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世界の環境関連ニュース(2022年5月第1週)

カザフスタンが5月6日から6ヶ月間スクラップの輸出を禁止する事を発表しています。鉄スクラップだけでなく非鉄スクラップも含まれます。

米国ジョージア州の大手電池リサイクル会社の「Call2Recycle社」が、同じく米国のバージニア州に本社のある電池のリサイクル技術開発振興企業である「Li-Industries社」と提携する事を発表しています。Li-Industries社は電池の自動選別技術とリチウムイオン電池のリサイクルの技術開発の2つを行う企業です。同社の技術の詳細は説明されていませんが、リチウムイオン電池のリサイクルに関しては、リサイクルカソード材料を製造する事を目的としてます。米国では選別回収が進んでいない地域も多く、廃電池の選別技術も重要視されています。
https://bit.ly/3y4YWTn

Financial Newsが次の市場リスク要因としてコモディティーをあげて説明しています。LMEのニッケルSqueeze(スクイーズ)によって、1カ月程前にLMEニッケルが大暴騰しました(スクイーズとは、相場の上昇により、損切り注文によって売りポジションが買い戻され、その結果相場上昇に繋がること)。LME市場が膨大に積み上がったショートポジションを全量把握しておらず起こった事で問題化しており、当局が調査と是正措置に乗り出しています。過去の金融危機でも市場が内容を把握しておらず、暴騰と暴落が起きています。証券監督者国際機構の議長は、市場を介さない不透明なOTC市場で起こっている事とLMEの様なケースから、次に市場のリスク要因となる可能性があるものにコモディティーを上げています。この問題は複数のニュースソースで伝えられています。
https://bit.ly/37R8V3F

HSNWが国際ニッケル研究グループ(INSG)による最新のニッケルの世界需要と供給について紹介しています。27日に発表されたデータでは、ニッケルの世界需要は2021年の278万トンから2022年には302万トンに増加、世界生産量は、2021年の261万トンから2022年には308万トンに増加すると予測しています。需給バランスに関しては2021年には168,000トンの供給不足でしたが、2022年には67,000トンの供給余剰としています。
https://bit.ly/3xX2wif
https://insg.org/index.php/insights/

現在、米国では戦争を機に顕著化したエネルギー危機、更に急激なインフレの中でグリーンフレーションをもたらす気候変動対応の政策が不人気になっており石油とガスの掘削許可を出し始めています。元々、現米政権は気候変動対策を大統領の選挙運動の主要な柱としており、大統領就任後にパリ協定への復帰もしています。その為、活動家から批判が噴出しています。また、インフレをもたらすような急激で大規模なグリーン政策を推進した事で保守派からも批判が噴出して過去の大統領でも最低レベルまで不人気になっています。今後も気候変動政策を推進できるのか、帰路に立たされている、という報道が目立ち始めています。
https://bit.ly/36TYbB8
https://cnn.it/3vSvfSr

米国のQ1の景気が予想外に悪い結果となっています。GDPが年率マイナス1.4%、四半期ベースでは0.4%のマイナスです。雇用も強く成長力のある産業セクターもあることから、現在のインフレによる金利引き上げの方針は変わらないようです。景気後退とインフレが同時に来る可能性が色々指摘され始めています。
https://bit.ly/3rXZypT

欧州政府は、2030年までに気候中立(カーボンニュートラル)でスマートな都市の「EUミッション」に参加する100の都市を発表しています。欧州委員会は、これらの100都市に対して気候都市契約を作成します。この契約には、エネルギー、建物、廃棄物管理、輸送などの全てのセクターにわたる気候中立性の全体的な計画と、関連する投資計画が含まれます。
https://ec.europa.eu/commission/presscorner/detail/en/ip_22_2591

米国マサチューセッツ州の「Ascend Elements社」が、独自の技術である廃リチウムイオン電池のリサイクルで精製するカソード製造施設の『Hydro-to-Cathode™』を公開した事が伝えられています。同社は、自社のHydro-to-Cathode™工程について、従来のカソード製造工程よりもはるかに効率的で環境に優しく、電池金属の98%を回収し、従来の半分のコストで新しい陰極材料を生成し、温室ガス排出量を90%削減する、と伝えています。
https://ascendelements.com/hydro-to-cathode/

米国の現政権がリチウムイオン電池産業の強化の為に30億ドル以上の投資を行う事を発表しています。5月2日、米国エネルギー省(DOE)は、31.6億ドルの投資を発表することにより、電気自動車とバッテリー業界を改善する取り組みを強化する事を発表しています。予算は米国内でのリチウムイオン電池の生産を増やし、リチウム、コバルト、ニッケル、グラファイト等の重要な鉱物の持続可能な国内供給を作りだす為に割り当てられます。DOEは米国のサプライチェーンを強化する為に、75億ドル以上を供給する超党派による「インフラストラクチャー法」の中で、31.6億ドルをバッテリーの製造、処理、リサイクルを推進する事に割り当てる計画です。色々政治的な背景がありますが、まずは現政権が国をあげて前向きになっています。
https://bit.ly/3s8IGNo

既に日本でもニュースになっていると思いますが、ロシアが非友好国と(個人)へのロシア製品及び原材料の輸出を禁止できる大統領令にサインがなされました。これにより、欧州市場では天然ガスが6%以上急騰、ロシア産の多いPGM(白金類:プラチナやパラジウム)も上昇しています。非友好国と対象になる個人のリストは10日以内に作成される予定です。2日前にBusiness Insider が英バークレーズのロシアによるエネルギー禁輸措置が与える影響をレポートしていました。ロシアからのエネルギーが途絶えてガスが「配給制」になった場合、製造業等の企業活動は配給内でのエネルギー利用に活動が限定される為、ユーロ圏のGDPが5%近く低下する可能性が指摘されています。金属需要にもかなり影響が出る可能性があります。v
https://bit.ly/3w5g5K1

世界でトップ10に入る自動車部品のサプライヤー/メーカーであるフランスの「フォルシア(Fauresia)」と廃棄物管理の世界最大企業であるフランスの「ヴェオリア(Veoria)」が、2025年迄に自動車の内装にリサイクルプラスチックを平均30%使用することを目指し、パートナーシップを組む事を発表しています。スエズを買収したヴェオリアは、2023年からフランスの既存のリサイクル工場で二次原料の生産を開始する予定です。内装はPP、 PE、 ABSが主体になります。フォルシアは欧州の多くのメーカーに部品を供給している事から、この流れは、他地域にも波及する可能性が十分にあります。
https://bit.ly/3KLfJxj

欧州のIT資産処分産業は成長産業です。北アイルランドの会社が英国企業FDGを1,100万ポンドで買収したことが報道されています。買収した会社は、北アイルランドの「Vyta Group」でIT機器の処分を専門に行う企業です。買収資金は、アイルランドの中小企業支援を専門とするプライベートエクイティファームであるMML (Growth Capital Partners Ireland)から受けています。
https://bit.ly/38OeAaY

ナトリウムイオン電池の大手メーカーである米国の「ナイトロンエナジー(Natron Energy Inc.)と、モビリティ向けの低電圧先進電池技術を開発するクラリオス・インターナショナル(Clarios International Inc.)が、ナトリウムイオン電池を大量生産する為の戦略的合意を発表しています。2023年に大量生産を開始する予定で、商業生産が始まると、世界最大のナトリウムイオン電池工場になります。ナトロンは2021年に世界初のULにリストされたナトリウムイオン電池製品をリリースしています。ナトロン社のバッテリーはリチウムイオン電池の製造と同じ機器を使用して製造されます。その為、ナイトロンとクラリオスは新工場を設立するのではなく、クラリオスのリチウムイオン電池製造施設の一部をナトリウムイオン電池の製造に活用する事で、低コストで市場投入までの時間を短縮できる、としています。
https://bwnews.pr/3LMLOpI
https://natron.energy/

鉱業大手のグレンコア(Glencore:スイス)が、カナダのリチウムイオン電池リサイクル企業の「Li-Cycle (Li-Cycle Holdings Corp.)」と戦略的パートナーシップを締結した事を発表しています。グレンコアはLi-Cycleの転換社債を引き受ける予定で、Li-Cycleはリチウムイオン電池リサイクル部門のグレンコアの優先パートナーになる予定です。契約が締結されると、グレンコアはLi-Cycleに2億ドルを投資します。契約締結は2022年の第3四半期に完了する予定です。グレンコアは、Li-Cycleとの戦略的パートナーシップを通じて主要な規制に対応できるようにする事を目指しています。特に欧州ではカーボンフットプリント規制によりサプライチェーンをローカライズする必要があり、電池原料にリサイクル含有量が規定される事から、両社の共通の利害が一致したようです。
https://bit.ly/38WIxFJ

欧州最大の鉄鋼メーカーである「アルセロールミッタル(ArcelorMittal))がドイツのリサイクル会社3社を買収する計画が報道されています。買収する会社は、ドイツのリサイクル会社である「ALBA」が所有する3社で、ALBA Metall Sud Franken、ALBA Metall Sud Rhein-Main、そしてALBA Electronics Recyclingの3社です。先日、アルセロールミッタルは、英国スコットランドのリサイクラーであるJohn Lawrie Metalsを買収したばかりでした。米国でも同じですが、欧州でも鉄鋼メーカーがリサイクラーを買収して原料確保に乗り出しています。
https://bit.ly/39HoRGr

欧州委員会がグリーン水素を製造する為の電解槽メーカーとの会合を開き、20社と「共同宣言」を出しています。共同宣言では、電解槽製造業界が2025年までに電解槽の製造能力を10倍(年間17.5GW)に増やすことを約束しています。この能増により、2022年3月に欧州委員会によって目標設定された「2030年迄に年間1,000万トンの再生可能水素をEUで生産する」という事が可能になります。グリーン水素が本当に安価になるのか、歴史的に水素は夢のエネルギーとして何度も登場しては消えて来たので、どこまでコストが下げられるかに掛かっています。
https://ec.europa.eu/commission/presscorner/detail/en/ip_22_2829

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