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NEWSCONの気になるNEWS(2022年12月第3週)

2022年12月7日、米国共和党の上院議員が「重要鉱物独立法案(Critical Mineral Independence Act of 2022)」を議会に提出しています。銅、リチウム、コバルト等の鉱物資源のサプライチェーンを安全保障上問題のある国に依存する事を避け、同盟国を含む米国内でのサプライチェーン再構築と処理能力の強化する事が法案の主旨となっています。US Geological Survey によると、米国は47の鉱物製品の 50% 以上を輸入に依存しており、その内の17品目は依存が100%となっています。欧州では重要な原材料法が議論されており、今後、スクラップを含めた金属原料の国際流通に安全保障や資源ナショナリズムによる規制がかかる事になります。
https://bit.ly/3VIdf9p

鉄鋼メーカーによる2つの脱炭素化の動きが報道されています。 米国の電炉鉄鋼大手Nucorがゼロカーボンスチールの原料を開発製造する新興企業であるElectra社に株式投資を行ったと発表しています。Electra社は、再生可能エネルギーを使用して、化学的なプロセスや湿式製錬プロセスを用いて低品位の鉄鉱石を高純度の低温鉄(Low-Temperature Iron (LTI:摂氏60度の低温で生成))にする技術を持つ企業です。生成した鉄原料は、電炉で利用する為に使われる予定です。
https://www.electra.earth/
https://nucor.com/news-release/19426

欧州最大の鉄鋼メーカーであるアルセロールミッタルがCCU(炭素の回収と利用)技術のプロジェクトをスタートしています。プロジェクト名は「Steelanol」で、総額2億ユーロの投資となり、欧州では鉄鋼業界として初めての取組となります。炭素回収と利用の技術はパートナーを組むLanza Tech社が開発しています。また、アルセロールミッタルは、Carbalyst のブランド名でLanzaTech社と共同で生成エタノールを販売すると述べています。同社は、工場がフル稼働時には8000万リットル/年のエタノールを生産する計画としています。
https://bit.ly/3PhPbYj

欧州による産業ナショナリズムの動きが加速しています。 「Made in Europe」産業を確立することを目的として、EU で太陽光発電産業同盟が正式に立ち上げられました。新しいアライアンスは、太陽光パネル製造工場への投資を促進し、2025 年までに欧州内で30 ギガワット (GW) の年間生産能力を目指します。これは、現在の生産能力(4.5GW)の6倍以上です。今年、EUでは約40GWの太陽光発電が設置されますが、多くは中国からの輸入に頼っています。現在、世界の太陽光発電機材の生産能力の80%は中国であり、ポリシリコンとそのインゴットの世界シェアは近い将来95%に達すると見られています。欧州の太陽光発電業界は、このアライアンス立上げを称賛していますが、現実問題として資金不足や電気料金の高騰による製造コストの上昇もあり、懸念も表明しています。
https://bit.ly/3VL7RSQ

2023年内にリチウムの供給が需要に追いつき、価格が急落すると予想しています。Goldman Sachsのコモディティ アナリストやBYDのエグゼクティブ バイス プレジデント、その他のアナリストが予測しているもので、需要家の一部の在庫が十分にある事や、来年新しい鉱山が稼働することで需給バランスが安定方向に向かう為と見られています。過去1年間でリチウム価格は1,200%も急騰しており、LIB原材料価格高騰の原因の1つとなっています。可能性の域ですが、炭酸リチウムの価格が今年の1トンあたり59,000ドル以上から2年後の2024年には11,000ドルに下落、水酸化リチウムも今年の1トンあたり67,240ドルから2024年には12,500 ドルに下落すると予想しています。
https://bit.ly/3BnC0zq

12月9日夕刻に欧州議会と欧州理事会がEU電池指令改定案に若干の修正を加え暫定的に合意しました。最終的な指令にはまだ若干の修正余地がありますが、概ねこの状態で決まる予定です。2020年12月の欧州委員会案からの修正点で大きなものは、生産者責任、バッテリーパスポート&QRコードの採用、デューデリジェンスポリシーの導入となります。回収率やリサイクル材料の使用比率については概ね当初案の通りですが、2027年より:Co(16%)、鉛(85%)、リチウム(6%)、ニッケル(6%)がリサイクル材料の混入率となる予定で、これらはトレサビ情報と含有量を仕様書に記載する必要が生じます。また、携帯用バッテリーの回収は生産者に一定の比率まで達するよう責任が課されます。
https://ec.europa.eu/commission/presscorner/detail/en/IP_22_7588

鉄鋼製品とアルミに対する新たな炭素税の提案が米国でなされる計画があります。この提案について、米国通商代表は欧州連合と交渉する予定です。ロイター通信によると、この計画では、特定の鉄鋼製品、アルミニウム、及び製品の生産に関する「排出強度」基準が設定される予定です。基準を超える排出量で作られる製品は排出量の少ない国に金属を輸出する際により高い関税を支払うことになります。鉄鋼及びアルミニウム工場の排出量が輸入国以下の国は、炭素ベースの関税を支払う必要がありません。これは、事実上BRICsや途上国から先進国への輸出に対する保護貿易となる可能性があります。この政策が実施された場合には、鉄スクラップの世界的な流れが大きく影響を受ける可能性があります。
https://bit.ly/3UNZ6pJ

欧州のアルミスクラップ価格がインドやアジアからの高い需要により過去数週間で急激に上昇しています。この傾向は2023年の第1四半期まで続く見込みで、欧州のアルミ合金メーカーは、地域の経済環境が弱い中でEU域内のスクラップと製品のマージンを維持することが難しくなる可能性が高くなります。Argusの評価では、アルミスクラップの価格が11 月中旬から現在までに18.2%上昇し、アルミ ホイールのスクラップ価格に関しては 14.8% 上昇しています。
https://bit.ly/3Fnn8SU

大手鉱業企業グレンコアがインド系のシンガポール企業ACE Green Recyclingと電池のリサイクル金属供給契約を締結した事が伝えられています。ACEはリサイクルされた電池から主要な電池用金属を供給します。契約期間は15年で、グレンコアは、米国、インド、タイで計画されている鉛蓄電池とリチウムイオン電池のリサイクル工場から鉛、リチウム、ニッケル、コバルトを含むリサイクル金属を受け取ります。これらの工場の生産能力は、合計で年間約160 万トンとなります。鉱業企業がリサイクル企業との協業を進める背景には、欧州や米国の電池規制によるリサイクル材料の使用義務化が背景にあると思われます。
https://bit.ly/3hm90Bh
https://www.acegreenrecycling.com/

英国のコンサルタント会社ID Tech Exが2つの調査報告を発表しています。 1つ目はプラスチックのケミカルリサイクルについての調査報告です。投資や事業計画は加速しており、市場は拡大し始めています。廃プラをモノマーに変換しバージングレードとほぼ同様な品質に戻す事ができる為、将来需要が期待されています。市場で主流の技術は解重合、酵素解重合、マイクロ波解重合、熱解重合、熱水解重合、ガス化があり、何れも一長一短で、何れかが主流とはなっていません。投入材やその量、システムの規模、投資により「まばら」に拡大しているのが現状です。
https://bit.ly/3uMEXWA

2つ目はEVには欠かせない熱管理技術の調査報告です。直接油冷式モーター、シリコンカーバイド・パワーエレクトロニクスの開発が進み、車輛の熱管理の開発も進展しています。この報告では2033年までのEVバッテリー、モーター、インバーターの熱管理戦略(空気、油、水、浸漬式)の市場シェアと、市場予測が示されています。特にバッテリーの液体冷却方式が伸びており、2022年前半にはEV市場の70% 以上が液体冷却を使用しました。モーターに関しては、オイル冷却する方法の採用が大幅に増加しています。特に液体冷却方式の場合は、ラジエター同様に熱交換機でアルミフィンと銅管を利用する為、非鉄の需要が増す部分です。
https://bit.ly/3FmuPbX

本日、EUの交渉担当者がいわゆる世界初の「国境炭素税」に合意した事が発表されています。WTOに抵触しないよう、炭素国境調整メカニズム(CBAM)と正式に名付けられています。GHG排出量の多い製品には国境で賦課金(Levy)が課される仕組みで、まずは鉄鋼、セメント、アルミニウム、肥料、電力、水素などの輸入に適用される予定です。ただし、賦課金がいつ発効するか賦課金によって保護されないEUの輸出をどのように補償するのか、その時期は決まっていません。
https://bit.ly/3FoNALU

既に多くの報道がなされていますが、G7は欧州時間の12日に「気候クラブ」を設立する事を発表しています。また野心的な気候政策を行う事に関心のある国々に参加を呼び掛けています。G7は経済協力開発機構(OECD)に対して、国際エネルギー機関(IEA)と連携して気候クラブの暫定事務局を主催するよう要請しています。これは、自由貿易とは別なグループ、気候を軸としたブロック経済の幕開けです。欧米政府の炭素税、重要な材料法の同時進行と言い、環境を免罪符にしたブロック化の大きな潮流と言えます。アジアはこの流れに追随していませんが、日本はG7の1ヵ国ですので、このアンバランスをどうするのでしょうか。。
https://bit.ly/3FjElwq

複数の科学系のサイトで報じられているマイクロプラスチックのニュースです。ニュージーランドのオークランドでは、毎年ペットボトル300万本に相当する量の浮遊マイクロプラスチックが地面に落下している事が調査で明らかになっています。その量は74万トンです。現在世界では目に見えないマイクロプラスチックが地表近くを漂い、雨水、食物、海洋中で発見されています。今回の測定では高度な科学的方法を用いており、過去他の地域で行われた調査が正確な数値を測定していなかった可能性を示唆しています。様々な調査結果がありますが、都市に生活する一般的な人は、平均して1週間に最大5グラム程度のマイクロプラスチックを体内に取り込んでいるというデータもあります。
https://bit.ly/3FKZHUW

米国の大手LIBリサイクル企業Redwood Materialsがサウスカロライナ州に大規模なバッテリー材料のリサイクル施設を建設し、年間 100万台のEVに供給するカソードとアノード材を製造すると発表しています。将来は生産能力を拡大する可能性にも言及しています。工場は2023年第1四半期に着工し段階的に拡張、2023年末までに初期の施設を稼働する計画です。工場は化石燃料を一切使用せず、アジアのサプライヤーと比較して約 80%の炭素削減ができる見込みです。
https://bit.ly/3BzC0N0

ゴールドマン・サックスとバンク・オブ・アメリカのアナリストが2023年の銅価格予測を出し、その内容をCNBCが報じています。カソードが供給減となり、世界の在庫量が14年間で最低レベルに落ちている事から、価格が上昇すると予測を変えています。また、中国でのコロナの制限緩和で、在庫補充を見込んでいることも1つの要因です。先週発表した12ヶ月予測を$9,000から$11,000に引き上げ、平均価格予測を2023年に$9,750、2024年に$12,000に引き上げています。Bloombergはペルーの一部の銅鉱山(世界シェア14%)で貯蔵スペースが不足し、生産の遅延や停止が検討されている事も伝えています。
https://bit.ly/3UZIhbv

格付会社のフィッチ・レーティングスが2023年の鉄鋼市場の見通しを発表しています。鉄鋼市場は2023年後半に掛けて正常化し、中国を除いて 2021 年の水準とほぼ同等に回復する見込みとしています。ただし、需給バランスが正常化してもエネルギーや原料高により鉄鋼メーカーの収益は大幅に減少すると予想しています。欧州の鉄鋼会社の見通しはネガティブですが、北米、インド、トルコ、ブラジルなどの市場では保護主義的な貿易措置、インフラ投資に対する政府の支援の恩恵を受けて、センチメントはポジティブになる予測です。
https://bit.ly/3iSp8La

S&P Globalがサステナビリティ市場に関する四半期レポートを掲載しています。特に、銅、リチウム、コバルトなどの新規鉱山開発が生態系や種の保存に重大な脅威をもたらす地域と一致している事から、開発の遅れが原材料供給と価格に影響する可能性があると伝えています。また、EUのセメントメーカーの脱炭素化について、2030年までに炭素排出量を30%削減する事は可能であるが、現在以上に規制が厳しくなった場合は、業界の収益性が著しく影響を受け、 2050 年までにネットゼロを達成することは困難になると考えています。セメントと鉄鋼については、脱炭素に最もコストが掛かり、自社努力だけでは達成できないエネルギー供給の問題を解決する必要があります。
https://bit.ly/3YgRPBT

特に欧州で大きな問題となっている気候変動活動家の過激化について、ドイツ警察が取締を強化している事が伝えられています。「Last Generation」と呼ばれる活動家集団は、道路封鎖のみならず、歴史的に価値がある美術品にペンキや食べ物を投げる等、多くの破壊的な抗議キャンペーンで注目を集めています。ドイツでは、これらの活動家をどの程度厳しく扱うか、議論の的となってきました。7年前にYouTubeのPragerUチャンネルに投稿され、元グリーンピースの設立メンバーの1人パトリック・ムーアが「私がグリーンピースをやめた理由」という動画で、環境活動家がなぜ過激化するのかを説明しています。この動画は、既に470万回以上再生されています。毎回出てくる謎の1つは、移動や滞在、活動をする為の資金源です。最近グレタさんが表に登場しませんが、COP27の前に「国連気候会議は詐欺」とオーストラリアABCテレビのインタビューで答えて過激化しており、政治家から一定の距離を置かれるようになってしまった事が理由のようです。
https://bit.ly/3VVQZbT

大手石油・化学企業の参入が相次ぐプラスチックのケミカルリサイクルですが、米国の大手石油企業であるエクソンモービルがテキサス州に大規模な廃プラ用ケミカルリサイクル工場を設立します。リサイクルが困難な人工芝、哺乳びん、プラスチック製コップ、調味料のボトル、ヨーグルトカップ、プラスチック製のカトラリ等を処理します。同社は2026年末迄に世界で廃プラのケミカルリサイクルを推進し、米国外では、ベルギー、オランダ、シンガポール、カナダに拠点を展開する計画です。
https://corporate.exxonmobil.com/news/newsroom/news-releases/2022/1214_exxonmobil-starts-operations-at-large-scale-advanced-recycling-facility

Reutersが中国のアルミ生産が11月に増加し、メーカーが来年の需要見通しを考慮して電力供給が許す限り生産を増やす意向である事を伝えています。
https://www.reuters.com/markets/commodities/china-nov-aluminium-output-rises-power-controls-ease-2022-12-15/

EV新興企業が株価低迷に陥っています。米リビアン・オートモーティブは過去12ヶ月で企業価値の70%以上を失いました。EV小型商用車メーカーのアライバルは今後1年以内に現金が底をつく可能性があります。ルシッドグループは車の製造そのものに問題を抱え、Xpeng社は企業価値の80%以上を失っています。業界幹部やアナリストはEVの拡大を阻む要因が急速充電インフラの不足と主要な原材料の不足による価格高騰を指摘しています。2025年までに北米で販売されるEVは74モデルなる見込みですが、そのうち20%は年間50,000台以下の販売台数となる見込みの為、自動車メーカーは多くのモデルと過剰な生産能力により行き詰まる可能性がある事が伝えられています。
https://www.reuters.com/business/autos-transportation/electric-vehicles-confront-leap-mass-market-2022-12-15/

KoBold Metalsをご存知でしょうか。同社は地質学や地理的属性をAIアルゴリズムで解析し、優良な鉱脈を発見し評価するスタートアップ企業です。アイデアはどこにでもありそうですが、実はこの会社の出資者はビル・ゲイツやジェフ・ベゾスを含む億万長者の連合なのです。現在取り組んでいるのは、コバルト鉱脈のGoogleマップ作製で、ザンビアのミンゴンバ銅・コバルト鉱山開発に1億5000万ドル(約200億円)を投資する事を発表しています。人工知能を使い掘削データを処理し、ミンゴンバで銅とコバルトの探査を行います。EVは電池の原材料を抑えた所が勝つ商品であり、バッテリーに利用する原材料は地球規模で偏在しており、アセスメントにコストと時間がかかり鉱山開発投資は回収までの道のりが長い為、鉱脈を所有するより価値ある鉱脈を探し当てるサービスの方が投資としては理にかなっています。最近、米国の証券取引委員会(SEC)の会長Gary Genslerがジョージソ・ロス、ヒラリークリントン、ナンシーロペシと個別に会談を持ち、それらの会談自体が公式な会談記録から削除されていた事が米国でも問題になっています。ソロスもゲイツもクリントンもロペシも環境投資でひと財産作り上げている億万長者で強力なメンバーなので、SECが急に気候変動財務開示情報の規制強化に動いている事も納得できます。
https://www.koboldmetals.com/

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