NEWS
NEWSCONの気になるNEWS(2022年11月第1週)
世界的にニュースになっていますが、28日、正式に欧州委員会のHPでプレスリリースとして発行され、2035年にEU内でのCO2 排出車の新車販売を終了する事を発表しています。その後はゼロエミッション車に限り新車販売が行われる予定です。例外として年間生産台数が10,000台未満の乗用車と22,000台のバンを生産するメーカーには暫定目標からの免除が認められます(通称:フェラーリ条項)。また2030年までに乗用車で2021年比CO2排出量55%削減、バンで50%削減するという暫定目標にも合意しています。これは相当に高いハードルです。自動車生産大国であるドイツは2035年以降も「CO2ニュートラル燃料のみで走る」車両を許可するよう求め合意に達しましたが、どの様な車輛が対象となるかは明確になっていません。ドイツの保守層議員からは『ハバナ効果』がより現実的になりつつある、という懸念も出ています。ハバナ効果とはキューバにクラッシックカーばかりが見られる光景と同じで2035年以降、ゼロエミッション車の価格が高すぎて新しい車が手に入らない、または手頃な価格で消費者がゼロエミッション車を買わなくなり、暫くは街に古い車ガソリン車が多数ある状態が続くという事です。
▶ https://ec.europa.eu/commission/presscorner/detail/en/ip_22_6462
欧米でのディーゼル不足と中国による燃油の輸出増のニュースです。欧州でのディーゼル不足は以前お伝えしましたが、既に米国でもディーゼル在庫が低レベルで現時点にて2008年以来の最低水準です。米国では精製能力の不足と過去の化石燃料への過少投資が精製所の閉鎖とメンテナンスと相まって、供給不足を生み出す一因となっています。欧州も来年2月よりロシア産原油/燃料の海上輸送を禁止する事から、不足の解消には時間が掛かる見込みです。ディーゼルの不足と高騰は輸送費の高騰をもたらしインフレの大きな要因となっています。その為、今年アジアから欧州への燃油の輸出が増えてきました。ゴールドマン・サックスは欧州と米国でのディーゼル不足により、この冬の燃料価格が上昇する可能性があると警告しています。ただし、中国が燃油の輸出を増やしつつあり、中国の精製業者は年末に向けて原油の購入を増やしている、という事です。中国の燃油輸出は主にアジア向けで欧米向けは少ないと見込まれていますので、欧米のインフレにとっては良いニュースでは無いようですが、ベトナムの燃油不足の解消には役立つと思われます。
▶ https://bit.ly/3flnY9z
▶ https://bit.ly/3fbTqau
米国で新たなリチウムイオン電池リサイクル工場設立に関するニュースです。米国のリチウムイオン電池リサイクル会社であるAscend Elements社とUS Engineered Materials社が市場から3億ドルの資金を確保しています。資金の提供先には、韓国のSKグループの環境部門であるSK ecoplant、オマーン投資庁、 リチウムアメリカズコーポレーション、GLy Capital Management(New Mobility Fun)、 Mirae Asset Capital & LS、及びShinhan GIBが含まれます。Ascend Elements社はケンタッキー州にリチウムイオンリサイクル&電池材料工場を建設するために最大10億ドルを投資するという計画を既に発表しています。同社は独自の技術であるHydro-to-Cathodeを利用して廃リチウムイオン電池からブラックマスを生成し、電池構成部品の前駆体とカソードの活性物質を抽出します。
▶ https://bit.ly/3fcyQGO
国際的な調査コンサルティング会社であるWood Machekzieが銅の供給不足についてのレポートを発表しています。ネットゼロを達成するためには、今後10年間で新たな銅鉱山プロジェクトから年間 970 万トン分の銅の供給が必要と報告しています。しかし、今後10 年という期間でこれ程の量を供給する事は難しく大きな問題になり得る、としています。供給を確保する為には新規プロジェクトに毎年 230 億米ドル以上の投資が必要であり、これは過去30年間の銅鉱山への平均年間投資額を64%上回っています。鉱山からの銅の供給が将来需要を満たさない場合、リサイクルが唯一の可能性となる事も言及されています。世界最大の上場銅採掘業者である米国のFreeport-McMoRanは第3四半期決算発表で「脱炭素化の推進により世界的に銅の使用が激化し、新しい鉱山開発が必要だが現在の銅価格は新しい鉱山開発を推進するには不十分であり、将来の供給不足が予想される」という見解を示しています。
▶ https://bit.ly/3DLrLX3
米国の投資銀行ゴールドマン・サックスのグローバル商品投資調査責任者Jeffrey CurrieがCNBCのTVインタビューで述べた事が世界で拡散されています。映像と全文文字起こしをしているサイトがありましたので、リンクを提供します。今年1月に米国における過去10年の再生可能エネルギーへの投資累積総額とエネルギー消費における化石燃料の比率についての統計が出た内容を述べたものです。過去10年で再生可能エネルギーに投資した累計総額は3.8兆ドル(555兆円)ですが、エネルギー消費における化石燃料の比率は、82%から81%に、わずか1%しか減っておらず、更に現在のエネルギー危機で、82%かそれ以上に逆戻りする可能性が高い、というものです。過度に再生可能エネルギーのみに投資をし過ぎた為、エネルギー全体の供給能力のバランスを欠き、現在のエネルギー危機を起こしている、と結論づけています。Oilprice.comはこれを一部引用し、IEA(世界エネルギー機関)が出した最新のWorld Energy Outlookがあまりにも再生可能エネルギー寄りで楽観的過ぎる、というコラムを発表しています。再生可能エネルギーは「容量」又は「能力」で数値が出ますが、実際には天候により能力の3分の1しか発電量が無い場合もあり、バックアップが必要です。
この話が面白いのは、このインタビューをしたCNBCはじめ大手左系メディアも殆どこのインタビューと事実を黙殺しており、ネット上のみで拡散されている事です。貸出利回りが仮に10年で3%でも最低15兆円の金利益だとしたら、誰のポケットが温まったのかを知ると、パズルのピースの埋め方が分かり易い事もあります。
▶ https://bit.ly/3DnouvU
▶ https://www.youtube.com/watch?v=_Wb88H_SgZ0
▶ https://bit.ly/3Nlx9n2
▶ https://bit.ly/3sQhZwx
EUの統計データ機関であるEurostatが速報値としてユーロ圏(通貨€を使う19ヵ国)と EU(加盟27ヵ国)のGDP成長率と、ユーロ圏のインフレ率を発表しています。GDPはユーロ圏とEUの両方で0.2%増加、前年同期比ではそれぞれ+2.1%、+2.4%となっています。ユーロ圏のインフレ率は9月の9.9%から上昇し、10月は最大10.7%になると予想されています。エネルギーは10月に+41.9%、9月+ 40.7% から更に伸びています。以下それぞれ、アルコール、タバコは+13.1%で9月の9月+11.8%、非エネルギー産業財は+6.0%で9月の+5.5%、サービス部門は+4.4%で9月の+4.3%から、それぞれ伸びています。インフレ率は依然改善していません。
▶ https://bit.ly/3FuwQV6
▶ https://bit.ly/3SPUkqW
英国のプラスチック廃棄物のケミカルリサイクル技術開発会社であるPlastic Engergy社が、同じく英国の化学製品の生産メーカーであるIneos Olefins & Polymers Europe(Ineos社)と年間処理能力が10万トン規模のプラスチック廃棄物のケミカルリサイクル工場を設立するMOUを締結した事を発表しています。Plastic Energy社は自社の特許技術TAC Recycling技術を所有し、油化製品である「Tacoil」を製造します。現在TacoilはIneos社が所有するドイツの化学工場でテストが行われています。工場は2026年末の商業生産開始を目指すとしていますが、詳細は明らかになっていません。欧州ではプラスチック樹脂やポリマーを製造する化学メーカーのプラスチック廃棄物のケミカルリサイクルへの進出が続いています。
▶ https://plasticenergy.com/ineos-agreement-tacoil/
米国のマサチューセッツ州が廃棄を禁止する材料のリストに、ベッドのマットレスを含む織物製品を追加しています。またマサチューセッツ州環境保護局(MassDEP)は現在、有機廃棄物を週に1.0トン以上発生する事業者がそれらを廃棄処分する事を禁止していますが、このしきい値を毎週0.5トン以上とし、半減させています。該当する企業は、廃棄物を再利用するか、リサイクルにより処理しなければなりません。廃棄を禁止する繊維製品には、衣類、履物、寝具、タオル、カーテンが含まれます。繊維製品の廃棄については世界的に問題となっており、欧州では次の廃棄物の中心的なテーマとなりつつあります。化学繊維を多く含む廃棄物はマイクロプラスチックとなり自然界に流出する事から、2025年に予定されているプラスチック廃棄物の国際条約で規制の対象になる可能性が指摘されています。5㎜以下のマイクロプラスチックが自然界に流出する事を防ぐ為の対策が、条約の議論の1つとなっています。
▶ https://bit.ly/3SSQGwu
プラスチックリサイクルの事実上の世界標準を作り、国際条約にも強いロビー力を持つ「エレン・マッカーサー財団」が企業や自治体等によるプラスチックに関するグローバルコミットメントの進捗報告を発表しています。グローバルコミットメントとは、国連環境計画と協力して、エレン・マッカーサー財団が主導しています。グローバルコミットメントを通じて、企業や自治体はプラスチックの生産、使用、再利用の方法を変えることを約束するものです。同団体のHPで公開されています。
2022年度版の最新報告では、以下の3つの重要なポイントをサマリ―として挙げています。
1つ目は、幾つかの領域では進歩が見られるものの、2025年の主要な目標を達成する事は出来ない可能性がある事。
2つ目は、それら主要な目標達成が困難な事から、企業はよりアクションを加速させる必要がある事。特に再利用、軟質包装の処理、一定の成長や便利さを維持しつつも、エネルギー消費を減らしていく(通称ビジネスデカップリング)、包装の習慣化からの脱皮が、喫緊の課題である事。
3つ目は、規制当局である政府が積極的に行動する事。プラスチック汚染を防ぐ具体的な拘束力を生む議論を加速させる事。
エレン・マッカーサー財団は、再利用可能、リサイクル可能、または堆肥化可能なプラスチック包装を100%達成するという目標は、ほとんどの企業や組織が「ほぼ確実に見過ごす」との見解を示しています。特に軟包装とその材料の処理や再利用のインフラの欠如が目標を達成する為の主な障壁であると付け加えています。
▶ https://ellenmacarthurfoundation.org/global-commitment-2022/overview
先日7500万ドルの資金調達をお伝えした米国のリチウムイオン電池リサイクル企業Cirba Solutionsが米国の3大自動車メーカーの1つであるゼネラルモーターズ(GM)とEV電池のリサイクルに関する契約を延長した事を発表しています。Cirbaはリチウムイオン電池を処理する2つの工場を含む計6工場を運営しています。
2022年9月にCirba Solutionsは米国のアリゾナ州に75,000平方フィートの施設を建設してリチウムイオン電池をリサイクルする計画を発表しました。この施設は年間50,000台分のEV電池を処理することが期待されています。同社はリチウムイオン電池リサイクルの処理能力を今後10年間で6倍に増加させ、北米に幾つかの処理施設を追加することを目指しています。
最近英国最大のLIBメーカーであるBritishvoltが資金不足で大幅な計画の遅延に直面しています。乱立し始めたLIB関連企業ですが、メーカーとのタイアップが無い所は資金確保に困難な状況が表れ始めています。
▶ https://www.cirbasolutions.com/news/
▶ https://www.reuters.com/technology/europe-leans-asia-homegrown-ev-batteries-2022-11-03/