NEWS
世界の環境関連ニュース(2022年08月第2週)
ノルウェーの世界最大のアルミニウム生産メーカーの1社である「Norsk Hydro ASA(Hydro)」が、5 億ノルウェークローネ(約5,130 万ドル)を投資して米国ペンシルバニア州にある同社のアルミ二ウム押出ビレット工場を拡張する事を発表しています。特にリサイクル能力を拡大し、低酸素アルミニウムの製品製造を拡張する事が狙いです。このプロジェクトは 2024 年後半に稼働する予定で、鋳造能力を 50,000 トン以上拡大する予定です。この投資により、アルミニウムスクラップの使用を大幅に増やす事が出来る、としています。
▶ https://bit.ly/3QrwroR
米国で民主党が提案している 3,790 億ドルの気候変動法案に含まれる電気自動車の税額控除が、利用が困難になる可能性がある事が伝えられています。この法案により、EV車の購入者は最大で7,500 ドルのインセンティブを受けられます。しかし、この法案に元々反対していた民主党のジョー・マンチン上院議員は、法案に賛成する取引材料として、EV車のバッテリーに使用される鉱物の 40% が米国または条約締約国によって抽出、または処理された場合にのみ、EV に対して7,500 ドルの全額税額控除を提供する、という取引を上院多数党院内総務のチャック・シューマーと結んでいた事が明らかになっています。上院は現在議席が民主党、共和党でそれぞれ50議席ずつという議席数です。議長である副大統領が民主党の為、投票が同数の場合は副大統領の1票で民主党案が勝利します。反対議員が1人でも有れば、民主党法案は通り辛い状況です。EV車のバッテリーは既に国際的なサプライ チェーンが確立されており、自動車メーカーは近い将来にこの要件(40%)を満たすことが不可能です。その場合、消費者がインセンティブを利用出来なくなります。この法案は民主党内で調整されているようですが、調整プロセスが上手くいかない場合、法案の中のEV 条項が削除される可能性がある事が伝えられています。EV車へのインセンティブが無くなると高騰する原材料価格から、かなり高額な車両価格を消費者が支払えるかが焦点になり、普及に影響が出ます。
▶ https://politi.co/3JvIxej
ベトナムのEVメーカー Vin Fastが米国への参入を計画している詳細が伝えられています。同社はベトナムのハイフォン近郊に工場を設立し、21ヶ月で稼働を開始し、8月よりEV車の生産を開始します。米国の工場はノースカロライナ州に建設予定で、2024 年 7 月には生産を開始する計画です。TIME紙によると、同社はヨーロッパでも工場建設用のサイトを探していると言います。Vin Fastはベトナム最大のコングロマリットの Vin Groupが親会社で、Vin Groupは大学から病院、住宅用の団地まで、あらゆるものを傘下で経営しています。Vin Fast はノースカロライナ州工場設立の為に40 億ドルを調達したと発表しています。
▶ https://bit.ly/3vHQ0Bn
米国の上院で投票が行われ、正式に 4,300 億ドルの気候変動、税、薬価法案を可決しています。インフレ削減法 (IRA)と名付けられたこの法案は、当初バイデン政権が超大型予算で目指したものが大きな修正を経て可決されたものです。地球温暖化への取り組み、処方薬コストの削減、大企業への課税が主体となります。総額4,300億ドルの内、4,000 億ドルが気候変動とエネルギー対策に割り当てられています。これにより、米国では温室効果ガスの排出量を今後10 年間で2005年レベルに比べ約 40% 削減する計画です。下院は民主党が多数の為、可決はほぼ間違いなく、その後大統領の承認を経て施行となります。超大型予算ではありませんが、資金の内、気候変動に関したものが多く、グリーンインフラ用の金属相場には影響がありそうです。また太陽光パネルのシェアの95%は中国であり、風力発電に使われる鉄塔などの資材も中国産が含まれるため、他国への影響もありそうです。
▶ https://bit.ly/3waXxcb
世界最大の2つの温室効果ガス排出大国である米国と中国が気候変動協議を停止する事が伝えられています。これは米下院議長が台湾を訪問した事による中国の米国に対する報復措置の1つです。専門家の一部は米国と中国の気候交渉の中止は今年11 月に開催される世界気候サミット(COP27)に影響し、具体的にはメタン排出量の削減に関連する技術的問題の直接的な協力関係を損なう可能性がある、としています。ただし両国間の協議の有無に関わらず、それぞれの国での気候対策は進展すると見られています。バイデン政権と習近平政権は、人権、中国の領土の主張、関税、等について対立していますが、気候変動対策の外交対話は協力的に行われてきた「稀」な分野でした。
▶ https://bit.ly/3QakhRj
Augusの最新情報によるとエネルギー価格と鉱山企業の収益の悪化によりコンゴ共和国での生産コストが上昇する事で、コバルトの価格が底値反転になる可能性が伝わっています。生産コストの上昇に加え、中国のコバルト需要に増加の兆しがある為、と伝えています。このままコバルト価格が下落し続けた場合、鉱山の運営に関するサプライズが9月に起きる可能性も伝わっています。過去グレンコアの鉱山の1つが生産停止になり価格が上昇した事もあるため、注目すべき内容です。
▶ https://bit.ly/3BQ0gvg
現在フランスで深刻な干ばつが続く中、地元紙が原因に関する識者の意見を載せています。干ばつにより100以上の村の水道が止まる事態が発生し、フランス全土での干ばつの中でも地中海沿いの地域が最も影響を受けています。8月は雨予報が少なく、9 月に状況は悪化する可能性が指摘されています。これによりの農産物への被害も多く出ています。2017年の干ばつは12 月まで続きましたが、今年は、最短でも国内の多くの地域で地下水位が回復するのは10 月以降となるようです。
▶ https://bit.ly/3A6yZ6s
ドイツの公共国際放送局Deutsche Welle(DW)がEuropean Data Journalism Networkと共同で、欧州の食品・飲料会社のプラスチック誓約について調査を行った結果を発表しています。この調査の内、欧州でプラスチックをより環境に配慮したものにするという誓約をした食品・飲料会社の3分の2が失敗、もしくはその誓約を取り下げている事を報じています。フランスを代表する大手食品企業であるD社(下記リンクには実名が公表されている)は、2008年に1年以内に水用のボトルに使用されるプラスチックの50%をリサイクル素材で作る、という野心的な誓約をしました。D社のサステナビリティ報告書では、この誓約を「パッケージの重量を減らし、CO2排出量を削減するための措置」としています。実際には2009年に目標は変更され、結局当初の目標は達成できませんでした。2020年にもD社は世界で販売される水用のボトルにリサイクルPETを20%しか使用していません。50%の目標は2025年に変更されています。D社はこれらの不一致に関するコメントの要求に応答しませんでした。2021年に欧州では衣料品、化粧品、家庭用機器等の企業のウェブサイトでの「グリーンクレーム(グリーンの誓約)」を調査し、その42%が誇張、虚偽、または誤解を招く可能性が高いという結果が出ています。DW は24社のプラスチックに関する誓約を調査し、16社はリサイクル可能なプラスチックを使用してパッケージを製造することを約束しました。しかし、その16社はそれらのパッケージが「リサイクルされることを保証」していませんでした。あくまでリサイクル可能なプラスチックで作るという事を誓約として載せているだけでした。DWは「自発的なコミットメントはグリーンウォッシングを可能にする」と結論づけています。
▶ https://bit.ly/3SB81Lc
自主的炭素市場のクレジット原則草案が発表され、概要が法律事務所により記載されています。自主的炭素市場の整合性評議会(Integrity Council for the Voluntary Carbon Market :ICVCM)が、コア炭素原則(CCP)の草案を発表しました。CCPは高品質(高信頼性) の炭素クレジットの為の国際的な「基準」を提供することを目指しています。またICVCM は炭素クレジットが CCPの基準を満たすか評価する「評価用フレームワーク」の草案と、クレジットの承認とクレジットのタグ付けのプロセスを概説する「評価手順」の草案を発表しています。これらの草案はパブリックコメントを含めて9月27日まで協議されます。上記の草案の前に、Voluntary Carbon Markets Integrity Initiative (VCMI) が、企業向けの炭素クレジットの使用を規定するClaims Code of Practice (「Claims Code」) の草案を発表しています(2022年6月7日)。
ICVCM とVCMIの草案は適用範囲が異なります。ICVCMのCCP原則は「炭素クレジットの供給」を中心に規定しており、VCMIのClaims Codeは、「炭素市場の需要家が行う請求」を規定しています。日本ではほとんど知られていませんが、ICVCMとVCMIは民間でありながら国際的な炭素市場とクレジットの基準を作る組織です。どちらも英国財務省から資金提供と開発ガイダンスを受けており、ICVCMは国際的に影響力のあるNGOと協力し、更に元SEC (米国証券取引委員会)コミッショナーのAnnette Nazarethが共同議長を務めています。Googleやユニリーバ等の巨大な多国籍企業もその中心メンバーです。
将来、ICVCMの許可を得た炭素クレジットは「お墨付き」として国際的な信用を得て流通される事を目指しています。ISO 9001とISO 14001の両方が英国王立規格協会によって草案が提起され国際的なスタンダードとなり、最後はスイスが本部の国際規格協会(ISO)まで昇格させた、という歴史に近いものがあります。炭素の規則を作り支配する、という点で違うカタチで同じ事が繰り返される例かと思います。企業はISO 9001の証書があっても何もお金になりませんが、9001の証書を発行し認証する機関は毎年税金徴収のように一定のお金が転がり込む、という標準化のビジネスモデルです。
▶ https://bit.ly/3QsLHBI
今年の国連気候サミット(COP27)を前に緊張が高まっています。経済規模が小さく脆弱な国々が、気候変動によって与えられた損失に対する補償を豊かな国に支払うよう要求する動きを強めています。世界46ヵ国の「後発開発途上国」が世界人口に占める割合は14%で、これらの国々が化石燃料の使用により年間に排出する二酸化炭素量は、世界のわずか1%しかありません。しかし、貧しい国であっても豊かな国と同様に気候変動による損失が急増しています。裕福な国はまた、2020年までに年間 1,000 億ドルを拠出して、貧しい国が排出量を削減し、気候変動に備えるのを支援するという約束を過去にしましたが果たせませんでした。これは、2009 年に先進国が約束したもので、結果的には833 億ドルしか提供せず、目標を167 億ドル下回りました。この不足分を含めて、先進国に補償を求めています。6月にドイツのボンで開催されたCOP27の事前協議では、この支援に関する議題をCOP27で追加する事はありませんでした先進国はこのテーマに消極的だと伝えられています。
▶ https://reut.rs/3P4oYuI
ご快労様です。
10日の欧米情報をお送りします。
インドが独自の炭素市場を設立する法案を可決しました。
8 月 8 日にインドの下院が炭素市場を設立する法案を可決し、国内向けの炭素市場を作る事になりました。しかし、この市場向けに創出される国内の炭素クレジットは輸出の対象にはならない事が確認されています。
輸出の禁止措置はインドの電力・再生可能エネルギー大臣の Raj Kumar Singhが述べたものですが、禁止措置がいつ導入されるかは明確にしていません。
インドは、炭素クレジットの輸出禁止を発表または計画した 4 番目の国です。その他の国は、パプアニューギニア、インドネシア、ウルグアイです。
▶ https://bit.ly/3QuAZv7
カーボンクレジットで言えば、日本の丸紅株式会社が、一般社団法人日本クルベジ協会から「バイオ炭の農地施用による日本のJ-クレジットの独占販売代理権を取得」したことを昨日発表しています。
(日本の炭素クレジットは相対が多く外部に出る事はないので、創出先を抑える事が肝要なのかと推測します)
▶ https://bit.ly/3BZdF3Y
この情報でも7月にお伝えしたフランス大手タイヤメーカーがコーディネートするプラスチック・リサイクルの欧州のコンソーシアム「WhiteCycle Projet」(ホワイトサイクルプロジェクト)に、プラスチックを酵素分解する技術を開発している(これも以前お伝えした)フランスのCarbiosが加わった事が発表されています。WhiteCycle Projetは現在16の官民機関(企業)が加わり、期間は4年、 予算は960 万ユーロで、欧州政府から約 710 万ユーロの資金提供を受けています。コンソーシアムの参画団体は欧州 5 カ国 (フランス、スペイン、ドイツ、ノルウェー、トルコ)にあります。2030年までに、PET(樹脂・繊維・製品)を年間200万トン以上リサイクルする事が目標です。Carbios社は、プラスチックを酵素によりリサイクルする技術を開発し、さらに生分解性プラスチックを開発製造するという2 つの開発を行っている企業です。プラスチックの酵素分解は大変珍しい技術で、世界でも僅かな企業しか商業ベースで開発プロジェクトを行っていません。
Carbios社は上場企業かつプラスチックの分解酵素を開発するという欧州でも唯一の企業です。
▶ https://bit.ly/3QgS4bx
国際的な法律の最新情報や分析を提供しているLexologyが「天然ガスと原子力エネルギーの EU タクソノミーの整合性」という記事を掲載しています。
この記事は、法律事務所であるL&E Globalが分析・作成したものです。
2022 年 7 月 6 日、欧州議会はガスと原子力エネルギーを EU タクソノミーの枠組みの下でグリーン投資(ESG ラベルの付いたファンドを通じた投資)として分類することを可決しました。これは、大きな出来事でした。
これに先立ち、特定のエネルギー(経済)活動に関する委任規則 (EU) 2021/2139 が改正され、さらに、それらの経済活動の公開開示 (DA) に関する規則(EU) 2021/2178も改正されています。
DA の採用と、原子力エネルギーとガス エネルギーを持続可能なものとして分類することは、ある意味、セットとなっています。原子力とガスをグリーンとする為に、公開開示 (DA) を義務とする新基準が設定されています。(詳細はリンクを参照)
原子力と天然ガスをグリーンとするという決定は、現在のエネルギー安全保障と持続可能性のバランスをとろうとした結果で、クリーンエネルギーへの移行期の措置として評価されていますが、問題もあります。
1つは、すでに持続可能な財務開示規則(SFDR)に準拠している資産運用会社が、 SFDR を基準にした持続可能ラベルの付いたファンドを所有している為、DAに基づいた分類を再度行う必要がある事、2つ目は、現在の基準であるSFDR 開示義務の下で、資産運用会社が行う投資は、(修正のあった)タクソノミー規則の経済活動に沿っているかどうかを、再度明記する必要がある事、となります。
結果、原子力およびガスの追加は、資産運用会社が分析および処理するデータをさらに増やす事になります。
さらに問題なのは、投資家は、特定の基準を満たす経済活動にのみ投資する法的義務はないため、好きなように(リターンの魅力的な分野に)投資を続けることが可能である、という事です。
▶ https://bit.ly/3bN6Gk3
米国エネルギー省 (DOE)が、重要な原材料の研究、開発への6億7,500 万ドルの資金提要に関して情報要請 (RFI)を発行しました。RFIとは、産業、学界、研究機関、政府機関、州、及び地方組織、労働組合等から、この資金提供のプログラムの構造、タイミング、配分、選択基準について意見を求めるものです。意見募集は2022 年 9 月 9 日まで行われます。この資金プログラムは、グリーンエネルギー技術に欠かせない、希土類、リチウム、ニッケル、及びコバルトの米国内のサプライチェーンを強化する事が目的です。既に欧州では域内でのサプライチェーンが脆弱な原材料を「Critical Law Materials」(需要な原材料)としてリスト化して対策を行っています。米国でも同様の流れが生まれつつあります。
▶ https://bit.ly/3piSnql
この情報でも何度かお伝えしているフィンランドのIAロボット企業である「Zen Robotics Ltd」が米国企業に買収されています。買収元は米国コネチカット州のTerex Corpの子会社であるTerex Materials Processingです。Terex Corpはニューヨーク証券市場に上場する企業で、建設、インフラ、採石、リサイクル、エネルギー、鉱業、海運、輸送、精製、公益事業等、多種多様な業界向けの機械製造、及びマテリアル・ハンドリング・システムを提供する米国の多国籍企業です。Terexは傘下のTerex Ecotec、Terex CBI、Terex Fuchs、Terex Recyclingを通じて、廃棄物市場で国際的に活動している企業です。AIロボットがリサイクル現場に入る日は既にそうお遠くありません。
▶ https://bit.ly/3C319jY
提案自体は先月に行われましたが、英国でガソリンエンジン付きのオートバイの販売を段階的に禁止する提案が出され、議論となっています。提案では125 cc、及び15 馬力未満の小型内燃機関(エンジン付き)オートバイ、及びスクーターは2030 年から販売が禁止、更に全てのエンジン付きのオートバイの新規販売が2035年から販売禁止となります。ただし、今のところ使用中のガソリンエンジン付きのオートバイを上記の年度以降も使用禁止する計画はありません。協議は9 月まで行われ、その後に対応が検討され法律化されます。現状では新しい内燃エンジンのオートバイの新車販売が2035年以降も続けられる可能性は低いと伝えられています。
▶ https://bit.ly/3wlg3i7
DRI(直接還元鉄製法)における技術革新が複数の専門サイトで報告されています。DRIは原料炭を使用しない製鉄法ですが、供給不足が懸念されている高品質(DRグレード)の鉄鉱石 (Fe 67% 以上)を必要とします。現在、DRIと電炉の組み合わせにグリーン水素と再生可能エネルギーを利用する事でグリーンスチール製造を行うプロジェクトが欧米を中心に相次いで計画されています。そこで問題となる事がDRグレードの鉄鉱石の供給です。新しい技術では、高炉の溶鉱炉の鉄鉱石 (Fe62~65%の純度)を使用出来るようにするものです。これは、DRIとサブマージアーク炉 (SAF) とを組み合わせる製(鋼)法です。ドイツのティッセンクルップは2025年に最初の高炉をサブマージ アーク炉(SAF)と組み合わせたDRIプラントに置き換えて、高炉級の鉄鉱石を使用する計画です。同じく世界第2位の鉄鋼メーカーであるアルセロールミッタルも、同様にDRI-SAFの組み合わせの実装を計画しています。
▶ https://bit.ly/3vZRUgG
米国経済の景気に関しての分析予測がHSNWによって伝えられています。長短金利のイールドカーブの逆転がこれ以上進む場合、銀行の利ザヤに影響が出る事と貸出の基準が厳格化される為、ローンに高いプレミアが掛けられる可能性を示唆しています。これは銀行が企業や家庭への与信を削減する事で、マイナスの経済的影響を生み出す可能性があります。専門家は米国3大銀行のJP モルガン、バンク・オブ・アメリカ、シティだけでも、リスク加重資産を今年末までに1,500 億ドル以上削減する必要があるかもしれない、と述べています。米国経済は名目成長率と良い労働市場(低失業率と雇用拡大)により、本格的な不況と呼ぶことは避けられる、と考えていますが、銀行の見方は多少異なるようです。
▶ https://bit.ly/3w1OGtb
現在欧州を襲っている大干ばつの影響が深刻化しつつある事が今週多くのメディアで伝えられています。EUと英国を合わせた土地の 60%以上が、現在干ばつの警告を受けています。降雨量の少なさと相次ぐ熱波が相まって、農家に大きな打撃を与えています。収穫量の減少が予測されています。ブロッコリーや芽キャベツ等の野菜は冬に収穫する為に現在は苗を植える時期ですが、土地の大部分が乾燥している為に農家の一部は作物の植え付けを遅らせています。乾燥した状況は、畜産農家にも影響を与えています。牛が放牧されている畑は草が乾燥してエサ不足になっています。米国と同様、多くの英国とヨーロッパの農家は既に冬の飼料を使用しており、これは今年後半に問題を引き起こす可能性があります。欧州の各地で森林火災も頻発しており、更に川の水位が下がっている為、運河の輸送にも影響が出ています。英国に一部輸出されているノルウェーの水力発電ですが、ノルウェーが自国を優先する為に輸出を止める計画があります。更にフランスでも原発の規制を一時的に緩和する措置を出しています。下記のリンクが大手メディアによる各国の報道をまとめていますが、かなり深刻度を増しています。
▶ https://bit.ly/3w15wZ6
プラスチックの問題に関する活動を行っている「Plastic Planet(プラスチック・プラネット)」が英国のExpress 紙に英国でのプラスチック・リサイクルの実態を述べた事が記事として取り上げられています。英国では91%のプラスチックは(プラスチックに戻す)リサイクルがなされていません。PETやHDPE(プラスチックの種類としての包装品の表記番号が英国では#1が PET、#2がHDPE)はリサイクルしても経済的なインセンティブがあるが、それ以外は経済的なインセンティブが無い事が理由となっています。PETやHDPEでも色付きはリサイクルに向きません。種類表記が#3 PVC、#4 LDPE、#5 PP、#6 PS 、#7 それ以外のプラスチックは、通常あまりリサイクルされる事はありません。かなりのプラスチック廃棄物は実際には途上国に送られています。プラスチックに表記された3つの円を描く矢印で形成されたリサイクルのシンボルは、多くの人が信じているように、それが必ずしも(現実的に)リサイクルされて元の製品に戻されている事を意味しないという事を示しています。殆どは、実際には戻されていません。プラスチック・リサイクルは、製品に戻すにしても、実際には「ダウン・リサイクル」という品質要求の低い別の製品になるか、多くは燃料化して燃やす事が殆どで、ケミカル・リサイクルも経済的なメリットが殆ど無い為、実態としては宣伝されている程進んでいません。
▶ https://bit.ly/3QsF16W
▶ https://aplasticplanet.com/
エネルギー安全保障に関するハンガリー(EU加盟国)とロシアの間で新たな動きがありました。ロシアのEUへのガス供給が減少する中で、唯一例外的にロシアのガスプロムは、ブルガリアとセルビアを経由してハンガリーにガスを運ぶTurkStreamパイプラインを介したハンガリーへの供給を増やしています。EU加盟国の中でハンガリーはロシアのウクライナ侵攻以来、ロシアと「実用的な関係」を維持しており、強硬な姿勢を取る欧州連合同盟国との緊張関係を生み出しています。ロシアのガスに約85%依存しているハンガリーは、ロシアのガス輸入に対するEU制裁に断固反対しており、オルバン首相もロシアの原油輸入に対するEU制裁の免除を確保する為に懸命に働き掛けています。欧州では熱波や供給網の問題でエネルギー危機が悪化しており、英国やドイツの電力価格は過去最高値に達し、少雨の為(水力発電のある)ノルウェーまでも予期せぬエネルギー危機を迎える状態になっています。エネルギー価格の高騰がインフレ悪化を更に助長しており、当面解決に向けた具体策が無い状態が続く中でのハンガリーのガス供給増加は、EUが一枚岩になり切れていない例と言えます。最近ブルームバーグの英国版が伝えた内容では、石油価格の高騰でロシアの収益が上がり、欧州へのガス供給を減らしても問題が無い状況が生まれているという事です。インドだけでなくトルコや中東諸国もロシアの原油購入を続けており、ロシアの原油生産量は3ヶ月連続で増加、戦争前の水準に戻っているという事です。制裁の実効性に対する懸念と制裁の対価の(結局インフレと食糧危機という事態で他国が払っているという)問題が徐々に報じられるようになっています。
▶ https://bit.ly/3pmlhpS
▶ https://bit.ly/3dpQLZf
▶ https://bloom.bg/3QMtzmE
多少ゴシップネタになりますが、台湾情勢の急展開のキッカケを作った米下院議長のナンシーペロシ氏の1人息子の問題が取り上げられています。米国議会議員の中でも最も裕福な1人であるナンシーペロシ下院議長が、シンガポール、マレーシア、台湾、韓国、日本を訪問し、特に台湾訪問では中国を巻き込んで(日本も影響を受けている)政治的に大きな問題に発展しました。実はこの訪問旅行の公式リストには含まれていない、自身の52歳息子を同行させた事が物議をかもしています。帰国後の記者会見で、ペロシは、自身の息子が訪問先でBusiness Deal(個人的な事業活動)を行った事実があるかどうか尋ねられ、完全に否定しました。
息子のポール・ペロシJr.氏は2つのリチウム採掘会社から所得を得ており、アジア(特に台湾)では、リチウムイオン電池を米国で製造する投資が始まっています。また、彼はシンガポールのエネルギー関連企業への投資にも深く関わっています。彼は一時期、中国のIOT企業Borqs Technologiesの大株主で、コンサルタントも務め、現在も一部の株式を所有しています(母親のナンシーペロシは中国の人権侵害を最も長年批判してきた人物ですが・・・)。 それ以外にも、過去には色々と物議をかもす会社との取引を行ってきた経緯があり、ワシントンポストがそれをまとめています。
かつてバイデン大統領の次男ハンター・バイデンがウクライナや中国に何度も父親と(政府専用機で)同行して、ウクライナや中国のエネルギー関連企業から数百万ドルの所得を得ていた事や、アドバイザーに就任していた事が最近判明して「ハンター・バイデンのLAPTOP事件」として物議を醸しています。その為、ワシントンの政治を中心とする報道機関であるThe Hill は、ハンター 2.0? と皮肉った題名を付けてYoutubeで取り上げています。これは米国でも左翼メディアには完全にスルーされていますが、多かれ少なかれ、こういった事が慣行として行われている事実がある事は知っておいても損はないかと思います。
▶ https://bit.ly/3Qs7Xfg
▶ https://bit.ly/3dtc8sM
▶ https://www.youtube.com/watch?v=HimfxuL2ots