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NEWSCONの気になるNEWS(2025年4月第1週)

世界最大の資産運用会社であるブラックロックは、中国不動産市場から撤退する動きを見せています。ブラックロックは上海の不動産市場低迷を受けて、同市の最後の主要資産であるトリニティ・プレイス(27階建てオフィスビル)を9億元(約1億2400万ドル)で売却予定です。この価格は2017年の購入価格より34%低い金額です。これに先立ち、同社は上海のウォーターフロント・プレイスにあるオフィスビル2棟も、ローン返済滞納により7億元でDCLインベストメンツに売却しており、こちらは2018年の購入価格から40%以上の値引きとなっています。ブラックロックが上海という不動産大都市から大幅なディスカウントでの撤退という事で話題になっています。今以上に悪くなるとの予測のようです。
https://www.scmp.com/business/article/3304173/blackrock-sells-shanghai-tower-34-discount-it-pulls-back-china-property?module=top_story&pgtype=section

国連環境計画が、国際廃棄物ゼロデーを前に公式プレスリリースを発行しています。2025年3月30日の国際廃棄物ゼロデーでは、ファッションと繊維産業の廃棄物問題に焦点が当てられます。世界で年間9,200万トンの繊維廃棄物が生産され、2000年から2015年にかけて生産量が倍増する一方、衣服の使用期間は36%減少しました。廃棄された衣類は低所得国で環境・社会問題を引き起こしています。UNEPとUN-Habitatは、持続可能な生産、再利用、修理を重視する循環型経済アプローチの必要性を強調し、消費者、業界、政府の協力を呼び掛けています。世界各地でイベントが開催され、ゼロ廃棄物の優良事例が紹介されます。今後の廃棄物の焦点は繊維廃棄物です。次期バーゼルにも影響しそうです。
https://www.unep.org/news-and-stories/press-release/unsustainable-fashion-and-textiles-focus-international-day-zero

欧州からのスクラップ輸出に対する批判が高まっています。Euracive等の一般政治紙も取り上げています。2023年にはEUから120万トン以上のアルミニウムスクラップが流出し、重要な資源が失われています。European Aluminiumは、無制限のスクラップ輸出が欧州の循環経済を妨げていると警告しています。リサイクルアルミニウムは一次生産の5%のエネルギーで済む為、欧州は国内リサイクルによる大きなエネルギーとCO2削減の機会を逃しています。解決策としてアルミニウムスクラップに輸出料金を導入することが提案されています。これにより、欧州の気候目標と産業の未来を守ることができると報じられています。
https://www.euractiv.com/section/eet/video/europe-is-losing-valuable-aluminium-why-we-must-keep-scrap-here/

欧州委員会(EC)は、苦境にある業界の規制負担軽減策として、EUエネルギー法の改正を検討中です。現行のエネルギー効率指令はEUにエネルギー消費削減目標を設定し、企業にエネルギー監査を義務付けていますが、これを緩和する計画です。ECは再生可能エネルギー法の簡素化も検討中で、ブリュッセルは欧州企業の競争力向上のため官僚的障害排除に取り組んでいます。2月に持続可能性報告規則の削減案を発表したECは、現在EUエネルギー政策の簡素化について初期段階の議論を行っています。これらの変更は中小企業の負担軽減を目的とした包括的パッケージの一部となり、4-5月に発表予定です。
https://www.tradingview.com/news/invezz:508cc8dc2094b:0-why-is-eu-considering-deregulation-of-energy-laws-amid-economic-concerns/

中国政府は鉄鋼輸出の規制を強化します。先週、中国政府の5部門は輸出管理と税務コンプライアンスを強化する新規制を共同発表しました。これは海外への低価格鉄鋼供給に対抗する為です。新規制では税関申告に税務登録確認が義務付けられ、脱税行為がほぼ排除されます。これまで企業が「迅速な登録と閉鎖」を抜け道として利用していた為、監督が強化されます。不正輸出行為には刑事責任を含む厳しい罰則が科されます。2021年に鉄鋼輸出への税還付廃止後、多くの輸出業者が「代理輸出」に依存し、輸出価格低下や税収損失、ダンピング懸念を引き起こしてきました。国際的な非難に対応する事が本措置の本当の目的ですが、政府は価格競争防止と輸出構造最適化、高品質鉄鋼市場での中国の評判強化を目指すと発表しています。
https://gmk.center/en/news/china-tightens-steel-export-rules/

銅を巡る世界の力学は中国から徐々にインドに移行しています。インドはアフリカの鉱物資源採掘に進出し、国際銅市場に影響を与えています。インド政府はザンビア北西部で銅・コバルトの探査地を取得し、他のアフリカ諸国とも交渉中です。現在、中国は世界の銅製錬・精製能力の約50%を支配していますが、インドやサウジアラビアもアフリカでの存在感を拡大しています。サウジアラビアは今後5年間でアフリカ鉱業に約100億ドルを投資する予定です。
https://agmetalminer.com/2025/03/28/copper-market-heats-up-india-zambia/

スウェーデンのEV電池メーカーノースボルトは、3月に本国で破産申請し、従業員を約5,000人から約1,700人へと大幅に削減しました。破産管財人によると、事業継続の為の財務保証に関する利害関係者との基本合意が近日中に締結される見込みで、縮小しながらも操業を続けています。3月の破産申請は、2024年11月の米国破産法申請に続く2度目の破産申請です。同社は技術的課題、生産量不足、BMWからの大型注文キャンセル等が原因で財政難に陥りました。欧州産電池サプライチェーンの主力として期待されていたノースボルトの破綻は、欧州自動車産業に大きな打撃を与えています。こうした状況の中、韓国の電池メーカーは欧州への出資を増やしています。
https://biz.chosun.com/en/en-industry/2025/04/01/MJVSVJ7QRNE6NN23DOJASNYXL4/

バーゼル、ロッテルダム、ストックホルム条約の締約国会議の会合前の作業文書および情報文書が利用可能となりました。この会議(BC COP-17、RC COP-12、SC COP-12)は2025年4月28日から5月9日にジュネーブで開催され「目に見えないものを見えるようにする:化学物質と廃棄物の適切な管理」をテーマとします。ハイレベルセグメントは4月30日午後から5月1日午前に予定されており、準備会議は4月27日に行われます。永久化学物質が1つのテーマとなります。
https://www.basel.int/

米国の関税計画への懸念から金価格が1オンス当たり3,100ドルを突破し、史上最高値を記録しました。投資家は貿易摩擦とインフレリスクを懸念し、安全資産である金に資金を移しています。今年に入り金価格は18%上昇し、「報復的関税」への不安から上昇基調が続いています。主要金融機関は予測を上方修正し、ゴールドマン・サックスは年末迄に3,300ドル、モティラル・オスワル社のナルネ氏は4,000-4,500ドルに達する可能性があると予測しています。中央銀行の需要やETFへの資金流入も、金価格の上昇を支えています。
https://www.mining.com/gold-price-blasts-through-3100-for-new-record-high/

中国政府のアルミニウムに対する新計画が注目されています。生産上限を設定し、環境配慮型生産とサプライチェーン強化を目指します。現在、年間4500万トンの生産能力に近づく中、排出削減やリサイクル促進も推進し、持続可能な生産体制を構築する事で、エネルギー消費を抑えます。これにより中国は国際市場での主導的地位を維持しつつ、輸出量の減少や価格変動にも耐えることを計画しています。米国との関税戦争やボーキサイト供給の課題も市場に影響を与えている中、中国政府の動きは中期的な市場の修正に影響を与えそうです。
https://agmetalminer.com/2025/04/02/aluminum-market-china-redrew-map/

ヨーロッパは金属産業の復活に躍起になっており、その動きが活発化しています。世界的な鉄鋼過剰生産能力は今年も悪化の一途をたどる見込みです。欧州鉄鋼協会(EUROFER)は、EUのセーフガード措置が市場の需要と輸入量の乖離に対応できていないと指摘し、早急な見直しを求めています。EUROFERは鉄鋼・金属行動計画に基づき、現行措置の期限切れ後に新たなセーフガードを迅速に採択する必要性を訴え、エネルギー価格の高騰が依然として課題であることも強調しています。欧州政府が金属計画の具体的な施策案に動いている中、関係団体は相当にロビー活動を活発化させています。
https://www.eurofer.eu/press-releases/latest-oecd-global-overcapacity-data-show-ever-worsening-trend-confirming-the-urgent-need-for-strong-eu-steel-post-safeguard-measures-says-eurofer

欧州委員会と英国競争・市場庁(CMA)は、自動車メーカー15社と業界団体に対し、リサイクルカルテルへの関与を理由に罰金を科しました。カルテルは2002年から2017年にかけて行われ、自動車リサイクル費用の支払い拒否やリサイクル情報の非公開を通じて競争を妨げました。これにより、消費者は、環境性能を比較できず、メーカーへの圧力が軽減されました。フォルクスワーゲンが最大の罰金を受けた一方、内部告発したメルセデス・ベンツは免除されました。規制当局はこの行為が持続可能性と市場競争に悪影響を及ぼすと批判し、透明性向上を求めています。フォルクスワーゲンが1億2,769万ユーロ、ステランティスが9,950万ユーロ、ルノー・日産が8,146万ユーロ、フォードが4,146万ユーロの罰金を科されました。
https://www.dw.com/en/eu-and-uk-fine-carmakers-millions-over-recycling-cartel/a-72109880

OECDの鉄鋼位委員会が会合を開き、世界の鉄鋼業界に警告を発しています。世界の鉄鋼業界は、中国の非市場政策による補助金や優遇措置が原因で過剰生産能力が拡大し、2027年迄に20%増加すると予測されています。中国の鉄鋼輸出は2020年以降2倍以上に増加し、2024年には1億1,800万トンに達する見込みです。この結果、鉄鋼価格と収益性が低下し、脱炭素化への投資も停滞しています。OECD鉄鋼委員会は、各国の政策調整を求めつつ、過剰生産能力問題への国際的な取組を強化する必要性を伝えています。
https://www.oecd.org/en/about/news/speech-statements/2025/04/97th-session-of-the-steel-committee-statement-by-the-chair.html

欧州では2024年まで続いた規制強化の流れが大きく逆転しています。欧州議会の緑の党、中道左派、中道右派等、4政党がEUの企業の報告義務の簡素化を目指す「オムニバス」案に合意し、可決されました。この動きは企業の持続可能性報告規則(CSRD)とデューデリジェンス規則(CSDDD)の施行を1~2年延期する内容を含みます。これにより、企業の負担軽減とEU競争力強化が図られますが、環境規制の弱体化懸念も浮上しています。議会内では右派勢力との協力が進む一方で、親欧州派による調整が試みられています。
https://www.euractiv.com/section/politics/news/broad-centrist-coalition-in-parliament-agrees-plan-to-roll-back-eu-red-tape/

EUからの廃棄物の流れに一層の監視がかかりそうです。EU環境理事会でチェコのフラディーク環境相は、違法廃棄物輸送対策の情報共有の強化を求めました。一部加盟国では100以上の機関が対応しており、効率的な取締が困難と指摘しています。チェコ等、5カ国は違法輸送に関与した企業の罰金情報を含むデータプラットフォームの導入を提案し、各国で1つの担当機関設置を推奨しました。また、違法輸送阻止国への自動通知制度も提案しています。背景にはチェコへの違法廃棄物輸送問題があります。
https://www.euwid-recycling.com/news/policy/member-states-urge-better-information-sharing-in-the-eu-about-illegal-waste-shipments-310325/

EUは戦争で敵対し制裁を課しているはずのロシアから昨年11カ月で504万トンの鉄鋼原料を輸入しました。安価なロシア産の半製品に頼らざるを得ない欧州の鉄鋼業界の事情が伺えます。輸入の大半は半製品鋼材、還元鉄、銑鉄で占められていました。ロシアからのスクラップ輸入量は42.61千トン、調達コストは2358万ユーロ。鉄鉱石供給量は936万トン、133万ユーロ。同時に、この期間の直接還元鉄輸入量は994.65千トン、3億3305万ユーロに達しました。水面下でこの状況は続きそうです。
https://gmk.center/en/news/eu-imported-5-04-million-tons-of-steel-raw-materials-from-russia-in-january-november/

かつて欧州のリサイクルのチャンピオンだったドイツは統計によると大きな岐路に立っています。報告書によると同国の廃棄物の40%が国民によって誤って分別されていることが明らかになっています。ドイツ連邦環境省(UBA)のデータによると、ドイツではリサイクル可能な材料が一般廃棄物コンテナに投げ込まれ、その後焼却されるか埋め立て地に送られることが多いことが分かりました。「収集されたごみの質が著しく低下しているケースもある。多くの廃棄物が間違った収集容器に捨てられている」と報告書は記載しています。流入する不法移民の増大、経済の停滞等、様々な要因が重なっているようです。
https://www.msn.com/en-xl/news/other/green-germans-lose-crown-as-best-in-world-for-separating-rubbish/ar-AA1xIvOp

トランプ政権の規制緩和によっても重要鉱物への需要は抑制されない見通しと伝えられています。 アナリストや業界リーダーらによると、トランプ米大統領によるEV生産目標の撤回は、リチウムやその他の重要な鉱物の需要を一時的に鈍化させる可能性があるが、EVの世界的な需要が急増する中、鉱業に悪影響を与える可能性は低いと見られています。世界第2位の米国の自動車市場でEV需要が冷え込んだとしても、アナリストや業界専門家は他国での牽引力がそれを補って余りあると分析しています。ただし、この情報を出しているロイターはEV寄りなので、本当にそうなるのかは疑問視する向きもあります。
https://batteriesnews.com/trump-battery-ev-rollback-not-expected-to-suppress-appetite-for-critical-minerals/#google_vignette

WTOは貿易戦争は世界経済にとって「壊滅的」な影響を与えると警告しています。WTOの事務局長は報復的な貿易戦争は世界経済の成長に壊滅的な結果をもたらすだろうと警告しました。同氏は「もし報復措置が取られれば、それが25%の関税であろうと60%であろうと、1930年代の状態に戻り、世界のGDPは2桁の損失を被ることになるだろう。それは壊滅的だ。誰もがその代償を払うことになる」と述べています。政治リスクの専門家は米政権による報復関税での「最悪のシナリオ」は回避される可能性が高いと確信していますが、当面は影響が出ることは避けられないと分析しています。
https://www.asiafinancial.com/trade-wars-would-be-catastrophic-for-world-economy-wto



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