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世界の環境関連ニュース(2021年6月第5週)

プラスチック用の分解酵素を開発しているCarbios社(フランス)からのニュースです。同社はロレアル、ネスレウォーターズ、ペプシコ、サントリービバレッジ&フードヨーロッパ等の世界的なブランドと提携して、プラスチックを酵素によって分解リサイクルし、食品グレードのポリエチレンテレフタレート(PET)のサンプル・ボトルを製造したと発表しています。同社は10年間、酵素技術の研究と開発を行ってきました。Carbiosは酵素を最適化する事で、色や複雑なプラスチックの組成に関係なく、あらゆる種類のPETを分解し、新品同様のバージン品質に変えることが出来る、としています。Carbiosは2025年までに40,000トンの施設を立ち上げる予定で、9月に実証プラントに着工する予定です。酵素分解を用いるこの技術は業界でも、かなり注目されています。
https://www.carbios.com/en/global-consumer-brands-unveil-worlds-first-enzymatically-recycled-bottles/

英国スーパーマーケットの「Sainsbury’s」では、英国内の520店舗で軟質プラスチック包装のリサイクルスキームを行います。現在、英国の地方自治体の83%がリサイクルを目的として受け入れていない軟質系プラスチック包装を店頭の集荷ポイントで集めます。包装には、ポテトチップス、フードポーチ、サラダバッグ、ビスケットやケーキ用のものが含まれます。英国では29万トンの軟質系フレキシブルフィルムが包装廃棄物として廃棄されている為、新たな取り組みとして注目されています。
https://www.circularonline.co.uk/news/sainsburys-rolls-out-largest-flexible-plastic-packaging-recycling-system/

フランスの高級ファッションブランドである「LVMH」が、新興企業の「Weturn社」と繊維リサイクルで協業する事を発表しています。端材、売れ残りの製品を新しい糸や生地に戻す取り組みです。このパートナーシップはLVMHの新しい一連の持続可能性への取り組みの一環としており、詳細は下記のリンクで参照可能です。繊維廃棄物の埋立てや廃棄は年々大きな問題となりつつあります。
https://www.lvmh.com/news-documents/news/by-teaming-up-with-weturn-lvmh-is-adopting-a-high-quality-textile-recycling-process-and-strengthening-its-creative-circularity-solutions/

メカニカルリサイクルによるPSのリサイクル材(rPS)開発のニュースをお伝えしましたが、ヨーロッパの業界イニシアチブでPSプラスチックの循環経済を目指す「Styrenics Circular Solutions(SCS)」が、PSプラスチック食品包装のリサイクルがCO2削減に大きく貢献する旨のリリースを出しています。PSの優れた溶解性能(減容性)、ケミカルリサイクル特性等を上げ、更に最近になりメカニカルリサイクルによるEU食品接触許可の最初の申請を提出した事を述べています。PETやPPに続きPSは使用量が多い為、リサイクルの課題を克服するか代替材料を開発するか、どちらかの選択となっています。PSのリサイクル材料(rPS)の開発は喫緊の課題となっています。
http://styrenics-circular-solutions.com/news/

リチウムイオン個体電池の開発を行う米「Solid Power社」がNASDAQ証券市場に上場する事を発表しています。民間投資会社「Riverstone Holdings」の関連会社である「Decarbonization Plus Acquisition Corporation III(DRC)」との合併後にNASDAQにIPOを行う予定です。今年5月にSolid Power社は、BMW、Ford、Volta Energy Technologiesが主導する1億3000万ドルの投資を発表しています。フォードとBMWグループは、 Solid Power社との既存の共同開発契約を拡大しています。
https://solidpowerbattery.com/

トルコでも全ての飲料ボトルとその他の包装について2022年1月1日からデポジット返還スキームを開始する旨が伝わっています。既に同国で法制度化が始まっている「Zero Waste Management System(ゼロウェイストマネジメントシステム)」に、ボトルと包装を追加するとしています。トルコはゼロウェイストプロジェクトにて4年間で1700万トンの廃棄物をリサイクルし、経済効果が19.6億ドルあったと伝えています。2019年には全ての店舗でビニール袋の料金が導入されました。それ以来、ビニール袋の使用は75%減少しています。ゼロウェイストプロジェクトでは、2023年までに10万人に直接雇用を創出する事を目指しています。
https://www.solidpower.com/en/about-us/

英国最大の金属スクラップ業者である「EMR」が、低炭素化に向けて大型の投資をする事を発表しています。EMRはスコットランド・グラスゴーのキングジョージ5世ウェストキー港(バース10)を開発し、スコットランドでの事業を変革します。将来、ユーティリティ・スコティッシュ・パワーから「100%再生可能電力」を購入し、使用される機器を完全に再生エネルギーに切り替えます。現在、EMRがスコットランドで運用している小型船(3,000トンクラス)ではなく、新バースでは最大65,000トンの船が接岸できるように開発します。これにより、炭素排出量が最大5分の1になります。全体のロジスティクスコストと低酸素化で、鉄鋼メーカーの競争力を上げる事に協力する、としています。長期的にEVのリサイクルや大規模な金属加工の開発も可能な拡張スペースも確保している、という事です。
https://uk.emrgroup.com/find-out-more/latest-news/EMRs-investment-in-UK-metal-recycling-takes-shape-on-the-river-clyde

ホンダがアメリカでリチウムイオン電池リサイクルの会社とEVの電池リサイクルで合意した事が報道されています。米マサチューセッツ州のリチウムイオン電池のリサイクル会社「Battery Resourcers」は、ホンダ及びAcuraのEV電池をリサイクルすることで「American Honda Motor Co」と合意したことを発表しています。Battery Resourcersからのニュースリリースによると、使用済みリチウムイオン電池から製品電池に対応するカソード活物質を製造する、としています。使用済みバッテリーからの金属回収率は97%、それを利用しニッケルマンガンコバルト(NMC-)カソード活性材料を製造します。ホンダ車のバッテリーは当初、同社の現在の工場で処理され、その後、2022年春に稼働する予定の新しい工場で行われる予定です。規制により今後、使用済みバッテリーのリサイクルの義務化と新しいバッテリーでのリサイクル金属の使用が義務付けられる事に対する対応が急務となっています。
https://www.batteryresourcers.com/news

風力発電の問題の一つとなっているブレードの材料(ブラスファイバー樹脂)のリサイクルのニュースです。「GEリニューアブルエナジー」は、「neowa社」と「Lafarge Holcim社」と協力して、風力タービンのリサイクルと再利用を推進しています。これは欧州委員会のサーキュラーエコノミー行動計画への取り組みの一環です。風力発電の(風車)ブレードはグラスファイバー等の素材で出来ており、リサイクルが難しいため、埋め立て処分されることがよくあります。neowa社はグラスファイバー製のブレードを裁断する独自の加工技術を持ち、セメント用の原料化を研究開発しています。Lafarge Holcim社は、研究開発チームと共に、風力タービンのブレードを建設資材に変える研究を行っています。また、GEは「Veolia North America社」と複数年の契約を結び、2040年までにVeoliaによる風力タービンのリサイクルで埋立て廃棄物をゼロにするという事を発表しています。
https://www.ge.com/news/press-releases/ge-renewable-energy-names-jan-kjaersgaard-as-new-offshore-wind-ceo

コカ・コーラがUKで100%のrPET材への移行を発表しています。コカ・コーラ・グレートブリテン(GB)が、コカ・コーラ・ユーロパシフィックパートナーズと提携し、全てのボトルに100%再生プラスチックを使用することを本日発表しています。始めに9月より500ml以下のボトルをrPETにします。これにより小型ボトル全体におけるrPETの使用率を50%から100%に増やす計画です。
https://www.coca-cola.co.uk/our-business/media-centre/coca-cola-great-britain-announces-100-percent-recycled-plastic-bottles

プラスチック代替材料用の植物タンパク質を開発している英国の企業「Xampla」が、新しいフィルムの開発を発表しています。同社はケンブリッジ大学からのスピンオフ企業です。開発された合成ポリマーは、自然由来のもので、化石燃料由来のプラスチックに匹敵する機械的強度を備えています。植物のタンパク質をクモの糸に非常によく似た分子構造に組み立てる事が開発の起点になっており、強度と柔軟性を備えています。柔軟な包装フィルム、小袋、マイクロカプセル等へのプラスチック代替材料として注目されています。
https://www.xampla.com/?p=765

世界最大手の化学メーカーの1社である「BASF」がドイツに新しいバッテリーリサイクルの試験(プロトタイプ)工場を建設する事を発表しています。新工場では、使用済みのリチウムイオン電池と電池の製造工程から出るスクラップから、リチウム、ニッケル、コバルト、マンガンを抽出する為の革新的な新技術の利用する、としています。新工場は、既に稼働している現在のカソード活物質(CAM)製造工場のある場所と同じ敷地内に建設を予定しています。ノースボルトやVWのようなメーカーや化学系企業がこの分野に進出し始めています。
https://www.basf.com/global/en/media/news-releases/2021/06/p-21-216.html

英国のファラデー研究所のReLiB(リチウムイオン電池のリサイクル)プロジェクトの一環として、英国のレスター大学とバーミンガム大学の科学者によって開発された、「超音波」を利用した極材料の活物質剥離技術です。
超音波層間剥離技術は、アルミや銅の電極から活物質を吹き飛ばし剥離します。NMC電池ではグラファイト及び、リチウムニッケルマンガンコバルト酸化物の除去に非常に効果的である事が証明された、としています。ライセンスをするようです(どのようなものか連絡してみます)。超音波剥離技術自体は新しいものではありませんが、LiBの電極に応用して成功しているのは、初めてだと思われます。
https://le.ac.uk/news/2021/june/battery-recycling

電気アーク炉(EAF)製鉄所も運営しているメタルリサイクルの大手シュニッツァーが2021会計年度の第三四半期の決算を発表しています。直近の四半期で純利益が6,500万ドルで、第二四半期の4,600万ドルから41%増加しています。好業績の要因は、リサイクル金属と西海岸の完成鋼製品に対する強い需要の恩恵、としています。引き続きインフラ投資もあり、鉄鋼需要が堅調のようです。
https://www.schnitzersteel.com/company/investors/news-release-details/21201

グローバルなマーケット分析を提供する「MINTEL」が「Global Packaging Trends Compendium 2021」を発表しています。最新のパッケージ(包装)に関係する550超のイノベーションについて詳しく説明しています。特に新しいトレンドとして急浮上しているのが、リフィル(詰め替え)です。過去18か月間、ブランドメーカー、小売業者、サプライヤーが使い捨てでリサイクルが困難なパッケージを減らす方法を検討する事が増える中、再利用可能で詰め替え可能なパッケージの例が増えています。特にドライフード、家庭用品、パーソナルケア商品は詰め替えで再利用可能な包装への移行に踏み出しています。メーカーにとって製造物責任は大変負担になる為、詰め替えや代替材が本当に多く出てきました。下記からレポートをダウンロードできます。
https://www.mintel.com/global-packaging-trends

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