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世界の環境関連ニュース(2021年10月第3週)

コンテナ滞留が世界的な問題になっている米国西海岸のロサンゼルス港とロングビーチ港が、操業時間を延長する事が伝えられています。既に一部では9月から始まっていますが、今回、両港が正式に時間と休日の操業を開始する旨が伝えられています。ただし、荷受人がコスト負担(労働者やトラックの割増料金)を支払う事にやや躊躇しているようで、他の地域で始まっている操業時間延長でも実際には4割程度しか荷役がアップしていない、という別の報道もありました。

オランダのプラスチック樹脂原料(ポリマー)メーカーである「Senbis Polymer Innovations BV」が、リサイクルPET(rPET)を評価する初のホワイト・ペーパーを発行しています。機械的リサイクルでもケミカルリサイクルでも、熱劣化、リサイクル工程における化学(熱、圧力、薬品等)や機械的な影響、汚染物質、の3点が問題として存在し、それぞれを分析しています。既に機械的リサイクルでrPETを製造しているメーカーでは、複数回で色の劣化が始める事が問題となっています。ケミカルリサイクルでも、不純物に含まれる有毒成分の処理にコストが掛かり、様々な課題が発生しています。ただし、これらの問題は投資家とリサイクル材を使用するメーカーに対する不利益な情報となる為、一般に殆ど知られる事がありません。
https://www.senbis.com/innovations/news/senbis-polymer-innovations-b-v-releases-whitepaper-evaluating-
https://www.senbis.com/innovations/news/senbis-polymer-innovations-b-v-releases-whitepaper-evaluating-recycled-pet-grades-and-making-them-fit-for-purpose

欧州最大の経済大国であるドイツの研究機関の5つが、今年のドイツ経済の成長率予測を3.7%⇒2.4%に変更しています。IMFも今週引き下げています。英国も同様ですが、サプライチェーンだけでなく、ガス価格の暴騰で主要な1次材料産業が苦境になっており、連鎖で製品製造にも影響が出る、としています。インフレ率の上昇も懸念され、景気鈍化でスタグフレーションの文字が散見されるようになりました。11月のテーパリングで米金利に上昇傾向が続けば、付利されない(金利が付かない)貴金属への投棄マネーの影響が、価格形成に変化をもたらすかも知れません。
https://bit.ly/3DKhS9y

エネルギー価格の高騰が続く中、救済策の1つとして、欧州で最も電気料金の高い国の1つであるドイツが、再生可能エネルギー法(EEG)によるサーチャージを来年1月1日からkWhあたり3.7セント(現在は6.5セントに減らす事を発表しています。ドイツの電力料金の高さはEEGサーチャージに起因していると言われています。ガス価格が世界中で急騰し、電気料金を押し上げている為、政府がこの削減に踏み切ったようです。平均的なドイツの世帯の場合、2021年6月の電気料金の20%以上が再生可能のサーチャージによるものです。
ドイツは陸続きで海外から電力を購入可能ですが英国は島国の為、エネルギー価格の上昇と輸送困難で大問題となっています。フランスでもデモが起きる事を恐れて価格上限を設ける等の措置が取られるようです。
https://www.reuters.com/business/energy/germany-slashes-energy-surcharge-help-consumers-weather-soaring-prices-2021-10-15/

気候変動の世界的なイベントであるCOP26まであと2週間となり、主催国である英国のBBCが同イベントに対する現在の状況を一部批判も含めてまとめています。参加人数は政治家や活動家だけでなく企業経営者やメディアも含め25,000人以上と大規模ですが、中国、インド、サウジアラビアの首脳クラスが参加表明していない等が挙げられています。世界各国からグラスゴーに集まり膨大な炭素を発生する事も批判されています。COP24 をキッカケに脱炭素に大きく動いた世界ですが、当時のアメリカ政権と日本は先進国で2ヵ国、その流れに遅れ、米政権が変わって大きく動いているのが現状です。今回もエネルギー転換、投資・金融業界、政策・規制、関係する所では鉄鋼業界等、様々な影響がある事が決められると見られており、詳細にまとめられています。
https://www.bbc.co.uk/news/science-environment-58925049

「Greenwave Technology Solutions Inc.」傘下の金属リサイクル部門企業であるである「Empire Services社」が、既にIPOの最終段階という事を発表しています。金属価格のスーパーサイクルに入り、金属リサイクルの収益性が飛躍的に向上した為、つい最近も1社買収を行い、IPOにより今後この分野の事業を拡大する事を目論んでいます。同社では(プライム)メタルスクラップの需要が2025年までに現在のレベルから約41%増加すると見込んでおり、今が業務拡大の最高の機会と考えているようです。米国では既に当然の事ですが、業務をクラウドベースのERPシステムに移行する事も発表されています。
https://bwnews.pr/3jfF3kf

米国の大手アルミメーカーの「NovelisI(ノベリス)」が、ニューヨークの工場をアップグレードするために約1億3000万ドル(約150億円弱)を投資する計画を発表しています。投資の主な目的は、製品ライン全体でリサイクルアルミの利用を増量する事と、生産能力を124,000トン増加させる事です。金属のスーパーサイクルで投資しやすい環境が生まれているという事です。
https://bit.ly/3n5lkop

Recycling Todayが米国での電気炉の増加に伴うスクラップ流通の影響について言及しています。国内流通が増加する事でメキシコからの流入を含めた流れが少し変わりそうだ、という事です。
https://www.recyclingtoday.com/article/mexico-us-cross-border-ferrous-scrap-flows/

欧州では特に飲料用容器ボトルにデポジットスキームを採用している国が多く、最新、トムラの新「RVM(Reverese Vending Machine)」の採用が報告されています。RVMは年々需要が増しており、RemondisがDiebold Nixdorf社のリバース自動販売機(RVM)事業を買収した事を報告したばかりです。トムラの最新機種は1度に100本の様々なボトルを種類毎に検出してデポジットを計算する事ができます。今までの機械は1本ずつ投入する必要がありました。お店もRVMを導入する理由があり、ある調査によれば、ノルウェー、フィンランド、スウェーデンでは、店に来た顧客の約45%は、RVMでクレジットを得た後、その店内でクレジットが使われる場合は、そのまま店で(クレジット分)多くのお金を費やす、としています。ドイツや北欧諸国のスーパーマーケットに行くと殆どの店でRVMが設置されており、この分野もEU他国ではまだまだ成長する事業エリアと見られています。
https://www.tomra.com/en-gb/collection/reverse-vending/reverse-vending-systems/revolution-line/r1-and-t9-with-mupair

11月に始まるCOP26を前にエネルギー2050サミットが英国で開催されています。GHGネットゼロを目指し、特にアフリカを含む途上国でのエネルギー転換を議題の1つにしています。それに対して、ロイターが国連環境計画(UNEP)のレポートを報じていますが、2030年に世界では2015年にパリ協定での目標値に対し、石炭が約240%、石油が57%、ガスが71%多く使う事になると伝えています。
https://www.frontierenergy.network/events/energy-2050-summit-2021
https://reut.rs/3AYRLtu

欧州の主要なメディアで伝えられていますが、サウジアラビア、日本、オーストラリア、インドが、脱化石燃料を遅らせるよう国連(の書類に変更を)求めた、というリーク情報を伝えています。オーストラリア、中国、サウジアラビア、インドの4ヵ国が、国連気候変動報告書にある重要なフレーズを削除するか、脱化石燃料の必要性を軽視するよう、科学者のパネルに促していた、とうものです。COP26を目の前にして、このタイミングでリーク(環境団体のグリーンピースから)がある事に恣意的なものを感じますが、日本が名指しで脱炭素に抵抗するロビー活動を行っていたというセンセーショナルな報道は、COP26で圧力になる可能性が高く、日本のエネルギー政策に大きなコスト増をもたらす可能性があります。
https://www.bbc.co.uk/news/science-environment-58982445
https://unearthed.greenpeace.org/2021/10/21/leaked-documents-nations-pushback-against-offsetting-greenwash-claim/

COP26で投資家によるカーボンオフセットのロビーと環境団体の一部による異なったカーボンニュートラルへの考えが衝突しています。環境団体の一部(WWFのようなカーボンオフセットの提供者ではない)では、ネットゼロの新たな定義として、企業は削減できない炭素排出量をオフセットで相殺する前に、まず炭素排出量を大幅に削減する必要がある、としています。また脱炭素の活動(カーボンネガティブ)として植林や、大気から炭素を真に除去する炭素回収や貯留などの技術への資金提供が含まれています。全て卓上で言うのは易しですが、特にスコープ3でその具体的な案は、植林以外ほとんど商業ベースで成功する可能性のあるものが出てきません。
https://skift.com/2021/10/20/corporate-travel-is-a-lightning-rod-in-carbon-offsets-debate/

リチウムイオン電池の規制強化に反発する欧州自動車業界への欧州委員会の見解が波紋を呼んでいます。欧州自動車工業会(ACEA)がポジションペーパーを発行し、EU委員会と議会で提案されている強化されたバッテリー規制(予定)に警告を出しています。ACEAは広範囲な規制が「EV化の減速」になる可能性があると主張しています。これに対し、欧州委員会の内部市場局(DG GROW)は、EU法は生産を増やし供給を増やすことでバッテリーを安くするだろう、との見解を表しており、波紋を呼んでいます。脱炭素やエネルギー転換は科学や経済原則をあまり考慮せず、政治主導で進められており、今後、いつ辻褄が合わなくなるのか色々懸念されています。今のエネルギーコスト急上昇や金属価格のハイパーサイクルは、産物です。バッテリーでも同じ事が起きる可能性があります。
https://www.euractiv.com/section/batteries/news/brussels-defends-eu-battery-law-against-charges-from-car-industry/

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