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世界の環境関連ニュース(2021年7月第1週)
Recycling Internationalの記事によると、現在協議中の改定「EU ELV指令案(使用済み自動車の処理に関する指令案)」では、新車に利用する再生プラスチックの量(比率)を2025年迄に25%、2030年迄に30%になるよう、法的拘束力を持たせる可能性がある、という事です。又、この指令を乗用車だけでなくオートバイやトラック等にも拡張する可能性もある、としています。黒色PPやタルク入りのプラスチックのリサイクル技術への要望が高まる事が予想されます。
▶ https://recyclinginternational.com/geen-categorie/changing-landscape-leaves-car-recyclers-big-shoes-to-fill/36311/
年間800万トン以上の木質ペレットを消費する英国Draxが、また新たな木質ペレットメーカーの買収を発表しています。米アラバマペット(Alabama Pellets LLC)の20%を追加取得する事で、持ち株比率が90%になります。これにより、世界で13拠点のペレット工場を持ち、自社の年間供給能力が490万トンになる、としています。欧州再生可能エネルギー指令の見直しが直前まで迫っており、森林バイオマスに関する規制が強化される事が指摘されている為、先日のカナダのピナクル社の買収を含め、材料確保に動いていると見られます。同時に、英国政府が1年前倒しの2024年にて石炭発電所を閉鎖する事を発表しています。
▶ https://www.drax.com/investors/acquisition-of-joint-venture-interest-from-westervelt/
太陽光発電の負の部分を伝えるニュースです。リサイクラーにとっては共通な認識だと思われますが、一般的には知られていません。ハーバードビジネスレビューの記事は、ソーラーパネルが予測の50倍の廃棄物を生み出しており、その多くは有毒だという趣旨の事を述べています。概要は以下のとおりです。古いソーラーパネルをリサイクルしても、収集できる価値のある物質は少なく、リサイクルするコストメリットがありません。重量の殆どがガラスであり、安全に取り外して輸送するのは面倒です。完全にリサイクルする為には、パネルあたり20〜30ドル掛かる可能性があります。対照的に埋め立て地はパネル毎に1ドルから2ドルの費用で済みます。ソーラーパネルをリサイクルする場合は、この差額を誰が支払うかを決める必要があります。
▶ https://hbr.org/2021/06/the-dark-side-of-solar-power
化学メーカーの大手独「BASF」が米国の「Zodiac Enterprises LLC」の資産を買収した事を発表しています。この買収は触媒リサイクルを推進し、貴金属回収を行う為のものです。需要が増大しサーキュラーエコノミーの様々な条件が追加されている中、貴金属回収への大手による同様の投資が増えています。
▶ https://www.basf.com/tw/en/media/news-releases/asia-pacific/2021/07/basf_expand_chemical_catalyst.html
英国初の大規模な商業用リチウム精製所の建設を目指している英国の鉱物処理会社「Green Lithium」が初期投資資金として160ポンドを調達した事を発表しています。リチウムはEUの「Critical Raw Materials」にリスト入りし、今後欧州域内での供給が必要とされている鉱物資源となっています。本プロジェクトでは年間100万台以上のEVの製造を可能にするのに十分な水酸化リチウムを生産し、グリーンリチウムとして顧客に供給する、としています。LiBの生産が各社で本格化する2024年後に急激な需要増が見込まれています。
▶ https://www.greenlithium.co.uk/green-lithium-achieve-1-6m-5x-oversubscribed-seed-funding-round/
▶ https://www.londonstockexchange.com/news-article/market-news/green-lithium-secures-ps1-6-million-in-seed-funding/15034401
綿リッチな繊維廃棄物から再生繊維を製造するフィンランドの「Infinited Fiber Company(IFC)」が行った資金調達に対し、H&M、ベストセラー、アディダスなどのグループが3,000万ユーロを提供しています。サーキュラーエコノミーの中で繊維リサイクルは新たな投資の対象となり、今後もリサイクルがより促進される方向が明確になっている分野です。
▶ https://infinitedfiber.com/2021/07/05/infinited-raises-eur-30-million-adidas-and-bestseller-among-new-investors-hm-group-leads-financing-round/
欧州委員会がディーゼル車の排出ガス浄化装置の競争を制限したとして、ダイムラー、BMW、フォルクスワーゲンに対して計8億7500万ユーロの罰金を科す決定を下だしています。ただし、最終的にダイムラーだけは免除を受け罰金の支払いを逃れています。欧州メーカーは現在の排ガス規制に対応する技術が限定されており、結果的にEVに行かざるを得ない状況となっています。
▶ https://ec.europa.eu/commission/presscorner/detail/en/ip_21_3581
オランダの大手石油会社「シェル」が欧州政府のバックアップするプロジェクトで大型の電気分解槽による水素工場を稼働しています。電解槽の容量は10メガワットで、ドイツにあるシェルのシェルズ・エナジー・アンド・ケミカルズ・パークライン・ランドに設置されています。電気分解技術を利用したグリーン水素の生産を目的としており、将来100メガワットに拡大する計画があります。このプラントと水素のデリバリーが商業的に成功するか、という事が今後の水素戦略を見る上で参考になると思われます。
▶ https://refhyne.eu/shell-starts-up-europes-largest-pem-green-hydrogen-electrolyser/
アメリカの鉄鋼メーカーでも2050年までにカーボンニュートラルになる事を発表しています。米ナスダックに上場している電気アーク炉(EAF)製鉄メーカーの「スチール・ダイナミック社(インディアナ州)」が2050年までにカーボンニュートラルにする事を発表しています。同社は2018年と比較して、スコープ1とスコープ2の温室効果ガス(GHG)を2025年までに20%、2030年までに50%削減する事を目標としています。更に再生可能電気エネルギーの使用率を2025年までに10%、2030年までに30%に増やすことを計画しています。北米も欧州と同じような動きになっており、スクラップ需要は増す事が予測されています。
▶ https://ir.steeldynamics.com/profiles/investor/ResLibraryView.asp?ResLibraryID=100807