NEWS
NEWSCONの気になるNEWS(2023年2月第1週)
米国テキサス州ダラスで開催されたFastmarketsのSteel and Scrap Conference 2023で米国Schnitzerの最高戦略責任者Richard Peach氏が米現政権が2023年に行う1兆ドル規模のインフラ政策パッケージが米国の鉄鋼需要増加をもたらすとの認識を示しています。2021年8月に法制度化された米国のインフラストラクチャ法は前オバマ政権時代のFixing America’s Surface Transportation (FAST)法に比べ鉄筋の需要を65%、約150万トン押し上げると見積もられています。これは鉄筋原料である鉄スクラップ需要を押し上げる事に繋がり、価格にも影響を与えると見られています。今年はトルコが米屑を買いに入るタイミングをよくウォッチした方が良さそうです。
▶ https://www.fastmarkets.com/insights/us-ferrous-market-benefits-of-infrastructure-bill
米国第3位の鉄鋼メーカーである米インディアナ州のスチールダイナミックが2022年度の決算を発表しています。営業利益は過去最高の51 億ドル、純利益は39 億ドルで、S&P500インデックス銘柄に追加されました。また自社株買いも行い、発行済み株式の12%に相当する18億ドルを普通株式の購入に当てています。注目された2023年の見通しは「北米の鉄鋼消費は2023年に増加、国内産鉄鋼製品に対する需要が増す中で輸入は逆に減少する為、価格を下支えする。現状の受注残高も2023年上半期以上に達する量となっており先物の価格水準に基づいても歴史的に強い状況である」としています。
▶ https://www.prnewswire.com/news-releases/steel-dynamics-reports-fourth-quarter-and-record-annual-2022-results-301730862.html
欧州の使い捨てプラスチック指令であるEU 指令2019/204では2024年7月から3リットル未満のプラスチック製飲料ボトルに、容器と分離できない取り付けられたままの「フタ」を付けることを義務付けています。コカ・コーラとベリー・グローバルは、ベリーが持つ特許技術Compact Flip(ヒンジ型)を欧州市場でPETボトルに採用する事を発表しています。この技術は既にドイツ、スペイン、英国のコカ・コーラのPETボトルで採用され始めています。フタが常にボトルと繋がった状態になっています。リサイクル業者にとってはフタ&ヒンジの素材をPETから効率よく選別するシステムが必要になります。
▶ https://www.packagingnews.co.uk/news/markets/drinks/berry-coca-cola-tethered-caps-eu-27-01-2023
中国最大の上場証券会社である中信証券が、中国の中央銀行の金購入継続を予測し、今年は金価格が大幅な上昇をすると見ています。昨年11月に中国人民銀行は32トンの金を購入し、12月に30トンを購入した事で金市場を驚かせました。中国の金準備は現在、合計2,010トンです。中国の中央銀行だけでなく、幾つかの国の中央銀行も金準備を増やしており、ワールドゴールドカウンシル(WGC)によると、昨年後半は前年同期から300%も金購入量が増加しました。本来「付利」されない金は他の金融資産に比べ好景気時に人気が無いのですが、地政学的な要因から米国債やドル以外の資産保有を増やす動きもあり、不測の事態に備えるという意味で金準備を増やしているようです。
▶ https://www.kitco.com/news/2023-01-25/China-s-biggest-brokerage-sees-gold-price-at-record-highs-this-year.html
「ファクトチェック」組織(情報の正確性・妥当性を検証する団体)と聞くと検証後の事実に基づく情報を流す組織と思われがちですが、特に欧米の情報は、必ずしもそれが正しいわけではありません。元々偽(にせ)情報と戦う為に発起された団体Good Information Incや他の多くのファクトチェッカーには、膨大な資金が「同じ起源」から流入している事は珍しくありません。有名なのは米民主党最大の寄付者である億万長者のジョージ・ソロスと、こちらも左翼の億万長者でLinkedInの創業者であるリード・ホフマンが多額の資金を提供するプロジェクトを共同で開始し、ソロスだけでも過去4年間で3,300万ドル(約43億円)を複数のファクトチェック団体に寄付した事が明らかになっています。PolitiFactやSnopes等の大手の「ファクトチェック」組織の情報は、データ分析の結果、民主党大統領であるバイデンを批判するよりも、擁護する情報が6倍も多い事が判明しています。PolitiFactの親会社であるThe Poynter Instituteの主な資金提供者はジョン S. /ジェームズ L. ナイト財団、フォード財団、ソロスが支援するタイズ財団、タイズセンター、ニューヨークのカーネギーコーポレーション等があり、基本的に資金提供者からの影響を受けている事実をNEWYORK POSTが伝えています。米国だけではありません。The Poynter Instituteが2015年に立ち上げた「国際ファクトチェックネットワーク(IFCN)」の最初の資金提供者は、全米民主主義基金 (米国国務省系)、Omidyar Network、Google、Facebook、ビル&メリンダ・ゲイツ財団、ジョージ・ソロスのオープン・ソサエティ財団で、このネットワークの下に米国だけでなく幾つかの国で数十個の団体があり、いずれも同じような傾向が指摘されています(つまり「国際ファクトチェックネットワーク」のチェッカーは、米国の資金と民主党系の支援団体によって運営されている)。中央・東ヨーロッパの11のファクトチェック組織の内、8つはジョージ・ソロスによって資金提供された事実も指摘されています。確かに偽情報や陰謀論がSNSで一気に拡散される世の中なのでファクトチェックの重要性は増していますが、我々が得ているファクトチェック後の情報にも「ある種のフィルター」が掛かっている事を認識する事も重要かもしれません。気候変動政策やCEは欧米でいかにも成功して世の中を変えるような非常に強いメッセージがメディアを通じて発信していますが、それと逆の主張は「陰謀論」や「偽情報」というラベル付けをする事が上記のファクトチェッカーの役割にもなっています。計画や成功例に対しあまりにも失敗例を聞く事が少ないのも不思議な現象です。
▶ https://nypost.com/2023/01/25/how-george-soros-funds-fact-checkers-to-silence-dissent/
欧州リサイクル産業協会と風力産業協会が共同声明を発行し、現状の希土類だけでなく、ニッケル、マンガン、銅、アルミニウム、鉄スクラップ、ガラス繊維織原料などを3月8日に発表される予定の欧州重要な原材料法に含めるよう請願しています。鉄スクラップにつては実名を明記して重要な原材料に含めるよう公式に声明で請願する事は、恐らくはじめての事となります。風力発電容量1MWを設置する為にはおよそ120トンの鉄鋼製品が必要との認識を示し、原料調達の域内化の重要性を訴えています。
▶ https://www.eurofer.eu/press-releases/ensuring-access-to-critical-materials-for-steel-and-wind-sectors-essential-for-eu-clean-tech-economy/
EU最大の経済大国ドイツの前四半期のGDPが発表され第三四半期に対しマイナス0.2%となりました。市場予測は0.0%でした。2023年第1四半期のエコノミスト予測は、予想していた急激な景気後退でなく、緩やかな景気後退の可能性が高いと見ています。ドイツ政府は年次経済報告で、ロシアのウクライナ侵攻による経済危機は対処可能であるが、エネルギー価格の高騰と金利の上昇には慎重姿勢を維持している、と伝えていました。
▶ https://www.reuters.com/world/europe/german-economy-unexpectedly-shrinks-q4-2023-01-30/
世界第2位の銅生産国ペルーで一部の銅鉱山閉鎖の危機が伝えられています。ペルーは先月元大統領を追放後に反政府抗議活動が続き、暴力的な行動が急増し政情不安を起こしています。中国の銅鉱山会社MMG Ltdはペルー最大の銅鉱山の1つであるラス・バンバス鉱山で2月1日からの生産停止の可能性を発表しています。これは全国的な政情不安で輸送網に影響が出ており、鉱山操業に必要な物資の供給問題が起きている為、としています。ただし鉱業協会は現在の一連の抗議行動がどれだけ続くかにもよるが、新しい鉱山が立ち上げられる、今年もペルーの銅生産量が増加すると予測しています。
▶ https://www.reuters.com/markets/commodities/chinas-mmg-flags-production-halt-las-bambas-peru-due-protests-2023-01-30/
欧州環境庁 (EEA)が廃棄物管理に関する調査結果を発表し、一般的な8つのリサイクル資源の内、欧州市場ではアルミニウム、紙、ガラスだけが十分に機能する二次原料市場を持ち、それ以外は苦戦している実態を記載しています。機能していない5つの二次原材料市場には、木材、プラスチック、バイオ廃棄物、建設および解体廃棄物からの骨材、繊維が含まれます。EEA の分析によると、これらの市場における主な問題は、生産材と比較して全体量が少ないこと、需要が弱いこと、共通の仕様がなく産業用材料に向けた場合の品質問題があることを挙げています。更に一部の材料(木材等)は、エネルギー使用に対する需要の競合など、特定の課題に直面しています。
▶ https://www.eea.europa.eu/highlights/markets-for-many-commonly-recycled
リチウムイオン電池のリサイクルを手掛けハブ・アンド・スポークシステム構築を目指すLi-Cycle社が2022年第4四半期と2022年通期の決算を発表しています。(カッコ内は2021年の実績)売上$1,560万($650万)、純損失$約5,370万($約2億2,660万)、調整済み EBITDA 損失$約1億700万($2,620万)。調整済みEBITDA の損失は、主にスポーク事業とロチェスターハブの拡大に関連する人件費とネットワーク開発コストの増加によるもの、としています。情報企業となった為、財務状況がわかるようになりましたが、LIBリサイクル産業はまだ投資先行で回収までに時間がかかりそうです。
▶ https://www.marketscreener.com/quote/stock/LI-CYCLE-HOLDINGS-CORP-125758618/news/Li-Cycle-Reports-Fourth-Quarter-and-Year-2022-Financial-and-Operational-Results-Continued-Execution-42845357/
コーヒーカスをバイオ油に変換する英国の新興企業がおよそ£40万(6000万円)を獲得し事業化する事が報じられています。英国では毎年約 50万トンの使用済みコーヒーカスが発生し、その廃棄物の処理に約 £8,000 万(13.5億円)の費用がかかっています。抽出されたバイオ油は、パーム油の代替え品として利用する目論見です。食料残渣、飲料残渣の問題は世界共通の問題ですが、においや腐敗、水分などの様々な要因でリサイクルされない状態で廃棄・焼却・埋め立てされています。英国ではコーヒーカスを利用したバイオ燃料は持続可能性燃料として認定を受ける事もできます。
▶ https://www.dailyrecord.co.uk/news/scottish-news/glasgow-start-up-transforming-coffee-28796227
欧州の包装及び包装廃棄物に関する「2023年に知っておくべき事」が掲載されています。今年、欧州の各国政府は拡大生産者責任(EPR)を強化し、抜本的な規制強化を行うと共に使用禁止製品を追加し、更にラベリングの仕様変更等、包装分野は急速に改革と規制強化が進みます。スペインではプラスチック税が施行され、再利用不可能な包装、リサイクル不可能なプラスチックなど特定の基準を満たさないものに1Kgあたり€0.45を課します。ルクセンブルグでは廃棄物法が改正され、レストランでは再利用可能な容器と再利用可能なカトラリーの使用を義務付けます。ギリシャは EPRの範囲を飲料カップや食品容器などの使い捨てプラスチック製品に拡大します。その他の欧州諸国も一斉に規制強化に乗り出します。
▶ https://packagingeurope.com/features/2023-and-packaging-what-have-we-seen-so-far/9331.article
英国バーミンガム大学の研究者が高炉に後付けをしてCO₂をCOに変換し循環させる鉄鋼生産工程を開発した事を発表しています。このシステムは高炉発生ガスからCO 2を回収し、結晶鉱物格子である「ペロブスカイト」材を使用してCOに還元します。この還元反応は高炉に後付けで接続された熱交換器を使用し700~800度Cでの範囲で起こります。生成されたCOは還元材として利用しリサイクルします。バーミンガム大学は特許を出願しており長期的なパートナーを募集しています。バーミンガム大学では、このシステムが他の工法に比べ格安な方法で二酸化炭素削減(約90%削減)を達成する事ができる、としています。
▶ https://packagingeurope.com/features/2023-and-packaging-what-have-we-seen-so-far/9331.article
31日に中国の国立統計局(NBS)が発表した経済指標が予想を上回り、景気回復が予測を超えるものと見られています。発表された購買担当者指数(PMI)は、12月の47.0から1月に50.1まで上昇しています。景気判断となる50を上回った事で、国内の注文と消費が生産高を押し上げている事が示され、思った以上の回復と捉えられています。しかし、政府が発表するデータに懐疑的な見方もあり、アナリストは外需の弱さ(輸出の弱さ)について警告しています。
▶ https://www.asiafinancial.com/analysts-surprised-by-chinas-unexpected-economic-rebound
国際通貨基金が31日に2023年の世界経済見通しを発表し、昨年10月に出した2.7%の成長予測から2.9%に上方修正しています。上方修正は米国と欧州の需要増、エネルギーコストの緩和、さらに中国経済の再開を理由としています。しかし、世界の中で英国経済のみが縮小し、ロシアや他の先進国よりも悪化するという予測を出しています。これは、エネルギー価格の高騰、住宅ローンの上昇、増税、更に慢性的な労働力不足を理由にしています。
▶ https://www.reuters.com/markets/imf-lifts-2023-growth-forecast-china-reopening-strength-us-europe-2023-01-31/
▶ https://www.bbc.co.uk/news/business-64452995
何度か巨大な権力、億万長者、更にビックテックによるメディアのコントロールについて記載していますが、昨年より多数公開された過去のTwitterファイルにより、検閲と情報拡散コントロールが安全保障や治安当局による圧力にまで及んでいた事が話題を呼んでいます。米国の新聞ではなく英国の新聞Guardianがこの話題を取り上げています。Twitter ファイルが明らかにした大きな問題は、ソーシャルメディア企業と国家安全保障組織との間の「接触レベル」です。米国のFBIは定期的にTwitterの幹部と会合を開き、単なる風刺的なツイートに過ぎない場合でも「誤情報」として行動を起こすようTwitterに圧力をかけ、ユーザーの個人データを要求していました。TwitterはこのFBIの圧力にしばしば反対している事が分かっています。公開されたTwitterファイルは、ソーシャルメディアと国家安全保障局との「不健全な関係」を示すものでした。最近米国のケーブルニュースネットワークでは盛んにこの事を伝えている為、FBIに対するアメリカ人の態度には顕著な変化があると伝えられています。これは民主党の支持に影響を与えています。 現在、米国人はFBI を為政者が使うポピュリズムに対する不可欠な「武器」と見なしている、と伝えています。
▶ https://www.theguardian.com/commentisfree/2023/jan/01/the-twitter-files-should-disturb-liberal-critics-of-elon-musk-and-heres-why
欧州委員会は、トラックなどの大型車両の排出ガス規制の改訂案を2月14日に公表する予定です。これは、先日の乗用車や商用バンに向けたユーロ7規制につづくものです。草案では、大型車両は 2035 年以降も CO2 を排出することが許可され、2040 年かそれ以降に廃止又は段階的に廃止される可能性があります。2025年から2029年までの炭素排出削減目標は現時点では記載がなく、その後の排出削減もまだ指定していません。2030年から2034 年、2035年から 2039年、2040年以降の3つの排出削減目標とともに、その後の3つの「報告期間」が定義として定められています。つまり、この5年毎で基準が厳しくなるという事です。ただし、技術的に代替手段がない為、排出削減目標も現段階では曖昧で、今後具体的に現実性がある目標が出せるか評価が分かれる所です。
▶ https://www.euractiv.com/section/freight/news/new-diesel-lorries-to-be-allowed-until-at-least-2040/
発表されたトルコ経済指標が良く、鉄屑市場上昇の裏付けとなっています。経済信頼度指数は、昨年12月の98.1から1月は99.3、消費者信頼感指数は1月に4.6%上昇して79.1になりました。製造業の信頼指数は1月に1.8%上昇し、103.4になっています。Davis Indexは過去数週間でトルコへの鉄スクラップ輸出価格が上昇傾向にあることを示しており、米国の売り手は強気のオファーを出しています。ただし、トルコの鉄スクラップ購入は年初の在庫補充による為との見方も強く、上昇トレンドが継続するか評価が若干割れています。
▶ https://www.recyclingtoday.com/news/ferrous-scrap-price-rebound-usa-turkey-steel-recycling-2023/
リチウムイオン電池のリサイクルを画期的に変える可能性のある接着剤(結合剤)が開発されています。ローレンス・バークレー国立研究所が開発したもので、2種類のポリマーの混合剤で構成され、水酸化ナトリウムを含む室温のアルカリ水に入れると溶解します。正極、負極に塗布される材料を剥離する事が容易になる可能性があります。研究は既にリサイクル新興企業 Onto Technologies と共同でテスト段階に移っています。研究者は、すべてが順調に進めば新しい結合材料は「2~5年」以内にリチウムイオン電池で使用される可能性がある、と語っています。実用化された場合は、かなり画期的な発明となります。
▶ https://www.forbes.com/sites/alanohnsman/2023/02/01/a-new-glue-could-make-lithium-ion-batteries-cheaper—and-less-toxic/?sh=3cec72ef1e89
アルミ市場は、短期的な上昇トレンドをサポートするテクニカル指標が出ているようです。エネルギーの入手問題もあり中国国内のアルミ生産レベルが低く在庫レベルも歴史的に低い状態が続いています。輸出市場にまで影響が出る可能性は低いと見られていますが、すぐに生産増には至らないとの見方が優勢です。米国ではアルミ缶の不足が続いているため、工場はUBC (使用済みの飲料缶) の調達に苦慮しています。
▶ https://agmetalminer.com/2023/01/31/aluminum-prices-and-trends-end-of-month-update/
鉄鋼とスクラップに関する欧州でのロビー勢力間での意見の相違が伝えられています。これは、EU廃棄物輸送法に関連する内容で、欧州鉄鋼協会EUROFERと EU ステンレス鋼生産は原材料の90~100%がスクラップとして容易に入手できるよう、ロビーを続けています。高炉と電炉の要求の違い、国ごとの違いなどが述べられています。この問題は鉄鋼業界とリサイクル産業だけでなく、鉄鋼業界の中でも温度差があるようです。
▶ https://steelnews.biz/greedy-for-scrap-now-eu-critical-raw-material/
英国で初のリチウムイオン電池のリサイクル湿式精錬工場設立を発表しているAltilium Metals社が総額£2,760 万(約42億円)の政府支援資金の一部を受賞した事を発表しています。同社はロンドンインペリアル大学と共同でリサイクル材からカソード活性材を抽出する独自の工法を開発し、既にテストセンターを開設しています。同社の特徴の1つは鉱業部門を持ちインドネシアのPT Konstruktorの株式30%を所有、約4,950ヘクタールのニッケル鉱山権益を持ちます。鉱業部門ではインドネシアからニッケルとマンガンの材料及び中間材を供給します。LIBのリサイクル材料と並行しニッケル、コバルト、マンガン鉱石から電池材料を供給する独自のビジネスモデルを構築する事を計画しています。欧州の自動車メーカーの一部は欧州内でのワンストップ調達を希望するところもあり、この方針は評価され始めています。単独の技術よりも全体でのビジネスモデルが今後の鍵となりそうです。
▶ https://altilium-metals.com/nickel-cobalt-and-manganese-ores/
欧州の飲料カートン環境協会(AEC)が、先日発表されたEUの包装及び包装廃棄物指令改訂案に90%の廃棄物の強制回収目標とリサイクルのガイドラインを要求しています。これは廃棄物の回収を強制にしなければ要求されたリサイクル材料の使用比率を含む改訂案の目標を達成できない為、としています。また欧州委員会に対しリサイクル用のカートン設計ガイドラインの開発を要求するよう求めています。更に無菌材料包装は再利用の対象から除外されるべきであると主張しています。今回の改定案では何種類もある包装材に画一的な規制を課している事から、様々な業界団体が反対や調整意見を表明しています。プラスチックの法規制は、一元的に行うには技術的なハードルがあまりにも高い事を示しています。
▶ https://packagingeurope.com/news/ace-calls-for-90-mandatory-collection-target-to-be-added-to-eu-legislation/9341.article
鉄スクラップの1つの原料である船舶の解体に関するデータが発表されています。2022年には合計443隻が解体され、大型タンカーを含む292隻がバングラデシュ、インド、パキスタンの干潟地で行われています。しかし南アジア地区の売上は過去10年で最低、解体船舶数も大幅に減少しました。理由は一昨年から昨年前半に掛けての船舶運賃の暴騰により旧型船舶の運航期間を引き延ばした事と、船社の銀行与信に起因するものです。しかし、今年から船舶解体数が急増すると予想されています。船社は脱炭素化で船舶をアップデートする必要が生じている事が理由です。特に大手コンテナ船会社が多くの船舶を廃棄し始めます。スイス大手のMSCは124隻のコンテナ船を発注済みで2023年から納入される予定です。新規発注は中国と韓国の造船大手各社に多く入っています。EUは船舶リサイクルに「持続可能性要件」を課しており、南アジア地区は基準に達する場所が殆どありませんがトルコのサイトが承認されており、今後は鉄スクラップ需要国であるトルコでの欧州船舶の解体が増えそうです。
▶ https://www.offshore-energy.biz/urgent-need-for-change-in-ship-recycling-sector-80-of-ships-scrapped-on-south-asian-beaches/
米国コネチカット州のスポーツ競技場で人工芝を禁止する法案が提出されています。2023年10月1日以降、地方自治体や公共機関が新規の人工芝の購入、使用、設置契約締結を禁止するものです。現在使用中のものは期間を限定せず利用できますが、交換は出来ません。提案では禁止される競技場の種類を限定しておらず、環境への懸念以外に健康被害や特定の環境影響を明記していません。法案は現在、合同環境委員会に送られています。米国では過去に人工芝のゴムチップに健康影響の問題が指摘された時期がありました。原料となるタイヤに関してはアーカンソー州でタイヤリサイクルの商業化を推進する法案が提案されたばかりです。
▶ https://www.tyreandrubberrecycling.com/articles/news/connecticut-state-reps-call-for-artificial-turf-ban/
フランスの大手自動車メーカー「ルノー」のCEOが提案された排気ガス規制ユーロ7を導入すると新車価格が€2000上昇し、欧州地域で最大4つの工場を閉鎖する程に需要が減少する可能性があると発言し波紋を呼んでいます。欧州委員会はユーロ7導入によるコスト増が1台あたり€90から€150と見積もっていますが、このレベルを大幅に超えるコスト増となります。ただし、ユーロ7対応の投資をEV化に向ければEV価格が下がり高い対費用効果を生み出す可能性も示唆しています。独大手のフォルクスワーゲンのトップはユーロ7対応に1台当り€3,000から€5,000という更に大幅なコスト増を示唆しています。ユーロ7導入で欧州メーカーが排ガス規制に投資するのかその資金をEV化により向けるのかは、未だにハッキリ見えていません。
▶ https://www.autocar.co.uk/car-news/business-euro-7/euro-7-renault-boss-warns-factory-closures-car-costs-soar