月46%上昇しました。「大株主」とは5%以上の株式を保有する株主を指します。中国証券取引所の規則によれば株式を売却する前に取引所に公的届出を行う必要があるという事です。
▶ https://www.reuters.com/world/china/beijing-stock-exchange-tells-major-shareholders-refrain-selling-sources-2023-11-27/
民間航空機の解体・リサイクル市場は2033年迄に147億2000万米ドルに達するという調査結果が出ています。世界の市場規模は2022年に67億4,000万ドルでしたが、2023年には80億7,000万㌦に達し、10年後の2033年迄には147億2,000万ドルに拡大すると予想されています。分析期間中の年率の伸びは6.20%と分析されています。主な業者はAircraft End-of-Life Solutions(AELS)BV(オランダ)、Air Salvage International Ltd(グロスターシャー)、Aerocycle(カナダ)、CAVU Aerospace(ドイツ)、中国航空機リースです。またGroup (中国)、Ecube (英国)、Eirtrade Aviation(英国)、GA Telesis LLC(米国)、TARMAC Aerosave(フランス)、Vallair(英国)等も名前が上がっています。
▶ https://www.globenewswire.com/news-release/2023/11/27/2785944/0/en/Commercial-Aircraft-Disassembly-Dismantling-and-Recycling-Market-to-Hit-USD-14-72-Billion-by-2030.html
ESGファンドに対する批判と信用低下が起こっています。多くは誇大広告によって引き起こされたもので、実際のESGファンドのパフォーマンスは低迷しています。主な原因は2つあり、1つはロシアのウクライナ侵攻以来上昇している石油とガスへの投資、更に金利上昇の影響を受けて、ポートフォリオにおける成長株への比重が高まっている事です。INGは2週間前に予測を出しました。2024年の世界のESG債券供給量は8,200億ユーロ、2023年は8,150億ユーロと予想しています。ESG債は2021年に1兆ユーロのピークを達成して以来、低下しています。2021年以前の7年間は驚異的なペースで伸びてきたESGファンドへの資金流入ですが、信用の喪失とパフォーマンスの低下から、投資家への魅力がやや薄れている事は事実のようです。
▶ https://www.fnlondon.com/articles/the-anti-esg-backlash-is-justified-fn-readers-say-20231127
▶ https://oilprice.com/Energy/Energy-General/ESG-Moment-of-Truth-Turns-Tables-for-Big-Oil.html
世界最大の金属リサイクル企業であるシムズ社は、英国での金属リサイクル事業の縮小または一部売却を検討しています。同社は英国に28の施設を持ち、4台のシュレッダーを所有、年間のスクラップ処理量は140万トンになります。英国事業見直しの要因はシュレッダー母材の価格競争とインフレによるコスト増です。シュレッター母材は前会計年度に16.2%減少、営業コストは11.8%増加しています。これは英国に限らず、西欧のリサイクル業者全体に同じような傾向が見られます。
▶ https://www.mrw.co.uk/news/sims-considers-selling-off-its-uk-scrap-yards-27-11-2023/
EU-Startupは持続可能性に焦点をあてた、ヨーロッパで最も有望なスタートアップ20社を紹介しています。グリーンビジネスのアイデアの参考になると思います。例えばロンドンのTreecardは同社のカードユーザーが「10,000歩」歩く毎に木を植えたり、歩く距離に応じて報酬を提供したりする事で(車等に乗らない)環境に優しい行動を奨励する組織です。同社はカード取引の量に応じて植林をサポートする木製カードを提供する金融プラットフォームです。設立は2020年ですが既に3,300万ユーロ以上(50億円以上)を調達しています。上記の20社はアイデアと僅かな技術で多くの資金を調達しています。
▶ https://www.eu-startups.com/2023/11/europes-20-most-promising-sustainability-startups-in-europe/
EV販売を巡る明暗が徐々に表面化しています。2033年迄に欧州ではEVのみを生産し、2026年迄に10車種のEVを発売する等、野心的な目標を掲げたドイツのフォルクスワーゲンは生産の削減と電池工場への投資の延期を含め、現在100億ユーロ(1兆6000億円)の削減プログラムを計画しており、人員削減も行う事が伝えられています。米国のEV電池新興企業Our Next Energy(ONE)は今年3億㌦を調達し、企業評価額が12億㌦になったばかりですが、市況の悪化から従業員の約25%を削減したと発表しました。また世界4位の自動車メーカーであるステランティスのCEOやフォードの関係者は、来年、欧州の議会選挙と米国の大統領選挙があり、結果によってEV戦略に大きな影響が及ぶ事を認めています。
米国では今年過去最高を記録する130万台~140万台のEV販売を見込んでいます。しかし、この結果は手厚い自動車税の優遇措置や補助金、トップメーカーテスラの数回に及ぶ値下げ、販売ディーラーの値下げ効果によるもので、これらを導入しても新車に占めるEV比率が昨年の7.3%から今年9.0%にしか伸びていないという現実があります。CarGurusの10月データでは米国のEVの在庫は前年比で506%も増加しており、在庫は依然としてEVの1つの問題となっています。米国ではカリフォルニア州の法律を模倣して、コネチカット州が内燃機関自動車の販売を禁止する法律を議会で採決する予定でしたが27日に中止となりました。理由は議会の過半数によって否決される可能性が極めて高かった為です。中国とデンマークの様に政治的に「無理やり」EV販売を伸ばした市場のみの情報に偏らない方が良いかもしれません。
▶ https://www.reuters.com/business/autos-transportation/volkswagen-signals-staff-reductions-union-meeting-spiegel-2023-11-27/
▶ https://www.reuters.com/business/autos-transportation/ev-battery-startup-one-cuts-workforce-by-25-2023-11-27/
企業によるプラスチック製品とその廃棄物に対する批判が高まる中、石鹸のDOVEブランドを持つユニリーバが、グリーンピースUK(GPUK)から猛烈な批判を浴びています。GPUKは報告書を発行し、ユニリーバは2023年に再利用不可能な530億個の軟質包装を使った製品を販売する予定で、同社が公約している「使い捨てプラスチックからの転換」という公約が破られている事実を指摘しています。更に2025年迄にバージンプラスチックの使用を半減するというユニリーバの公約は、今後10年近く達成出来そうにない事が判明したと分析しています。GPUKの責任者は「ユニリーバは正にプラスチック汚染危機の火に油を注いでいる。Dove等の彼らのブランドは彼らが「善」である事を世界に伝えることで有名です。しかし彼らは驚くべき量のプラスチック廃棄物を排出しています」と痛烈に批判しています。この話題は一般紙でも取り上げられており、グリーンウォッシングへの注目は日増しに高まっています。
▶ https://www.greenpeace.org.uk/news/dove-real-beauty-plastic-pollution/
▶ https://amp.theguardian.com/business/2023/nov/28/unilever-accused-of-breaking-plastics-pledge-53bn-sachets-greenpeace
プラスチックを酵素により分解する技術ではフランスのCarbios社が先行していますが、メタゲノミクスという手法を用いて、プラスチック分解酵素のマイニングを行う研究が次第に行われるようになっています。現在までに発見されているプラスチックを分解する酵素は、その酵素を発する微生物を適切な培養条件下で増殖・濃縮し、その後に単体に分離します。さらに、微生物を菌類のような分類学的手法で分けて培養し、濃縮した酵素の同定を行う、という方法となります。しかし、この方法では時間もかかり、新規に微生物を発見するのに大変時間が掛かります。メタゲノミクスでは、プラスチック材料を解重合する酵素と微生物をコード化し、遺伝子分析によりメタゲノムサンプルを作成、これを元に同様の遺伝子構造を持つ酵素を発生する微生物をデータベースから推定する、というものです。さらに、ゲノムを用いて微調整する技術も開発が行われています。メタゲノムのライブラリーをスクリーニングする方法は、配列をスクリーニングするものと、機能をスクリーニングするもの、の2つが使用されています。このような研究は、プラスチック軟質包装のリサイクルを目指して行われています。
▶ https://www.bbc.co.uk/news/business-67496717.amp
▶ https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0167779921000408
中国のSMMは今後2年間で同国の鉄スクラップ市場に大きな変化があると予測しています。中国の工業情報化部(MIIT)は新たに135の鉄スクラップ処理施設を承認しました。現在、許認可を得ている824社の内、半数以上は過去3年間に登録された新しい企業です。近年、当局は鉄スクラップの標準化を進めており、市場の再構築が進んでいる実態を反映しています。2023年末時点で中国の鉄スクラップ処理能力は「第14次5ヵ年計画」による年間2億トンの処理量に近づいています。中国の電炉鋼生産の割合は2025年に15%以上増加する必要がありますが、現在の状況からすると達成は困難です。今後2年間で鉄スクラップ処理市場には多くの企業が参入して市場の調整期に入る見込みです。
▶ https://news.metal.com/newscontent/102497078/Plan-ahead-Steel-scrap-processing-market-sped-up-adjustment
国際原子力協会(IAEA)は、今後数年以内に十数ヶ国が原子力による発電を開始する見通しを示しています。既に10カ国が原子力発電所建設の決定段階に入っており、別の17カ国は評価プロセスに入っています。IAEAの計算ではパリ協定の目標を達成する為には世界の原子炉の数を2倍にする必要があります。原子力は「脱炭素エネルギー」として再度注目を集めています。フランス政府は最近欧州委員会に提出した国家エネルギー・気候計画草案に、2030年の再生可能エネルギー目標を含めておらず、代わりに原子力発電を組み込んだ「脱炭素エネルギー目標」に言及しています。草案ではエネルギーの58%を「脱炭素エネルギー」とする事が目標として定められていますが、再生可能エネルギーと原子力を同じ計算で扱っています。再生可能エネルギーは送電やグリッドの問題、バックアップ発電装置や蓄電の問題等、適した地域やコストの問題が重くのしかかり、欧州でも軌道に乗っていないのが現実です。
▶ https://www.reuters.com/business/energy/iaea-says-dozen-countries-be-equipped-with-nuclear-power-2023-11-28/
欧州のリサイクラーにとって最も懸念されているEU廃棄物輸送規則(WSR)は年末迄に立法プロセスが完了する可能性が高くなっています。欧州理事会と欧州議会との暫定合意の内容ではWSRが改正された場合、EUの要求事項と基準を満たし承認を受けた非OECD国のヤード(リサイクル施設)のみがEU内に拠点を置く企業と連携、貿易が可能となります。ただし、それらのEU域外施設がEUの「承認リスト」に含まれる事が条件となります。この決定は低グレードのリサイクル材を輸出していた業者には大きな打撃ですが、船舶企業と船舶リサイクル業者には朗報となっています。非OECD諸国にある32ヵ所の船舶リサイクルヤードがEU承認を申請しています。その中にはインドの27ヵ所、バーレーンの1ヵ所も含まれています。既に幾つかの施設は予備監査を受けています。今後、WSRが施行されると多数の非OECD船舶リサイクルヤードがEUの承認リストに入る見込みです。
▶ https://www.marinelink.com/news/eu-agreement-paves-nonoecd-recycling-509752
4つの多国籍金融機関は、排出量削減の目標を定めるScience Based Targetsイニシアチブ(SBTi)から撤退する予定です。既にドイツの大手保険会社アリアンツは撤退する意向を示していました。新たに撤退の意思を示していると伝えられた4行の内の2行は、スタンダード・チャータードとHSBCという事です。SBTiは金融セクター向けに「科学に基づいたネットゼロ目標設定の為の標準」を開発しており、2024年初めに発表される予定で作業が進められています。2年前にはこうした後ろ向きな動きは集中砲火を浴びていましたが、現在はむしろ過剰な制約に繋がる野心的な目標を控え、現実路線に急速に傾き始めています。流れは、確実に変化しています。
▶ https://www.reuters.com/sustainability/four-banks-quit-initiative-assessing-climate-targets-sources-2023-11-29/
グリーンエネルギーへのトランジッションにおける皮肉な現実が悪い方向に加速しています。しかし、それが伝えられる事は、殆どありません。今年世界で最も好成績を収めたIPO株はインドネシアの炭鉱会社の株です。3月に上場して以来、2,900%以上急騰しています。インドネシアの富豪が持つPT Petrindo Jaya Kreasi社で同社の市場価値は9ヵ月間で25倍以上の54億ドルに成長しました。一方、グリーンエネルギーの主要なETFであるiシェアーズ グローバル クリーン エネルギー ETFは今年30%以上下落し、2011年以来最悪の年になる見通しです。同じく国際指標の1つであるS&P Global Clean Energy Indexも年率で30%以上下落しています。その間、ナスダック100のIndexは40%近く伸びています。再生可能エネルギーに対するこの結果は、需要の減退と世界的な金利の上昇が大きな要因となっています。これは金利サイクルが逆転するまでのものなのか、根本的な原因が別にあるのか、注意深く見る必要がありそうです。少なくとも投資家は現段階ではESGを最も有力な投資理由としていない事実が示されています。
▶ https://www.zerohedge.com/markets/green-energy-meltdown-continue-next-year-bloomberg-survey-finds?ref=biztoc.com
米国政府はEVに対する税額控除規則を発表する予定です。EVやバッテリー業界にとって重要な発表と見られています。理由は「懸念対象外国企業」への規制内容が含まれる可能性が高い為です。この規則では中国国営企業が製造したバッテリー、部品、又は材料(鉱物材料)を使い製造されたバッテリーや部品はIRAの補助金/税控除の対象から外される可能性があります。IRAによるEVへの税控除は最大7,500㌦となる為、大きな決定になると見られています。中国企業の出資比率、部品や材料に含まれる量や率等、規則の内容によっては今後の投資とサプライチェーンに大きな影響が出そうです。
▶ https://www.asiafinancial.com/us-treasury-seen-limiting-chinese-role-in-ev-market-wsj
アルミ業界でもメーカーによるスクラップ企業の垂直統合・合併の動きが更に加速しています。7月にポーランドの大手アルミスクラップ会社Alumetal SAを買収したばかりのアルミ製造大手Hydroは米国ミシガン州のリサイクル&スクラップディーラーであるPADNOSと合弁会社を設立する事を発表しています。合弁会社はPADNONSの既存生産設備にHydroが開発した最新鋭のアルミ選別機械Hysortシステムを設置し、生産は2024年に開始、投資額は約400万㌦(6億円)です。Hydroはミシガン州とケンタッキー州にスクラップを原料とするアルミ製造工場を持ち、合弁会社で選別されたアルミスクラップはこの2つの施設に送られます。米国地質調査所 (USGS)は2023年最終重要物質リストの中に「アルミ二ウム」を含めたばかりです。
▶ https://www.hydro.com/en-GB/media/news/2023/pioneering-new-sorting-technologies-for-the-u.s.-market-bringing-waste-back-to-life
過去2週間でフーシ派、イラン人、ソマリア人による船舶テロ攻撃の為、イスラエルと関係のある船舶を紅海やアラビア海から迂回させている船社が増えています。大手の船社ではデンマークのマースクが荷揚地を変更した最初の会社となっており、その影響で一部の船に1週間以上の遅れが生じると発表しました。まだ大きな影響となっていませんが、中東やアジアと結ぶ欧州航路に影響が出る可能性が出てきました。
▶ https://splash247.com/maersk-joins-red-sea-exodus/
中国で銅をめぐる奇妙な動きがあります。中国の精錬銅の輸入は過去数ヵ月間で加速しており、10月には年初来最高、10月としては過去最高の量に達しています。またリサイクル可能な金属の輸入は2018年以来最速のペースで行われています。リサイクル可能な銅の輸入量は中国政府が低品位スクラップの輸入制限を開始する前の2018年以来最高となっています。国内生産の急増と輸入の増加があるものの、実は中国国内の銅在庫には殆ど影響を与えていません。上海先物取引所の在庫量は年初より48%減少、上海取引所傘下のインターナショナル・エネルギー取引所が運営する保税倉庫の量は今年6月以来変化がありません。銅がどこに行っているのか、ロイターは「ブラックホール」と表現しています。中国3位の銀行が言論統制をしているというニュースもあり、数字の裏付けに一部疑問符がつく可能性はあります。
▶ https://www.reuters.com/markets/asia/chinas-rising-copper-imports-belie-manufacturing-gloom-2023-11-28/
スウェーデンの民主党大会にて、EU議員で欧州保守改革派副会長のチャーリー・ワイマーズ氏が、欧州の中央政府の権力が「行き過ぎた」場合、スウェーデンはEU離脱を検討すべきだと発言し、こちらも波紋を呼んでいます。
▶ https://www.bbc.co.uk/news/world-europe-67504272
欧州議会は「修理する権利」の規則案を採択しています。投票は圧倒的多数で可決され、今後、生産者への負担が増加する事になります。この規則では法的な保証期限が切れた後でも生産者は消費者の依頼があれば、基本的に製品を修理する義務が生じます。更に消費者が修理をしやすいように、欧州議会ではメーカーに対して、修理期間中に消費者に交換用の機器の貸し出しを求めています。
▶ https://www.europarl.europa.eu/news/en/press-room/20231117IPR12211/new-eu-rules-encouraging-consumers-to-repair-devices-over-replacing-them
2021年のCOP26で国際社会は地球温暖化対策として化石燃料などの炭素削減に繋がらない「非効率な補助金」を段階的に廃止すると約束しました。しかし化石燃料への補助金は2022年に世界全体で7兆ドルになり、2020年から2兆ドルも増加しました。各国の政府は戦争とサプライチェーンの混乱による化石燃料の高騰から補助金を増やし続けるという皮肉な政策を続けています。化石燃料の廃止を一番訴えたEUは化石燃料への補助金を2022年に2倍以上の3100億ドルに増額しました。正義を全面にかざし実態はこの逆を行く、こうした欧州の政治が右傾化の根本原因と言えるかも知れません。
▶ https://www.imf.org/en/Topics/climate-change/energy-subsidies
UAEのエミレーツ・グローバル・アルミニウム(EGA)は、UAE最大となる大型アルミニウム・リサイクル工場の建設を開始しています。新工場はEGAの既存製錬所の隣に設立され、年間生産能力は17万トン、アルミスクラップの処理能力は年間18万7000トンです。押出材スクラップを中心に集荷を強める予定です。工場の完成は3年以内で、製品は国内での消費を中心とする予定です。グリーン化の動きの中でリサイクルアルミニウムの世界需要は2022年の2,700万トンから2040年までに5,700万トンへと急激に増加すると予測されています。特に脱炭素に大きく貢献するアルミスクラップの利用は各国で投資が進んでおり、中東で巨大なスクラップ工場が稼働する事により周辺での流通にも変化が出そうです。
先週アルミニウム大手のハイドロ社は米国ミシガン州に年間生産量12万トンの新しい大型アルミニウム・リサイクル工場を開設したばかりでした。アルミニウムはEUでも戦略的原材料に追加されたばかりです。
▶ https://media.ega.ae/ega-begins-construction-of-uaes-largest-aluminium-recycling-plant/
中国によるゲルマニウムとガリウム、及びそれらの化合物の輸出規制が8月に発動されてから過去2カ月間に輸出された量が公になっています。8月、9月は両方の原材料ともにほぼ輸出はゼロ、10月のゲルマニウム輸出量は0.65トン(規制前の7月は駆け込み需要もあり8.78トン)、10月のガリウムの輸出量は0.25トン(7月は7.58トン)となっています。2022年の輸出量はゲルマニウムが44トン、ガリウムは94トンでした。事実上輸出が停止したような状態が続いています。12月1日からはEV用バッテリーの主要素材である黒鉛も輸出規制の対象となります。ゲルマニウムとガリウムの輸出を行う中国の貿易業者は、政府に許可を申請する時に顧客の身元や鉱物の使用方法に関する情報の提供も求められています。この傾向が続くと中国以外での半導体やバッテリーの製造に影響が出てくると思われます。
▶ https://oilprice.com/Energy/Energy-General/China-Allows-Export-Of-Small-Amounts-Of-Critical-Minerals.amp.html
北京証券取引所で大企業の大株主に対する株式売却禁止措置が導入されているようです。Reutersがスクープとして取り上げています。北京市場は革新的な中小企業への資金調達を促進する為に設立されました。最近の傾向として、投資家の関心が薄れており、市場は低迷していました。そのような中で当局によるこの措置のお陰で市場の指標となる「指数50」は今月46%上昇しました。「大株主」とは5%以上の株式を保有する株主を指します。中国証券取引所の規則によれば株式を売却する前に取引所に公的届出を行う必要があるという事です。
▶ https://www.reuters.com/world/china/beijing-stock-exchange-tells-major-shareholders-refrain-selling-sources-2023-11-27/
民間航空機の解体・リサイクル市場は2033年迄に147億2000万米ドルに達するという調査結果が出ています。世界の市場規模は2022年に67億4,000万ドルでしたが、2023年には80億7,000万㌦に達し、10年後の2033年迄には147億2,000万ドルに拡大すると予想されています。分析期間中の年率の伸びは6.20%と分析されています。主な業者はAircraft End-of-Life Solutions(AELS)BV(オランダ)、Air Salvage International Ltd(グロスターシャー)、Aerocycle(カナダ)、CAVU Aerospace(ドイツ)、中国航空機リースです。またGroup (中国)、Ecube (英国)、Eirtrade Aviation(英国)、GA Telesis LLC(米国)、TARMAC Aerosave(フランス)、Vallair(英国)等も名前が上がっています。
▶ https://www.globenewswire.com/news-release/2023/11/27/2785944/0/en/Commercial-Aircraft-Disassembly-Dismantling-and-Recycling-Market-to-Hit-USD-14-72-Billion-by-2030.html
ESGファンドに対する批判と信用低下が起こっています。多くは誇大広告によって引き起こされたもので、実際のESGファンドのパフォーマンスは低迷しています。主な原因は2つあり、1つはロシアのウクライナ侵攻以来上昇している石油とガスへの投資、更に金利上昇の影響を受けて、ポートフォリオにおける成長株への比重が高まっている事です。INGは2週間前に予測を出しました。2024年の世界のESG債券供給量は8,200億ユーロ、2023年は8,150億ユーロと予想しています。ESG債は2021年に1兆ユーロのピークを達成して以来、低下しています。2021年以前の7年間は驚異的なペースで伸びてきたESGファンドへの資金流入ですが、信用の喪失とパフォーマンスの低下から、投資家への魅力がやや薄れている事は事実のようです。
▶ https://www.fnlondon.com/articles/the-anti-esg-backlash-is-justified-fn-readers-say-20231127
▶ https://oilprice.com/Energy/Energy-General/ESG-Moment-of-Truth-Turns-Tables-for-Big-Oil.html
世界最大の金属リサイクル企業であるシムズ社は、英国での金属リサイクル事業の縮小または一部売却を検討しています。同社は英国に28の施設を持ち、4台のシュレッダーを所有、年間のスクラップ処理量は140万トンになります。英国事業見直しの要因はシュレッダー母材の価格競争とインフレによるコスト増です。シュレッター母材は前会計年度に16.2%減少、営業コストは11.8%増加しています。これは英国に限らず、西欧のリサイクル業者全体に同じような傾向が見られます。
▶ https://www.mrw.co.uk/news/sims-considers-selling-off-its-uk-scrap-yards-27-11-2023/
EU-Startupは持続可能性に焦点をあてた、ヨーロッパで最も有望なスタートアップ20社を紹介しています。グリーンビジネスのアイデアの参考になると思います。例えばロンドンのTreecardは同社のカードユーザーが「10,000歩」歩く毎に木を植えたり、歩く距離に応じて報酬を提供したりする事で(車等に乗らない)環境に優しい行動を奨励する組織です。同社はカード取引の量に応じて植林をサポートする木製カードを提供する金融プラットフォームです。設立は2020年ですが既に3,300万ユーロ以上(50億円以上)を調達しています。上記の20社はアイデアと僅かな技術で多くの資金を調達しています。
▶ https://www.eu-startups.com/2023/11/europes-20-most-promising-sustainability-startups-in-europe/
EV販売を巡る明暗が徐々に表面化しています。2033年迄に欧州ではEVのみを生産し、2026年迄に10車種のEVを発売する等、野心的な目標を掲げたドイツのフォルクスワーゲンは生産の削減と電池工場への投資の延期を含め、現在100億ユーロ(1兆6000億円)の削減プログラムを計画しており、人員削減も行う事が伝えられています。米国のEV電池新興企業Our Next Energy(ONE)は今年3億㌦を調達し、企業評価額が12億㌦になったばかりですが、市況の悪化から従業員の約25%を削減したと発表しました。また世界4位の自動車メーカーであるステランティスのCEOやフォードの関係者は、来年、欧州の議会選挙と米国の大統領選挙があり、結果によってEV戦略に大きな影響が及ぶ事を認めています。
米国では今年過去最高を記録する130万台~140万台のEV販売を見込んでいます。しかし、この結果は手厚い自動車税の優遇措置や補助金、トップメーカーテスラの数回に及ぶ値下げ、販売ディーラーの値下げ効果によるもので、これらを導入しても新車に占めるEV比率が昨年の7.3%から今年9.0%にしか伸びていないという現実があります。CarGurusの10月データでは米国のEVの在庫は前年比で506%も増加しており、在庫は依然としてEVの1つの問題となっています。米国ではカリフォルニア州の法律を模倣して、コネチカット州が内燃機関自動車の販売を禁止する法律を議会で採決する予定でしたが27日に中止となりました。理由は議会の過半数によって否決される可能性が極めて高かった為です。中国とデンマークの様に政治的に「無理やり」EV販売を伸ばした市場のみの情報に偏らない方が良いかもしれません。
▶ https://www.reuters.com/business/autos-transportation/volkswagen-signals-staff-reductions-union-meeting-spiegel-2023-11-27/
▶ https://www.reuters.com/business/autos-transportation/ev-battery-startup-one-cuts-workforce-by-25-2023-11-27/
企業によるプラスチック製品とその廃棄物に対する批判が高まる中、石鹸のDOVEブランドを持つユニリーバが、グリーンピースUK(GPUK)から猛烈な批判を浴びています。GPUKは報告書を発行し、ユニリーバは2023年に再利用不可能な530億個の軟質包装を使った製品を販売する予定で、同社が公約している「使い捨てプラスチックからの転換」という公約が破られている事実を指摘しています。更に2025年迄にバージンプラスチックの使用を半減するというユニリーバの公約は、今後10年近く達成出来そうにない事が判明したと分析しています。GPUKの責任者は「ユニリーバは正にプラスチック汚染危機の火に油を注いでいる。Dove等の彼らのブランドは彼らが「善」である事を世界に伝えることで有名です。しかし彼らは驚くべき量のプラスチック廃棄物を排出しています」と痛烈に批判しています。この話題は一般紙でも取り上げられており、グリーンウォッシングへの注目は日増しに高まっています。
▶ https://www.greenpeace.org.uk/news/dove-real-beauty-plastic-pollution/
▶ https://amp.theguardian.com/business/2023/nov/28/unilever-accused-of-breaking-plastics-pledge-53bn-sachets-greenpeace
プラスチックを酵素により分解する技術ではフランスのCarbios社が先行していますが、メタゲノミクスという手法を用いて、プラスチック分解酵素のマイニングを行う研究が次第に行われるようになっています。現在までに発見されているプラスチックを分解する酵素は、その酵素を発する微生物を適切な培養条件下で増殖・濃縮し、その後に単体に分離します。さらに、微生物を菌類のような分類学的手法で分けて培養し、濃縮した酵素の同定を行う、という方法となります。しかし、この方法では時間もかかり、新規に微生物を発見するのに大変時間が掛かります。メタゲノミクスでは、プラスチック材料を解重合する酵素と微生物をコード化し、遺伝子分析によりメタゲノムサンプルを作成、これを元に同様の遺伝子構造を持つ酵素を発生する微生物をデータベースから推定する、というものです。さらに、ゲノムを用いて微調整する技術も開発が行われています。メタゲノムのライブラリーをスクリーニングする方法は、配列をスクリーニングするものと、機能をスクリーニングするもの、の2つが使用されています。このような研究は、プラスチック軟質包装のリサイクルを目指して行われています。
▶ https://www.bbc.co.uk/news/business-67496717.amp
▶ https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0167779921000408
中国のSMMは今後2年間で同国の鉄スクラップ市場に大きな変化があると予測しています。中国の工業情報化部(MIIT)は新たに135の鉄スクラップ処理施設を承認しました。現在、許認可を得ている824社の内、半数以上は過去3年間に登録された新しい企業です。近年、当局は鉄スクラップの標準化を進めており、市場の再構築が進んでいる実態を反映しています。2023年末時点で中国の鉄スクラップ処理能力は「第14次5ヵ年計画」による年間2億トンの処理量に近づいています。中国の電炉鋼生産の割合は2025年に15%以上増加する必要がありますが、現在の状況からすると達成は困難です。今後2年間で鉄スクラップ処理市場には多くの企業が参入して市場の調整期に入る見込みです。
▶ https://news.metal.com/newscontent/102497078/Plan-ahead-Steel-scrap-processing-market-sped-up-adjustment
国際原子力協会(IAEA)は、今後数年以内に十数ヶ国が原子力による発電を開始する見通しを示しています。既に10カ国が原子力発電所建設の決定段階に入っており、別の17カ国は評価プロセスに入っています。IAEAの計算ではパリ協定の目標を達成する為には世界の原子炉の数を2倍にする必要があります。原子力は「脱炭素エネルギー」として再度注目を集めています。フランス政府は最近欧州委員会に提出した国家エネルギー・気候計画草案に、2030年の再生可能エネルギー目標を含めておらず、代わりに原子力発電を組み込んだ「脱炭素エネルギー目標」に言及しています。草案ではエネルギーの58%を「脱炭素エネルギー」とする事が目標として定められていますが、再生可能エネルギーと原子力を同じ計算で扱っています。再生可能エネルギーは送電やグリッドの問題、バックアップ発電装置や蓄電の問題等、適した地域やコストの問題が重くのしかかり、欧州でも軌道に乗っていないのが現実です。
▶ https://www.reuters.com/business/energy/iaea-says-dozen-countries-be-equipped-with-nuclear-power-2023-11-28/
欧州のリサイクラーにとって最も懸念されているEU廃棄物輸送規則(WSR)は年末迄に立法プロセスが完了する可能性が高くなっています。欧州理事会と欧州議会との暫定合意の内容ではWSRが改正された場合、EUの要求事項と基準を満たし承認を受けた非OECD国のヤード(リサイクル施設)のみがEU内に拠点を置く企業と連携、貿易が可能となります。ただし、それらのEU域外施設がEUの「承認リスト」に含まれる事が条件となります。この決定は低グレードのリサイクル材を輸出していた業者には大きな打撃ですが、船舶企業と船舶リサイクル業者には朗報となっています。非OECD諸国にある32ヵ所の船舶リサイクルヤードがEU承認を申請しています。その中にはインドの27ヵ所、バーレーンの1ヵ所も含まれています。既に幾つかの施設は予備監査を受けています。今後、WSRが施行されると多数の非OECD船舶リサイクルヤードがEUの承認リストに入る見込みです。
▶ https://www.marinelink.com/news/eu-agreement-paves-nonoecd-recycling-509752
4つの多国籍金融機関は、排出量削減の目標を定めるScience Based Targetsイニシアチブ(SBTi)から撤退する予定です。既にドイツの大手保険会社アリアンツは撤退する意向を示していました。新たに撤退の意思を示していると伝えられた4行の内の2行は、スタンダード・チャータードとHSBCという事です。SBTiは金融セクター向けに「科学に基づいたネットゼロ目標設定の為の標準」を開発しており、2024年初めに発表される予定で作業が進められています。2年前にはこうした後ろ向きな動きは集中砲火を浴びていましたが、現在はむしろ過剰な制約に繋がる野心的な目標を控え、現実路線に急速に傾き始めています。流れは、確実に変化しています。
▶ https://www.reuters.com/sustainability/four-banks-quit-initiative-assessing-climate-targets-sources-2023-11-29/
グリーンエネルギーへのトランジッションにおける皮肉な現実が悪い方向に加速しています。しかし、それが伝えられる事は、殆どありません。今年世界で最も好成績を収めたIPO株はインドネシアの炭鉱会社の株です。3月に上場して以来、2,900%以上急騰しています。インドネシアの富豪が持つPT Petrindo Jaya Kreasi社で同社の市場価値は9ヵ月間で25倍以上の54億ドルに成長しました。一方、グリーンエネルギーの主要なETFであるiシェアーズ グローバル クリーン エネルギー ETFは今年30%以上下落し、2011年以来最悪の年になる見通しです。同じく国際指標の1つであるS&P Global Clean Energy Indexも年率で30%以上下落しています。その間、ナスダック100のIndexは40%近く伸びています。再生可能エネルギーに対するこの結果は、需要の減退と世界的な金利の上昇が大きな要因となっています。これは金利サイクルが逆転するまでのものなのか、根本的な原因が別にあるのか、注意深く見る必要がありそうです。少なくとも投資家は現段階ではESGを最も有力な投資理由としていない事実が示されています。
▶ https://www.zerohedge.com/markets/green-energy-meltdown-continue-next-year-bloomberg-survey-finds?ref=biztoc.com
米国政府はEVに対する税額控除規則を発表する予定です。EVやバッテリー業界にとって重要な発表と見られています。理由は「懸念対象外国企業」への規制内容が含まれる可能性が高い為です。この規則では中国国営企業が製造したバッテリー、部品、又は材料(鉱物材料)を使い製造されたバッテリーや部品はIRAの補助金/税控除の対象から外される可能性があります。IRAによるEVへの税控除は最大7,500㌦となる為、大きな決定になると見られています。中国企業の出資比率、部品や材料に含まれる量や率等、規則の内容によっては今後の投資とサプライチェーンに大きな影響が出そうです。
▶ https://www.asiafinancial.com/us-treasury-seen-limiting-chinese-role-in-ev-market-wsj
アルミ業界でもメーカーによるスクラップ企業の垂直統合・合併の動きが更に加速しています。7月にポーランドの大手アルミスクラップ会社Alumetal SAを買収したばかりのアルミ製造大手Hydroは米国ミシガン州のリサイクル&スクラップディーラーであるPADNOSと合弁会社を設立する事を発表しています。合弁会社はPADNONSの既存生産設備にHydroが開発した最新鋭のアルミ選別機械Hysortシステムを設置し、生産は2024年に開始、投資額は約400万㌦(6億円)です。Hydroはミシガン州とケンタッキー州にスクラップを原料とするアルミ製造工場を持ち、合弁会社で選別されたアルミスクラップはこの2つの施設に送られます。米国地質調査所 (USGS)は2023年最終重要物質リストの中に「アルミ二ウム」を含めたばかりです。
▶ https://www.hydro.com/en-GB/media/news/2023/pioneering-new-sorting-technologies-for-the-u.s.-market-bringing-waste-back-to-life
過去2週間でフーシ派、イラン人、ソマリア人による船舶テロ攻撃の為、イスラエルと関係のある船舶を紅海やアラビア海から迂回させている船社が増えています。大手の船社ではデンマークのマースクが荷揚地を変更した最初の会社となっており、その影響で一部の船に1週間以上の遅れが生じると発表しました。まだ大きな影響となっていませんが、中東やアジアと結ぶ欧州航路に影響が出る可能性が出てきました。
▶ https://splash247.com/maersk-joins-red-sea-exodus/
中国で銅をめぐる奇妙な動きがあります。中国の精錬銅の輸入は過去数ヵ月間で加速しており、10月には年初来最高、10月としては過去最高の量に達しています。またリサイクル可能な金属の輸入は2018年以来最速のペースで行われています。リサイクル可能な銅の輸入量は中国政府が低品位スクラップの輸入制限を開始する前の2018年以来最高となっています。国内生産の急増と輸入の増加があるものの、実は中国国内の銅在庫には殆ど影響を与えていません。上海先物取引所の在庫量は年初より48%減少、上海取引所傘下のインターナショナル・エネルギー取引所が運営する保税倉庫の量は今年6月以来変化がありません。銅がどこに行っているのか、ロイターは「ブラックホール」と表現しています。中国3位の銀行が言論統制をしているというニュースもあり、数字の裏付けに一部疑問符がつく可能性はあります。
▶ https://www.reuters.com/markets/asia/chinas-rising-copper-imports-belie-manufacturing-gloom-2023-11-28/