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NEWSCONの気になるNEWS(2022年09月第4週)

欧州委員会が食品包装用に再生プラスチックを使用する為の新しい規則を採択しています。同規則は、食品包装に再生プラスチックを使用するためのガイドラインとなります。200種類以上のリサイクルPETが規則の下で認可を受ける対象となります。この規則により、欧州食品安全機関(EFSA)は、食品包装におけるリサイクル・プラスチックの安全性を評価する明確な根拠を持つことになります。欧州政府は透明性を高める為にEU内のリサイクル・プロセス、リサイクル業者、及びリサイクル施設の公的登録簿を作成します。
https://food.ec.europa.eu/safety/chemical-safety/food-contact-materials/plastic-recycling_en

プラスチック廃棄物のリサイクルに利用する熱水分解技術のライセンスを供与する英国のMura Technologyと米国の大手化学メーカーDowがドイツのBöhlenに新しいリサイクル工場を建設する計画を発表しています。工場の処理能力は年間120,000トンで、両社はこの工場がヨーロッパで最大級のプラスチック廃棄物のケミカルリサイクル工場になる、と主張しています。このプロジェクトは2023年末迄に最終的な投資額の決定を目指しています。
https://bit.ly/3DwUO10

米国の政治経済の調査機関であるロジウム・グループが欧州企業による対中国投資についてのレポートを発行しています。このレポートの発行は、中国への依存を減らすというドイツの新政府の決定と、中国共産党による社会・経済の配力強化により地政学的懸念が高まっている中で行われました。欧州企業による 2018年から2021年までの4年間の中国への投資は、わずかな数の大企業、特にドイツからの投資が倍増した一方、他社の投資は減少している事が報告されています。レポートによると、フォルクスワーゲン、BMW、ダイムラーの3大ドイツ大手自動車メーカーと化学グループのBASFが2018年から2021年までの中国投資の全体の3分の1を占めています。これは、ドイツの前政権であったメルケル元首相がドイツ企業の中国市場への参入を積極的に奨励し支援した為で、ドイツ全体で、当該4年間の海外直接投資の内、中国が43%を占めた事が要因です。それ以前の10年間では34%でした。レポートによると、ドイツ、オランダ、英国、フランスの4ヵ国だけで、当該4年間の欧州企業による対中投資の87%を占めています。ただし、パンデミックの発生以来、欧州の新しい投資家が中国に直接投資したことは無い、と伝えています。欧州の中小企業は中国投資の増大するリスクを取る事に消極的、と結論づけています。
https://rhg.com/research/the-chosen-few/

米国のナスダック市場に上場するAmerican Resources Corpの子会社であるReElement Technologiesが2つ目のリチウムイオン電池及び希土類磁石のリサイクル工場を計画している事が発表されています。同工場では、特許である「クロマトグラフィー技術(chromatography technology)」を利用し、純度99.9%相当のバッテリー材料と99.5%相当の希土類元素を生産する予定です。同社は使用済みの磁石とバッテリーを回収し、処理後に水性溶液化、更に分離・精製して磁石、及びバッテリー品質の材料に戻す事を計画しています。同社のクロマトグラフィー技術は、分離・精製技術であり、湿式冶金や溶媒抽出を置き換えるものです。
https://bit.ly/3dqrr5Z
https://www.americanresourcescorp.com/

8月末のニュースとなりますが、今後グリーン化が進み化石燃料の精製が減ると工業用に利用する「硫酸」が大幅に不足する事が予測されています。硫酸の世界的な需要は2040年までに、現在の2億4,600万トンから4億トンに増加すると予測されています。これは主に農業やグリーン化技術の為に使用されます。英国のユニバーシティカレッジロンドン(UCL)の研究チームの調査結果によると、将来、年間1億トンから3億2000万トンの硫酸不足が生じると予測されています。これは、現在の供給量の40%~130%に相当します。需給予測は過去の需要に基づいた2021年から2040年までの3つの異なる需要予測から得られたものです。硫酸は現代のモノづくりに欠かせない物質です。リン系肥料の製造や、コバルトやニッケル等のレアメタルの抽出に使用されます。現在、世界の供給量の80%は原油と天然ガスの脱硫による副生成物から来ています。しかし、気候変動対策による世界経済の脱炭素化の動きで化石燃料の生産が減り、硫黄の生成も減る事になります。
https://bit.ly/3xZGScv

米国、日本、英国、フィリピン、インドネシア、香港、スイス、ブラジル、台湾の中央銀行会議が開催されます。金利の上昇がどこまでになるのか注目されています。また、英国、米国、日本、ユーロ圏、オーストラリアでは企業の景況指数を表すPMI(Purchasing Manager’s Index:購買担当者景気指数)が発表されます。特に22日は日銀金利&外債投資、英国 BoE 金利、香港特別行政区の金利&インフレ率、フランス景況指数、ユーロ圏ECB総理事会、スイスSNB金利、米国失業保険申請数の発表があり、マーケットや為替にも影響があると思います。今言われているのはG7各国共に景気後退でも失業率は良い数字で、雇用が続く限りインフレ対策を優先(つまり金利を上げる)するという見方です。
https://bit.ly/3DFoAAz

世界的にも問題になっている人工芝のリサイクルに対する民間企業の取り組みが発表されています。オランダの人工芝メーカーであるTenCate Grass社、米国のプラスチック選別リサイクル企業であるCyclyx社、米国の大手石油化学企業であるExxon MobileによるイニシアチブでTenCate Turf Recycling Solutionsと名付けられています。このイニシアチブはカリフォルニアの学校施設の人工芝を対象として行われ、高校や大学のキャンパス50ヵ所の古い人工芝を処理します。処理ルートは南カリフォルニア州の施設に収集物を集め細断、その後、Cyclyx International社が選別、再処理を行い、更にテキサス州のエクソンモービルのケミカルリサイクル施設でリサイクルを行います。エクソンモービルでは、自社のExxtend技術を利用します。TenCate社は、このイニシアチブを全米に展開していく予定という事です。
https://bit.ly/3DHfJOQ

HNSWが様々な報道機関やシンクタンクによる石炭利用の急増についてまとめています。「石炭ラッシュ!」とタイトルがついた報告では、ここ数ヵ月でヨーロッパへの石炭の出荷が著しく増加し、発電に使用される燃料炭の価格は、ウクライナ戦争の結果として記録的な水準にまで跳ね上がっている、と伝えています。ヨーロッパで石炭と亜炭を使った発電量は今年前年比で25%を上回っています。世界の海上一般炭輸送(輸入量)は7月に9,780万トン、前年比9%増で過去最高の水準でした。また中国当局は今年春に石炭生産者に対して採掘能力を3億トン追加するよう命じており、使用量も増加しています。ボツワナの炭鉱会社であるMinergyによれば、少なくとも 2023 年半ばまでは石炭市場が堅調に推移すると予測しており、生産能力を倍増させる意思があります。「石炭を取り巻く否定的な物語は放棄され、石炭は戦争から生じるエネルギー危機の頼りになるエネルギー源として受け入れられてきた」と伝えています。
https://www.hellenicshippingnews.com/coal-rush-energy-crisis-fires-global-hunt-for-polluting-fuel/

欧州リサイクル産業総連合(EuRIC) が、現在提案されている欧州の廃棄物輸送規則の改定に対するポジションペーパー(立場表明)を発行し、政策立案者に警告を発しています。欧州のリサイクル業界は、混合プラスチック、未処理廃棄タイヤ、廃バッテリー、廃車両等の「問題のある」廃棄物のEU 域外への輸出禁止については支持しています。しかし、現在の提案は選別されたリサイクル金属材料も「廃棄物」と定義する事で、非OECD諸国への輸出時にも「相手国の同意」と「相手国施設のリサイクル能力」を証明する必要が生る事になり、手続きが煩雑になる事から猛反対しています。欧州では鉄鋼生産の48%がスクラップから作られており、重要な原材料法も提起されています。この問題は11月に最終的に方針が決まる予定ですが、相当なロビー活動が展開されていると聞いています。欧州からは廃車や廃プラを含め不透明な輸出が続いた過去があり、この問題はリサイクル業者にとって最大の関心事です。

直接リサイクルや気候変動とは関係ありませんが、気候変動への投資に間接的に関係する政治的な英国での動きを「ネタ」として提供します。英国は欧州から離脱しましたが、このBrexitキャンペーンを主導した政治団体はLeave.EUという組織で英国の会社庁に登録されています。この組織の最大のスポンサーは英国の銀行(金融業)と言われてきました。この団体の資金源には黒い噂がBexitキャンペーン中にも絶えずありました。 共同設立者である、Aaron Banks氏は元銀行員でBrexitのキャンペーンの為にBanks氏が所有する保険会社のマーケティングを含む 100 万通を超える電子メールアドレスを使い購読者にメール送信したとして罰金を受けています。もう1人の創設者は欧米で知らない人はいない英国のEU代表であるNigel Farage氏です。彼も個人的に巨額な融資を受けていた事が何度か報じられています。それだけでは無く、この組織はBrexitの国民投票の前にEldon保健の顧客の詳細を違法に使用して約300,000人に政治的マーケティングメッセージを送信し、15,000ポンドの罰金を科されています。その Leave.EUが今回、会社清算に入りました。Brexit以降、英国政府はEUの金融規制を廃止する計画を進めており、2021年にその方針を財務大臣が初めて発表し、2週間前に就任したリズ・トラス政権が2023 年末までに英国の金融部門を対象とする全てのEU 規制を廃止することを約束しています。実は英国の金融機関はBrexit後もEU の何百もの規制の対象となっていました。 CDPやエレンマッカーサー財団は英国に登録されている団体であり、自主的炭素市場を国連側から牽引するカーニーは元英国の中銀総裁、TCFDを世界で最初に義務化したのも英国で、金融組織の融資先への枠組みを作っている国際的な団体は、いずれも英国と深い関係にあります。オランダを代表する企業であるロイヤル・ダッチ・シェルが英国企業になったのも、ジャージー島を経由した配当金用の会社組織をロンドン市場に置いており、欧州規制を受けないというメリットがある事は、既に何度も報道されています。この辺りの気候変動と英国の金融機関との関係性は、ある程度知る価値がある情報です。
https://bit.ly/3SkPiTh
https://politi.co/3xFHS5i

英国のビジネス・エネルギー・産業戦略局が、正式にシェールガス生産の一時停止(モラトリアム)を解除しました。英国政府はまた北海移行機関(NSTA)によって100以上の新しいライセンスに繋がると予想され、早期に開始される予定の石油及びガス採掘へのライセン供与の支持を確認しています。ただし地質学者のChris Cornelius氏はThe Guardian紙に「近い将来、英国で(シェールガス採掘の為の)水圧破砕が行われる可能性はないと思います」「イギリスで水圧破砕をかなりのレベルまで拡大することは不可能であり、一次停止を解除しても、現在のエネルギー危機はまったく緩和されません」と語っています。
https://bit.ly/3UxLIqI

英国はエネルギー政策を現実路線に大きく転換しています。
https://bit.ly/3SbGNuk

エネルギー危機が深刻さを増す欧州で今一番議論となっているものが9月14日に欧州委員会が提案したエネルギー計画です。この内容についてエネルギーコンサルタント会社のRYSTAD ENERGYが分析した内容をOilprice.comがよくまとめて掲載している為、リンクを送ります。主な骨子は以下の3つで、ピーク時のエネルギー需要を5%削減する、2023年3月31日までに総電力需要を10%削減する、そしてエネルギー価格の上昇で大幅な利益を上げた電力会社と化石燃料会社が得た1,420億ユーロ(約20兆円)を消費者に再分配する事です。提案ではそれ以外にも、追加のエネルギーに関するイニシアチブが含まれます。更にこの計画以外に、ここ数週間で議論が過熱している「電力価格に上限を設ける」という措置があり、これは、英国の新政権も取り入れています。この分析では1,420億ユーロ(約20兆円)ものバラマキは一時しのぎであり(政府によるエネルギー価格の)介入の新たな先例となる一方で、今後数年間でEU とヨーロッパ政府による支出と介入の両方の始まりにすぎない、としています。EUが現在スポット市場から購入している膨大な量のガスや石炭は世界の市場価格に大きな影響を与えており、今後も政策がエネルギー市場へ与えるインパクトは大きく、他人事とは必ずしも言えない状況です。特にEUは「お金持ちの国」が多いので、高騰するエネルギー価格は途上国への影響が懸念されています。
https://oilprice.com/Energy/Energy-General/The-Single-Largest-Energy-Market-Intervention-In-EU-History.html

欧州で今ホットな話題のイタリアの総選挙です。9月11日のスウェーデンの総選挙でも右派連合が過半数を獲得し中道・左派連合を僅かながら上回りました。スウェーデンの選挙の争点は、犯罪、移民問題、高騰する光熱費を含めたインフレでした。6月のフランスの総選挙でもマクロン大統領の「共和国前進」を軸とする与党連合(中道)が過半数を大幅に下回る敗北を喫した一方で、左右両極の勢力が大きく躍進しました。今回のイタリアの総選挙でも(極)右派政党であるジョルジア・メローニ氏が率いるFratelli d’Italia(イタリア兄弟党、イタリア同胞党と訳される)が全国的に世論調査をリード、イタリア北部の産業の中心地でもトップになる予定と報じられています。CNBCは、この状況を「投票は進行中の経済的、及び政治的不安定性に対処する極めて重要な政治的変化を示す可能性がある」と伝えています。このFratelli d’Italia(イタリア同胞党) が総選挙に勝てば、党首のGiorgia Meloniがイタリア初の女性首相になる可能性があり、100年前にベニート・ ムッソリーニが権力の座に就いて以来、最初の極右指導者となる見込みです。同党はEUの官僚主義を緩和し、国内政策への影響力を弱めるEUの改革をスローガンの1つにしています。欧州はEU政府による行き過ぎた官僚主義と中央集権的政治決定の反動が今回のエネルギー危機やインフレで噴出し始めています。極右政権の誕生は、グリーン政策にも影響が及ぶものと見られています。
https://cnb.cx/3f9KzFP
https://politi.co/3f9ATLA

鉄スクラップ輸出をめぐり欧州鉄鋼協会とドイツの金属リサイクル協会2団体による論争が起きています。その内容を、Recycling Todayがまとめています。内容は欧州鉄鋼協会が開示しているデータが恣意的なもので、「鉄スクラップの対外貿易の数字を非常に創造的な方法で解釈し、それらをロビー活動に利用できるようにした」と非難している事です。欧州鉄鋼協会は、現在欧州のスクラップ業界で最大の議論の的となっている欧州廃棄物輸送指令の改定案に賛成しており、リサイクル業界は猛烈に反対しているという立場を取っています。欧州廃棄物輸送指令の改定案では、金属スクラップの輸出がより煩雑になる事が確実視されています。エッセイという形で示されたドイツのリサイクル協会の文章では「EUの鉄鋼業界がスクラップの輸出に反対しているのは、環境保護主義ではなく経済保護主義に関係しているのではないか?」と疑問を呈しています。この問題は結論までに2ヵ月を切り、本当にヒートアップしています。
https://bit.ly/3LwDCL6
https://bit.ly/3S8uz5E

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